クラフィ/Aliceの夢の物語り 作:クラフィ好きのサイヤ人
「待ちな…い…!」
意識が遠のいているせいで声がぼんやりとしか聞こえない。
だが俺が探し求めている、美少女の美しい声ということは、はっきりと分かった。
「な……ッ!? あな…は、ア…………!」
「そ…人は…………なのよ。…抵こ……する…ら容し……いわ…」
「くッ……」
その金髪の女は彼女に威圧され、どこかへ消えていった。
「……いじょうぶ...…!? いま…ぐ…治し…あげる...…」
美少女が駆け寄って来て、俺の隣に座り込み俺の身体の傷に手を当てる。
すると、傷がみるみるうちに塞がっていく。
─ 会いたかった ─
俺は彼女に触れようとしたその時、視界が真っ白になる。
「う……ッ」
俺は気がつくと、元の世界に戻っていた。
「じょ、助手クン!!」
「気がついたか……」
みんなが俺を囲んでホッと安心していた。
「良かった……あら、傷が塞がってるわ」
「試練の間で誰かは分からないけどそいつに攻撃されたんだが、俺が探し求めている女の子がやって来て傷を治してくれたんだ」
「お、つまりやっと初恋相手に会えたわけですな!」
「ははは……」
「さて、全員試練をクリアしたのでここの通行を許可します。ですが、オシリス様の暴走はとても激しいです。気をつけてくださいね」
「ああ、分かった」
そして俺達はヘリオポリスを道なりに進んで、ある宮殿へと着いた。
「ここにオシリスがいるようです」
「よし、入るぞ……」
アーサー達は宮殿に入ろうと1歩踏み出した時、暗闇の中で淡い緑色の光がキラキラと輝く。
「ッ! 総員退避ッ!!」
その光が何者かの攻撃と分かったアーサーはそう呼びかけるが、時は既に遅く、その攻撃が俺達を襲う。
辺りの地面は削れ、砂が吹き荒れた。
「くッ……! 全員無事か!?」
俺達は攻撃をモロにくらったので大きなダメージを負ったが、全員生きていた。
「アアアナタハハダレダダダダ……」
宮殿の暗闇の中からさっきの攻撃を仕掛けた何者かが出てきた。
「あの者がオシリスです」
オシリスは黒っぽい緑髪で服には金色の独特な柄が付いており、両手には戦双剣を持っていた。
「おれはアーサーだ。お前に聞きたいことがある」
「キキキキキタタイイコトトト...…」
「な、なんでこんな喋り方なんだ?」
「システムエラーのせいよ」
俺の独り言にリリアンブルーが答える。
「これじゃあまともに会話が出来ないわね…...」
式部は眉を寄せる。
「いえ、一つだけ手段があります」
「本当か……?」
アーサーがリリアンブルーに尋ねる。
「ええ、それはオシリスを倒してシステムエラーを修復し、システムを更新するのよ」
「システム……?」
「とりあえずオシリスを倒せばいいんだ」
頭のうえにハテナが浮かんでいる俺に、剣を構えるアーサーがざっくりと説明する。
「オレヲ アナタガガガガ アナタヲ破壊シロ」
オシリスは両手に握っている戦双剣を振り回す。
すると、その剣から次々と緑色の波動がでる。
「くッ!」
その波動は建物を破壊し、砂が渦を巻く。
そして、オシリスは地面に剣を突き刺す。
「イデヨヨヨヨヨ」
オシリスは右手を軽くあげると、地面が大きく揺れた。
「な、なんだ!?」
すると宮殿がたちまち崩れて中から、とても大きな両手の手のひらに目を持ち、鳥のような顔。山のような巨大な身体のものが出現する。
オシリスはそのものの胸の辺りまで、両手を広げ足を揃えて宙に浮く。
「コココココレハワタシノノノ化身......」
「でけぇ……」
その大きさに俺は息をのむ。
