ラブライブ・メモリアル ~海未編~   作:PikachuMT07

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第57話 2ndラブライブ!

実家に帰った俺を待ち受けていたのは、ナイトガウン姿の紅音とネグリジェ姿の翠音だった。

二人は俺の顔を見ると交互に抱きついてきてキスをねだり、キスした後は紅音は烈火の如く怒り始め、翠音は拗ね顔になった。

憤然と紅音が突き出して来たのはトートバッグいっぱいの様々な箱のチョコレートである。

15個くらいはあるだろうか?クラスの半分ほどの女の子が、俺に渡して欲しいと持って来たそうである。

紅音「なんで私がお兄ちゃんへのプレゼントを運ばなきゃならないのよ!とにかくお兄ちゃんはもう絶対音ノ木坂に来ちゃダメ!」

だそうである・・・やれやれ、だ。

翠音が持って来たのも綺麗なラッピングの小箱2つで、亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんからだそうだ。

亜里沙ちゃんはクラスの男子から、誰にチョコをあげるのか、ものすごく注目されていたようだが、結局女の子にしか渡さなかったようで、男子達の落ち込みようは酷かったらしい。

翠音「やめた方が良いって言ったんだけどぉ、亜里沙ちゃんの今一番気になる男の子はお兄さまだってぇ。雪穂ちゃんはクラスの男の子にもお店のお団子配ってたけどぉチョコはこれだけみたい」

紫音「うーむ、光栄だな。ところで妹達よ。キミ達は日本のバレンタインデーが女の子が告白する日って、知ってた?」

紅音「知ってはいたわよ。こんなにすごいって知らなかったけど・・・」

翠音「翠音はねぇ、一週間前からクラスの女の子がみ~んな、誰にあげるの~って翠音や亜里沙ちゃんに聞いてくるの。それで好きな男の子いないの?って聞かれるの。それで判ったんだぁ」

瑠璃音「あら、紫音はまったく知らなかったの?まあ、家族で貰えるのは恋の告白じゃないものね。それでいくつ貰ったの?」

その一言で俺が持っていたペーパーバッグは妹達に奪われ、中身をテーブルに広げられてしまった。

瑠璃音「あら、これお父さんより多いんじゃない?やるわね紫音・・・」

紅音は真姫ちゃん、花陽ちゃん、凛ちゃん、佳織ちゃんのチョコを次々とチェックしている。

俺は、ことりちゃんのチョコクッキーをいち早く見つけて頬張っている翠音に聞いてみた。

紫音「翠音、翠音はクラスの男子にチョコあげなかったのか?」

翠音「うんとねぇ、クラスの女の子には全員あげたよぉ。男の子はね、いつも優しくしてくれる子にあげたの。でもね、雪穂ちゃんが『義理って言わないと勘違いされる』って言うの」

それで翠音は義理と言いながら渡したらしい。

紫音「ふーむ、つまり渡す事自体に好意が含まれてるから、感謝だけの場合は『義理』と付けるのが慣例って事かな?」

そう思って回想すると、今日「義理」と言ったのは真姫ちゃんだけだった気がする。

紅音「ところでお兄ちゃん?私達からの分はいらないの?」

紫音「お、おお。ありがとう。毎年恒例の、母さんと手作り?」

翠音「うん、マドレーヌ焼いたんだょ」

紫音「おお、うまく出来てるね!いただきます!」

家族に貰える分はあっさりしていて、今日の激闘を耐え抜いた俺にはご褒美に見えて素直に嬉しかった。

俺に食事をさせている間に、紅音はどんどんチョコの小箱をチェックしていった。

次に紅音が手に取った小箱は・・・海未のだ!俺は慌てて取り返す。

疲れていた俺はこの箱だけは絶対触らないよう妹達に言い含めて、風呂に入った。

湯船に浸かってから気付いたのだが・・・この箱だけ触らないように言う事は、他のチョコにはそのような注意をしないので、かえって注意を促しているのと同じなのであった。

・・・かと言って何も言わなければやっぱり触られてしまうのだから、詰んでいるとしか言いようがない・・・妹達にはもう、俺と海未の事はバレてしまっているだろう。

 

自室に戻ってから開くと、海未のチョコにはこの数日の感謝の気持ちが、凛ちゃんと佳織ちゃんのチョコには熱烈な想いが書かれたメッセージカードが入っていた。

妹達には間違いなく、読まれたと思った方が良いだろう。

後輩二人の気持ちは嬉しい・・・だがその気持ちに応えられない分、しっかりと傷つけずに返事をしなくてはならないと思う。

方法はまったく思いつかないが、紅音や翠音の友人関係に響く事はしたくなかった。

 

     ■□■

 

