クラフィ/Aliceの夢の物語り 作:クラフィ好きのサイヤ人
──…………ルト………──
…だれかが俺の名を呼んでいる………
──…ハルト……──
…とても懐かしいようでまだ知らない声……
……優しくて落ち着くような声だ……
「は…! 夢か……」
机の上には高2の数学の教科書が置いてある。なんとなく見てはみたものの頭に入らなかったのでそのまま寝入ったようだ。
「明日はテストか……どうせいい点数とれねぇよな」
授業中ほとんど寝たりボーっとしていたりしていたのだ。全く内容がわからないのも、テストで良い点数が取れないのも当たり前。
しかし、そんな俺にも得意なことはある。それは歴史と神話だ。歴史のテストの点数は全部90点超。
神話は中2ぐらいの時に興味を持ち、神様のことなどを洗いざらい調べていた。
(たまに厨二発言をしていた黒歴史はまた別の話だ)
「はぁ……しゃあねぇ、さっき寝たけどもう1回寝るか」
すぐ現実逃避するのも俺の悪い癖。
素早く教科書を閉じ、黒のTシャツにジーパンという、いかにも私服。という格好のままベッドに寝転んですぐに寝静まった。
窓を開けて寝てしまったが、そよ風が優しく吹き、心地よく寝れた。
「な、なんだ……? ここはどこだ?」
目を覚ました俺の目の前には自分の部屋ではなく、路地裏らしき場所だった。
「なッ!?」
ふと、そばの磨きがかかったガラス窓に写った自分の姿を見て、思わず声をあげた。
なんとそこに写っていたのは、緑のパーカーを着ていて、左目だけ深緑色に染まった自分だったのだ。
「こ、これっておれなのか? ……すげぇかっこよくなってんじゃん!」
俺は大きく変化した自分に、思わず惚れ惚れする。
数分ほど自分にみとれた後、路地裏から出て大通りに出る。
「さて、まずはここがどこか聞いてみるか」
そこには、空は真っ白で、幻想的な世界が広がっていた。
街を行き交う人々は普通の人間やモンスターのような者、角が生えている人などもおり、建物は近未来的で、まるでゲームの世界のようだ。
その通行人に場所を聞こうとした俺の目線の先に、水色のドレスに身を包んで、17歳ぐらいの金髪の美少女が立っていた。
顔ははっきりと見えなかったが、澄んだ瞳をしていたことが分かった。
俺はその娘に声をかけようとしたが、彼女は人混みのなかに消え去っていってしまった。
「あの娘……誰だろう……」
俺は今まで感じたことがない心情になっていた。
もしかすると、それは恋かもしれない。
「……は!そうだ、場所を聞くんだった!」
ボーっとしていた俺は、気を取り直して通行人に場所を聞く。
「あ、あの、ここはどこですか?」
俺は通行人のカップルらしき男女2人に声をかけた。
「えっと……どこだったっけ?」
「ユメア町5番通りよ。しっかりしてよ、プロメテウス!」
「はは、すまんオセ」
(ユメア町?聞いたことがない地名だ。
だが、プロメテウスにオセ……この名前はどこかで聞いたことがあるような……)
「で…?あなたはどこから来たのかしら? ここら辺ではあまり見ないけど」
「おれ? おれは東京の渋谷から来た。なんか朝起きたら自分の部屋にいたはずなのにあそこの路地裏に…」
「トーキョー?シブヤ?聞いたことない地名だわ……」
「それに朝起きたらあそこにいたって、なにを言ってるんだ?」
「もうほっといて行きましょ!」
「あ、ああ」
うんざりした様子の2人は手を繋ぎ、その場から去っていった。
「いったいどうなってんだ? ここは一体どこなんだ?」
「ねぇ、そこの君! さっきの話、詳しく聞かせてくれないかしら」
疑問だらけの俺に声をかけたのは、オタクっぽい雰囲気のピンクの髪の女性だ。
「誰だ、あんた……?」
「私は紫式部! 恋が大好きな小説家よ」
「む、紫式部!? まさかぁ〜」
俺はもちろん彼女のことを信じない。
「ほんとよ!じゃあ……これを見なさい!」
彼女はバッグから『源氏物語』という本を取り出し、本のカバーの見返しの部分に載ってある写真をハルトに見せつけた
「これは………紫式部!?」
「ほら、言ったでしょ?」
「う、うーん……」
俺は証拠を見せつけられたが、まだ半信半疑だった。
