ゼロから始める瀟洒な異世界生活   作:チクタク×2

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第十五話です。

「Re:ゼロから始める異世界生活」で検索すると、小説が131件もヒットするんですよね。
意外と多い……。

そんな中でも実はこの小説、文字数の多さでは5番目。
よくもまあ、ここまで書いたなと自分で褒めてあげたい気分。

人気もそれぐらいであれば申し分ないのですけどね(笑)
そこは頑張る他ないですが。

改訂作業も頑張らないとですね……。


第十五話:王の資質

 昼を過ぎると、庭の芝生の上に転がっている三人のところにフェルトは足を運んだ。

 咲夜とロム爺もフェルトに付き添って、一緒に行く。

 

 昼食後、またもや食事を逃した三人は、懲りずに昼にまた逃げ出そうとしたのだ。

 そして、こうして再びグリムに倒される結果になったのだが。

 気絶していないのは、単にグリムの手加減だろう。

 朝にやり過ぎたと、彼も反省したようだった。

 

「お前ら、やられたばっかだってのに懲りねーのな」

 

 フェルトは息を切らして大の字の三人に、しゃがみ込んでニヤニヤとしながら声をかける。

 その声を聞いて、ラチンスは億劫そうに首を動かして反応する。

 

「う、うるせーってんだよ。バカにしやがって」

「バカにしてなんかいねーって。むしろちょっと感心した。アタシの時は体が一つしかなかったから、三人でバラけて注意を引くなんて出来なかったもんな」

 

 もっとも、結果は、各個撃破されて終わったが。

 

「あの爺さん、何者だ? 掴んだと思ったのに、目の前から消えたぞ」

「オイラにゃ、ガストンが一人で飛び跳ねて転んだように見えたぞ」

「そんな馬鹿丸出しな真似するわけねーだろ……」

 

 力なく言葉を交わす、ガストンとカンバリ―。

 

「つか、何だよ。お前、俺たちに文句でも言いに来たんじゃねーのかよ?」

「文句? 何で?」

「……オレら、逃げようとしたんだぞ?」

 

 普段と変わらないフェルトの態度に、不気味そうな顔をするラチンスとガストン。

 そんあ二人のフェルトは、肩をすくめる。

 

「お前らが逃げ出そうとするのは、予想通りっちゃ予想通りだからな。アタシは学の無い小娘だけど、昨日の話し合いだけでお前らの心をがっちり掴めたなんて考えるほどお花畑なつもりもねーし」

 

 昨日の話話し合いでは、一旦の納得を示していた三人組。しかし、

 

「頭が冷えたら、考え方も変わるだろーよ。アタシも貧民街の人間だぜ。あそこで暮らしている奴らの根性は分かってるって」

「あれ? ひょっとしてオイラたち、褒められてなくない?」

「ひょっとしてなくても褒められてねーよ。ふざけやがって」

 

 不貞腐れる三人に、フェルトはやれやれと首を横に振る。

 

「どうせ、逃げだろうとしたのも脊髄反射で考えなしだろ? そもそもお前ら昨日の様子じゃ誰かに追われてるみたいだったじゃねーか」

「ぐ……」

「ど、どうすんだ?」

「どうにかなるとオイラは思ってた」

 

 どうやら彼らにも当てがないようだった。

 向こう見ずな態度は実に貧民街の住人らしい。

 そのままでいけないと、フェルトですら危機感を抱くほど。

 

「別に何もかも、アタシの言う通りにする必要なんてねーよ。っているか、そこまで口出しできるほどできるつもりねーし。今は単純に、逃げるための隠れ蓑ぐらいに思ってろって。逃げるだけなら、もうちょい後でも出来る」

「逃げ出さねぇように、ボロクソにして転がすくせに言ってくれやがる……」

「そりゃ、お前らが屋敷の物を勝手に持ち出そうとすっからだろ。盗品蔵も無くなったのに、足が付きそうなもんばっかどうすんだよ」

 

 流石のフェルトも三人の考え無しな行動に呆れる。

 

「ばれてる! 全部ばれてるぜ、おい!」

「ちょっとお前は黙ってろ、カンバリー!」

 

