XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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ストックはここまでです

今後の投稿は遅れまーす、これ絶対

バトルの内容、ちょこっといじりました


メレメレ島の大試練

「そろそろ始めますかな」

「サトシ、頑張ってください!」

「あぁ。行ってくるな」

そう行って卵を撫でるサトシ。応えるように卵が反応する。その中のポケモンにも応援してもらっている気がしたサトシは、卵のためにもいいバトルを見せたいと思った。

 

バトルフィールドであるステージの上に立つサトシとハラ。審判はククイ博士が担当することとなった。

 

「それではこれより、島キングハラさんと島巡り挑戦者サトシの大試練バトルを開始する!」

「モクロー、君に決めた!」

 

サトシの1体目はモクロー。島キングのハラはかくとうタイプ使い、相性で言えば有利な選択だ。ロトムはいつもの様子や前回の試練の時からまた寝ているのではないかと予想していたが、

 

「クロー!」

 

大きな声とともにボールから飛び出したモクローはやる気に溢れていた。いつものおっとりしている雰囲気とも違い、獲物を狩るかのような目だった。

 

「頼みますぞ、マケンカニ!」

 

対するハラのポケモンはサトシの見たことのないポケモンだった。

 

『マケンカニ、拳闘ポケモン。かくとうタイプ、てっぺんを取ることに燃えている。戦う時は拳で弱点をガードしつつパンチを放つ』

 

「サンキュー、ロトム」

 

対峙する二体。戦いの火蓋は切って落とされた。

 

「マケンカニ、バブルこうせん!」

「モクロー、躱してつつくだ!」

 

先手を取ったマケンカニのバブルこうせんを難なく躱し、モクローはマケンカニに突っ込んだ。ひこうタイプの技が決まり、マケンカニが大きく吹き飛ばされる。

 

「攻撃の手を緩めるな、連続でつつく!」

 

体制を立て直したマケンカニめがけて再びモクローが攻撃を仕掛けた。が、マケンカニはハサミの一つでモクローの翼を捉えることに成功した。

 

「そのままぶんまわすのです!」

 

捕らえられたモクローは勢いよく振り回され、空へと投げ飛ばされた。目を回し、体制を立て直せていなかったモクローに追撃のグロウパンチが決まる。

 

「くっ、本当に強いなハラさんのマケンカニは。弱点を守ってるんだよな。弱点は多分あのお腹の部分だ。そこを狙えれば・・・モクロー、このは!」

「クロ、クロー!」

「バブルこうせん!」

 

羽ばたきによりこのはを飛ばすモクロー。それをマケンカニはバブルこうせんで相殺した。あたりに煙が立ち込める。煙が晴れると、上空にいたはずのモクローの姿がなかった。

 

「なんと!?」

「連続でつつく!」

 

いつの間にかマケンカニの後ろに回り込んでいたモクローが一撃、また一撃と突然の襲撃に驚き動けなかったマケンカニに攻撃を当てる。

 

「ハサミでガード!」

 

流石に驚きから回復したマケンカニはモクローのくちばしを片方のハサミで受け止める。

 

「グロウパンチ!」

「躱して体当たり!」

 

反対のハサミから繰り出されたパンチを紙一重で躱したモクロー。両のハサミがガードを崩したその瞬間に強烈な蹴りをマケンカニの腹部に叩き込んだ。大きく吹き飛ばされたマケンカニはステージの外へ落下し、そのまま目を回してしまった。

 

「マケンカニ、戦闘不能。モクローの勝ち」

「やりました!」

 

見事勝利したモクロー。しかし激しいバトルに疲れたのか、サトシの元へ戻ると同時に眠ってしまった。

 

「よく頑張ったな、モクロー。ゆっくり休んでくれ」

「サトシくん、先ほどのモクローの技、上手く繋げましたなぁ」

「モクローは音も立てずに相手に近づくことができるんです。だから目くらましを使えばチャンスが作れると思ったんです」

「うむ。自分のポケモンのことをよく見ていますなぁ。では次です、ハリテヤマ、お願いしますぞ」

「頼むぞ、ピカチュウ!君に決めた!」

「ピッカァ!」

 

ハリテヤマを出したハラに対し、サトシは相棒のピカチュウにかけることにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ピカチュウ、アイアンテール!」

「ピカ、チュー、ピッカァ!」

「ねこだまし!」

「ハリ!」

 

素早い動きで接近したピカチュウのアイアンテールをハリテヤマはねこだましで、白刃どりのように防いでしまった。驚き動きが固まったところを、そのまま勢いよく地面に叩きつけられるピカチュウ。小さい体が衝撃で宙に浮く。

 

「エレキボールだ!」

「つっぱり!」

 

繰り出された電気の塊はハリテヤマの手のひらにぶつかるとかき消されてしまった。そのまま手を大きく開いたハリテヤマが落下するピカチュウを狙う。

 

「くっ、アイアンテールで軌道を反らせ!」

 

落下しながら体をひねるピカチュウ。尻尾の一撃がハリテヤマの手とぶつかり、その反動を利用しピカチュウは距離を取ることに成功した。

 

「ほぉ」

「ハラさんの連続技も流石だが、サトシもやるな」

「あんな攻撃のかわし方もあるのですね」

 

「ハラさんのハリテヤマ、普通に攻撃するだけじゃパワーで負ける。何か意表をつくような攻撃じゃないと。よし、もう一度アイアンテール!」

「同じ技ですか。確かにねこだましはもう使えませんが。ハリテヤマ、防ぐのです!」

 