「で、あなたの名前まだ聞いてないわね」
「俺か?俺の名前は風間 遥人だ。」
「目とか髪の色からすると……あなたは緑属性かな?」
「え……? 緑属性?」
「も、もしかしてそんなことも知らないの!? 常識中の常識よ!?」
「よ、よく非常識って言われるよ……はは」
俺は苦笑いしながら返答する。
「いい?属性っていうのは誰にでもあるの。属性は全部で赤、緑、青、黄の4種類。
赤は火や爆発、緑は木や風、青は水や氷、黄は電気や雷を操れるの。ちなみに私は青属性よ」
「へー……つまり俺は木とか風を操れるのか! どうやってするんだ?」
俺は目を輝かせながら式部に質問する。
「どうやってって聞かれてもねぇ……なんとなくすればいけるわ。ほら」
手のひらの上に小さな氷塊をつくる式部。
「なんとなく、か………はぁっ!!」
俺は気合いの入った声を出し、両手を大きく広げてみる。
するとその途端、周りに爆風が巻き起こり、木の葉が散り散りと舞い上がる。
その風に、式部は大きく怯む。
「ちょっとぉ! 加減してやりなさいよぉッ!」
「す、すげぇ! 今の俺がやったのか!?」
式部の警告を耳にも入れず、自身の力であの爆風を起こしたのに、俺はとても驚いていた。
「ええそうよ。初めてにしては凄いじゃない」
「やっぱ俺そういう才能あるのかな……」
心嬉しく、俺は自画自賛する。
その後、2人は公園のような所でベンチに腰をかけていた。
「話を戻すけど、なんでそんな大物が俺んとこに来たんだよ」
「ネタ集めよ、ネタ集め!あなたのさっきの話を詳しく聞きたいから話かけたの!」
「詳しくって言ったってさぁ……おれもこの状況を掴めてないんだよな……昨日ベッドで寝て朝起きたら自分の部屋にいたはずなのにあそこの路地裏にいて…」
「ほうほう…別世界から呼び出されたって感じかな? ……そうだ! イケメンの男の人が朝起きたら綺麗な女の人の家にいてその男の人はその家の女の人と恋に落ちて…」
「あ…あのー……」
1人で早口でブツブツ言っている式部に戸惑うハルト。
「は!ゴメンゴメン、妄想してた」
「妄想って……そんなことより、この世界はいったい何なんだ? 魔法みたいなのが使えたりさ」
「何なんだって言われても……ただ、この世界はAliceっていう名前で呼ばれているわ」
「アリス…?」
「ええ、なぜAliceなのかは知らないけど」
(アリス……そういえばさっきの女の子、アリスみたいな格好だったな)
「なぁ、ここらへんに金髪で、水色のドレスを着た美少女って知らないか?」
「金髪でドレスの美少女? うーん……知らないわね」
「そうか……」
「もしかして、初恋の相手?」
「そ、そんなんじゃっ……!」
顔を赤くしながら、ハルトは素早く否定する。
「図星みたいね♪」
「ま、まだ話したこともないんだけど……」
「初恋の相手を探しながら旅をする男の子。ふむふむ……とてもいいシュチュエーションじゃない!」
「また1人でブツブツ言ってる……」
「そうだ、あなた私の助手になってみない?」
「へ?……助手!?」
「ええ、最近結構大変なのよね……」
突然の申し出に同様するハルト。
「で?どうするの?助手する?しない?」
「……遠慮しておきm」
「やる!? やったぁーっ!!」
両手をあげ、大喜びする式部。
「ちょっ!?」
「明日カーマさんのところに行くから同行よろしくね! 助手クン♪」
「助手クンって………はいはいわかりましたよせんせー」
「先生って響き、いいわねっ!」
助手をもった喜びをしみじみ感じる式部。
「あ、そういえば俺家がないんだった……」
「うーん…仕方ないなぁ。私の近所のアパートの部屋を貸してあげるわ」
「いいのか? なんかすまんな」
「いいのいいの! あなたには助手になってもらったっていうかりがあるから!」
「それは先生が強制的n…」
「え? なんか言ったかな助手クーン?」
「はぁ…」
俺は相変わらずめんどくさい式部にうんざりだった。
2人は、俺が借りた部屋の前まで帰ってきた
「じゃあ、明日迎えに来るからねー」
「ういー。わかりました」
そのあと式部は自分の家に帰り、俺はいろんなことがありすぎて、疲れきっていたのですぐに寝てしまった。