 キノコのような髪型をしたカンバリ―が叫び、ラチンスが苛立った顔をする。

 

「お前の言い分も分かるが、オレらにいくらなんでも都合が良すぎだろ。それで信用しろって言われても、信用なんてできねえよ」

「あれ? でもオイラ、昨日は信じてもいいかもって聞いたような……」

「いいから、オレと一緒に黙ってろ、カンバリ―」

 

 静かに様子を見ていた咲夜とロム爺。

 しかし、カンバリ―たちのやり取りが面白かったのか、咲夜は思わず笑いが零れる。

 咲夜に笑われ、恥ずかし気に顔を赤くするラチンスとガストン。 

 

「アタシが何を企んでいるのかは、昨日話した通りだ。嫌いな奴らに吠え面かかせてやろーぜって誘いも変わらねー。それでもお前らが不安だってのは、アレか。何が出来るか分かんねーからか」

「――っ!」

 

 ラチンスとガストンの顔色が変わり、カンバリ―は不思議そうな顔をする。

 カンバリ―はともかく、二人の躊躇いと不安の原因はわかった。

 

 彼らには自信がないのだ。

 

 考えてみれば当然だった。

 誘われた経緯も適当ならば、絶対にお前だと確信をもって誘われたわけでもない。

 まして貧民街に燻っていた身。

 彼らは誇れるものが何もないことぐらい、誰よりも自覚していたのだった。

 

「安心しろよ。何ができるか分かんないなんて、アタシも一緒だからな」

「――あ?」

「いきなりビシバシ働けなんて言わねーって。そんなことが出来るのは、今までちゃんと屋根のある場所で、毎日上手いものを食って、お勉強させてもらってた連中だけだ。その点、アタシもお前らとたいして変わらねーよ」

「じゃ、じゃあどうしようってだよ」

「それをこれから考えようぜって話。勉強は必要だろうし、大変なことばかりかもしれねーけど……少なくとも何もないじゃなくなるかもしれないぜ?」

 

 フェルトは八重歯を見せるように笑い、呆然とする三人に頷く。

 

 咲夜は、フェルトの昨日の打ち明けてくれた言葉を思い出す。

 自身がなく、不安なのはフェルトも同じなのだろう。

 彼女はだからこそ、仲間が欲しいんだと。

 

「……オイラ、付き合ってもいいな」

 

 以外にも、最初にそう口に出したのはカンバリ―だった。

 彼はフェルトの前で拳を握りしめる。

 

「難しいことは分かんねぇけど、どっちが分かりやすいかは分かった。こっから逃げたって暮らしは変わらないし、それなら……」

 

 カンバリ―が振り返り、まごついている二人の仲間に声をかける。

 

「やっぱり考え直そうぜ。ラッセルに頭下げて許されても、小間使いで終わるのはかわらないんだし……な?」

「お前に説得されるとか、考えただけでもおっかねぇな。なあ、ラチンス?」

「ちっ」

 

 ガストンが頬を掻き、ラチンスが舌打ちする。

 しかし、肩の力を抜いた二人の様子からどっちに天秤が傾いたかは明白だった。

 

 咲夜は、自分と同様にフェルトの様子を見守っていたロム爺に小さく声をかけた。

 

「ねえ? ラッセルって誰のこと?」

 

 声をかけられたロム爺は、咲夜に小声で答える。

 

「ラッセル・フェロー。王都の商人組合のまとめ役であり、王都の商業全体の算盤を弾いている中心人物じゃ」

「そんな人物が彼らとどういう繋がり?」

「ま、表向きわな。奴は、貧民街・裏路地の顔役という立場も持っている。物事を損得勘定で判断し、いかに自分が多く利を得るかといった点にしか興味がない男じゃよ。まぁ商人らしいっちゃ商人らしいがな。ただ、まあ裏の界隈でもそれなりに有名な男じゃ……」

「……随分と危険な相手じゃないの? 大丈夫?」

「ただの二、三人の小間使いのために、アストレア家を敵に回すほど馬鹿な男じゃない。大丈夫じゃろ」

「ふーん。まあなら良いけどね」

「一般人は、そうそう関わりを持つ相手じゃない。気にせんでもいいじゃろ」

 