再び繰り出されたアイアンテールは最初と同じように両の手によって挟み込まれた。それを見てニヤリと笑うサトシ。

 

「ピカチュウ、そのままエレキボール!」

「なんと?」

 

挟み込まれた尻尾に電気のエネルギーが溜まる。敵の攻撃を封じたはずのハリテヤマがむしろ逃げられなくなった。ガラ空きの胴体にエレキボールが炸裂し、ハリテヤマが膝をつく。

 

「これは中々、油断の隙もありませんな。全力の私たちの技を見せませんと。ハリテヤマ、はらだいこ」

 

自らの腹を叩き、音を響かせるハリテヤマ。自らの体力を減らす代わりに自身の攻撃力を最大限に高める技だ。それはすなわち、ハラが一気に勝負をつけるつもりでいるということ。

 

「行きますぞ、ハリテヤマ」

 

腕を交差するハラ。その腕のZリングからまばゆい光が溢れ、ハリテヤマの身を包む。

 

「我、メレメレの島、そしてカプ・コケコと意志を共にする、島キングなり!今こそ、全ての力を一つに!」

 

「来るぞ、ハラさんのZ技!」

「サトシ、ピカチュウ!」

 

「Z技。やっぱり全力には全力で応えないとな。行くぜ、ピカチュウ!」

「ピッカァ!」

 

サトシもまたZクリスタルを使う。サトシから溢れた。エネルギーがピカチュウを包む。

 

「ぜんりょくむそうげきれつけん!」

「これが俺たちの全力、ウルトラダッシュアタック!」

 

ピカチュウが突っ込むと同時にハリテヤマが無数の張り手をエネルギー状に飛ばす。ジグザグに曲がり、体をひねり、ピカチュウはそれらの攻撃を紙一重でかわす。が、近づけば近づくほど躱しにくくなる。

 

「これで終わりですな」

「ピカチュウ!そこからさらに、10万ボルト!」

「なっ!?」

 

スピードを落とすことなく頰の電気袋から強力な電撃を溢れさせるピカチュウ。それはZ技のエネルギーと共にピカチュウを包む。まるで

 

「これはまるで、ボルテッカーの強化版みたいだ」

「なんという。サトシくん、君は」

 

「行っけぇ!」

 

電気の鎧を纏ったピカチュウはハリテヤマの放った張り手のエネルギーを物ともせずに突っ込んだ。激しい爆発と共に、ハリテヤマがフィールドから落とされ、そのまま戦闘不能となった。

 

「ハリテヤマ、戦闘不能。ピカチュウの勝ち。よって大試練のバトルの勝者は、挑戦者サトシ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

サトシくんには驚かされてばかりだ。あの最後の技、まさかZ技にさらに技を重ねるとは。今までそんなケースは見たことがなかった。その発想と思い切りが、今回の勝利をつかんだのだ。

 

彼の将来が本当に楽しみだ。そう思わずにはいられない。こういうところがカプ・コケコのお眼鏡にかなったのだろうか。

 

「サトシくん、おめでとう。素晴らしいバトルでした。あの最後の技、ポケモンを信じ、諦めないその心。素晴らしいものを見せていただきましたぞ」

「ありがとうございます」

「私に勝利した証、カクトウZです。これでかくとうタイプのZ技が使えるように、「ケーコー!」ぬ?」

 

突然どこからか声がした。その鳴き声に皆辺りを見渡す。するとすごいスピードで何かが彼らの間を通り抜けていった。

 

「今のは、カプ・コケコ?」

『一瞬すぎてよくわからなかったロト』

「皆さん、カクトウZが!」

 

気がつくとカクトウZがハラの手の上から消えていた。そしてそこには、

 

「デンキZ、初めてもらったやつと同じだ」

「カプ・コケコがここまで気にいった挑戦者は初めてですな。いずれその理由が私にもわかるのでしょうかな。サトシくん、カプ・コケコに代わってこれを渡しましょう」

「はい。デンキZ、ゲットだぜ!」

「ピッピカチュウ!」

 

「やりましたね、サトシ!」

「今夜はお祝いだな」

『二人とも、眩しいロト!』

 

「せっかくです。そのお祝い、私が開催してもよろしいですかな?サトシくんの初の大試練突破を祝して」

「あの、それにポケモンスクールのクラスメートも呼んでいいですか?みんなの協力があったから大試練をクリアできたと思うんです」

「いいアイディアですな。せっかくですから、ジュンサーさんも誘って見ましょう、君の試練挑戦を気にしていたようですからな」

「ありがとうございます!」

 

 

その夜、ハラの手配で用意されたご馳走にサトシたちは舌鼓を打った。クラスメートやジュンサーさんにお祝いの言葉をもらったサトシ。空を見上げると大きな月が見える。まるで初めてZリングをもらった時のようだ。

 

「カプ・コケコ、試練見ててくれてサンキューな。今度こそZ技、ちゃんと使いこなしてみせるから。だから、また俺とバトルしてくれよな」

 

聞こえていたかどうかはわからない。返事もなかった。ただ、近くの木々が風もないのに揺れたことには気づくことができた。

 

最初の大試練を突破したサトシ。島巡りはまだまだ続く。そして、カプ・コケコとの再戦はいつになるか、それもまたわからないままである。

 




ちなみにアイアンテールからのエレキボールはシトロンのホルビーに対して使った戦法まんまですね

一応予定としては今後は毎週日曜日に一話投稿を心がけるつもりですなぁ

まぁ、番外編は不定期ですけど

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