GOD EATER 防衛班の終極   作:アマゾナイト

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はじめまして。
GODEATERが好き過ぎて、小説を書くまで至った2作目です。


今作品における内容は、GODEATER2のRAGEBURST編における出来事となっております。
その中でもピンポイントな時系列における内容となっていますので、少しおさらいします。
・螺旋の樹開闢作戦が進行中
・シエル、ナナ、ギルバートが行方不明
・ブラッドとクレイドルが捜索
といった感じです。

それでは、どうぞ。


Ambitious Doctor

そこには本来、何もなかった。

赤く巨大なオラクルの根が立ち並び、猛烈な砂漠のように嵐が吹き荒れる。

螺旋の樹、淘汰の神梯・主根部。

あらゆる生命は溶け消え、地面や壁に付着する有機物と成り果てる。

そんな終わりの世界に、灰色の異物が一つ。

オラクル細胞の侵食を受けないよう設計されたその建物は、ただ黙々と与えられた仕事をこなしていた。

そこに、ふと黒い蝶が湧く。

蝶は形を為し、一人の女性を現す。

「さあ、あなた達、そろそろ目を覚ます時間ですよ」

その声に、異物の中身が胎動する。

長い、長い、選択を乗り越え、彼らは誕生する。

絆という核を持つ、神の傀儡として。

「あなた達が切り開くのです。終末捕食の先にある、約束の地を――」

ラケル博士は微笑む。

全てを赦す慈母のように。

この星を飲み込むアラガミのように……。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「やあ、カレル君。これで全員揃ったかな?」

 

扉から入ってきた人物を見てサカキ博士が言った。

場所はラボラトリ。

サカキ博士による緊急放送を聞きつけて集合したメンバーがそこにいた。

防衛班・第二部隊のタツミ、ブレンダン。同じく第三部隊のカレル、ジーナ、シュン。第四部隊のハルオミとカノン。そしてオペレーターのヒバリとフラン。

神機使い達は机に置かれたプロジェクターを囲うように椅子に座り、オペレーターの二人は机の横に立っていた。

 

「おせーぞー。待ちくたびれたぜ」

 

いつも時間を厳しく言われているシュンが、入り口に立つカレルを見てここぞとばかりにニヤける。

普段のカレルならここで嫌味を言うところだが、軽く頭を下げる。

 

「時間をロスさせて済まなかった」

 

空いている椅子に座り、前を向く。

 

「始めてくれ」

 

(今日はやけに素直だな……)

シュンが訝しげな眼を向けるが、特に反応はない。別に大して気にすることでもないので、前を向く。

すると、サカキ博士が立ち上がって話し始める。

 

「緊急招集に応じてくれてありがとう。さて、ある程度察しはついているかもしれないが、今回は君たちに任せたい防衛任務があるから集まってもらった」

 

隣に立つヒバリに言う。

 

「では、ヒバリ君、お願いできるかな」

「はい。先日、『黎明の亡都』において特異な神機兵が確認されました――」

 

その内容は、これまでとパターンの異なる偏食場パルスを持つ神機兵が三機確認され、タツミ、ブレンダン、カノンの三人が偵察に向かったというものだった。

そこで終われば話は早いのだが、活動が停止したその神機兵は、まるで肩を寄せ合うようにして倒れていたのだという。

プロジェクターにその神機兵が映し出される。

 

「これ見たとき腰抜けちゃいました~」

 

カノンが発見した時のことを思い出して、照れ臭そうに頭を掻く。

和やかなカノンとは対照的に、その他のメンバーは大きく目を見開いた。

驚くのも無理はない。

その映像にはそれほどのインパクトがあった。

討伐を終えた後のアラガミのように霧散せず、コアを残したまま餓死した神機兵は、中途半端に骨格が残している。

それが肩を寄せ合う光景は、壁の外に出ると偶に見つける、寄り添いながら朽ち果てた人の亡骸のようで……。

 

「で、こいつらは一体何だったんだ?」

 

タツミの質問に、サカキ博士が頷く。

 

「タツミ君たちに回収してもらったこの神機兵は、私の方で解析させて貰った。端的に言ってしまえば、これは新種だ」

「新種、か……」

 

