狗頭王の憂鬱≪オーバーロード×ソードアートオンライン≫ 作:curse two hole
SIDEアルベド
準備を整え、転移しようとしたとき、背後より声がかかった。
「おまちくだされ、我らもお供いたしまする」
そこには犬顔の獣人がいた、イルファング・ザ・コボルドロード、至高の41人様直属の部隊スリーサーヴァントの一人。
セバスが命じられた後詰の者たちは奴の配下になる、それで来たのか?
でも早い、せっかくの二人っきりのチャンスなのに!
少し苛立ちを込めて言う
「なぜ、私ではモモンガ様を守れないなどと言うつもりかしら」
「さにあらず、我らはアルベド様のために参ったのでござる」
意味が分からない。まさかこの犬、私に気があるとか言うんじゃないでしょうね。
「私の?」
「さよう、アルベド様であれば確実にモモンガ様をお守りできましょう。しかしながら万が一敵が強大で退却する場合、モモンガ様と共にアルベド様にも逃げてもらわねばなりませぬ。
御屋形様は慈悲深きお方、アルベド様を見捨てられぬでしょう。お二方揃ってご無事に帰参していただくために我らは行くのです」
「二人そろって・・・」
光景が頭に浮かんだ、
「スマン、アルベド、私のために傷を負ってしまったな」
「いえ、モモンガ様のためならこの身がどうなろうとも」
「何を言う、お前が傷ついているなどあってはならない、ゆっくり癒してやろう」
そして、モモンガ様に横抱きのお姫様抱っこをしてもらいながらナザリックの廊下を進む、そしてその先にはモモンガ様の部屋が・・・
「さあ、議論している時間はございませぬぞ」
イルファングの声で我に返る、そうだ、急がないといけなかったんだわ。
SIDE モモンガ
遠見の鏡の練習をしている時に見つけた襲われてる村、一緒に見ていたセバスの後ろに”たっち・みー”さんの影を見て急いで助けにきたんだが・・・
試しに作ったデスナイトは主をおいて行っちゃうし、助けた少女たちには怖がられるし、予想どうりにいかないことが多いな。
少女たちの傷を治し、簡単なアイテムを与えて保護したところ名前を聞かれたのでアインズ・ウール・ゴウンを名乗ることにした。
この名が広がれば仲間たちに届くかもしれないという微かな願いを込めて。
この名を名乗ることについてアルベドとダイゼンに思うところ聞いてみたが異論はないようだった。
そう、転移ゲートから出てきたのはアルベドだけでなく、ダイゼンとその配下の忍者の姿をした蜘蛛”エイトエッジアサシン”達も一緒だった。
ダイゼンたちは後から来るように指示したつもりだったんだがセバスの連絡ミスか?一緒にいたらヤバくなった時の対処はどうすればいい?
そう考えていたらダイゼンから意見が出た
「我らは隠れてお二方を援護するという形でよろしいでしょうか?」
そうだな、そうしていれば問題はないか、いや
「うむ、エイトエッジアサシンたちは姿を消し、ダイゼン、お前はわが影に潜み援護するのだ」
うん、これで非常事態にもうまく対処できるはずだ。ダイゼンは自分とデスナイトのように思念でエイトエッジアサシンに指示が出せるはずだ。
ダイゼン経由になるが彼らにも念話で指示が出せるほうがいいだろう。
「そんな!御屋形様の影に潜むなどという無礼な真似はできませぬ」
イヤ、ここで変な遠慮してもらっても困るし・・・
「ダイゼン、まだこの世界には分からぬことのほうが多い。一瞬の遅れが何を引き起こすか分からん、そのための備えだ」
「ハ、御屋形様の深謀、感服いたしました。この身に変えましても」
よし、ダイゼンは自分から提案してきた、これを続けるように仕向けねば。
「うむ、影からなら進言もしやすかろう、期待している」
ダイゼンはうなずくと影に同化して姿を消した。
今度は顔などを隠して恐れられないようにしてから村を救いに行く。よし、うまくいった。
何とか助けた恩と営業マンで鍛えた交渉術で話を誘導する。
目的の情報収集の場を作れたときは心の中でガッツポーズをとった。
そして聞き取った情報、金銭や地理などユグドラシルとの差なども興味深かったが、それ以上に今すぐに問題なるものが一つ浮かび上がった。
さっきの騎士たち、生き残りを4人ほどをアインズ・ウール・ゴウンの名を広めるため警告を与え、解放したんだが・・・・
いがみあってる国同士の国境近くで、わざわざ紋章をつけて身分をさらして不法活動をする?おかしくないか、それがこの世界の常識なのか?
