風祭りしてますか?
長らく間を空けてしまい申し訳ない
色々と大変だったことがようやく落ち着いたので
新エピソード、載せまーす
少し駆け足気味なのはご容赦ください。
これ以上書くと文字数がががが
目の前に広がる新しい景色に、思わずあたりをキョロキョロ見渡す。
視界に広がる色とりどりの世界は、今まで知っていたものとはまるで違っていた。
ずっとずっとその昔、御伽噺で聞いたのと同じ。
空は青く、白い雲が浮かぶ。
木々は青々と生い茂り、花は優しくそよ風に揺れる。
水の中から水しぶきをあげながら、或いは木々の間を縫うようにしながら、或いは大地を踏みしめるようにしながら。空に、海に、陸に。様々な命が多数生息している。
そして何より、自分たちの遥か上、空には光り輝く日の玉が浮かぶ。
光。そうだ、ここには光があるのだ。
人が作った人工的なものではない、本物の光。
暗い。
どこまでも暗い場所で、ずっと生きてきた。
でもある日、差し込んできたのだった。
一条の眩しい光が。
それはとても小さな光だったかもしれない。
でもあの時に見た七色の光は、暖かく、そして力強く思えた。
気づいたら自分は、その光の差し込んできた穴へと飛び込んでいた。
物凄いスピードで、何かに引っ張られるかのようにその空間を抜けて、今ここにいる。
ここからあの光が来たということなのだろうか。
探してみよう。
見つけ出そう。
その光はもしかしたら———
———希望になるかもしれないのだから。
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ポケモンスクールの朝、今日も生徒が教室に向かい、ポケモンについて色々学ぶために登校している。もちろん、この物語の主役であるサトシも、それは例外ではない。
「アローラ!」
元気よく挨拶しながら、教室に入ってくるサトシ。既に他のみんなは登校済みで、彼を笑顔で出迎える。
「アローラ、サトシ」
「今日も元気だね」
「へへっ、まぁね」
「それがサトシのいいところ」
「ですね」
いつものようにみんなと話をし、いつものように始業の時間になり、いつものようにネッコアラが鐘を……
「ってあれ?」
「なんだ?」
聞こえてくるのはいつもの鐘の音ではない。まるで何か急かすような音。何かあったのか?思わずサトシたちが顔を見合わせる。
「全員揃ってるな」
と、教室の入り口から声が響く。見ると、いつのまにかククイが教室に来ている。
「博士!」
「何かあったんですか?」
「ああ。詳しい説明は後だ。一先ずここから移動しないとな」
そう言いながら教室に入ってくるククイに、サトシたちは首を傾げる。どこかにいくのであれば何故教室に入って来るのだろうかと。
と、
「さぁみんな、行ってこい!」
と、ククイが黒板の下を何やらいじる。突然、黒板に青い円状の模様が浮かび上がる。そこへククイが手を置くと、
———ゴゴゴゴ
いつも使っている教室のロフト、その側面が周り、中が露わになる。
木製の造りがあるかと思いきや、現れたのは空洞。それも金属で周囲を補強してあるものだ。まるで人が入るためのもののよう……って、
「「「「「「えええええええっ!?」」」」」」
「そらみんな、出動だ」
「「「「「「いやいやいやいやいやいや」」」」」」
キリッとキメ顔をしながらサトシたちに出動を告げるククイだったが、流石に全員からツッコミをくらう。
「何これ何これ!?」
「こんな仕組み前からあったっけ!?」
「ない、と思う」
「ハイテク過ぎるだろ」
「博士、出動って?」
「どこかに行くのですか?」
質問疑問、色々尽きないサトシたちではあったが、
「行けばわかるって」
と、ククイが笑顔で黙秘する。何が待ってるのかはわからないけれども、
「よし、行ってみようぜ!」
サトシの一声で、みんな順番に中に入って行く。最後にバクガメスが入ると、ロフトの壁がまた動き出し、出入り口を塞ぐ。
と、足元がガクンと小さく揺れ、サトシたちを乗せたまま、下り始めた。
「これ、エレベーター?」
