クラフィ/Aliceの夢の物語り   作:クラフィ好きのサイヤ人

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第4話 試練

 しばらくして、街を襲った砂嵐がおさまると時間はもとの時間に戻った。

 

「なんだ、今の……」

 

 傷を負った俺は地面から立ち上がる。

 そこに10数人の騎士らしき人々が駆けて来る。

 

「く、遅かったか……」

 

 その騎士達の長のような人物が険しい顔になる。

 

「は! ビシッときまった服装! 炎のように赤い髪! 正義に燃える紅の目! あなたはまさか、アーサー様ですかっ!?」

 

「……そうだが……」

 

 アーサーを見た途端に式部は目を輝かせながら大興奮して話しかける。

 アーサーは身長が高めで、式部が言うように赤い髪と目をしている常に無表情の人物だ。

 

「お初にお目にかかります!! 私は小説家をしております紫式部という者です!」

 

 

「先生、その人は……?」

 

 俺は式部にこっそりと話しかける。

 

「アーサーさんよ! 円卓の騎士・機関長の! 私、あの人のファンなの!」

 

「円卓の騎士?」

 

「ざっくり言えば世界の平和を守る警察みたいな人よ。円卓の騎士は全員で7人いるんだけど今は散り散りになっているのよ」

 

「へー……」

 

 

「彼は……?」

 

 アーサーが式部に聞く。

 

「あ、この人は私の助手の……」

 

「風間 遥人といいます」

 

「そうか……ところで、ここら辺で緑の目をして、紫色のドレスを着た女を見かけなかったか?」

 

「うーん……知らないですねぇ。助手クンは?」

 

「同じく、知らないです」

 

「そうか……」

 

「人探しですか?良かったら手伝いますよ!」

 

 そう言って手伝おうとする式部の裏に、好きな人と一緒にいたいという考えがあることがハッキリと分かった。

 

「先生……」

 

 相変わらず自分勝手な式部にあきれる俺。

 

「いや、大丈夫だ。これは俺達の任務なんだ。一般人を巻き込むことはできない。それに、この街の事件の解決を優先する」

 

「小説の参考のためにってことで同行するっていうのは駄目ですか?」

 

 1度断られてもまだしつこくせがむ式部。

 

「……仕方ない。だが、何者かが攻撃を仕掛けてきた時はすぐに俺達の後ろに隠れるんだぞ……」

 

「はい! 分かりました!!」

 

「ええ……」

 

 俺は思わず苦い顔をする。一方、式部はとても嬉しそうだ。

 

「では、『ボナンザ』の事は後回しにして、この街の事件を先に解決するぞ」

 

「「「はっ!」」」

 

 アーサーの司令に応答する兵士達。

 

 

「とりあえず当時の状況を聞かせてくれ」

 

 とアーサーが式部へ聞く。

 

「えっと………」

 

 

「……という事なのよ」

 一通り、式部がアーサーに状況説明する。

 

「砂嵐と時間を操る……リリアンブルー、何者か分かるか?」

 アーサーが、兵士の1人の青と白の毛をした女獣剣士に尋ねる。

 

「ええ、これほどの威力の砂嵐を起こせるのはセトしかいません。時間を操れるのはオシリスだと」

 

「セトさんとオシリスさんの2人は兄弟なので共犯ってことは充分ありえますね……!」

 

 いまだに興奮している式部は顎に手をあて、探偵気分になる。

 

「先生、その人は……?」

 

「彼女はリリアンブルーさんよ」

 

「あ、さっき言ってたあの……」

 

 

「よし、まずはヘリオポリスへ行くぞ」

 

「「「はっ!!」」」

 

 さっきと同じように、アーサーの司令にハキハキと応答する兵士達。

 

 そして俺達は馬車に乗り、ヘリオポリスまで向かっていった。

 

 

「なぁ、アーサー」

 

「……なんだ?」

 

 俺は片膝をたてて座っているアーサーにある質問をする。

 

 

「気になったことがあるんだけど、他の円卓の騎士達はどこに……」

 

「ッ!その質問を俺に二度とするな……!」

 

 アーサーは聖剣の刃をこちらに向ける。

 質問の内容が気に触った彼は、目くじらを立てていた。

 

 

「他の騎士達はボナンザを探すために世界各地にいる。例外のやつもいるがな」

 

「リリアン……ッ!」

 

「例外?」

 

 俺とアーサーの会話の中に割り込んできたリリアンブルーにアーサーは叱ろうとしたが、俺は詳しく話を聞く。

 

 

「ええ、その人はランスロットとモルドレッド。彼たちは……悪く言えばアーサーを裏切ったのよ」

 

「裏切った……?」

 

「そうよ。ランスロットはアーサーの奥様に不倫をしてしまったの。それをモルドレッドがアーサーに言いつけてランスロットとアーサーは対立。そしてランスロットの仲間だったモルドレッドとも戦うことになり……」

 

「それ以上喋るなぁッッ!!!」

 

 思わずアーサーは立ち上がりそう叫んだ。

 アーサーの手はギュッとこぶしを握り、微かだが震えていた。

 その震えは怒り、憎み、悲しみ、恨み、その他の感情がうつっていた。

 

