クラフィ/Aliceの夢の物語り   作:クラフィ好きのサイヤ人

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第9話 コンビネーション

 オズに元の世界に戻させようと、赤ずきんの家から出発した俺と式部は森を抜けて平地まで来ていた。

 

「そろそろ着きそうね」

 

「そういえば先生、どうやってオズに、元の世界に戻させるんですか?」

 

「え? それはもちろん説得か力づく!」

 

「はは、予想通りの返答……」

 

 俺達はオズと戦うことになるかもしれないのに安気な会話をしていた。

 その時、俺達を囲む様に、6体のユニットが、瞬間移動でもしたかのように突然現れる。

 そのユニット達はガサツに縫い付けた縫い目がたくさんあり、ぬいぐるみのような見た目で、図体が大きなものが2体、小さなものが4体いた。

 

「な、なんだ!?」

 

「アルジカラノ メイレイダ。キエテモラオウ」

 

「主? もしかしてオズのことかしら」

 

「どっちにしても戦わないといけないみたいですね……」

 

「カカレ!」

 

 という掛け声を、リーダーらしき身体の小さなユニットがかけた途端に、他のユニット達が叫びながら俺と式部に襲いかかる。

 

「助手クン、そっちは頼んだよ!」

 

「はいはいっ!」

 

 俺達は左右に二手に別れ、小柄2体と大柄1体の1対3の状態になる。

 

「人形達、相手してやるぜ」

 

「ソレガ サイゴノ コトバカ?」

 

「な……!?」

 

 一瞬で2体の小柄のユニットが俺の左右に移動し、俺が動揺した途端、隙を与えず光線を撃ちまくる。

 

「くッ、はぁっ!」

 

 俺はその攻撃を受け続けながら、大柄の方に走りながらパンチを入れようとする。

 しかし、そのパンチも届かず、逆に大柄の方に攻撃をされて深くダメージを負ってしまった。

 

「くそ……ッ」

 

 俺は大柄の攻撃を受けた衝撃で大きく後ろに吹き飛び、地面に倒れてしまう。

 式部の方も同じ戦い方を繰り出され、苦戦していた。

 

「なんてコンビネーションなの……」

 

「コンビネーション……先生、1対3がダメなら2対6でいきましょう!」

 

「分かったわ!」

 

 俺と式部は背中合わせになり、同時に余裕の顔になる。

 今の俺達の関係は先生と助手というより、とても仲のいい友人のようだ。

 

「ムダダ オマエタチハ キエル」

 

 先程と同じように、小柄の方が光線を撃ちまくる。

 しかし、式部がその光線を小さい氷塊を瞬時につくって防ぐ。

 そうやって耐久している間、俺は敵を一気に倒せるほどの力を右手にためる。

 眼には眼、歯には歯、コンビネーションにはコンビネーションといったところだ。

 

「早くしてよね助手クン! 私も結構大変なんだから!」

 

「分かってますよ、先生!」

 

 小柄の方は必死に光線を撃っているが、大柄の方は近距離攻撃しかできないようで、光線が俺達に当たるのをじっと立って待っている。が、もう我慢の限界のようだ。

 

「グググ……キエロオオオオオオオッ!!」

 

「くっ、行くしかねぇ!」

 

 襲いかかろうとする大柄に、俺は持ち前の素早さで一気に大柄の腹にパンチを入れる。

 

「まだっ!」

 

 その勢いを殺さずに、もう片方の大柄の方にも距離を一瞬で縮め、パンチを入れる。

 

「先生! 残りの行きますよ!」

 

「「ハアアァァァッッ!!」」

 

 俺と式部はまた背中合わせになり、同時にお互いの前の敵に波動を放つ。

 すると、敵ごと巻き込んで周り全て氷漬けになり、その寒さは氷点下にもなった。

 

「ふぅ、なんとか倒せた……くっそ寒いけど」

 