「何だか秘密基地っぽいね」
「楽しい、すごく!」
深く、深く、サトシたちは降りて行く。もうスクールの下に来たのではないだろうか。
「わっ、何!?」
「何だこれ?」
リフトの下から、サトシたちを色とりどりの布が包む。カキは赤、マーマネは黄色、マオは緑、スイレンは水色、リーリエはピンク、そしてサトシは青。グローブにブーツ、プロテクター。まるでどこぞのヒーローのスーツみたいだ。
「おおっ!かっこいいじゃん、これ!」
「ああ。動きやすいし、丈夫な感じだ」
「あ、わたくしなんだかわかったかもしれません」
スーツの装着を終えると、丁度リフトが目的地に到着したところだった。目の前に広がる光景に、サトシたちは皆驚きを隠せない。
広い部屋には、様々な機械が設置されている。よく見ると通信端末や、ポケモンセンターにあるのと同じ回復用のボックス、いくつものパソコンと、かなり充実している。
「すっごい……」
「こんなところがポケモンスクールにあるとはな」
「あ、いえ。多分元からあったのではなく「ピクシー!」……あら?」
何かを言おうとしていたリーリエの声に被さるように、誰かの声が聞こえる。見ると、通信端末の前にいつのまにか、ピクシーが立っている。
「ピクシー!」
「この子、リーリエの友達の?」
「ええ。ということはやはり」
リーリエの確信を裏付けるように、モニターに映像がつく。映ったのは3人の女性。そのうち1人が机に座り、鋭い視線で彼らを見つめる。
『ようこそ、ウルトラガーディアンズ』
「お母様!」
「「「「「ルザミーネさん!?」」」」」
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『驚いてくれたかしら?基地の建設を極秘でやっててよかったわ』
「建設ってもしかして」
「この基地、ルザミーネさんが?」
『ええ。君たちに、ウルトラガーディアンズとして力を貸して欲しくてね』
お茶目なウィンクをするルザミーネ。その両脇に立っているビッケとバーネットは、どこか微笑ましげに見ている。思わず額に手を当て、小さくため息をつくリーリエ。
「もう。変な所子供みたいなんですから」
「ルザミーネさん。ウルトラガーディアンズって?」
サトシがみんなを代弁し聞いてみる。
『ウルトラガーディアンズ。それは、私たちエーテル財団が結成を決意した、全く新しい組織よ。その活動は主に、ウルトラビーストに関連するわ』
「ウルトラビーストに?」
『ええ。サトシくん言ってたでしょ?ウツロイドの声が聞こえたって』
「ウツロイド?」
『レジストコードはUB01PARASITE。君たちもよく知っている、あのクラゲのように見えるウルトラビーストよ』
『ウルトラガーディアンズ結成に伴い、私たちはウルトラビーストに名前をつけることにしたのです』
バーネットとビッケが補足すると、サトシたちの前に、ホログラムでウツロイドが映し出される。
『それで、さっきの話なんだけど。サトシくんはウルトラビーストの声を聞いたのよね?』
「はい。帰りたいとか、仲間じゃないとか……とにかく怯えていたような感じがして」
『その話を元に、私たちはウルトラビーストについて大きく考え直すことになったの』
『記述にあるウルトラビーストの情報は、どれも彼らを異世界からの侵略者として描いていました。実際、ウルトラビーストが暴れ、被害が起きたのは事実のようです』
『でも、それは侵略しに来たからじゃない、そう私たちは考えたわ。きっとそれは、見知らぬ場所に突然来てしまったことによる、恐怖や戸惑いから来た防衛本能なのよ』
バーネットたちの話に、サトシは思わず頷く。実際アルセウスの言葉を聞き、サトシたちが害をなすものじゃないと聞いた時、ウツロイドたちは攻撃をすぐに止めてくれた。きっと彼らは不安だっただけなのだろう。
不安故にその力を使い、その結果、ルザミーネが取り込まれることとなってしまった。
『私たちは、今後のウルトラビーストに関わる姿勢を考え、そして結論を出したわ。この世界に現れた彼らを保護し、元の場所に帰る手伝いをしてあげる。そのための組織が、ウルトラガーディアンズよ』
