相変わらず更新遅いですが頑張ります!
六本木ー
ここは東京に位置する、元は人で賑わいを見せていたかつての名所。だが10年前に起きたロストクリスマスの影響でここは封鎖。一般の民間人はまずここに立ち寄らない。ここにいる人間は二種類。
死んだように生きる住民と、
そう、ここの地下には今日本を騒がせている葬儀社のメンバーが活動している。それはここの人達にも噂になってはいるが、正確な情報は誰も知らない。
ー葬儀社アジト、オペレータ室ー
「涯、いのりんが旧校舎に入って行ったけどどうするの?」
涯と呼ばれた金髪の男の他にも、ツグミ 四分儀 綾瀬 アルゴ 大雲 といった幹部の人間が勢揃いしていた。
モニターには怪我を処置するいのりの姿が映し出されていた。
涯「どうもこうもない、あそこはGHQのど真ん中だ。夜まで待つしかないだろう」
市街地の中心でドンパチやろうものなら、戦力差で此方側に勝機はない。今は黙っていのりと目標物が無事であるのを待つしかないだろう。
アルゴ「あん?誰か来たみてーだぜ?」
涯「何…?」
涯(!!?)
その姿を目で捉えた瞬間、彼の身体的機能は一時停止する。そして脳裏にかつての彼と自分、そして最愛の人物が共に過ごす情景が浮かんできた。
あの時は彼こそが俺の目標で、憧れだった。
だがロストクリスマスの後、俺はかわった。否、変わらなければいけなかった―
世界各国を渡り歩き、葬儀社を立ち上げて、そこのトップとして在り続けた。今や俺は憧れだった彼を越し、それを導ける存在となった。
涯(お前も変わったな。昔はもっと強かった)
集といのりが話しているのを聞いて、涯はそう思った。いのりの言うように彼は前に踏み出すのが恐いのだろう。前に出過ぎた結果、俺達はロストクリスマスを引き起こした。それが彼の心に恐れとなって現れているのを彼は痛いほど分かった。だがそれを克服し、それでも前に出た自分とそうでない彼こそが、今この差を生み出しているのだと実感した。
ツグミ「ヤバイ!GHQが押し掛けてきた‼」
ツグミの言葉にハッと意識を戻すと、そこには二人を逃さないための陣形が敷かれ、その中央にはグエンがいる。
アルゴ「よりによってあのグエンかよ!?いのりが危ねえ!」
四分儀「どうしますか、涯?」
涯「奴の事だ、問題ない。いのりしか見えていないのだろうから、奴らが居なくなった後ふゅーねると目標物を回収。いのりの救出はその後だ」
涯の読みは当たっていた。いのりを捕らえた事に満足し、ふゅーねるは見えていない。当然そこに奴らの言う最高機密があるとも知らず。リーダーとして、時には非情になることも大切なのは学んできた。
だがそこには誤算があった。とても大きく、致命的な誤算が―
集「やめろ」ガシッ
アルゴ「な! アイツ…!」
集は、いのりを殴ろうとした兵の手を掴んでそれを止めたのだ…!
病的な程に自国愛が強いグエンは、日本を「ウィルスの国」と馬鹿にするほどこの国を嫌っている。そのため自分が下に見られるような事をされると、彼は周りが見えなくなるくらいまで相手を痛めつけようとする。
当然の如く集も彼の怒りに触れて、何時手を出すかも分からない状況と化した。
だが、そんな彼の怒りも集が口を開く度に押さえ込まれているように見えた。いや、実際そうなのだろう。
涯を始めとした葬儀社の幹部達も、先程と様子が違う集に少なからず恐怖していた。
そして一通り話が終わると、グエンにあるものを投げつけた。
それは証明証。そこには"少佐"と書かれ、更に"アンチボディズ副局長"というあり得ない肩書きが並んでいた。
綾瀬「…ぇ…なッ!?」
ツグミ「ぅ、嘘…」
アルゴ「アイツ…!」
大雲「これは、ヤバイです…ね」
四分儀「どうするんですか、涯」
涯「…」
四分儀「…涯?」
涯「ぁ、あぁ。すまない、大丈夫だ。多少の予定外はあったが計画に支障は出さない。必ずな」
「必ず」と言ったところに力が入るが、内心不安でいっぱいだった。
嘗ての友であり憧れだった存在が敵にまわる。おまけに先程のあの
涯(集、俺はお前と争わねばならないのか?だとしたら俺は負けない。
ー第四隔離施設ー
集「アンチボディズ副局長の桜満集です。昨夜の件で疑わしい人物、及び数項の条令違反を犯したグエン少佐の身柄を拘束しました。容疑者は独房に、グエン少佐の処罰については後々僕の方から伝えますので、取り合えず今は空いている部屋で軟禁しといてください」
集「それと…嘘界少佐の所までお願いします」
「了解しました」
集は馴れた様子で兵に指示を与えると、そのまま何処かへ行こうとした。だが、去り際に私にしか聞こえない声で
「また後で行く」
と言うと今度こそ何処かへ行ってしまった。
いのりはそれを、心の中で反芻していた。
ー応接室ー
グエン(クソッッッ!!! 何故この私があんな日本の餓鬼に…!!?)