「サァ、凪ぎ払エエエエエッ」
オシリスは両手を前に出す。
すると、その化身もゆっくり両手を前に出した。
どうやら化身はオシリスの動きとリンクしているようだ。
「怯むなッ! 突撃ィ!!」
アーサー達はオシリスに攻撃を仕掛けようとする。
その時化身が両手に一気に光を蓄え、光線を放ち、アーサーの後ろに続いていた兵士達に直撃し、大きな爆発が起こった。
兵士達から数メートル離れていたオレと式部は、式部がとっさに氷で盾を作り爆風を防いだ。
「ッ、なんて破壊力なの......」
「チートじゃねぇか!」
あまりの強さに俺はつい愚痴を言う。
しばらくして砂煙がやむと、そこには兵士の姿は無く、剣や兜だけが残っていた。
「くそ......ッ」
アーサーは無事だったが、自身の無力さに思わず歯を食い縛る。
そしてオシリスの方へ振り返り、身体の前に剣を構えると、その剣が火をまとい始める。
「はぁーーッ!!」
その剣をアーサーが両手で振る。
すると炎が波動となり、化身の太い両腕や身体を貫く。
「おお! すげぇ!!」
俺と式部は同時にその言葉を言い、目を輝かせる。
「左アーム、右アーム破損。ならバ……」
オシリスは空中からゆっくりと地面に降り立ち、地面に突き刺していた剣を抜き取り、アーサーに反撃させる隙も与えず、一心不乱に剣をふる。
アーサーはひたすら攻撃を剣で弾いたり、避けたりする。
「コノ剣ハハハニンゲンだけを貫ク……タイム・オブリビオンッ」
戦双剣は光を放ち始め、オシリスが竜巻のように回転斬りをする。
「く…ッ」
その戦双剣はアーサーの右腕、左腕、右足、左足、身体……次々と斬り裂いていく。
オシリスの激しい攻撃が終わると、アーサーは剣を杖にし、立て膝をする。
「消去キョキョキョスル……」
オシリスは剣を握った片手を上にあげ、アーサーの身体に振り下ろす。
「アーサーッ!!」
オシリスの攻撃を防ごうと俺は1歩踏み出す。
「はぁッ!」
その時、アーサーが杖にしていた剣で渾身の一撃を放つ。
その剣はオシリスの腹部に直撃し、オシリスは後ろによろめく。
「シ、システム…修復更新……」
オシリスの腹の傷が治っていく。
「……わざわざこのようなオレを救ってくれてすまない」
さっきとは別人のように、冷静な言葉遣いで喋る。
「話を聞きたいんだ。セトが何をしているかを」
事が収まったことを察した俺と式部はオシリス達に近寄る。
そしてオシリスがセトについて話し出す。
「セトはオレの権限を奪うと同時に、時間を操る力も奪った。だがその力はあまりに強く、それを制御するために過去に起きた事件や争いを再現するという実験をしているんだ。その影響はこの世界を蝕み始めている」
「なるほどな。それじゃあセトを止めるっていう選択肢しかないわけか」
俺はオシリスの話に口を挟む。
「余計な手を出すなよ?お前達はあくまで小説の参考のためについてきてるんだ」
「そんな事言ったってさ、残る兵士は0。どっちにしたって勝率が低いが、俺たちが加わる方がマシだ」
「そうよ。一人より二人、二人より三人よ」
「ふん、勝手にしろ……」
三人が会話してる中、オシリスはいつの間にか宮殿の瓦礫をどけていた。
「セトはこの先の玄室にいる……」
その瓦礫の下には、階段がつづいていた。
「さっきもいったが、セトは過去に起きた事件や争いを再現している。気をつけるんだぞ」
「ああ!」
俺達は少し不安感があったが、声を揃えてそう答え、階段を進んでいった。
「……セトを頼んだぞ」
オシリスはその言葉を、セトに挑む俺達に言い残した。