ガーディアンとは守る者。戦うのではなく、追い出すのではなく、守り、愛し、慈しむ。ポケモンに対してポケモンレンジャーがするように、ウルトラビーストに寄り添う者。
『そしてそのウルトラガーディアンズには、あなたたちがふさわしいと考えたの』
「わたくしたち、ですか?」
『あなたたちは、実際にウツロイドと関わり、ウルトラビーストのことを誰より間近で見ているわ。それにポケモンたちに対する姿勢、トレーナーとしても理想的なものよ。だから、あなたたちにお願いしたいのよ。ウルトラガーディアンズにとして、ウルトラビーストを助ける手伝いをしてくれないかしら?』
真剣な表情のルザミーネ。冗談や遊びで聞いているのではないのがわかる。彼らも、ウルトラビーストのことは確かに一般のトレーナーよりはわかっているつもりだ。その恐ろしさも。
かつて守り神のポケモンたちと激闘を繰り広げたと言われるだけあって、生半可な存在ではない。
けれども、
「俺、やります!」
彼らを放っておくなんてこと、サトシにできるはずがなかった。ウツロイドの声を聞いただけあってなおさらだ。彼の深い愛情は、どんな時でも助けを求める者を見捨てない。
「わたくしも、頑張ります!」
「うん、やろう!」
「賛成」
「僕だって!」
「当然俺もだ」
1人、また1人と、彼らは賛成の意を示す。瞳に宿るのは強き決意。危険かもしれない。大変なことかもしれない。それでも、
彼らには行動しない理由がなかった。
『ありがとう。やっぱり、あなたたちに頼んでよかったわ』
安心したような笑顔を見せるルザミーネ。すぐさまキリッとした表情に変わる。
『早速だけど、ウルトラビーストの目撃情報が出たわ。ウルトラガーディアンズ、ファーストミッション開始!』
「「「「「「了解」」」」」」
『あぁ違う違う』
「「「「「?」」」」」
何か間違えただろうか、思わず顔を見合わせるサトシたち。
『ウルトラガーディアンズのための特別な掛け声を考えておいたの。了解、じゃなくて、ウルトラジャー!、でお願いね』
最後にウィンクしながら、ビシッとポーズを決めるルザミーネ。両隣でバーネットたちが苦笑しているのが見える。
「お母様……恥ずかしいです」
「カッコイイ!」
「へ?」
思わず額に手を当てていたリーリエだったが、サトシの反応に目が点になる。
「特別な掛け声かぁ、うん、カッコイイ!」
「なんか本物のヒーローみたいだな」
「こういうの、前から憧れてたんだよね〜僕」
サトシだけではなく、何やらみんな盛り上がっている。どうやらみんなは気に入っているらしい。
『じゃあ、もう一度。ウルトラガーディアンズ、ファーストミッション、開始!』
「「「「「ウルトラジャー!」」」」」
「ウ、ウルトラジャー」
戸惑いを隠せないリーリエだったが、一先ず掛け声を決まり、本格的にウルトラガーディアンズのミッションが始まる。
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『今回現れたのは、このウルトラビーストよ』
スクリーンに映し出されたのは、一体のウルトラビーストが様々なポケモンと戦っている様子。
真っ赤な体に、尖った嘴のような口元。樹木の根のようにも見える4本の足。そして筋骨隆々上半身。
『私たちはこのウルトラビーストを、マッシブーンと名付けたわ』
画面の中のマッシブーンが次々にバトルしている。ゴロンダの群れ、ドサイドン、カイリキー4体、ケッキング。パワーの強いポケモンたちを圧倒するその様は、まさに「massive」を体現する。
「すごいパワーだな」
「圧倒的だよ」
画面の中でマッシブーンがハガネールを投げ飛ばしているのを見ながら、カキとマオが呟く。と、
「カッコイイ!」
と、スイレンが目をキラキラさせている。どうやらスイレンのツボにはまったらしい。スイレンの意外なフェチズム(こらこら)はさて置き、あの怪力で暴れまわるマッシブーンをまずなんとかしなければならない。