――厄介だな、とタツミは思う。

サカキ博士は続ける。

 

「これまでの神機兵と大きく異なる点が一つある。それは3機の神機兵同士が『互いに繋がっている』という性質でね。本来は神機兵を遠隔制御するはずだった器官が変化して、互いに通信し合えるようになっていたんだ」

 

映像が、回収した神機兵に切り替えられる。

肩にある制御装置が強調され、そこから三機の神機兵が繋がっている線が示される。

 

「この進化は……、進化と呼んでいいのかも疑わしいが、肉体という殻に収まっているが故に他者と決して交われない生物とは一線を画す。彼らは生まれながらに『個にして群』の生命体と言えよう。複数のパソコンが同期しているようなものだ。戦闘において厄介なのは、この性質から生まれる高度な連携だろうね」

 

サカキ博士は、そこまで説明したところで一息つく。

が、机の上に両手を乗せ、これまで以上に厳しい表情を浮かべる。

 

「そして、最も注目すべき点は他にある。……この神機兵は、自然に進化したわけではない。つまり、開発されたものなんだ」

 

アラガミは喰らったものを学習し、驚異的な速度で進化する。

今回の神機兵のように「互いに繋がる」ことができる高度な進化が、自然に起こることはありえなくはない。

現に、「クアドリガ」系統のアラガミはミサイルなどの人間の兵器を学習し、取り込んでいる。

しかし、この神機兵が意図的に開発されたものだという。

なら、一体誰が、何のために……

 

「さて、皆が抱いているだろう疑問に答えるより先に、フラン君からの報告を聞いてもらおうか。その方が、説明しやすくてね。では、お願いするよ」

 

映像が切り替わり、旧フライアの移動要塞が映し出される。

 

「私はこれまでラケル博士について調べてきました。彼女には幾つもの計画があったようで――」

 

生前のラケル博士がアクセスした情報を辿った結果、極東支部とエイジスの構造と、「より強力な神機兵」の開発について頻繁に調べていることがわかった。

さらに、フライアには神機兵同士殺し合いをさせて、より強い個体を選抜する隠し施設があったという。

 

「ここからは私の推測を述べよう……」

 

サカキ博士が立ち上がる。

 

「『進化した神機兵』を開発したのは誰か。それはラケル博士だ。なら、なぜ開発したのか。それは神機兵を操り極東支部に攻め込むためだ」

 

サカキ博士の言葉に、その場にいる全員が息を呑む。

博士は薄く笑みを浮かべ、その根拠を述べる。

 

「もう随分前のことになるが、ラケル博士にサテライト拠点の場所を教えて欲しいと頼まれたことがあってね。その時、私は正確な座標は教えなかったんだ。あまりフライアを信用していなかったし、サテライト拠点は極東支部の弱点にもなり得るからね。そして、そのずらした座標こそが、最初に話した神機兵が発見された『黎明の亡都』なのだよ。これを偶然と思えるかね?」

 

博士は続ける。

 

「私はこの三機の神機兵は『斥候』だったと考えている。サテライト拠点の座標を正確に把握するために遣わされたのだろう。その結果は先ほど見せた通り、神機兵が到着した座標には何もなく、彼らは自らの身体が朽ち果てるまで留まったというわけだ」

 

腕を組みながら、ブレンダンは難しい表情を浮かべる。

 

「なるほど。そういう理由なら、あの神機兵にも、なんとか納得がいく。だが、亡くなった奴がそこまでするか……?」

「そうだね。だが、彼女の『意志』が螺旋の樹の中で生きているのは確かなんだ。それも、彼女の『意志』は生前より強くなっていると感じられる――」

 

ブラッドの隊長は螺旋の樹内部で、復活したラケル博士と直接接触した。

まるで幻想のような出会いだったが、ラケル博士は的確に弱みを突いてきたという。

サカキ博士はスライドを使い、さらに説明をする。

螺旋の樹形成時に、フライアの施設の殆どが飲み込まれたこと。

だが、その中で神機兵を開発する施設は生きている可能性が高いこと。

そのため、デフラグメンテーションにより復活した『ラケル博士の意志』が、汚染した螺旋の樹の力を借りて『進化した神機兵』を生み出すことは不可能ではないこと。

 