バレンタインデーから数日は、バイトと弓道の練習といういつもの繰り返しをした。

Linerによるとμ'sはラブライブ本番に向けだいぶ放課後遅くまで練習しているようだった。

そんな俺達にまたも期末テストが襲いかかって来る。

テスト1週間前からは俺もμ'sも練習を休み、勉強会に切り替えた。

何日かは海未が俺の部屋に来て、二人きりで勉強する日があった。

そこで一気に二人の仲は進展した。

 

     ■□■

 

テストが終わると3月である。

ラブライブ前日は海未から学校に宿泊するというLinerの書き込みがあった。

ことりちゃんのお母さん、つまり理事長が気を利かせてくれたらしい。

ラブライブが終わればμ'sは解散なのだから、できる限り9人で一緒に居させてやりたい。

 

     ■□■

 

第二回ラブライブ当日の日曜、俺は妹達と晴海埠頭へ向かった。

ラブライブ用に東京湾に突き出る形で特設されたステージは、バックに大きなモニターを備え、スーパーアイドルのステージと変わらないレベルの豪華さだった。

にこ先輩が事前に引いたくじで大トリ、つまり全出場チームの最後を任される事になったμ'sは、A-RISEを破っている事もあり優勝候補の筆頭だった。

俺は学校の友人に会ってしまっても大丈夫なように、さも妹達にせがまれ仕方なく、というイメージを(自分としては)醸しながら観客席に入った。

しかしもちろん両手には、クイーンブレードという12色に切り替え可能な巨大なペンライトを持ち(色は海未のイメージカラーの青に設定)、海未とお揃いの、弓矢のキーホルダーを腰に付けていた。

 

第二回ラブライブ出場チームはさすがにどこもパフォーマンスのレベルは高かったが、μ'sを脅かすチームは無かった。

なぜならμ'sはラブライブに勝つ為よりも、9人でここまで来た夢のような、奇跡のような1年への感謝と、9人がお互いを思いやる気持ちを表現する為に、ステージに立っているからだ。

曲は「KiRa-KiRa Sensation!」である。

 

 (スクフェス「KiRa-KiRa Sensation!」プレイをおすすめ!)

 

μ'sのパフォーマンスは出場したどのチームより、今ここにいる喜びを表現していた。

μ'sより歌が上手いチームはあっただろう。

ダンスパフォーマンスが上のチームも。

もっと整った顔をしている娘を擁するチームもあったと思う。

しかしμ'sのパフォーマンスの後、拍手は鳴り止まず、大会だというのにμ'sへのアンコールがずっと、叫ばれ続けた。

15分後、大会主催者がGoを出し、μ'sは予備の衣装で飛び出して来た。

幻に終わった文化祭2日目の衣装である。

曲は「僕らは今のなかで」・・・話には聞いていたが、文化祭以降一回も練習してないはずなのに・・・9人は歌にもダンスにもフォーメーションにも、淀みは無かった。

本当に最高だった。

やっぱり俺は、μ'sが大好きだ。

 

 (スクフェス「僕らは今のなかで」プレイをおすすめ!)

 

μ'sのアンコールライブ前から集計はされていたはずだが、結果発表には1時間近く待たされた。

大会審査員だけでなくweb投票があった故なのだが、やきもきしたものの結果を聞けばそれもすべて楽しい想い出となる。

高校の講堂の小さなステージで3人で歌っていたあの日から約11ヶ月、ついにμ'sは全国のスクールアイドルの頂点に立った。

深紅の大優勝旗、という言葉は高校野球で使うらしいのだが、ラブライブの優勝旗はそこまで伝統は無くても、それを持った穂乃果ちゃんはとても誇り高く輝いていた。

結局、その穂乃果ちゃんを最初から支えていた俺の弓道の師匠は凄い人だったわけだが、今は遠く離された気はしない。

なぜなら海未は俺の恋人なのだから。

 

     ■□■

 

カラオケ屋で行われた優勝祝賀会は、手放しで大喜びという雰囲気ではなかった。

優勝は、μ's解散と3年生の引退を意味していたからだ。

まだまだ9人でライブもしたいし練習も遊びも、足りないという話に戻って来てしまうのである。

今や練習は辛く厳しいものではなく、逆に9人で一緒に居られる大切な楽しい時間であり、皆練習がしたくて仕方ないようだった。

「最後」という言葉を使った者がジュースを奢るというゲームまで出来ていた。

よっぽど9人でいたいのだろう。

だが3日後には卒業式があり、先輩達は引退を余儀なくさせられる。

祝賀会はμ's解散と3年生の卒業記念パーティーを兼ねた企画だったのだが、ぎりぎりまで9人はμ'sという事になり、解散と卒業の分は卒業式後に延期される事となった。

 

     ■□■

 