『ルザミーネ代表、今まで集められたウルトラビーストのデータ、僕にダウンロードさせて欲しいロト』
『もちろんよロトム。あなたもウルトラガーディアンズの一員ですもの。しっかりとみんなをサポートしてあげて』
『ウルトラジャー!データ、ダウンロードロト!』
ピクシーの用意した端末に接続するロトム。新しい情報が図鑑のメモリにインストールされて行く。
『ビビッ!マッシブーン、ぼうちょうポケモン』
「ポケモン?」
『ええ。研究の結果や、みんなからの証言をもとに、ウルトラビーストは分類上ポケモンであると認定されたの』
「ウルトラビーストもポケモン、か」
『マッシブーンはむし・かくとうタイプ。その剛腕から繰り出されるパンチは、大型トラックさえも弾き飛ばす。かなりの強敵ロト!』
『現在、マッシブーンはメレメレ島のあちこちを移動しているみたい。みんなにはマッシブーンを保護し、ウルトラホールから元の世界に帰れるように、助けてあげて欲しいの。お願いできるかしら?』
「捕獲ってどうやってですか?」
『方法は既に用意されているわ。ピクシー、アレを持ってきて』
ルザミーネに頼まれ、ピクシーが少し大きめの箱を持ってくる。箱を手渡されたサトシが蓋をあけると、中には以前見た特殊な形のボール、ウツロイドを捕獲する際に、ルザミーネが使用していたものだ。
『ウルトラボールよ。前に見たことがあるとは思うけど、それの性能を少し変えてあるの。そのウルトラボールでウルトラビーストを捕獲してちょうだい。それから、』
ルザミーネの言葉を引き継ぐように、ピクシーが今度は別の箱をリーリエに手渡す。こちらの中にはきのみや薬がたくさん詰め込まれている。
『何があるかは分からないから、こちらで色々と用意しておいたわ。自由に使ってもらって構わないわ』
「こんなにたくさん……ありがとうございます」
『みんな、用意はいい?』
「「「「「「はい」」」」」」
『よし。もう一つのリフトから、出動できるわ。とある協力者から、みんなの力にって贈りものも待ってるわ』
「とあるお方?」
「贈りものって、なんですか?」
『それは見てのお楽しみよ。それじゃ、ウルトラガーディアンズ、出動!』
「「「「「「ウルトラジャー!」」」」」」
基地から続くもう一つのリフトに乗ったサトシたち。出動のためのドックへと彼らが運ばれていく。
『空ライドポケモンが待機しているわ。みんな、頑張って』
ビッケの声を聞きながら、サトシたちが一人一人別のドックへ運ばれる。リフトが運んだ先で、それぞれのライドポケモンが彼らをへ出迎える。
「メタングだ!よろしくね」
「メタッ」
「ハクリュー、行くよ」
「リュー」
「あたしマオ。よろしくね、フライゴン」
「フラァイ」
「チルタリス、お願いします」
「チル」
「俺の相棒はやっぱお前か!頼むぜ、リザードン」
「グルォ」
それぞれのパートナーにカキたちが跨る中、サトシだけ、自分のライドポケモンの前で立ち止まっていた。
「サトシ?」
「どうかしたの?って、その子……」
「もしかして……」
「ああ、ちょっとビックリしてただけだよ。へへっ」
そう言ってサトシが嬉しそうに笑う。ピカチュウもサトシの肩から飛び出し、そのポケモンの背に乗る。
「贈りものって、お前だったのか」
サトシを見ながら、そのポケモンは頷く。その様子に、サトシは帽子を被りなおし、顔を上げる。
「よぉし。頼むぜ」
キラリと、そのポケモンの首元にある、サトシとお揃いの赤と白のリボンについた装飾が煌いた。
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ポケモンスクールにいるナッシーたちが一斉に構内にに設置された川のそばに集まる。まるで何かを見送るかのように整列する様子に、思わずスクールの生徒たちは注目してしまう。
と、突然川の水が割れ、途中からまるで滝のように地面へと吸い込まれて行く。いつの間にできたのか、川の底がどんどん沈んで行き、大きな空間が現れる。
