狗頭王の憂鬱≪オーバーロード×ソードアートオンライン≫ 作:curse two hole
SIDE モモンガ
セバスと共に犬顔の獣人が入ってくる。体格は小太りな感じだが彼は1級の剣士だ、素早さの数値も高く、まして彼のソードスキルを使った攻撃は階層守護者でも避けられるものではない。
「よく来た、お前に聞くことがある」
まだ彼がどんなキャラクターかしっかり把握していないので威厳を込めた対応を心掛けるとして
「ハ、何なりとお申し付けください。拙者の刃は御屋形様のためならば如何なる困難も切り伏せましょう」
うん、やっぱ、彼もこういう忠義精神なんだ・・・
「先ずはお前の能力についてだ、ソードスキルなどの技能に問題はないか?」
まず、当たり障りのない話題から入るとしよう
「はい、我が剣技に陰りはなく、音を操る空蝉、影と同化する影身、変化といった技能も問題なく使えることを確認しております」
「うむ、数多の戦歴と経験を持つだけあって怠りがないようだな。これからはいかなる事態になるか不明だ、その時は知性や知識ではなく知恵や経験が必要になるかもしれん」
ここで、言葉に力を込めて
「お前は千年の時を超え蘇った、このナザリックで1番長く生きてるともいえる、その経験を基にした意見に期待している」
そう、これが言いたかった!守護者たちの自分に対する高評価や信頼は嬉しいが、何でもイエスって言ってきそうな様子だからな~反論や意見を言ってくる場を作らないと絶対に道を誤ると思う!その自信がある(涙目)。
彼は設定にかつての主を守れなかった後悔から主人に対して進言すると書かれていた、こう言っておけば自分から意見を言ってくるだろう。それを褒める感じで他の守護者にも意見を言わせていこう。
あとは言い出しやすいように信頼関係を深めていこう
「そうだ、私はお前たち”スリーサーヴァント”を指揮する機会がなかったな、ソードスキルは幾度か見せてもらっていたがその他の技能はどういった感じで使っていたのだ?」
「ハ、拙者は背後より侵入者を始末する奇襲を得意とし、それにより戦果を挙げて参りました。空蝉で相手の注意をそらし、影身で影と一体化し忍び寄り、そして我が剣技を用いて一撃で敵を葬っておりました」
「ん、変化はどうなのだ?使わないのか?」
「はあ、拙者の変化はどうも不審がられてしまうことが多く、敵の軍勢の中に入り込んでもすぐ看破されてしまうのです」
「うん?お前の変化の技能とはどういうものなのだ」
おかしいな?ユグドラシルでは見たものの姿に変化するのが基本のはずなんだが
「拙者の変化は人の姿に変わることでござる」
此処に攻めてくるプレイヤーは人間種、亜人種が主だから問題はないはずだが・・・
「よし、変化の技能を使ってみよ」
そして彼の変化した姿は人間の男で、普通だった。そう一般社会でごくありふれている恰幅のいいオッサンだった。
なるほど、攻めてくるプレイヤーの多くは美形キャラだった、ロールプレイで筋肉質なキャラや野蛮なキャラなプレイヤーもいたがオッサンはいない。
ソリャ違和感があるな。オッサンキャラのプレイヤーもいなくはないが、その人たちはたいてい商人か職人を生業にしてる、此処には攻めてこない・・・・・バレル2世さんはなんでこんな姿にしたんだろう?
「やはり、アインクラッドで身につけた技能だからでしょうか、不審がられるのです。」
いや、そうじゃなくて――――うん?
「・・・アインクラッドで?」
「はい、かの地では不審がられず行動していたのですが・・・ナザリックでは勝手が違うようでござる。」
イルファング・ザ・コボルドロード、たしかバレル2世さんが催した上映会で見た実話を基にした映画(全6部作の大作でマラソン上映会では脱落者が続出した)でも出てた、第一層のフロアボスで主人公たちを初めてのソードスキルで苦しめた、第一作目のラスボス!
そんな感じだったのだが・・・それとも描写はなかったんだが現実では違ったのか?
「アインクラッドでは門番以外ではどのように行動していたのだ?」
彼は少しためらった後語り始めた。
「けして御屋形様やバレル2世様のせいではないのですが、やはり一度死んでから復活した身、千年も前ということもありまして幾らか記憶の欠損がございます。上手く思い出せないのですが、自分は一度かの地で侵入者に敗れた後、新たなこの姿でアインクラッドの造物主にして主であられるヒースクリフ様に仕えていたようでございます」
「この姿の時は、名をダイゼンを名乗り、主の目的のため表立ってではなく裏方として力を発揮しておりました」
おい、バレル2世さん、あんた何やったんだ?
名前を聞いて思い出した、このオッサンを見たことがある!あのナーヴギアの使用者の顔データの人だ。
たしか映画によるとソードアートオンラインのプレイヤー達は現実と同じ姿をとるようラスボスであるゲームマスターに強制されていた。
ということは彼が持つ記憶というのはプレイヤーの記憶ということになるのか?プレイヤーとしてゲームマスターに協力していたとうことか?
いかん、落ち着いて思い出せ、10時間にわたるマラソン上映会を最後まで付き合ったはずだ。
「うむ、ヒースクリフ殿か」
「おお~かつての我が主をご存知でしたか!」
「お、おう、わが盟友バレル2世も彼を高く評価していた、偉大なる先達であると。かの人の業績なくば我らの発展は無かったであろう、と」
確かそんな感じで褒めてたはずだ。例のチューニな口調でマッドサイエンティストとしてドウたらとか言ってたから、聞き流していたが・・・
「ヒースクリフ様は自ら騎士団を率いてアインクラッドを攻略しておりました、自分はその騎士団を支える役目を承っていたように記憶しています」
そうだ、思い出した!最大ギルドの団長が実は裏切り者というかゲームマスターでラスボスだった、そんな話だったはずだ。
ということはあのナーヴギアの持ち主はそのギルドの団員だったのかな?たぶんそうだろう。
ふと見ると、彼は思い出すように考え込んでいた。
「御屋形様、なぜヒースクリフ様はあのような行動をなさっておられたのでしょう?そして、なぜあのような最期を迎えられたのでしょう?」
「え、お前はヒースクリフ殿の最期を知っているのか?」
「はい、バレル2世様と共に再現された記録映像を見ました」
映画のことか、確かに此処に映像コンテンツを持ち込むことはできるし、上映会の準備でもしてたのかな?バレル2世さんは一時期、彼を後ろに侍らせてた時期があったな。
「う、うむ。想像はつくが私の口からは少し言いにくい、自分で考えてみよ。かの御仁に仕えていたお前なら必ずわかるはずだ」
「は、分かりました」
よし、ごまかせたようだ。
「うむ、これからお前のことはダイゼンと呼ぼう、その姿でやってもらうことも増えるかもしれん」
「は、承知いたしました」
やはり日本人としてダイゼンのほうが呼びやすいし、その姿のほうが安心できるしな。
「よし、今後とも期待している、下がるがよい」
イルファング・ザ・コボルドロード改めダイゼンが退出してゆく
フ~~、現実はゲームより奇なりだよ、なんでナーヴギアの使用者の記憶がモンスターに入ってるんだ?
まあ、自分の今おかれている状況を考えたら不思議じゃないのかもしれないが、それにしたってオカシイだろ!
バレル2世さんもなんでナーヴギアの使用者データをイルファング・ザ・コボルドロードに組み込んだりしたんだろ?分からないことだらけだ。