身柄を拘束されたグエンは内心マグマが溢れ出るかのような酷い憎悪と屈辱に憤慨していた。
グエン(あの餓鬼の事は報告に受けていた!一月前に我が祖国から追い出された害虫だとな!そんな役立たずが真血であるこの私を捕らえようとは…!!!)
グエンの思い
そもそも集はアメリカを追い出されてなどいない。本人の意思で日本に戻り、それと同時にアンチボディズの副局長の座と天王洲区の大部分を統轄を得たのだ。
未成年である集がここまで権力を付けたのも、それまでの彼の『功績』の裏付けである。
しかし自尊心が強いグエンはそれを受け入れず、規定を無視した結果ここで軟禁されているのだから呆れたものである。
グエン(大体奴が私の処罰を決めるだと!?ふざけるな!!私はそれに従いなどせん!必ずやこの屈辱を倍にして返すぞ!!!)
そうこうしている内に部屋の扉が開き、集ではない長身の兵士が現れた。
「グエン少佐。桜満少佐より伝えられました貴方の処遇についてですが…」
グエンはそこで、驚きの言葉を告げられた。
集「失礼します」
扉を開けると、いつもの薄気味笑いを浮かべた嘘界少佐がいた。局員の皆は彼を不気味だと言うが、僕はそうは思わない。少佐はあんな
嘘界「桜満少佐、今凄く失礼な事考えてましたよね」
集「さぁ?気のせいですよ気のせい。
それよりも少佐、奪われた最高機密は…」
嘘界「あぁ、その事ですが…無いんですよねぇ、何処にも」
嘘界はいかにも面白いといった様子で話している。集はそれを分かっていたようで、「やっぱり」と心の中で呟いた。
集「無い?ふゅーねるの中にもですか?」
嘘界「えぇ。隅々まで探したんですが結果はNOです」
集「そうですか…」
嘘界「おや?ガッカリしました?」
集「別に。仮に奪われてたとしても
嘘界「まっ、そう言うと思ってましたよ」クックッ
集「じゃあそうなると…やはり葬儀社に先を越された事になりますね」
嘘界「ところがどっこい、どうやらそういう訳でもありませんのですコレが」
集「…?どういう事です?」
嘘界「これを見てください。ちょうど7分前に送られてきた映像です」
嘘界はテレビをつけ、そこに録画してあった映像を流す。中身はあの葬儀社が、ここ―第四隔離施設に囚われた仲間と『奪われた目標物』を取り返すためここを襲撃する、というモノだった。集は終わりまで一言も発せずにそれを凝視していた。
嘘界「この者は恙神涯。葬儀社のリーダーを名乗る男です。如何でしたか?貴方から見て」
集「…ふーん、コイツがリーダー、ね」
何て事ないと見れる集だったが、内心は違っていた。
集「奪われた仲間。これは楪いのりと城戸研二…だったっけ?その二人を言ってるんだろうね」
集「そして『奪われた目標物』…。これは完璧最高機密のことを言ってますね」
嘘界「そうですよね!貴方もそう思いますでしょ!?」
淡々とした答えだが、嘘界はまたもや面白そうに反応する。アンタ年いくつだよ。
嘘界「突如奪われた最高機密。しかし奪ったとされる葬儀社もその行方を知らない…!