一体何が始まるのだろうか。戸惑う生徒たち。
すると、滝の裏側から何かが飛び出す。水の壁を突き破り、水しぶきをあげながら悠然と空へと飛び出した巨体。黄金のトサカに付着している水滴が、陽の光を受け煌めく。
雄々しく、たくましく、美しい。
「ピジョーット!」
「ピジョットだ!」
「おっきい!」
「でもどうしてここから?」
「あ、誰か乗ってる!」
ピジョットの背に跨る人影。見たことのない青いヒーロースーツのような服を着ていても、そのトレードマークでもある帽子は変わらない。
「あれサトシだよ!」
「また誰か来る!」
ピジョットに続くように次から次へと滝からポケモンが飛び出す。それぞれが背中にサトシと同じクラスのメンバーを乗せている。
「どこに行くんだろう?」
「あれはウルトラガーディアンズじゃヨノワール」
飛び去るサトシたちを見送る子供達に、オーキド校長が話しかける。
「ウルトラガーディアンズ?」
「うむ。サトシ君たちは、ウルトラガーディアンズとして、ポケモンたちを助けに行くことになっタマザラシ、トドグラー、トドゼルガ。みんなも、応援して上げるといイベルタル」
そんな会話が行われていることなど露知らず、サトシたちは空からマッシブーンの捜索を行っていた。と、ルザミーネからの通信が入る。
『マッシブーンの目撃情報があったわ。そのあと進んだ方向をロトムに送信するわ。みんなはそこへ向かってちょうだい』
「ウルトラジャー。ロトム、頼んだぜ」
『お任せロト!みんな、しっかり着いてくるロト!』
ロトムの後を追うように、サトシたちが進むと、何やら大きな爆発音のようなものが、聞こえてくる。
「もしかして、誰かバトルしてるんじゃないか?」
「片方がマッシブーンだったりして」
「行ってみよう!」
爆発が起こった現場へとサトシたちが近づくと、カビゴンに覆いかぶさるようにし、拘束している赤い体のポケモンが見つかった。鍛え上げられた上半身に、4足の脚。その特徴はマッシブーンに一致する。
口の針から栄養を吸い取っているようで、カビゴンが萎んでいってしまっている。
「リーリエたちはカビゴンを頼む。マッシブーンは、俺が引きつける」
「わかりました」
「サトシ、気をつけてね」
「ああ。行くぜ、ピジョット!」
サトシの声に応えるように、ピジョットが加速する。空を飛ぶポケモンたちの中でも、ピジョットのそれは別格である。全力のピジョットでは、他のメンバーを置いてけぼりにしてしまうためセーブしていたが、カビゴンを、そしてマッシブーンを助けるために、サトシは先行した。
「マッシブーン!」
「マッシ?」
突然現れたサトシに驚いたのか、マッシブーンがカビゴンを離し、その場を離れる。カビゴンのケアをリーリエたちに頼んであるため、サトシはマッシブーンを追った。
少し開けた場所でサトシに向き合うように体を反転させるマッシブーン。ジッと見つめてくるその視線は、サトシの様子を伺っている。
「マッシブーン。お前が元の世界に帰れるように手伝いに来たぜ」
「マッシ……」
どうやらうまく言葉では伝わっていないらしい。アルセウスの言葉は通じたんだけどなぁ、とサトシが頭の後ろをかく。
「えーと……一回俺たちが保護するから……それで、元の世界に……あーうまく説明できないや」
対話でうまくいけばベストではあるが、いかんせんこれ以上わかりやすく伝える方法が思いつかなかった。
が、サトシたちにはまだ最後の対話の手段が残されている。
「とにかく!俺たちとバトルしようぜ!」
「ピッカピィカ!」
「マッシ?」
首をかしげるマッシブーンに対し、サトシは握った拳を向ける。何か伝わったのか、マッシブーンが構える。
「行くぞ、でんこうせっか!」
「ピィカ!」
得意の速攻を仕掛けるピカチュウ。相手のパワーは重々承知。ならばパワーではなく、スピードで挑もうと考えたが故の行動。しかし、
「ピカッ!?」
「速い!」
特に技を使った様子もなく、マッシブーンはピカチュウの初撃をかわす。巨体からはとても想像つかないその素早さに、サトシもピカチュウも驚き、動きが止まる。
