クラフィ/Aliceの夢の物語り 作:クラフィ好きのサイヤ人
「あなた達、オズの仲間なのかしら?」
立ち込めていた霧が晴れると、そこには銃を構えた女性が立っていた。
「い、いえ、実は私達、オズと戦おうとしたんだけど……」
「戦う前にオズのせいで城からこの場所に飛ばされたっていうわけだ」
「少し信じ難いけど……まぁいいわ。
私の名前はドロシー。で、こっちは相棒のトトよ」
ドロシーという名前の彼女は、長い金髪を覆い隠すように帽子をかぶっていて、その帽子のつばの下に赤い瞳をもっていた。
「私は紫式部。そして助手の……」
「風間ハルトです」
「にしてもあなた達、よく2人でオズ達と戦おうと思ったわね」
「オズ達……?」
「あら、知らないの? カカシっていう私の仲間が調べてきて知ったんだけど、どうやらオズはある人と手を組んでるらしいのよ」
「ある人?」
「ええ、彼の名はグリム。Aliceの絵本の管理権限を持つ者よ」
「グリムさんが!?」
「そのグリムってやつとオズは、いったい何をしようとしてるんだ?」
「それはまだ分からないわ。だけどいい事では無さそうね……」
「ね、ドロシーさん。あなたもオズ達と戦うんでしょ?」
「……まぁね」
「だったら私達と一緒にならない?」
「確かに、数が多ければ多いほど私達のほうが有利になるわ。だけどあなた達を根っから信用するのは無理ね」
「じゃあどうしたら……」
俺は、まだ疑っているドロシーに困り果て、眉を寄せる
「そうね……ピーターパン達を説得できたなら一緒になってもいいわよ」
「ピーターパン?」
「ええ、彼達は悪逆非道で他人の影を取り込んだりイタズラしたりやりたい放題……」
「他人の影を取り込むとどうなるんだ?」
「実体を保てなって、いずれは消えるのよ」
「それはやべぇな……」
俺が元いた世界の絵本のピーターパンと、この世界のピーターパンのギャップの違いに思わず顔が険しくなる。
「ピーターパンの仲間は全員で10人くらいで、確かピノキオも仲間だったはず。
そいつらはこの先の川付近で悪事を働いているわ」
と言って、東南に生えている木々の間を指差す。
森はいつも通り不気味で、薄暗い。
「川付近ね。分かったわ」
「また歩くのか……」
「気をつけて行くのよ」
俺と式部は、ドロシーに見送られた後森の中を真っ直ぐ進んで数分後、川に着いた。
川は底が見えるほど綺麗で、魚が結構泳いでいた。
「この近くにピーターパン達がいるのね」
「た、助けてくれーっ!!」
ぼーっと泳ぐ魚を川辺から見る俺達の右から、2人の幼い男の叫び声が聞こえる。
その声に驚き、俺達はパッと右を見ると、5つの円盤から、空を飛びながら逃げるオレンジ色の髪のオカッパ頭の青年と、少年がいた。
「はっ!」
式部は大きな氷塊を一瞬で5個つくり、円盤に向けて放つ。
するとひとつ残らず円盤に突撃して、円盤はバラバラに砕け散った。
「ふぅ……助かった」
2人の男の子はゆっくりと地面に降りて軽く頭を下げ、森の方へと駆け出そうとする2人を、式部が引き止める。
「あなた達、ピーターパンとピノキオよね?」
「う……」
多分、オカッパの方がピーターパンで、片方はピノキオだろう。
ピーターパンは図星と丸わかりの表情になり、ピノキオは俺達から目をそらす。
「あのUFOみたいなのは何なの?」
「知りません……」
「あの円盤、俺の仲間達をさらっていったんだ。俺とピノキオはなんとか逃げきれたけど……。お前ら大人が仕掛けた罠なんじゃねぇのか?」
「いいえ、違うわ。それを証拠にあなた達を助けたじゃない」
「ふん……大人は簡単に信じれねぇな」
「なんでこの世界の人はみんな疑心暗鬼なんだ……」
と、面倒くさい事が大嫌いな俺はつい、ボソッと愚痴ってしまった。
「もう用は無いのか? 無いなら帰るぞ」
「いいえ、帰らせないわ。あなた達が今までしてきた悪逆非道な事を全て反省するまでね」
「ちっ、だから大人は嫌いなんだよっ!」
珍しく大人らしい式部の言葉に対して、ピーターパンは悪口を吐く。
そしてポケットに手を突っ込んだかと思ったら、小さな玉を取り出し地面に叩きつけた。
「な、なに!? ゴホゴホッ」
「煙か……ッ ゴホ」
その玉は強力な煙玉だったのだ。
辺りには真っ白な煙が充満し、全く何も見えなくなってしまった。
やがて、煙は消えて周りが見えるようになった。が、そこにはもう2人の少年の姿は無かった。
「くッ、逃げられたか……」
「そう遠くまでは行ってはいないはずだけど……あの子達空飛べるからね。とりあえずドロシーさんのところまで戻りましょ」
「また歩くのか……あいつらみたいに空飛びてぇな……」
と、少し子供っぽい願いを小さく呟く。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
俺達はさっき来た道を引き返し、ドロシーがいた池に戻る。が、同じ道を引き返しているはずなのに、見たことない景色ばかり続いていた。
「先生、この道で本当にあってるのか?」
「あってる。はず……」
「はずって……真っ直ぐ来たから、真っ直ぐ戻れば良いって先生言ってただろ」
「あははは……あ、あそこに家があるわ! そこで道を教えてもらいましょ!」
苦笑いしな式部は誤魔化すかのように、少し先に見える家へと駆け出す。
「待ってくれよ先生……って、これってお菓子の家!?」
「そうみたいね……」
「誰? あなた達……」
お菓子の家を眺める俺達に話しかけた少女は、紺色の服を着ていて帽子を深々と被っており、身長は俺の腰あたりほどだった。
「えっと、ちょっと迷ってしまって……」
「この近くにある大きな池って知らないか?」
「……知ってるわ」
「ホント!? 案内して……」
「シュガフルー! 私のお兄ちゃんを返しなさい!」
式部が案内を頼もうとした時、栗色のツインテールで、シュガフルと呼ばれた少女と同じくらいの身長の少女が割り込む。
「グレーテル……やっと手に入れた、私だけのお兄ちゃんなんだから……あなたなんかには渡さない!」
グレーテルの隣には、クリーム色のロボットが宙に飛んでいた。
「だったら無理矢理……って、UFO!?」
唖然としたグレーテルが見つめるその先には、先程ピーターパン達を襲おうとしていた円盤が3つ、こちらを狙うように飛んでいた。
「さ、さっきの円盤……」
「またぶっ壊すだけよ!」
慣れた手つきで氷塊をつくり、その円盤にぶつける。
だが円盤の周りには覆うように半透明の丸いバリアをはっており 、氷塊が直撃したはずの円盤は無傷で宙を飛んでいた。
「ば、バリアをはってる!?」
「とりあえず逃げるぞ!」
動揺する式部に声をかけて俺はシュガフルの手を取り、森の中へ無意識に駆け出す。
ヘンゼルと式部も、俺達の後を追いかけて走り出した。