あぁ!一体それは何処に消えたんだーーー!?」
集「五月蝿い。ってかキモい」
この人やっぱ変態だ。そしてあれだな…本当は何処にあるか…いや、『誰が持っているのか』知ってるなこりゃあ。ま、別に良いけど。
集「でもまぁ、葬儀社が
その言葉に嘘界はクスクスと笑うと、彼も「まぁ確かに」と口先だけは同意してくれた。
思った通りこの人は『こっち側』だ。
集「速く見つけないとですねー(棒)」
嘘界「えぇ、でないと大変な事になりそうですね~」
うん。やっぱこの人はとことん悪い奴だけど僕と気が合わないわけではないようだ。
集「あっ、そういえばここ襲撃されるんでしたよね?警備の方はどうなってます?」
嘘界「『我々だけで対処するから援軍は受け付けない』、だそうです」
集「何ともまぁ頼りになるお言葉で」
どうせ楪と城戸取られて何も出来ずに終わるんだろうけど…
どうせ、ね。
集「そうだ、使えないグエン少佐を使って後始末させるか…」
嘘界「…貴方、それかなり双方に失礼ですよ?今更ですが私以上のSですね」
失礼な、僕に
これから何が起こるのか分かっている嘘界は、呆れと楽しみが混じった表情で此方を見ている。
今の会話の
集「そうだ嘘界少佐、楪いのりの事情聴取をお願いしても?」
嘘界「? それは構わないですが…」
嘘界「私で宜しいのですか?何時もなら貴方がやっているのに…」
集「こっちは昨日の事で滞ってる問題があるんだ。そっちを片付けないと」
「それに…」と言葉を重ねる。それはどこか恥ずかしそうな様子だった。
集「…個人的な事情になるんだが、どうも彼女と話してると調子が狂うんだ。何かここら辺がムズッとする」
そういって胸を押さえた。原因は知らないが本当にそんな感じだ。
その時嘘界は何かを察した。
集「それでまともな尋問が行えないなら意味無いしな」
嘘界「そうですか!なら彼女は拷問なしで丁重にもてなさないとですね!?」
集「あ、あぁ頼む?」
集(何でコイツこんなテンション高いんだ?それと拷問を許可した覚えは無いんだが…まぁコイツに命令出来る立場でも無いけど)
嘘界(ふふふ。面白いネタが手に入りました♪)
嘘界「それでは!グエン少佐には頑張って貰うという事で、私は楪いのりさんの事情聴取に行って来るとしましょう!」
集「あぁ頑張って。僕は書類を片付けてくる」
集(何も喋ってくれないだろうけど。ってかそのテンション止めれキモチワルイ)
周りと放された独房の中にいのりはいた。
彼女は牢から出てきたグエンに目の敵にされ、酷い暴力により身体中に傷と痣が出来ていた。
何でも、葬儀社が自分を助けるためにここへ攻撃を仕掛けてくるらしい。彼はその後で行われる葬儀社の殲滅作戦で指揮を任されたのだと言う。
それを決めたのは他でもない、集だった―
自分では動こうとしない集を「奴は偉そうに振る舞ってはいるが、所詮何かのコネで権威を得た卑怯者よ」、と罵っていたグエンの言葉が耳に入らないくらいに、それはいのりの中で響いていた。
何故会って間もない、敵である彼がこれ程までに心の中を占めるのかはいのりにも分からない。
ただ、前に進むのを躊躇っていた彼を見ると恨む気にもなれないのだ。
何かが彼を苦しめている―
そう感じた。
するとその時、部屋に掛けられていたカギが解かれ、ドアが開かれる。そして兵から出るよう指示されたので、大人しく従った。
嘘界「やぁ!どうも、楪いのりさん。映像で見るよりもお美しいですね~」
連れてかれた先で待っていたのは、葬儀社の間でも「油断ならない」と噂されている嘘界だった。
何故かやたらとテンションが高い。
いのり(集じゃないのか…)ショボン