偽装か別の目的があるんじゃないのか?今更、騎士には聞けないし
「・・・・失態だ」思わず口に出た
(御屋形様、先ほどの者たち始末しますか?念のために尾行させておりますので、今なら間に合うかと?)
影の中から意見がきた!
おお~ダイゼン、ナイスだ。やっぱり潜ませておいて良かった。
でも殺したら目的や正体が分からなくなるな―――念話で返す。
(お、おう、できるか!できたら生け捕りにし情報を引き出せ)
(では、行ってまいります)
返事が聞こえるや影の中から気配が消えた。
え、行っちゃった、エイトエッジアサシンに思念で命令すればいいだけじゃないのか?
そうしたら思念のやり取りですぐ分かるだろ、何で自分で行くんだよ!
いや、俺の命令の仕方が悪いのか?しょうがないよな、平の営業マンで部下に命令なんてしたことなかったんだから・・・・ハァ。
ダイゼンが行った後も村長から話を聞いたが情報の確度があいまいだった。仕方がない彼はこの小さな村の村長にすぎないのだ。
やはり、村長から聞いた近くの大都市である城塞都市エ・ランテルで情報集した方が良いというのが結論だった。
その後、襲撃で死んだ村の者たちの葬儀を眺めながら考えをまとめていると、セバスに与えた後詰の命令によってエイトエッジアサシンたちが村への襲撃準備を整えて到着した。
何でそうなる?指揮を執ってるアウラとマーレ、最低限の人数を残して撤収させる。やっぱ俺は命令を出さない方がいいのか?そういうわけにもいかないしな、前途多難だな。
SIDE マーレ
モモンガ様たちに連絡を取りに行ったエイトエッジアサシンが返ってきた。
どうも村に襲撃をかけるのではないらしい。お姉ちゃんはそれを聞いてつまらなそうにしている。
とりあえず、僕らはエイトエッジアサシンと一緒で待機らしい。
村のほうを見ていたら変化があった。20人ほどの騎馬の集団が村のほうに向かって行く。
「どうしよ、お姉ちゃん。モモンガ様に知らせた方がいいのかな?」
「あのくらいの連中、モモンガ様どころかアルベドだけでも十分じゃないの?」
「いや、戦わないのかもしれないし」
「う~ん・・・」
「では、拙者が様子を見て参りましょう」
近くの影から犬顔の剣士イルファング・ザ・コボルドロードが現れた。
「あれ、アンタ、モモンガ様のそばにいたんじゃないの?」
「いえ、命を受け席を外していたのですが、どうも村のほうで変化があったようですな」
「ふ~ん、まあ、アンタなら隠れて行けるんだし、そうして」
「ハイ」彼はそう答えると体を変化させた。初めて見る、人間の姿だ。
「へ~、アンタそんなこともできたの、でもなんで人間の姿になるの?」
「どうも、この世界の人間は酷く我らモンスターを恐れるようで話もできんのです」
そう言って彼は部下から受け取った忍び装束で顔を隠した。
「話?する必要あるの?」
「情報収集の一環でござる」
今度は僕が聞いてみた。
「お話するのに顔を隠すんですか?」
「これも策でござるよ。そうそう、この姿の時は拙者のことはダイゼンと呼んでくだされ」
彼はそう言うと影の中に消えていった。