「……すまない」

 

 アーサーはそう言い、壁にもたれ掛かりながら座り込んだ。

 

 

 しばらく進むと、砂漠のような場所に着いた。

 

「ここがヘリオポリス……」

 

 ヘリオポリスは大きな都市のような所で、その都市の入口に出入りを塞ぐように女の人が立っている。

 

「ここは通せません!」

 

「君は誰だ?」

 

「私はセルケト……このヘリオポリスの門番のような者です」

 彼女は薄紫色の髪をした、下半身がサソリの女性だった。

 

 

「なぜ通してくれないんだ?」

 

「オシリス様が弟のセト様に権限を奪われたせいで暴走しているのです……ここを通りたければ、私の試練を成功してください」

 

「試練?いいだろう。難なく成功してやろう」

 

「では、さっそく……はっ!!」

 

 セルケトが片手を大きく振り、なんらかの波動を出す。

 すると、俺達はその途端に激しい睡魔に襲われ、地面にバタバタと人形のように倒れた。

 

 

「う、ここは……?」

 

 目覚めると、アーサーは真っ暗な空間の中に寝転んでいた。

 

「ここは試練の間」

 

「貴様の墓場だ」

 

 暗闇から2人の男女が出てくる。

 

 

「ランスロット……モルドレッド……!」

 

 彼達は円卓の騎士・ランスロットとモルドレッドだ。

 

 ランスロットは金髪で、ブレザーと学ランの間をとったような服装。両刃剣を持っている。

 モルドレッドは髪が長い銀髪で、学生服を着て、右手に刀を持っている女騎士だ。

 

「さて、試練を開始しようか」

 

 2人が素早く武器を構え、アーサーに斬りかかる。

 

「くッ!」

 

 アーサーはその攻撃を紙一重のところでかわし、反撃しようとしたが剣はどこかへ消えていた。

 

「術も使えなければ武器も無い。さあ、どうするかしら?」

 

「はっ!」

 ランスロットの攻撃がアーサーの頬をかする。

 

「ッ…」

 

 アーサーは後方に大きく飛ぶ。

 

「ランスロット…モルドレッド……すまなかった。全て俺が悪い。お願いだ、また一緒に……戦わないか?」

 

「………ふ、試練成功だ」

 

 その途端、アーサーの視界が真っ白になる。

 

 

「……どうやら試練を成功したみたいだな」

 

 試練の間から目覚めたアーサーはホッと安心する。

 

「お、気が付きましたか?」

 

「式部、もう目が覚めたのか」

 

「ええ、とても簡単な試練でしたよ!イケメンな人達に好きですって言ったら成功しました!」

 

「……」

 

 式部の試練の有様に思わず引くアーサー。

 

「他の兵士達も目覚めたか」

 

「あとは助手クンだけね……」

 

 

「ここは……どこだ………」

 

 俺は気がつくと試練の間にいた。

 

「ふふ……」

 

「っ!だ、誰だ!!」

 

 俺は寝転んでいた体勢から、長座の体勢にかえると白い肌の上に紫のドレスに身を包んだ金髪の女性がこちらを見ていることが分かった。

 

 

「あなたは私にとって、後に邪魔になる存在。この状況を利用してあなたを殺してあげるッ!」

 

「なにッ!?」

 

 その何者かが、両手に持っているムチを構える。

 

「くッ!」

 

 俺は素早く立ち上がり、片手で風弾を作ろうとする。が、何故か作れない。

 

「無駄よ。この空間では術は使えない」

 

 彼女は薄く笑い、俺の胸を目掛けてムチを振る。

 

「ぐはッ!!」

 

 すると胸に痛みが走り、体勢が大きく崩れる。

 

「このムチは柔らかい鋼で出来てるのよ。つまり、叩くというより切り裂くという感じかしら……このムチで攻撃されて、あなたはどこまで耐えれるかしらね」

 

 

「ぐわッ…ぁ…ッ…痛い、…ぁあ」

 

 一方、試練の間にとばされる前の世界の俺も同じように胸が斬り避け、悪夢を見ているようにもがき苦しんでいた。

 

「なぜ身体が勝手に傷が……!?」

 

「誰かに試練の空間を乗っ取られたようです。その者がこの人を攻撃して……」

 

「ッ、見てられないわ……どうにか出来ないの!?」

 

 アーサー、セルケト、式部が床に倒れている俺を囲んで心配している。

 

「試練の間は試練を成功しないと出られないのです。なのでこの人が試練を成功……つまり、誰かに思いを伝えなければ出てこれません」

 

「助手クン……」

 

 

「まだまだッ!!」

 

 試練の空間にいる何者かが、ムチを軽く振るい、何度も何度も俺の身体を斬り裂く。

 俺は次第に意識が遠のき、思わず仰向けに地面に倒れた。

 

「ふふ、……らせてあげるわ……」

 

 彼女はムチを握り、大きく振りあげ最後の一撃を繰り出そうとする。

──あぁ、このまま俺は死ぬのか……なんて試練なんだよ、くそったれ──

 俺は心の中で人生最後の愚痴を心の中で吐いた。

 

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