嘘界「おやおや、随分と嫌われてしまったようですね。私よりも桜満少佐の方が良かったですか?」
いのり「うん」
嘘界「そ、そうですか。即答ですか…」
嘘界「まぁ仕方ないですね。彼も不思議な魅力を持っていますからねぇ。」
何だかガッカリさせたようだが仕方ない。本当に集に会いたかったんだから。
嘘界「それよりもどうしました、その傷?」
いのりの怪我に気付いた嘘界が質問するが、何が起こったのかは分かっている様だ。心底性格が悪い。
いのり「別に」
嘘界「そうですか。お気をつけて」
興味が無くなり本題に入る。相変わらず人を見下したような顔をしていたが、その眼は何も見逃さまいとしていた。
嘘界「それで、貴女には聞きたい事がいくつかあります。全て正直に答えてくださいね?」
『全て正直に』のところでわざとらしく大袈裟に強調したのはそういう事だろう。
嘘界「まず最初の質問です。貴女は葬儀社のメンバーですか?」
いのり「うん、そう」
嘘界「…ほぅ。随分とアッサリ教えてくれるんですね~」
いのり「『全て正直に』言うんでしょ?」
嘘界「よろしい」
クックッと何が面白いのか分からないが、相手はあの嘘界だ。取り合えず相手のペースに合わせるしかないだろう。
その後も幾つか質問されたが、いのりは滞りなく返していく。「どうしてテロ活動に協力しているのか」という問いにも、「涯がそう言ったから」と答えた。これには流石の嘘界も驚きを顔に出した。
彼女にとってはそれが当たり前の事で、それを拒むという考え自体起きないのである。
嘘界「では最後です。…の前にこの映像を見ていただきましょうか」
そういって嘘界が見せたのは、涯がいのりと研二を助けると言っていたあの映像である。
嘘界「さて、事情は分かりましたね?ではお答え願いましょう。最高機密を持っているのは貴女達ではないのですか?」
いのり「…え?」
嘘界「
出てこなかった?ふゅーねるから…?
ここまで瞬殺していたいのりも、予想外の事態に驚くばかりで、結局わけが分からないまま牢へ戻された。
嘘界「という風に、彼女はテログループにありがちな思想に見事に染められていますが、最高機密ー"ヴォイドゲノム"の在処については本当に何も知らないみたいです」
嘘界がモニター越しに話しているのはアンチボディズ局長の茎道修一郎だ。集の唯一の上司にして叔父だが、彼とは仲があまりよろしくない。
その彼が何か有りげな面持ちの嘘界に若干訝しげな視線を送る。
茎道「嘘界。お前は本当に何も知らないのか?」
嘘界「嫌ですね局長。私を疑うんですか~?」
茎道「私が知るお前は自分の欲の為なら命令などそっちのけで奇行に走る奴だと思っている」
嘘界「ふふ。よくご存じで」
嘘界「が、残念ながらこの問題は本当に私の知るところではございませんので」
勿論嘘だ。だが、状況に居合わせていない茎道にそれを反論する材料はないので、通信はそれっきりで終わった。
茎道「クッ!!!」
会話を終えた茎道は苦い顔で机を叩いた。
集「よし出来た…っと!」
最後の書類を片付けて時計を見ると午後5時半を回っていた。
集が予測する限りでは、葬儀社はあと一時間半後に第四隔離施設を襲撃する。あくまで集の勘だが彼の勘が外れる事はほぼ無いので恐らく今回もそうだろう。
戦場の現場となる施設にこれを連絡する事も出来るのだが、何しろ「手を出すな」と言われているので口もつぐんだ。(元々言う気は無いのだが)
集(さてと…楪さんに事情を説明しに行かないとな)
ゆっくりと立ち上がり彼女の元に向かう。心なしかその足取りはいつもより軽いように見えた。
牢へと返されたいのりは先程言われた事に酷く動揺していた。
いのり(ヴォイドゲノムが…無い?)