 そこで、ロム爺と咲夜は話を切り上げる。

 フェルトたちの様子に目を向けると、どうやら先ほどの話で決着は付いていたようだ。

 三人組も腹をくくったらしい。

 

「流石は王選候補者といったところかしらね。資質が全くない、と言ったわけでもないかもね」

「少しの間、会わないうちに随分と、フェルトは成長しておったようじゃな……。三日合わずば刮目して見ろ、とは言ったもんじゃな。本当じゃわい」

 

 ロム爺は先ほどのフェルトの話を聞いてそう感想をつぶやく。

 その呟きを咲夜は拾い、

 

「それって男子に言う言葉じゃないかったかしら?」

 

 咲夜は、ロム爺の言葉にそう突っ込みつつも、フェルトたちのやり取りを見て思うことがあった。

 主従揃って、足りないものだらけ。

 だからこそ、主従、二人三脚で成長を志す。

 何も出来ないからこそ、できるかもしれない何かを求めて、足掻く。

 

「そんな主従関係もあるものなのね……」

 

 咲夜は、自分とレミリアお嬢様との関係とは異なる新たな主従を結んだ彼らを見てそう思った。

 フェルトにはラインハルトもいる。

 互いに信頼関係はまだ気づけていないが、これからどうなるのか……。

 

 王選には他にも候補者たちが参加する。

 彼らはみな、自分の騎士を従えている。

 それぞれが異なる主従関係を結んでいるのだろう。

 咲夜は、様々な主従関係があるだろう王選に少し、興味を持ったのだった。

 

 

 

 

 

**************************

 

 庭での三人組との心温まるやり取りを経て、咲夜はフェルトたちと別れ、部屋に戻って字の勉強をしていた。

 そろそろ夕食の準備をしないいけない時間だった。

 咲夜は、部屋を出ようと扉を開けようとすると、廊下から誰かの話声が聞こえる。

 

 少しだけ扉を開け、様子を窺うと、廊下にはフェルトとロム爺がいた。

 ロム爺にフェルトが屋敷の案内をしているのだろう。

 ちょうど、咲夜の部屋の扉の近くで話しているようだった。

 

「これで意外と、お前さんもヤル気になっておるようじゃな」

 

 ロム爺がフェルトに声をかける。

 

「どーぜ今さら逃げらんねーし、やるならやるで負けたくねーよ。ロム爺はアタシに負け犬根性に従えって育てたか?」

「儂は世間の荒波に揉まれてもへこたれないように育てたつもりじゃが……その点で言えば、フェルトは少しばかり優等生すぎたかもしれんな」

「へへ。優等生なんて、聞いたこともされた覚えもねーよ」

 

 ロム爺の二人に褒められたフェルトは、鼻の下を指でこすり、笑う。

 

 しかし、フェルトはそんな表情を変え、真剣な顔をする。

 フェルトには確かめなければならないことが有ったからだ。

 

「それで、そのさ……アタシは王選に参加する。ラインハルトは気に入らねーけど、姉ちゃんも協力してくれる。あの三人にも話はつけた。やってやろーって大口も叩いた。でも、まだ足りねーんだ」

「ふむ、足りないとはな」

「ホントはさ、アタシのわがままに突き合わせるのは悪いとは思ってるんだよ。でも、ロム爺がいねーとやっていける自信はないし、一緒にいないと心配だし、だからさ」

「――」

「手、貸してほしいんだ。アタシの、唯一の家族には力になってほしい」

 

 フェルトにとって掛け値なしに信用できる相手は、ロム爺だけだった。

 物心ついた頃、貧民街の過酷な環境で育ったフェルトの傍にはいつもロム爺の姿があった。

 

「ちょっと前までのお前さんなら、わざわざこんなことに口に出したりせんかったぞ。勝手に儂を巻き込んで、それでしれっと舌を出しておったはずじゃ。盗品蔵が吹き飛んだ日のこと、今でも儂は忘れておらんからな」

「う……いや、あんときはアタシも考え無しに上手い話しに飛びつき過ぎたよ……」

「そうじゃな。せめて前もって儂に相談しておったら、あそこまで馬鹿げた話にはならんかったじゃろうに。じゃから……」

 

