クラフィ/Aliceの夢の物語り 作:クラフィ好きのサイヤ人
「ねぇ、あなた浮気してない?」
「いいや、してないさ」
その2つの声の居場所には、夫婦らしき男女がいた。
黒がベースの色の服を着た右目が赤で左目が黄色の金髪の男性と、黒のドレスを着た青白橡色の髪色で黒い角が生えている女性。
女性の方は疑う目で、男性の方は明日を見る目で話し合っている。
男性はNOと答えているが、女性の問いに必死に言い訳していると明らかだ。
「ゼウス、ヘラ!なぜここに……」
セトは今にも放とうとしていたバカでかい光弾を小さくさせて消し、2人に問いかける。
「あら、セトじゃないの」
「……なぜと言われても、気づいたらここにいた」
「まさか、まだ力を制御出来ていないのか!?」
「力? もしかしてお前、オシリスの時間を操る力を奪ったのか? お前がその力を持つと、悪いことにしか使わないだろう……」
「その力、目障りだわっ!後悔なさい……」
「チッ!行け、幻狼!」
俺達と戦っていた狼の頭は、一斉にゼウス達の方向を向き、ワンワンと吠えながら2人に襲いかかる。
「私達の攻撃に耐えれるかしら?」
「「ケラウノス・リヴィッド!」」
ゼウスは右手を、ヘラは左手を突き出し眩い強烈な雷光を放ち、狼達に直撃する。
「無駄無駄無駄!その狼は幻!攻撃は通じな……なんだと!?」
ゼウス達の攻撃は狼を塵も残さず消し飛ばし、セトは思わず驚く。
「なぜだ……そうか!幻同士だとあの狼に攻撃は通じるのか……」
「次はあなたの番よ……セト!」
「……ふ、それで勝ってるつもりか?」
セトはそう叫び時間を止め、2人の背後に回り、再び時間を動かす。
彼の時間を操って戦うやり方はチートと言っても過言ではないだろう。
「はっ!」
そしてセトは2人めがけて砂風をぶつける。
もちろん2人は幻なので、身体は大きく歪み煙となる。
「……なっ!?」
だが、煙は2つに固まって、やがてもとの2人の姿に戻る。
さっきの狼と同じ現象だ。
「これは……私達は幻という訳ね……」
「私達を呼び出したのかと思ったのだけれど……まさか神も幻にできるとわね」
「その罪……かなり重いぞ」
「くッ…!」
「「はぁッ!!」」
2人は両手を突き出し、凄まじく眩く、全てを焼き尽くすようなほどの威力の雷光を溜めて一気にセトに放つ。
セトの全身に失神するほどの痛みが走り大きく吹き飛び壁に突撃し、その壁が瓦礫となり、セトを覆うように崩れ落ちる。
「さて、帰るわよ。ゼウス」
「あ、ああ」
2人はあっさりとした顔をして、煙のように消え去っていった。
「やべぇ……あの2人強すぎだろ…」
ゼウスとヘラとセトの戦いを物陰から見ていた俺は思わず声が漏れる。
「さすが神様の戦いだわ……私達、何もしてなかったわね……」
「いいや、それは違う」
「この声は…オシリスか!」
入り口の方から、オシリスが歩いてくる。
「君達はセトの未完成の幻を消した。なのでセトは強力な幻を作れるようになった。だが、その強力な幻を3体も作り出したせいでセトは力を制御できず、ゼウスやヘラが自然に作り出されたというわけだ」
「なるほど。つまり俺達がセトのところに行ってなかったら、セトは力を自由に使えるようになって世界はたちまち滅びる運命になってたのか……」
「……セトの力はしばらく封印しておく。簡単に力を奪われるようじゃ、また同じことが繰り返すだけだ。封印しておく方が安全だろう」
「自分の作ってしまった幻で負けるとは……力を持ち過ぎると我が身を滅ぼすという訳か」
「君も気をつける事だな」
「ふん………」
オシリスに軽く警告されたアーサーは相変わらず無愛想に返事を返し、入り口まで歩いて行く。
「さて、私達も帰りますか!」
アーサーは城に、式部は家へ、俺は自分のアパートへ。それぞれの居場所に帰り、疲れを癒した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
時間は深夜の1時頃。
真っ黒なレンガで造られた城の玉座の椅子に、何者かが座っている。
「Aliceの絵本……これを利用すれば僕の思い通りの世界に……」