「マッシ!」
「っ!アイアンテール!」
掌底気味に繰り出される攻撃に、サトシが咄嗟の指示を出す。身体を捻るように繰り出した尻尾の一撃とマッシブーンの掌がぶつかり合う。
「大丈夫か、ピカチュウ?」
「ピカ!」
「流石に強いな……けど、まだまだ上げて行くぜ!エレキボール!」
ニヤリと笑みを向け合い、サトシとピカチュウがまたマッシブーンに挑む。飛ばされてくる電撃の塊をマッシブーンが拳で迎え撃つ。電気が弾け、電撃の球がかき消されるも、
「隙あり、アイアンテール!」
いつの間にか懐まで接近していたピカチュウからの強烈な一撃を受け、マッシブーンがわずかに後退し、ピカチュウも衝撃の反動で空に跳び上がる。
「10まんボルト!」
「ピーカー、チューウ!」
上空から狙いを定めたピカチュウの得意技が、マッシブーンに命中する。強烈な電撃を身に浴び、流石のマッシブーンもダメージを受けたのかよろける。
同じ時、天にも登るほどのピカチュウの電撃を見て、喜んでいるポケモンがいた。紫色の小さな身体、光り輝く攻撃を出すピカチュウを嬉しそうに見つめる瞳。
その存在にサトシたちは気づいていなかった。この時の出来事がまさか彼らを、とりわけサトシを、大きな事件に巻き込むことになるなんて、誰も想像できなかった。
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カビゴンの回復を終え、カキたちが先行したサトシとマッシブーンを追ってくる。サトシのことだからもうバトルしてるのではないかと思ったら、
「やっぱり始めてる」
「マッシブーン、かっこいい!」
「スイレンがああいうの好きなのは少し意外だな」
「でも、流石ピカチュウですね。あの体格差でも渡り合えています」
激突する拳と鋼の尾。パワーで劣るものの、ピカチュウは縦横無尽に駆け回り、様々な体勢から攻撃を繰り出し、マッシブーンを翻弄する。一方マッシブーンは小柄なピカチュウを捉えられずにいるものの、その素早さにしっかりと対応している。
(よぉし、これなら……)
サトシがマッシブーンに向けて掌をかざす。小さく息を吐き、身体の力を抜く。意識をマッシブーンの方へ向けながら、呟く。
「波導は我に有り」
ボンヤリと、マッシブーンの波導がサトシに伝わる。言葉が通じなくとも、その感情を知ることはできる。心に語りかけることはできる。サトシはマッシブーンの心に耳を傾ける。
(見タコトナイヤツ……強イ……力……競ウ……燃エル!)
伝わってくるのは戸惑い。でもそれ以上の楽しさ、嬉しさ。力と力、そのぶつかり合い、競い合いにマッシブーンは喜びを感じているらしい。
どうやら彼は、戦闘好きなウルトラビーストらしく、恐怖故に攻撃してきたウツロイドと違い、このバトルに喜びを見出している。
「熱いやつだな、マッシブーンは!なら、まだまだ行くぜ!でんこうせっか!」
全速力で駆け出したサトシのピカチュウが渾身の体当たりを繰り出す。マッシブーンもそれを正面から拳で受けて立つ。大きな衝撃音とともに、空気が波紋状に震える。
互いに後退するピカチュウとマッシブーン。ニヤリとピカチュウが笑うと、マッシブーンが頷く。
「いいぜ、マッシブーン!お前に見せてやる!ポケモンとトレーナーの絆、俺たちの全力!」
正面勝負には正面勝負。サトシは腕のZパワーリングのクリスタルを取り替える。デンキからノーマル、遠距離から近距離へ。
「全力のぶつかり合いだ!行くぜ、ピカチュウ!」
「ピィカ!」
「おっ、あの技は久々だね」
「ポケモン同士のぶつかり合い!」
「こんな興奮してるスイレン珍しいね……サトシ、ピカチュウ、ファイト!」
サトシからピカチュウへ、エネルギーが流れる。溢れるような光に、マッシブーンも動きを止め、驚いたかのように凝視する。
「行くぜ、マッシブーン!これが俺たちの!全力だ!」
「ウルトラダッシュアタック!」
地面を蹴り、猛スピードでかけるピカチュウ。真正面から突っ込んでくるピカチュウに対し、マッシブーンは4本の足で大地を踏みしめ、力を込めた拳を繰り出す。