 反省に肩を落とし、いじけた顔をするフェルトの頭を大きな掌が撫でた。

 

「傍で見ておらんと、儂の孫娘はまだまだ手がかかる。おちおち、隠居もできんわ」

 

 笑うロム爺の答えにフェルトの表情に光が差す。

 

「なら、アタシは部屋に戻るからな。これから夕食までの間に本を読んでおかないと。読めって言われた本がメチャクチャあんだよなぁ。ロム爺はどうする? アタシの部屋に来るか?」

「いや、勉強の邪魔をするのはいかん。儂も自分の部屋に戻って今日は休むわい」

「そっか。じゃあ、また夕食の時間にな」

 

 フェルトはロム爺にそう言うと、廊下を走り出し、去る。

 フェルトが立ち去るのを見届けたロム爺は、大きくため息を吐いた。

 

 咲夜は二人の会話が終わったのを見届けると、ロム爺に声をかけようと扉を開けようとしたが、それを止めた。

 ロム爺の背後から声をかける者がいたからだ。

 

「――随分と、フェルト様に慕われておいでのようですね」

 

 背後からの声にロム爺が振り向くと、そこにはキャロルとグリムの姿があった。

 普段は温和な態度である二人は、いつもと異なり、まるで剣を突きつけているような張りつめた雰囲気を出していた。

 

「これはご挨拶じゃな。食事のマナーが気に障ったかの?」

「よくもまあ口が回るものです。相変わらずの口先で、フェルト様の信頼を勝ち取ったのですか?」

「辛辣な言われようよ。知ったような言い方をしてくれるが、お前さんと儂は面識があったとは思えんが。いったい、何の話をしておる」

 

 ロム爺が首をひねると、キャロルは目を細める。

 二人の視線がぶつかり、自然と空気が張り詰める。

 しかし、グリムがその空力に水を差す。

 キャロルの肩に手を置く。

 

 キャロルが訴えかけるような目をしたが、グリムは首を振って彼女を下がらせ、彼が代わりに前に出る。

 

「お前さんも、この儂に言いがかりでもつけようと?」

「……いや」

 

 低く、しゃがれた声でグリムが言う。

 ひどく聞き取りにくい声は、戦傷の傷によるもの。

 

 口の利けない男、アストレア家の関係者――ロム爺の脳裏に古い記憶が浮かぶ。

 

「そうか。……お主らはそういう繋がりか」

 

 ロム爺の納得の声に、キャロルは険しい顔つきになる。

 意外とこの夫婦は、落ち着きがあるのは夫の方であった。

 

「そのあたりは変わってないようじゃな」

「面識がないと、先に言ったのはそちらの方でしょうに。いったいわたしたちのことをあなたがどれだけ――」

「当時の関係者は、そのほとんどがここに入っておる」

 

 とんとんと指で自分の頭を叩くロム爺に、キャロルは息を呑む。

 

「ラインハルトもおそらく儂の素性を知っておるじゃろうな。……トリアスの若造め。想像した通りに嫌な家柄になりおって」

 

 ロム爺は嘆息する。

 盗品蔵が吹き飛んだあの日から、色んなことにケチがつきすぎている。

 いっそ忘れられたらと思った、過去がいっぺんに押し寄せてきたようだった。

 

「過去は過去。そして戦争は戦争。あの結果以外に、儂から言えることは何もない」

「他でもないあなたの口から、それを聞かされて誰が納得するとでも?」

「儂はロム爺。ただの貧民街で盗品を取引し、小金を稼いでいた悪党よ。あの子を……フェルトを利用する気など毛頭ないわ」

 

 掌に乗るほど小さな頃から、その成長を見守り続けてきた少女。

 かつての憎悪も、執念も、少女と過ごす間に失われた。

 

「――誓えるか?」

 

 問いは掠れた声だったが、その眼光はかつての雄姿を思わせる。剣鬼の傍らにあった、盾の戦士の姿を。

 

「誓えるか、じゃと? とっくのとうに、誓っておる。儂の命はあの子に救われたんじゃからな」

 

 そう言って、ロム爺は、夫婦に背を向けて廊下を歩き出す。

 ロム爺が立ち去るその背を夫婦は黙って見続けていた。

 

