そして少年は世界を救う   作:如月誠

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何やかんやで4話目突入です。
ここから物語は始まっていきます。


君に託す罪の王冠

集が「見返り」と言って差し出してきたヴォイドゲノムに、いのりは(やはりと言うべきか)固まってしまう。

 

 

いのり「どうして……これが?」

 

ここにあるのだろうか-

だってこれは、ヴォイドゲノムは行方が分からないって-

 

 

集「君がグエンに殴られる前に、ふゅーねるからくすねておいた」

 

いのり「ぇ…?」

 

 

さも当たり前であるかのように語る彼の真意が読めない。

 

だって彼は軍人で、自分はテロリスト。

しかもこのヴォイドゲノムを管理する人間なのだから、尚更私にこれを返す意味が無い。

 

 

集「安心してよ。ちゃんと本物だからさ」

 

 

そういう彼はやはりあの温かな笑顔で、とても嘘をついているようには思えない。

 

 

いのり「でもどうして…?集がコレを渡す意味が無いよね?」

 

むしろ不利益な事ばかりだが。

 

 

集「…君はコレを作ったのが誰だか知っているかい?」

 

いのり「桜満…玄周博士」

「集のお父さんだよね?」

 

集「うん、正解。それが答えだよ」

 

いのり「?」コテン

 

集「要は誰かに使って欲しいって事。折角頑張って研究したのに、誰の手にも触れられずただ厳重に保管されて終わるだけなんて、父さんが報われないでしょ?」

 

 

(それだけじゃない…)と、後ではきそうだった言葉をつぐんだ。

 

 

 

集「それに、誰でも良いって訳じゃない。君だからこそ渡せるんだ」

 

いのり「私、だから…?」

 

集「うん。体質的に不可能な人も多いけど、僕が言ってるのはそうじゃない。

ここで葬儀社が君を見捨てるような組織だったんなら渡していなかったけど…そうじゃなかっただろ?」

 

集「葬儀社は君を助けると言ってきた、葬儀社は君を大事にしている。そして君も…葬儀社(仲間)を大事にしている。

だから君にコレを託すんだ」

 

 

集「"ヴォイドゲノムを使うに相応しい"存在としてね」

 

集はニッコリと、それでいて真っ直ぐな眼で私を見てきた。

 

 

いのり「…私が、使うって事?」

 

集「どうせ使ってくれるなら、父さんが望んでいたような人に、って思ってたからね。

君はそれにピッタリだよ」ハハッ

 

いのり「でも、これは涯が…」

 

集「出来ないと言うのなら渡さない。

悪いけど、僕は僕の知らない奴にこのヴォイドゲノムを託す気は無いから。

やるなら君がやってくれ」

 

 

「頼む」とお願いしてきた彼に、私はどうする事も出来ない。

 

 

いのり「……うん、集がそれで良いなら」

 

集「…本当に?」

 

いのり「」コク

 

集「分かった。ありがとう…」

 

 

散々悩んだ挙げ句、彼の要求を受け入れる事にした。

もしここで否定の言葉をいえば、ヴォイドゲノムは本当に彼の手に戻ってしまうだろう。

 

もしかしたら、私が断れない状況になったのも彼の作戦なのかもしれない。

でなければ幾重にもなったこの檻は出来上がらなかっただろうから。

 

 

 

集「じゃあ君にコレを託す。

葬儀社が襲撃を仕掛けて来るのは多分1時間後だ。その騒ぎに乗じてここから抜け出して来て。

ヴォイドゲノムを使ったら楽勝だと思うし」

 

いのり「うん、分かった」コクリ

 

集「外に出たら僕が脱出ルートの所まで送ってあげるから」

 

いのり「…集は大丈夫なの?」

 

集「ん? 僕?」

 

ふと彼が気になった。副局長という地位にありながらやっているのは重大な反逆行為だ。

 

見つかれば死罪もあるかもしれない。

 

 

 

だが、彼は飄々とした態度でまた温かな笑みを浮かべた。

 

 

集「僕は大丈夫だよ。皆自分達の事で忙しいかもしれないしね!」

 

 

 

…が、

 

 

(それに…GHQにとっても俺を敵にはしたくないだろうしな)

 

 

 

心の中では見つかっても問題無いような感じではあった。

 

 

いのり「集?」 

 

集「ん? あぁ、ごめん。大丈夫だよ」

 

いのり「無理はしないで」

 

集「心配ないよ? 嘘界少佐もついてるし」

 

いのり「え、あの人も?」

 

集「うん。まぁ味方ではないけど、今回の件だってきっと分かってるけど邪魔はしてこない訳だし」

 

いのり「そぅ…」

 

 

集(思ったよりもお人好しだな~、僕の心配なんて。

これだって罠かもしれないのに)

 

ま、罠じゃないけど!

 

なんて言うが、他人の心配してるのは何もいのりだけではないのだが。

 

 

 

 

 

集「じゃあ約束通り、君の唄を聞かせてよ」

 

いのり「うん、良いよ。

ただ、集…」

 

集「うん?何?」

 

いのり「いい加減「いのり」って呼んで?」

 

集「アハハ…やっぱりダメ?」

 

いのり「駄目」

 

集「ハァ、分かったよ。じゃあよろしくね、いのり」

 

いのり「ぅん」///

 

 

 

その後、集は何故だか顔が紅いいのりに気付かずに、彼女の歌う唄に心を震わせていた。

 

曲名は「あなたにおくるアイの歌」

 

 

 

 

 

 

そして集の予告した1時間後-

そこでは今まさに葬儀社が襲撃していた。

 

 




最後までヴォイドゲノムを使うのが涯かいのりかで迷いましたが、ここは自分だけの設定で勝負したいと思いました。(いつもそうだし!)

今後の展開共に若干の変更ありますが、頑張って書き続けます!
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