もう追いついちゃうよ、どーしよー
いよいよ大試練当日、サトシたちは朝食をしっかりととっていた。
「おっ、この前のことが新聞に載ってるぞ」
「えっ?」
ククイ博士の読んでいた新聞にはラッタやコラッタを退治した時のことが記事になっていた。そこにはぬしポケモンのデカグースと握手をするサトシの写真も載っていた。
『島キングのハラさんとともに現れたサトシ少年はぬしポケモンの協力を得て大いに貢献したって書いてあるロト』
「大活躍ですね。サトシもこのメレメレ島ではもう有名人です」
『なお、サトシ少年には感謝状が贈られることとなっている』
ちょうどそのタイミングで家のチャイムがなった。ドアを開けると、そこに立っていたのはジュンサーさんと、新しくパートナーになったデカグースだった。
「アローラ、サトシくん」
「アローラ、ジュンサーさん。アローラ、デカグース」
「グース」
「いよいよ今日は大試練ね。準備はもうできてるかしら?」
「はい。もうばっちりですよ」
「昨日帰ってきてからずっと作戦を考えたり、Z技の練習をしていましたもの」
「良かったらリリィタウンまで送りましょうか?車で来てるし、皆さんも一緒に」
「いいんですか?」
「ありがとうございます」
「助かるよ。でもまさかそのためにわざわざ?」
「あぁっ!?忘れるところだった!」
いそいそと手に持っていたものを開くジュンサーさん。どうやらサトシの感謝状らしい。
「メレメレ島を代表し、この度島へ大いに貢献したサトシ殿に感謝を込め、進呈します」
「俺に、ですか?でも、実際に追い払ってくれたのは俺じゃなくてデカグースたちだったんですけど」
「ぬしポケモンのデカグースが力を貸してくれたのは、サトシのことを認めたからだ。それはサトシの功績さ」
「博士・・・ジュンサーさん、ありがとうございます」
感謝状を手に取るサトシ。その様子を見ながら博士やリーリエは自分たちのことのように嬉しく思った。既に共同生活を始めて幾ばくか経つが、彼らはもう家族のようだった。
「それじゃあ行きましょう。リリィタウンへ」
「はい!」
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「それでは私はこれで。サトシくんの大試練突破、応援していますね」
「しっかりと伝えとくよ。ジュンサーさんも、お気をつけて」
「乗せてくださり、ありがとうございました」
「いえいえ。ではまた」
仕事があるため、ジュンサーさんはサトシたちを送り届けた後、すぐに帰ることとなった。メレメレ島の人たちを助けたあの小さな英雄が、島キングの大試練を攻略できるかどうかはすごく気になっていたが、仕事を放棄するわけにもいかないため、後ろ髪を引かれながらもジュンサーさんは車を出した。
「リーリエもずいぶん卵になれたな」
博士とともにジュンサーさんを見送ったリーリエの腕の中にはしっかりと卵がケースに入れられ、抱かれていた。
「今日はどうして連れて来たんだい?」
「せっかくなのでバトルの雰囲気を感じさせてあげようかと思いまして。サトシと島キングのバトルは卵の中にいるこの子にとって、いい刺激になるかもしれないと思ったので」
「それもサトシのアイディアかい?」
「いえ、サトシは卵のうちからいろんなことに触れさせてあげると良いと。それでサトシのポケモンや、私たち人間、いろんな場所といろいろ見せてあげたくて」
「リーリエも、すっかり育てることを楽しめるようになったな〜」
最初はいつ動くのかビクビクしていた時もあったというのに。成長が早いのは子供ゆえか、それともサトシがいるからか。
『サトシはまだかかるロト?』
「もう少しで戻ってくるさ」
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少し離れた場所、戦の祭壇と呼ばれる場所で、サトシは島キングのハラと共に守り神、カプ・コケコに祈りを捧げていた。
「これより大試練のバトルを行います。アローラの守り神、カプ・コケコよ。我らに力を与え給え」
「カプ・コケコ。俺とハラさんのバトル、ちゃんと見ててくれ。きっといいバトルにしてみせる」
風によって揺れる木々。そのざわめきの中に応える声が聞こえた気がした。姿は見えないし、気のせいかもしれない。それでもサトシはそれをカプ・コケコからの返事と捉えた。
正座したまま閉じた目を開くサトシ。その瞳は挑戦に対する期待とやる気で燃えていた。
しかし、ジュンサーさん、サトシ来るまでパートナーいなかったのか
どうやってポケモンに関する事件とかに当たっていたのだろうか