クラフィ/Aliceの夢の物語り 作:クラフィ好きのサイヤ人
俺達はヘリオポリスの最深部、つまりセトのいる所に向かい、階段を下り進んでいった。
「暗くなってきたわね……」
「それに、静かだな……本当にこの奥にセトがいるのか?」
俺達の会話と足音が階段に響き渡る。
だが、アーサーは相変わらず無口だ。
下り進んでいるうちに、隙間から淡い光が見える扉がある所に着いた。
俺は軽く冷や汗をかきながら息を呑む。
そしてアーサーは扉のノブに手を掛け、ゆっくりと開いた。
扉の奥には途中に広い場所がある真っ直ぐな廊下が続いていた。
「この奥にセトがいるのね……」
俺達は廊下を進んでいき、広いところに着く。
「さぁイリア、キミの手番だよ」
「今度は負けないもん!」
イリアとシルベールがポーカーで遊んでいる。
イリアは茶髪でメカっぽい羽と服を着ていて、シルベールは銀髪の道化師のような格好で、右目に藤納戸色のペイントをしている。
「これは……?」
「オシリスが言っていた、過去に起きた事件や争いのようね」
「これを凌ぎ切れるかな?」
「ここは耐えなきゃ……!」
「フフ、なにか隠し持ってるね?」
「これが私の切り札だよ!」
二人は俺達の存在を気づかずに楽しそうにポーカーをしている。
「……行くぞ」
アーサーはボーっと眺めていた俺と式部に声をかけた。
「あ、ああ」
歩き出すアーサーの後をついて行こうとしたその時、シルベールが突然立ち上がる。
「待て、イリア……何か来る!?」
シルベールとイリアの空間の中を、凄まじい災禍が一帯を吹き飛ばした。
「うぅ…みんな……どこ? ……あなた達がシルベールを攫ったの?」
さっきの災禍で二人の空間が壊れ、俺達の存在をイリアが気づく。
「え、私達!?」
違う。と言おうと思ったがイリアはその気になり、両腕に巨大な機拳を持つ。
「私がみんなを守らなきゃ!」
イリアがその機拳で俺達を殴る。
俺達は軽くかわし、その攻撃が床にあたる。
床には大きな揺れが走り、ひびがはいる。
「ちっ、厄介なことになったな……」
アーサーは腰に差していた剣を抜く。
「なんて馬鹿力だ……」
「みんなの笑顔を取り戻すの!」
続けてイリアがぶんぶんと両腕を振り回す。
「く、これじゃあ攻撃できない……」
「任して!」
式部が片手を前に突き出し、小さな吹雪を放つ。
すると、イリアの腕や身体が凍りつく。
「う、動けない……」
アーサーは剣に火をまとわせ、構える。
「ま、まて! その娘は誤解で俺達を襲ったんだろ! いくらなんでもそこまで……」
「こいつはあくまで実体化した幻だ。俺はその幻を消すだけだ」
「え……そ、そうなのか?」
俺は式部に聞く。
「そうなんじゃない?」
「はっ!」
アーサーは凍りついたイリアを斬る。
すると、彼女は煙のように消え去っていった。
「本当だ……」
「さぁ、いくぞ」
俺達は再び長い廊下を歩いていった。
「俺の管理の何が悪い!? 文句があんなら具体的にいいやがれ!」
「猫は気まぐれ、常識よ? なんとなーくに決まってるじゃない!」
イリアがいた所から少し進んだ広い所から、誰かの言い合いが聞こえる。
「俺には俺のやり方がある!」
「あなたがする事全てが気にくわないのよ」
「クソッなんッも理解できねぇ!」
「乙女心の分かんないやつー!」
ジャケットを着た茶色と赤色が混じった髪の猫耳がある男性と、胸下までの高さまでしか丈がない服を着た青い髪の猫耳がある女性がケンカしている。
「先生、あの2人は……?」
「確か……フレイさんとフレイヤさんの幻ね。フレイさんが兄で、2人は双子なんだけど常にケンカしていて仲が悪いの」
「こうなりゃ勝負だァ!!」
「あーっ!ちょっとまったー!」
フレイとフレイヤが戦いかけたとき、俺が2人の間に割り込む。
「あ?なんだお前」
「部外者はどっかいってよ!」
「まぁまぁ、ケンカは良くないよ」
「……ふん!もうあなたとは2度と会わない!」
フレイヤは頬を膨らませてフレイに背を向ける。
「勝手にしろ!」
フレイも同じく、フレイヤに背を向け、2人は煙のように消え去っていった。
「あ……」
「お前は幻相手に何してんだ……」