ラブライブ優勝から3日後の3月5日、音ノ木坂高校の卒業式の日、俺にはバイトが入っていた。

自衛隊富士駐屯地で作戦立案部の一尉をしている、超絶美人のにこ先輩のお母さんが見たかったのだが・・・残念だ。

亜里沙ちゃんは絵里先輩の卒業を見届けるため式に出席するので、雪穂ちゃんと翠音も出来たばかりの音ノ木坂学院の制服を着て、一緒に行った。

式の後には解散卒業パーティーが「しぶしぶ」企画されており、その二次会から、俺もバイト後に合流することになっていた。

勤務が終わりどこに行けば良いかとLinerを見ると・・・恐ろしい数の発言が入っている。

卒業式で穂乃果ちゃんが「愛してるばんざーい!」を歌った事、「Oh,Love&Peace!」が放送で流れた事。

その後にチアガールのような服になったμ'sが校内から校門の前まで踊り、全校生徒が応援した事などが書いてある。

しかしその後の書き込みが複雑で良く判らない。

俺は店の椅子に腰掛け、じっくりと解読作業をした。

要約するとこうである。

・今日の解散卒業パーティーは中止。

・来年度の第三回ラブライブをアキバドームで行いたいと主催者が考えている。

・先日の第二回ラブライブのweb中継により、アメリカのTV局からラブライブ主催者と音ノ木坂学院にμ'sの取材、番組の出演依頼が来た。

・主催者としては第二回の観客動員数の10倍の収容人数を誇るアキバドームで空席を出さないよう、ラブライブをメジャーに、世間に広く知らしめたい。

・音ノ木坂学院は来年度の生徒募集は終わっているが、さ来年度に向けて学校の知名度をあげたい。

・μ'sは限界まで9人で活動したい。

三者の利益が一致する状況であり、μ'sと学院は取材と番組出演を受け入れ、なんと11日後にニューヨークへ9人だけで向かう事が電撃的に決まったというのだ。

ここまで解読するのに10分以上かかってしまったが、最後まで解読した際には「うそだーっ!」と店で大声を出してしまった・・・恥ずかしい。

 

     ■□■

 

翌日以降もLinerには引っ切りなしに発言があり、特にニューヨークに在住した経験のある桜野兄妹には質問が相次いだ。

日程は第二回ラブライブから2週間後の日曜午前、成田から出発する機内一泊を入れた4泊5日だ。

航空券はエコノミーだが、泊まるホテルは向こうのTV局がゲスト向けに用意しているNYプラザホテルで、なかなか豪勢である。

パスポートを持っていた絵里先輩とことりちゃん、真姫ちゃん以外は卒業式の翌日、大慌てでパスポートを申請した。

しかし発行されるまでは文化局の開局日で6日かかるため、土日を入れるとぎりぎりのタイミングでの申請だった。

そしてμ'sはニューヨーク行きが決まってから出発までの短い期間で新曲を作った。

これは夏祭りで見たミニ浴衣をアレンジしたデザインを前々から考えていたことりちゃんと、曲のアイデアを溜めていた真姫ちゃんがイメージをすぐに出したので、これほど短期間で作る事ができたのだ。

初公開はニューヨークで、となるが、絵里先輩が大いに作詞に貢献したその曲は「Angelic Angel」という題名だそうである。

衣装はサイズを細かく指定する必要があるが、TV局側で作って用意するとの事でμ'sは歌とダンスの練習に専念でき、旅行の準備も着々と進んでいた。

それでも海未は、初めての海外旅行が保護者もガイドも同伴無しとなった事で不安を隠せず、弱気な発言を重ねていた。

 

     ■□■

 

無事に全員のパスポートが揃った3月14日はホワイトデーである。

その前日、俺はLinerに「ホワイトデーのケーキを持って行かせるので、練習の後皆で食べて」と書き込んだ。

それと同時に海未以外のμ'sと愉快な仲間達に、海未の誕生会をホワイトデーに開いて欲しいとお願いした。

さらに集まる全員に感謝のメッセージカードを作り、大きいホールケーキを2つ予約しておいた。

だいぶ財布には痛手となったが、皆から貰った物の金額を合計したらこんなものではすまないと思われるし、お詫びの気持ちもあるので仕方ない。

 

ホワイトデーは金曜日で、わがままを言って翌日を休みにしてもらっていたため、残念ながら俺にはバイトが入っていた。

お陰ですみれさんと佳織ちゃんには有名店のケーキを直接手渡しする事ができた。

佳織ちゃんからは大いに拗ねた視線を浴びる事となったが、なんとか俺に恋人ができた事をしぶしぶ、納得してもらえた。

ホールケーキの方はメッセージカードと共に紅音に学校へ届けてもらい、翠音や亜里沙ちゃん、雪穂ちゃんも含めて一緒に食べてもらった・・・これでお詫びになると良いのだが。

出発前日の3月15日は海未の誕生日で、俺は彼女を独り占めするべくデートに誘っていたため、皆にはお詫びをしたかったのだ。

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