狗頭王の憂鬱≪オーバーロード×ソードアートオンライン≫     作:curse two hole

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第1章~異変~

 

SIDE イルファング

 

 

 今日も刃を振るう、剣技の冴えは変わらず鋭くおのが自負を満足させる。しかし、刃は空を切る、避けられたのではない、相手がおらぬのだ。この頃は侵入者も減ってしまった、自然と刃を振るう機会も減ってゆく。ましてこの身は主の命を受け、戦場に赴く身、この刃に敵の血を吸わせたのはもう幾年も前のこととなってしまった。

 

 主の命を受け敵を切り伏せていた栄光の日々、あのような日々はもう来ないのか・・・。主は新たな世界に旅立ってしまった、もう我らスリーサーヴァントに命が下るのはないのかもしれん・・・。

 

 否!まだ御屋形様がおわす、至高の41人の最後の御一人、我らを蘇らせてくださった偉大なる死霊魔術師”モモンガ”様が!主が旅立たれるとき、約束してくださったではないか!

 

 主が旅立って行かれた日のことが思い出されてゆく。

 

 

 

 

 炎の人型と漆黒のオーラを放つ着飾った骸骨が ナザリック大墳墓 第6層にある円形闘技場”アンフィテアトルム”で対面していた。

 

「モモンガさん、お世話になりました。本当にこのギルドに入れて良かったです。」

 

「バレル2世さん、大丈夫なんですか?海外出向の準備、引っ越しで忙しいじゃないんですか?」

 

「いや~どんなに忙しかろうと此処に挨拶に来るのは決めてました。だって此処でのことがなかったら栄転で海外出向なんてなかったと思いますから」

 

「そんな、バレル2世さんの実力が評価されただけでしょうに」

 

「いや、此処でこのスリーサーヴァントを創ることができなかったら、いつまでも自信が持てず、燻っていたままでしたよ」

 

 そう言って炎の人型は彼の後ろに立つ3体のNPCモンスターを愛しそうに眺めた

 

「こいつらを完成させたことで、やっとコンプレックスから脱却できたんです。」

 

「ああ~あのオフ会で言ってたお祖母ちゃんですか?」

 

「ええ、みんな信用してなかったけど本当なんですよ、むしろ1割も伝えられたかどうか、90越えてマウンテンバイクを乗りこなすし、一昔前のゲーマーならフェザーベルの名を知らない者はいなかったぐらいですよ。」

 

 炎の人型は感慨深げに言葉をつづけた。

 

「でも、本当に乗り越えたかったのはお祖母ちゃんじゃなくてそのお父さん、僕の曽祖父に当たる人物なんです。もちろん、会ったことはありませんが、お祖母ちゃんからよく話を聞かされたんです。なんでもスーパーハカーで世が世ならタイムマシンすら作れる人物だったんですって(笑)」

 

「こいつらを創ったのはその曽祖父に対する挑戦だったんです、曽祖父も若いころに似たようなことをして古いプログラムを復活させたんだそうです。バレル2世を名乗るんだからこれぐらいはできなくちゃいけない! その思いが力をくれた。」

 

「バレル2世を名乗る?」

 

「ああ~言ってませんでしたね、曽祖父のハンドルネームの一つがバレル(樽)だったんですよ。なんでも体形からとったそうで、僕のリアルの体、知ってますよね?遺伝したようで(笑)だから、僕はバレル2世なんです。」

 

「そうだったんですか(笑)」

 

 

「ここまで話したのはモモンガさんが初めてですよ・・・あなたがギルドマスターで本当に良かった。人見知りする僕じゃ皆の協力を得ることなんてできなかった。」

 

「そうだ、今度日本に帰って来たらリアルで案内したい場所があるんです。さっき引っ越しの心配をしてくれましたよね、大事なコレクションなどはそこにあって置いたままで行くからすぐ終わったんです。曽祖父の代から受け継いでいる秘密のラボです。」

 

「ええ、楽しみにしてますね。」

 

 

「あと、こいつら、スリーサーヴァントのこともお願いします。使ってやってください。」

 

「はい、わかりました。」

 

「では、名残惜しいですけど・・・・・・いや、此処でお別れするんですから、こんなんじゃダメですよね。」

 

 

 

 

 バレル2世は気取ったポーズをとって言い始めた。

 

「おお、我らアインズ・ウール・ゴウンの偉大なる盟主モモンガよ、我、バレル2世は新たなる世界の戦いに赴くこととなった。しかし、世界を違えようとも我らの友情が変わることはない!その証として我が魂を受け継ぐスリーサーヴァントをそなたに託そう!このシモベたちがおればナザリック大墳墓が墜ちることはない!そしてナザリック大墳墓がある限りその主であるモモンガも不滅!故に我らの友情も不滅なのである。」

 

「スリーサーヴァントよ、これよりはわが友モモンガに仕え、ナザリックを守るのだ!」

 

 3体のNPCモンスター達はそろって頭をたれた。

 

「うむ、わが友バレル2世よ、確かにこの3人は預かった。彼らと共に我がナザリックを守ってゆこう。」

 

 これが最後ということでモモンガのほうも彼に付き合って言った。

 

「そなたとの不滅の友情を胸に我は旅立つ、さらばだ、わが友よ!」

 

 そう言うと炎の人型はかすむように消え、バレル2世はログアウトしていった。

 

 

 

 

 あの時のこと思い出す、拙者の頭では主と御屋形様の話はほとんど理解できなかった。だが最後の言葉で、主が旅立ってしまうこと、御屋形様に仕えるように言われたことは分かった。そして御屋形様は共にナザリックを守ると誓ってくだされた。そのためにも刃を鈍らせてはならぬ。それは御屋形様のみならず主バレル2世様への不忠にあたる。お二方への忠義を込め刃を振るう。

 

 

 ふう、時間となり刃を収める。するとの12と書かれた門より同じスリーサーヴァントの仲間が出てきた、何故か我らは交代で鍛錬に励む、主は円形闘技場の門のところにに数字を記して「これぞモンスターからくり時計」と申されていたがどういう意味なのであろうか、聞くこともできぬまま主は旅立たれてしまった。

 

 

 ん、今、何かが違和感が・・・振り返ると奴も何かを感じたのか鍛錬を始めず首をかしげている。なんだ?何が起きた?

 

しかし、周りに変化は見られない。いつものアンフィテアトルム、いつものナザリック大墳墓のはずだが・・・分からぬ、とりあえず急ぎ里に戻ることにした。

 

 もしかすると時が来たのかもしれぬ、アインクラッドの時より幾多の戦場を乗り越えてきた剣士のカンがそう告げる。刃を振るう時が来たと!支度を整えねばならぬ、抑えきれぬ笑みを浮かべ我は里への道を急いだ。

 

 

 

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