「――彼女が果たしたい願いは『終末捕食の完遂』だ。そのために現在、螺旋の樹を汚染し、ジュリウス君による『二つの終末捕食』の均衡を崩そうとしている。だが、科学者というものは、常に複数のアプローチを考えているものでね。極東支部を落とし邪魔者を排除する。なんて最も単純な方法を思いついてても不思議ではないのだよ」

 

ハルオミが手を挙げる。

 

「つまり、今螺旋の樹にブラッド隊が閉じ込められているのは、極東支部の戦力を分散させるためだったんだな」

「その通りだ。まあ、ブラッド隊を閉じ込めているのは、彼女なりの執着があってのことかもしれないが……」

 

それを聞いて、ハルオミは両手を広げながら首を振る。

 

「ったく~~、ソソられないな。執念深くて攻めっ気が強いなんて……、

……いや、待てよ。求めるだけだった俺の人生に、求められるという新たな刺激もそれはそれで……」

 

手に顎を載せ、自らの思考(至高)の世界に入ろうとする。

そんなハルオミのことは放ったまま、博士は付け加える。

 

「極東支部とエイジスは地下で繋がっている。このことはラケル博士も知っているだろう。つまり、君たちには極東支部とエイジスの両方を防衛してもらう必要がある。敵も強く、大変な任務だ。だが――」

 

博士が続けようとしたセリフを、ジーナが奪う。

 

「『少人数で多数の敵から拠点を防衛する。防衛班以上にそのノウハウに長けた神機使いはいないからね』でしょ。前にも聞いたわ。お世辞言われなくたって、私たちは私たちの仕事をするだけよ」

 

足を組んだジーナは薄く笑みを浮かべる。博士は頷く。

 

「……そうだね。頼もしい限りだ」

 

そして、少しだけ声を力強くして続ける。

 

「もう一つ。こちらは良い知らせなのかもしれない。君たちには決して敵を討伐する必要はなく、時間を稼いでくれればいい……」

 

現在、無人型神機兵の開発に携わったレア博士を中心として、『進化した神機兵』を無力化する作戦が検討中であった。

螺旋の樹に取り込まれたフライアの安全装置を起動させ、こちらのプログラムを取り込ませれば、神機兵の操作権を奪うことができるらしい。

この作戦は、サカキ博士秘蔵の別働隊が受け持つ。

タツミは、その博士の秘蔵の別働隊が何なのか、とても引っかかったが、どうやら信頼できるメンバーらしく、任せていいらしい。

そうなると、あと気になるのは……、

 

「やっぱ敵の数だな」

「ああ。そちらについては、そろそろ報告が上がる頃でね……」

 

サカキ博士は机の上に開いたパソコンに戻り、画面を見つめる。

螺旋の樹内部には高濃度のオラクルの嵐による、ノイズが強い場所がある。

博士はそこに神機兵が隠されていると考え、専用の観測機器をコウタ率いる第一部隊に持たせ、偵察に出てもらっていた。

 

「おっと、丁度データが上がってきたようだ。どれどれ……」

 

博士がデータを解析している間、タツミは考える。

 

(『進化した神機兵』、か……。これまでの神機兵とは別次元の、ほぼ新種と考えていい力を持つだろうな。確実に防衛し切れるとなると……、一人一騎を相手取るとしても、ここにいるメンバーで7機。……陽動に任せて、極東支部に到着するまでの時間をズラせば14機くらいなら、あるいは……)

 

「……! ……なんだって!」

 

動揺した博士の声が響く。

そして眉間に皺を寄せ、得られたデータを述べる。

 

「観測された神機兵は……

……30機だ……」

 

タツミは眉間に皺を寄せる。

その他の神機使いも、オペレーターも、言葉を失う。

そしてここから、始まる。

防衛班の全てをかけた戦いが。

防衛班の終極が。




殆ど説明で終わった1話でした。
2話からが本番です。戦闘に続く戦闘です。


まだまだ文章が拙いため、評価を頂けると幸いです。
あと、ちょっとでもいいので感想を頂けると、すごく嬉しいです。飛び跳ねます。是非お願いします。
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