激しい激突音が響き、衝撃が先ほどとは比べ物にならないほどに周囲を震わす。衝撃によって生じた土煙から、サトシたちは身を守るように身構える。
土煙の流れも落ち着き、どうなったのかを確認するサトシたち。ピカチュウとマッシブーンは、共に全力を出し切ったのか、地面に倒れそうになりながら、肩で息をしている。
「サトシ!2人の怪我を治します。一先ず捕獲を!」
「ああ。頼むぞ、ウルトラボール!」
ボールの中に吸い込まれたマッシブーン。少し揺れ、ボールのランプが消える。どうやら無事に捕獲に成功したらしい。
「マッシブーン、ゲットだぜ!って、ゲットじゃ変かな?」
「ま、いいんじゃないか?マッシブーンもポケモンだし、ゲットと同じようにバトルしてるし」
「じゃあ、ウルトラジャー!みたいにすればいいんじゃないかな?」
「なるほど……じゃあ改めて、マッシブーン、ウルトラゲットだぜ!」
「サトシ、こっちの準備はいいよ」
「オッケー。それじゃあマッシブーン、出てこい」
ボールから出てくるなりマッスルポーズを決めるマッシブーン。が、やはりダメージが大きいのか痛がるそぶりを見せる。
「ごめんな。少しやり過ぎちゃったかもな」
「傷を治します。少ししみますけど、我慢してくださいね」
「ピカチュウ、お疲れ様」
「うんうん。かっこよかったよ。手当しよっか」
サトシたちがマッシブーンとピカチュウの手当をしている間に、カキはルザミーネたちに連絡していた。
「マッシブーンの捕獲、無事に終わりました」
『ありがとう。こっちも丁度マッシブーンが来たらしいウルトラホールの場所が特定できたの。メレメレの花園で合流するよう、みんなに伝えてくれるかしら?』
「ウルトラジャー」
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後日談、というか今回のオチ。
……いや、何もオチないけどさ。
メレメレの花園についたサトシたちを出迎えたのは、ルザミーネ、バーネット、ビッケ、そしてククイの4人だった。
以前ザオボーが使ったウルトラホールを開く装置を応用し、マッシブーンの世界への入り口を開くことに成功した。
サトシのウルトラボールから出たマッシブーンは、空に開くウルトラホールを見て、喜んでいるように目を輝かせる。
飛び上がったマッシブーンは、最後にサトシたちを振り返り、
「マブシッ!」
とポーズを決め、ウルトラホールの向こうへ消えて行った。
「さっきの、マッシブーンなりのありがとうってことだったのかな?」
「かもな」
「かっこよかった……マッシブーン!」
「みんな、初めての任務ご苦労様。これからも度々ウルトラビーストが現れるかもしれない。その時には、今回のように、ウルトラビーストを助けてあげてくれる?」
「はい」
「もちろんです」
「ありがとう。改めてお願いね、ウルトラガーディアンズ」
「「「「「「ウルトラジャー!」」」」」」
こうして、サトシたちウルトラガーディアンズのファーストミッションは、無事に達成された。果たしてこれから、どんなウルトラビーストとの出会いがあるのか。それはまだ誰もわからない。
(光……強イ光……同ジ……)
元の世界に帰りながら、彼は考える。
あの最後の一撃について、考える。
(光ノ、神……)
遠い———遠い———果てしなく遠い。
流星の如き道の果ても果て。
そのものは蠢く。
苦しみ悶える。
無くしたものを求め、その禍々しく歪んだ手を伸ばす。
(光———足リナイ———光)
——— To be continued……
ロイヤルドーム
そこはポケモンたちによる激闘が繰り広げられる、熱い場所!
そのチャンピオンがロイヤルマスク。
一体どんな人なんだろうな。
相棒のガオガエンもスッゲェ強いし!
って、ニャビー!?
ロイヤルマスクと戦いたいのか?
よぉし、行くぜ!
お前の燃え上がる炎、見せてやろうぜ!
次回、XYサトシinアローラ物語
燃えろニャビー!炎の闘志、爆現!
みんなもポケモン、ゲットだぜ!