 ロム爺が廊下の角を曲がり、完全に姿を消す頃には、微かに開かれていた扉は閉じられていた。

 

 

 

 

**************************

 

 時刻は夜。

 

 夕食が済み、住人は後は寝るだけと、それぞれが自室に戻っていた。

 

 咲夜は自室で文字の勉強をしていた。

 

「ふう、今日はここまでにするか……。そろそろイ文字の勉強も終わりそうね」

 

 咲夜は勉強のために開いていた本を閉じ、片づける。

 そして、部屋の明かりを消し、布団に入る。

 

 今日はフェルトと一緒ではない。

 フェルトは久しぶりのロム爺と会えて嬉しいのか、ずっとフェルトの部屋で二人で遅くまで会話しているらしい。

 

「王選か……。エミリアたちは今頃何をしているのかしらね。彼女も王選候補者としてきっと勉強しているのよね」

 

 咲夜はロズワール邸の住人たちを思い出す。

 エミリアも王選候補者だ。

 この先にはフェルトの競争相手として立ちはだかる人物の一人だ。

 彼女には悪いが、咲夜はフェルトの味方だ。

 

 咲夜が考えを巡らせているうちに眠気が来る。

 そうして咲夜は眠りに付いた。ハズだった……。

 

「……くや! さくや!」

 

 自分を呼びかける声に、咲夜はハッと意識を覚醒させる。

 

 気が付くと咲夜は、見知らぬ場所に立っていた。

 ここはどこだ……、咲夜が考えようとすると、近くから声がする。

 

「咲夜! どうしたの? 大丈夫?」

 

 咲夜は声がする方に振り返ると、こちらを心配そうな表情で見ているエミリアの姿があった。

 

「……エミリア?」

「ええ。エミリアよ。どうしたの? まだどこか体調でも悪いの?」

 

 どうしてここにエミリアがいるのか?、そう咲夜が考えた時、咲夜はようやくこの場所がアストレア家の自室ではなく、ロズワール邸であることに気付く。

 自分の服を見ると、メイド服でもなく、患者衣を着ていた。

 

 そこでようやく咲夜は自分のいる場所を悟る。

 

「咲夜。体調が悪いなら、まだベッドで休んでいた方が良いわ。スバルの様子は、わたしが見に行くから」

「……ええ。悪いけど、そうしてくれる? やっぱり、もう少し部屋で休んでいることにするわ」 

「わかった。ゆっくり休んでね」

 

 エミリアはそう言って、部屋を出て行く。

 

 咲夜は、エミリアが部屋を出ると、ベッドに腰を掛ける。

 

「戻ってきてしまったのね……」

 

 咲夜は嘆息する。

 昨日、いや、直前の記憶では、自分はアストレア家の自室のベッドで眠りに付いたはず。

 しかし、現在はロズワール邸にいる。

 

 おそらく、咲夜は盗品蔵で気絶してロズワール邸に運び込まれたところなのだろう。

 

 時間が逆行していた。

 5日も時が遡ったのだ。

 

 咲夜は時間の逆行を感じ取れなかったのは、おそらく寝ていた間だったから。

 突然の覚醒状態に戻され、状況を把握するのに当初は混乱したものの、今は整理が付いていた。

 

 咲夜はスバルの時間逆行に再び巻き込まれたのだった。




ようやく、一週目が終わりました。
数あるリゼロの中でも、1週目にここまで話数を使った作品は少ないでしょうね(笑)

ここから怒涛の展開、と思いきやもう少し時間がかかります。

ただ、1週目は咲夜に色々とこの世界の情報を与えるために時間をかけて細かく日常を描写していた部分もあるので、これからは少しはテンポが良くなると思っています。
……たぶん。

*****************

・ラッセル
第二章では、抜け目のない人の良い商人ように描かれているラッセルさんですが、
貧民街の住人に口利きが出来る関係を持つという、裏の顔も持っています。

三人組との出会いに関しては実際とは異なった時系列で、
この小説では書かれていますが、
その際にラッセルの手により追われていることが
『フェルトちゃんのゼロから始まる王選生活』で少し描写されています。
今回はその設定を引用させていただきました。
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