いのり(ううん、そんな事は無い。私はあの時確かにふゅーねるに渡してた。没収された時だってそのままだった筈)
それなのにヴォイドゲノムは何処かと言ってきた嘘界を疑う。だがそれをする意味が分からない。
その時扉が再び開かれた。またグエンが自分で憂さ晴らししに来たの思ったが違った。
そこに居たのは彼女が会いたいと望んでいた集だった。集は自分を見るなり驚いた、次に怒りと悔しさを滲ませた表情をしてくれた。多分いのりの傷を見て悟ったのだろう。
集「ごめん、君をこんな目に遭わせて」
そう言ってくれるだけで救われた気がする。やっぱり集は自分が思っていた通りの人だと。
軍人でありながら自分を心配してくれる、優しい彼がいのりは好きだ。
いのり「…集?」
集「怪我見せて。消毒だけでもしとくから」
いのり「うん」
ぐぅ~~~
いのり「!!!」
前に聞いた事がある可愛い音が、この狭い牢屋に響いた。
集「…」
いのり「…」
集「ぷっ!」
いのり「~~~ッ!」///
集「ハハッ!ごめんごめん、別に馬鹿にしたわけじゃないから」
集「…ここのご飯、美味しくないけど食べる?」
いのり「おにぎり?」
集「? ソフト麺だけど」
いのり「…そう」
明らかに残念そうな顔をして集が持ってきたソフト麺に手を取る。
集のお陰で、いのりは暫しの間だけヴォイドゲノムを忘れる事が出来た。
そう、暫しの間
ズルズルズル
う~ん、確かにこのソフト麺っていうの、あんまり美味しくない。
集「怪我大丈夫?痛くない?」
いのり「ん、平気。痛みには馴れているから」
集「…そういうの、あんまり良くないよ」
いのり「どうして?」
集「楪さんは女の子なんだから、痛いのは素直に痛いって言わないと」
いのり「いのり」
集「ん?」
いのり「いのりって言って」
集「それ前にも聞いたけど?」
いのり「集がそう呼んでくれるまで何度でも言うから」
集「え~、それはヤダなー」
いのり「嫌なら言って」
集「いや、でも…」
いのり「言って」
集「…えっとじゃあ、いのり…さん」
いのり「さんは要らない」
集「あっ、スミマセン」
いのり「」
集「」
いのり「フフッ」クスッ
集「あっ!今笑ったよね?」
いのり「集…可笑しい」フフッ
集「い、いや…いのりの方が可笑しいから」
そんなこんなで話が盛り上がった。思い返してみると、こんなに楽しいのは部活のメンバーと一緒にいる時くらいだっただろう。
だけどここは牢屋。しかも立場が違う者だと、互いに相手の素性が気になってくる。
いのり「ねぇ、さっき集は私に聞いてきたけど、集はどうして軍に入ってるの?」
集「強いて言うなら罪滅ぼし…かな?」
いのり「罪滅ぼし?」
集「うん、これ以上は言えないけど」
仕方ないとは思うが、もっと彼を知りたいという自分もいる。果たしてどうして私は彼にここまで出来るのか疑問に思った。
集「そういえば、いのりって歌手か何かだったりする?」
いのり「そうだけど…どうして?」
集(あぁ~やっぱりか~)
集「前に僕に自分を知らないかって聞いてきたし、いのりの歌が凄く上手かったからもしかしてと思ってさ」
いのり「うん…EGOISTってグループでボーカルやってるんだけど…集が知らなかったのはちょっとショックだった」ショボン
集「へ、へぇ~。そうだったんだ~」
集(それ颯太が言ってたやつじゃね!?)
正しくその通りだ。ここでようやく、集は彼女が颯太の憧れだったことに気がついた。
彼女の事を自己中と勘違いしてたのは言わなくても良いだろう。
集「じゃあさ、君の唄を聞かせてよ」
いのり「え…? 今?」
集「そうだけど…ダメだった?」
別に駄目というわけではない。ただ、ここは牢屋で私は囚人。仲良くしているのを見られては彼の立場が危うくなると思ったのだ。
集「勿論タダでとは言わない。君は歌手だからね、相応の見返りはするつもりだよ」
集「例えば…『コレ』を君に返す、とかね」
いのり「………え?」
集が取り出したモノ。
それは…ヴォイドゲノムだった。
いのりの集に関しての好感度が原作よりも速い気がしますが、立場が反対な分、接点が少なくなると思い巻きでやってます。
何しろ軍の少佐とテログループの幹部ですからね~(笑)