狗頭王の憂鬱≪オーバーロード×ソードアートオンライン≫     作:curse two hole

9 / 9
第8章~情報Ⅳ~

 

SIDE ニグン

 

どういうことだ?俺は殺されるのではなかったのか?

 

 

部下たちの怖気を誘う悲鳴を半日以上聞かされ続けた後、とうとう俺も閉じ込められていた部屋から引っ張り出された。目隠しをされたうえで歩かされる。

ただ殺されるだけではないようだ、殺されるだけなら部下たちはあんな叫び声や悲鳴をあげまい、嫌な想像だけが浮かんでいく。

30分近く歩かされたあと場所が変わったことが感じられた、土の感触――外に出たのか?

 

 

目隠しを外されると森の中で目の前に覆面をした男が立っていた。見覚えがある、あの化物の後ろで控えてたやつだ。

 

「ようこそ客人、今のところは歓迎しよう」

 

客人?殺されるのではないのか?

 

「もっとも、我らに協力できるならばだがな」

 

条件付きで生かしてもらえるということか――助かるのか!

 

「さて、其処元の意思を示されよ」

 

俺はつばを飲み込みつつ、ゆっくりと首を縦にふった。

 

 

 

その後で連れてこられた場所は 森の中にある見上げているだけで首が痛くなりそうな異様な巨木の前だった。

男がマジックワードを唱えると木の幹に入口が形成され、中に続く階段が見えた。

 

「進め」

 

男に促されるまま進んでゆく、中はかなりの広さのようだった。いくつかの階段と通路を抜けた後、部屋の前にたどり着いた。

 

「これから、ある御方に会ってもらう。無礼は許さんぞ」

 

部屋の中には一人の可愛らしい少女がいた。しかも只の少女ではない、黒い肌、長い耳、ダークエルフだ。服装からして高貴な生まれなのかもしない。

 

「ダイゼン・・・」

 

少女がおどおどした感じで男に呼びかけた。

 

「ハ、さて客人、これから外の世界について基本的なことからこちらの御方に話して聞かせるのだ」

 

話?ナンだそれは?男の方に顔を向けると、男は覆面をとって語り始めた。

 

「こちらの御方は外の様子をあまり知らぬのだ、それ故とらえた者どもの中で一番知識が多そうなそちを選んだ」

 

こいつ人間だったのか!髪の色や顔つきからして東方の出だと思うが、人間だ。

 

「いいか、我はかのマジックキャスターの指示に従ってるが我が主人はこの御方であり、この場を設けているのはかの御仁には秘密にしている」

 

秘密?こいつはあの化物の仲間じゃなかったのか。

 

「つまり、それなりの危険を払っている、我は影働きの者だが誠意の証として顔も見せた」

 

なるほど、隷属しているがあの化物に忠誠を誓ってるわけではないということか。

状況から察するに隷属の理由は目の前の少女、、亜人に仕えるなど思うところがないではなかったが化物に仕えるよりは理解できる。

 

化物に協力するわけではないと分り、気が楽になった。顔を見せるのが誠意だというのはよく分らんが、そういう文化なのだろう。

 

「なるべくいろんな話を聞かせて差し上げるのだ、ただし嘘、偽りは許さんぞ」

 

つまり、この少女に対する吟遊詩人みたいなものか

 

「そうだな、まず主がどのような国から来たかということぐらいから始めよ」

 

そして俺はとりあえず法国のありきたりなことから語り始めた。

 

 

 

少女はほとんどしゃべらなかったが、興味深そうに俺の話を聞いていた。本当に何も知らないようだ―――軟禁でもされているのか?

男が合間に相槌や話題をふってくるので話がはずんでいった。途中に茶まで出てくるサービスの良さだ。

 

 

 

気分が良くなり、いろんなことを話し続けた。何か職務のことや法国の機密に関することまで話し続けた気がするが―――別にいいだろう。

化物に協力するわけじゃないのだ。世間知らずな少女に話してるだけなんだ・・・

 

 

 

 

 

 

SIDE マーレ

 

イルファング・ザ・コボルドロード改めダイゼンさんから協力して欲しいと頼まれ、捕まえた人間から情報を聞き出すお手伝いをすることになった。

なんでお姉ちゃんじゃなくてボクなのかな?と聞くと芝居を打つので役柄としてボクの方が適してるという話だった。

 

 

 

芝居という話だったがボクはただ座って話を聞くだけだった。この転移先にあるという国の話はそれなりに面白かったのでフンフンとうなずいていた。

途中、人間がお茶を飲んだあたりから段々口調がオーバーになって聞いてもいないことをドンドンしゃべりだすようになった。

たぶんお茶に何か薬が入っていたんだと思う。良く尽きないものだと思いつつ聞き続けた、ダイゼンさんが満足そうにうなずいていたから上手くいったのだと思う。

 

 

 

芝居が終わってからダイゼンさんに何でこんなめんどくさい方法をとったのか聞いてみた、すると

 

「今回はこの世界について我らが何も知らぬのが原因ですな、だから嘘をつかれても分からない。こちらが何も知らぬことを知られると我らを騙そうと考えるかもしれませぬ、だから嘘をつかぬよう隠し事をしなくてもよいと思うように誘導したのです」

 

「まあ、拷問してもよいのですがこちらの人間はひどく脆そうなので情報を聞き出すまでに壊れられても困りますからな」

 

じゃあ、あの人間はしばらく生かしておくの?

 

「いいえ、殺しまする。御屋形様はあの男に死を宣告しましたゆえ生かすなどありえませぬ、それに実験のため、わざとお受けなさったとはいえ御屋形様に痛みを与えたのです。それなりの報いを受けてもらわねば」

 

報い?

 

「ええ、奴は今回の芝居で自分は助かると思い希望をもっています。希望が大きいほど折られた時の絶望も大きくなりまする」

 

じゃあ、今から殺しに行くんだ

 

「いえ、アルベド様に始末して頂こうかと。アルベド様もその場におられて、あの下郎にだいぶご立腹でしたから」

 

そんなことまで気にしなくても良いと思うけど

 

「いえ、御屋形様と二人きりになれるところを邪魔しました故、そのお詫びも兼ねまして」

 

こまかいんですね(笑)

 

「いいえ、マーレ殿。貴方も男ですから覚えておいた方が良いでしょう、女性に対しては小さなことでも不満は解消してもらうよう心掛けるべきなのですぞ。女性というものは小さな不満でも忘れず溜め続け一気に爆発させまする。

 

故に早め対処が大事なのです。そう、そうしておれば拙者もバツ2などにならなかった・・・」

 

バツ2?

 

「いえ、気になさらんでくだされ」

 

ふーん、今日のことはいろんなことを知ることができた。ダイゼンさんとはあまり話したことはなかったけど長生きしてるだけあってやっぱり物知りなんだな。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。