(気のせいかな……? さっき、助手クンの目が青かったような……)

 

 と、不思議そうに式部が俺の顔をジーッと見つめる。

 

「先生、どうかしました? 俺の顔になんか付いてますか?」

 

「ううん、なんでもない! ねぇ、前から言おうと思ってたんだけど仕事以外の時は敬語は無しにしましょ!」

 

「え? どうしてですか?」

 

「だって敬語だと謎の距離感あるし、なんか堅苦しいし……」

 

「なるほど、分かりました……じゃなくて、分かったぜ、先生!」

 

 俺は理由を聞き、式部が嫌という理由だったので要望を受け入れた。

 多分前の自分だと、敬語はいいという言葉を聞いた時点で快く受け入れるだろう。

 なぜなら、俺は今まで敬語をあまり使ったことがなかったからだ。

 

 学校の先生に対しても、親に対しても全てタメ口だった。

 よく使っても初めて会う人ぐらいだっただろう。

 

「さて、オズの城はすぐそこだわ! 張り切って行くわよ!」

 

「なにも張り切らないでも……」

 

 俺は式部に続き、城を目指してトボトボと凍った道を歩き進む。

 歩いている間、俺はオズの事や、Aliceの世界の事、メイド服のあの娘の事など考えたりした。

 そして、俺は忘れかけていたAliceの世界に来る前の世界の事も思い出した。

 

「不気味な城ね……」

 

  気が付くと、赤い屋根と真っ黒なレンガで造られた城が前に建っていた。

 城の窓からは黄色の淡い光が漏れている。

 

「オズーーっ! 出てきなさーい!」

 

「どうやって城に入るのかと思えば……」

 

 大声を出してオズに呼びかける式部の典型的なやり方に俺は、いつもの事なのだが呆れる。

 

「明後日までの小説があるから元の世界に返して欲しいのよー! ……出てこないっていうなら…」

 

「貴様らを返すわけには行かない」

 

 式部が扉をぶち破ろうと、片手を扉に向けた式部に、城のテラスのようなところからオズらしき人物が返事をする。

 銀の髪の下に黒い髪をしていて、右目が黒髪で隠れている彼は、鋭い目で俺達を見下ろした。

 

「どうしてだ?」

 

「それは言えない。だが、これだけは言っておこう。貴様らはどう足掻いても死しか待っていない! この世界で怯えて死を待つんだな」

 

 と言いながらオズは右手を上に軽く振り、俺達を眩い光で包み込む。

 

「な、なんだ!?」

 

 俺の視界は光で真っ白になり、何も見えなくなる。

 式部にも同じ現象が起こっているのだろう。彼女の驚いた声が微かに聞こえた。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

 

「……また異世界に飛んだのか? それとも元の世界に……」

 

「いいえ、ここはさっきと同じ世界よ。場所は全く違うようだけどね」

 

 

 視界が元に戻った俺が3回目にワープした場所は、路地裏でも獣道でもなく、大きめの池の近くだった。

 池には蓮の葉が浮いていて、少しジメジメとしている上、 霧が少したっているので、とても不気味な雰囲気だ。

 

 

「なんだか不気味なば……」

 

 その時、式部の言葉を銃声がかき消した。

 

「……え?」

 

 突然の出来事で俺と式部は思わず声を漏らす。

 ドラマなどで聞いたことはあるが、初めてリアルで聞いた銃声はものすごい音だった。

 一瞬で背すじをゾッとさせ、銃声以外の音を全て遮断させた。

 俺は慌てて銃弾の行方を確認する。

 心臓、頭、足、腕……体の至るところを確認するが、どこにも銃弾はない。

 ふと、後ろの木をみると、その木の幹に銃弾が突き刺さっていた。

 

「だ、誰が……」

 

「あなた達、オズの仲間なのかしら?」

 

 と言う声が聞こえたところをみると、立ち込めた霧の中に、その銃を撃った人物らしき人影が映っていた。

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