狗頭王の憂鬱≪オーバーロード×ソードアートオンライン≫ 作:curse two hole
SIDE ダイゼン
騎士たちの処理を済ませて村のほうに戻る途中に村の外に配下の者たちがいる気配を感じた。
うん?セバス殿が指示した後詰が到着したのか。
御屋形様の元に戻る前にそちらに向かうと案の定、配下の者とそれを指揮するアウラ、マーレの御姉弟がおられた。
どうやら、待機を命じられてふてくされてるようだ。不遜な物言いになるかもしれぬが外見と合わさって微笑ましく感じてしまった。
さて、ひと声かけてから行くべきか考えていると村に変化があった。先ほどの連中とは違った格好の騎馬の集団が村のほうに向かって行く。
ちょうどよいので御二人が話し合われてるところに影身を解いて声をかけた。
「では、拙者が様子を見て参りましょう」
そう提案しつつ、変化の術を使う。御屋形様の行動を気を付けて見ていれば分かったはずだ。仮面をかぶり正体を隠しておられた。
この短い間の行動で話を聞くにはそうせねばならんと気づかれておられたのだ。
この世界の人間は我ら異形種を酷く恐れる、アインクラッドやユグドラシルでは恐れず切りかかってきたのだが此処の人間はそうではないようだ。
我らは人間ではない故、よく分からない行動だが、御屋形様は何故すぐにお分かりになられたのだろう?
さて、変化の術を使ったの理由を話しつつ部下から受け取った覆面で顔を隠す、
「お話するのに顔を隠すんですか?」
マーレ殿か、自分の顔だと怪しまれる可能性があるからとも言えんし
「これも策でござるよ」
そう言ってごまかし、ダイゼンの名を告げ、御屋形様のところに向かった。
村の広場で御屋形様と先ほどの騎馬の集団が話をしていた、騎士たちと違い敵対してはおらぬ様だ。
見つからぬよう家屋の影に潜みつつ御屋形様とアルベド様の元に向かう。
途中、村の周りに配置している配下の者から思念による報告が入る。
(村を包囲するように接近する者たちがいます、装備からするとマジックキャスターと思われ、数は77です)
騎馬の集団が来たら包囲を始めたということは、こ奴らが理由か。
クックック、御屋形様に失敗の報告はしなくて済みそうだな。
(ただいま戻りました、遅くなり申し訳ございませぬ。先ほど騎士ですが、理由が先に来てしまったようです)
(うん?)
(この村を包囲するマジックキャスターらしき一団が接近中です)
(なるほど、襲撃はエサで、目的は目の前の男か)
(は、そのようかと)
報告と共に再び御屋形様の影に潜ませていただく。
御屋形様は再び騎馬集団のリーダーらしき男と話を再開された。話の内容を頭に入れつつ配下の者に指示を出す。
(包囲する者たちの詳しい様子と周囲に他の集団が潜んでいないかを探れ、くれぐれも覚られぬようにな)
さて、御屋形様はどのようになさるのか・・・
SIDE アインズ
村の葬儀が終って帰ろうと思ったら、また面倒ごとが来た。
戦士風の騎馬集団がこちらに向かって来ていると村長が言ってきた。仕方がない、最後まで面倒を見よう。
ふう、面倒ごとが起きるのは仕方がないとして何故部下からの報告ではなく村長からなのだ。村の周囲にはアウラとマーレ、エイトエッジアサシン達がいるはずなんだがな・・・
やっぱ指示を出すときは目的を言っとかないとダメということか、ダイゼンもまだ帰ってきてないし、デスナイトがいるとはいえ護衛のアルベドを遠くにやるわけにはいかないしな。
騎馬の集団はこの村を含むリ・エスティーゼ王国の戦士団で、率いているのは王国戦士長という有名人らしい。
態度から偽りではないと判断し騎士を始末したことを説明していると
(ただいま戻りました)
ダイゼンの念話が届いた。
(遅くなり申し訳ございませぬ。先ほど騎士ですが、理由が先に来てしまったようです)
彼の報告によると村を包囲する集団があり先ほどの騎士たちは王国戦士長をおびき出すためということだ。
うむ、ダイゼンは言われたとうり情報を聞き出してきた、それは良いことなんだが、報告が後手に回るとはな・・・
まあ、先に報告をもらったとしてもこの村を見捨てなかったと思うが―――やはり、勿体ない!
せっかく情報を手に入れられたのに後から情報を聞かされるのでは、その価値が半減してしまう。
部下がキチンと勤めを果たせるのに、上司がそれをうまく使いこなしてないていうのはダメだろう。情報収集の命令の仕方を真剣に考えた方が良さそうだな。
まあ、気分を切り替えて、王国戦士長殿との交渉をしよう。
SIDEダイゼン
御屋形様と王国戦士長とやらの話し合いはすぐ終わった。
王国戦士長の方でも村を包囲する集団に気づいたようだ、まあ隠れて接近しているわけではないので当たり前だが。
彼は村を巻き込まぬように打って出ると言い、その心意気にほだされたのか御屋形様は御名前を出されてまで村を守ることを約束された。
そして念話による指示がきた
(ダイゼン、包囲してきている連中の様子はどうだ?伏兵などはいるのか?)
(感知できる範囲内に伏兵の存在はありませぬし、緩やかな包囲の陣形も変わっておりませぬ。人数は77、召喚された天使の数は24、天使の数はまだ増えそうです)
(そうか、変化があれば知らせろ)
(ハ、承知しました)
うむ、御屋形様は新たに現れたマジックキャスター達に高い関心を持っておられるようだ、先ほどご自分の目で確認された天使を興味深く見ておられた。
自分にはただの下級の天使にしか見えなかったのだが魔術師でもある御屋形様には違うようだ。
その後、御屋形様は納屋に結界を張り中に村人を集め、守る準備をされた、そのうえで王国戦士長とマジックキャスターの戦いを観戦されるようだ。
最後に戦士長に渡されたマジックアイテムによるものなのか魔道の知識が不足している某には分からぬが、かの者たちの戦いを魔法を使って見ておられる。
自分にはそのような技能はないので、配下の者よりの報告を聞くのみだ。
その報告が入る。
(戦士側の敗北で決着がつく模様です)
そして御屋形様よりの念話も入った。
(よし、頃合いか、向こうに転移する)
転移先ではマジックキャスター達と下級天使たちが待ち構えていた。
(よし、ダイゼン、私の影から出てアルベドと共に少し後ろに下がっていろ、姿は隠さなくてもよい)
ここに至って御屋形様の目的の察しがついた。
拙者が先刻、騎士もどき達で行ったことと同じだ。御屋形様はこの世界での魔法の強さや能力の程度を自らお調べなりたいのだろう。
結果は御屋形様の目論見どうり、相手の戦力と能力の低さが分かった。まあ、御屋形様を傷つけられてアルベド様が暴走するという予想外のこともあったが、おおむね予定どうりであろう。
誤算と言えば、このマジックキャスターの集団は上層部に信用されておらず、監視の魔法がつけられてたことだ。騎士もどきどもは始末したのに結局我らのことは向こうに知られてしまった。
さすがに魔法によるものを完全に遮断することはできぬからな・・・
目の前でマジックキャスターの集団の頭が仲間を差し出して無様に命乞いをしている、この手の輩は良く知ってるので使い道を思いつく。
後で御屋形様に申し出てみよう。