今回はサトシの手持ちといえば、の彼らに登場してもらいます
みんなが食べ終わったところで、オーキド博士から修学旅行最初のイベントの紹介があった。それは、
「地方対抗、鳥ポケモンレースじゃ」
これから各地方を代表する鳥ポケモンたちによるレースを行うとのこと。サトシたちは誰が優勝するのかを予想し、そのポケモンとペアを組み、レースに挑むこととなる。なお妨害行為にならなければ、技の使用も可とするとのこと。
「では、ポケモンたちを紹介しようかの」
カロス代表はご存知ファイアロー。ほのおタイプも持ち、ニトロチャージでスピードをどんどん上げられるため、最高速度は未知数だ。バトルの経験も豊富で、リーグで見せた空中戦は記憶に新しい。
イッシュからはケンホロウ、今回参加するのはメスであり、バトルの得意なオスと違い、飛行することが得意であり、レース向きである。進化する前の時でも、ひこうタイプのジムのポケモン以上の飛行を見せつけた。
シンオウを代表するのはムクホーク。大きな体とやや怖めの顔立ち。インファイトやブレイブバードなどの強力な技も使いこなし、戦闘能力は彼らの中でも高い。
ホウエンから参加するのはオオスバメ、その身体は加速しやすく、最高速度に到達するのも早い。直線勝負においてはその力を遺憾なく発揮する。でんきに対しても強いという、唯一無二の特徴を持っている。
そして最後に並んでいたのはジョウトを代表するヨルノズク。このヨルノズクは色違いで、かつやや小柄ではあるが、侮ることなかれ、知能は随一である。
目の前に現れた見慣れないポケモンたちにマオたちは興味津々だった。
「こいつは、ほのおタイプだな。なかなか素早そうだ」
「こちらのヨルノズク、色違いですね!ヨルノズクの知性は高く、技の応用も効きそうですね」
「おっきいなぁ。トゲデマルも普通に乗せられたりして」
「この子、女の子なんだ。なんか可愛いかも」
「この子、すっごく速そう。それにかっこいい」
「みんなバトルも強いんだぜ!一緒に旅をしてた時も、いっぱい助けられたなぁ」
ポケモン達と触れ合いながら盛り上がるサトシ達。と、ここでサトシがあることに気づく。
「博士、カントー代表は?」
「それがのぉ、今はちょうどピジョットがこの研究所にはおらんのじゃよ。ポッポやピジョンを代わりに呼ぼうかとも思ったが、せっかくなら最終進化したもの同士でと思っての」
「あぁ、なるほど」
「というわけですまんがサトシ、お前さんは今回はみんなのサポートに回ってくれ」
「へ?」
「ポケモンと人間のペアが5つしかできないのでな。それに皆サトシのポケモン。お前さんが誰より特徴を知っておる。じゃから彼らと仲良くなれるように手助けしてやるといい」
「それもそうですね。わかりました。俺、やります!」
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こうして鳥ポケモンレースのためにサトシのクラスメートはそれぞれサトシの鳥ポケモンとペアを組んだ。その組み合わせはというと、
「カキだ。俺はほのおタイプを専門にしている。お前の熱い炎で、一緒にレースで勝とうぜ」
「ファロー!」
「ポケモンの特徴や技をしっかりといかして、見事な作戦を作ってみせます!よろしくお願いしますね」
「ホー」
「ふふん。大きな体に大きな翼。間違いなく羽ばたきの回数が少なくても速く飛べる!後は空気の流れを僕がうまく指示すれば負けるはずがない!」
「ムクホー」
「女の子もやるときはやるんだから。あたしと一緒に女子の底力、見せてあげようよ」
「ホロー」
「スタートが肝心だね。その後は直線で一気に勝負をつけよう」
「スッバァ!」
各々がしっかりと考えた上でパートナーを組んだ。なかなか面白い組み合わせが出来、サトシもワクワクしてきていた。
「みんなやる気入ってるな。しっかりと応援しようぜ、ピカチュウ」
「ピカチュ」
その後、それぞれとの最初の触れ合いや特徴、性格などをサトシから教わった彼らは各自で調整に入った。一通り手伝いを終えたサトシは少し一人で休憩していた。
「誰が優勝するのかなぁ。な、ピカチュウ?」
「ピィ〜カ」
彼らは誰も彼もがそれぞれの地方で活躍してきた仲間達だ。レースも時々やっていたらしいし、みんな飛ぶことに関しては自信を持っているだろう。後はパートナーとの相性と作戦。ボーッと空を見ながら考え事をするサトシ。ふと、大きな影が彼の上を通った。それも3つ。はっとするサトシ。その前に3つの影は降り立った。長い髪のようなトサカが、陽の光を浴びてキラキラ輝くようだった。
「お前・・・」
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さて、それぞれで調整に入ったサトシのクラスメート達。その様子を少し覗いてみよう。
「なかなかの飛びっぷりだな。パワーもスピードも申し分ない。流石、サトシのゲッコウガとともに戦ってきただけのことはあるな」
「ファロ?」
「あぁ。ゲッコウガとはバトルしたことがある。あれほど強いポケモンも珍しい。実力的にも、トレーナーとの絆もな。」
「ファロ」
「まぁ今回はバトルではなく、あくまでレース。ニトロチャージを使ってもいいなら、スピードに関しては間違いなくお前が最速になれる。使えば使うほど速度を上げられるなら、いかに連続して使えるかが鍵だな。重要なのはタイミングだな」
「ファロー!」
「ヨルノズクは今回の他の鳥ポケモンと違ってエスパー技も使える。これをうまく活かせればいいんですけど」
「ホー」
「空中での方向転換、それを補助することができれば無駄なく動けるのでは?確かヨルノズクの今覚えている技は・・・」
「ホー?」
「ひゃあっ!あ、いえ、だ、大丈夫です。大丈夫です」
「ホー」
「うう、わたくし、もっと頑張らなくては。サトシだってわたくしならできると言ってくれましたし」
「ふふん、僕のこの発明を使えばバッチリとサポートできるさ。現在の風速、風向、気圧や温度からその先の空気の流れを予測できる!」
「ムクホー?」
「むふふふ〜、後は僕がしっかりと指示出しできれば問題ないんだけど・・・声が届くようにできる装置もいるかな?ムクホーク、ちょっと首回り測らせてくれない?」
「ムクホ?」
「ちょっとごめんね〜。ふむふむ、これくらいの長さのものになるかな?後はここにこうしてっと」
「どう?気持ちいい、ケンホロウ?」
「ホロ〜」
「でもレースかぁ、実際に乗って指示するのとは全然違うんだろうな〜。なんかちょっと楽しみだな〜」
「ホロッ!」
「そういえばケンホロウはレースが得意なんだよね?じゃあやっぱり優勝狙って頑張らなきゃね」
「ホロ」
「ズバァ!」
「いい調子だよ。どんどん行くよ。アシマリ、バルーン」
「アゥ!」
「ズバッ、スッバァ!」
「全部割れたね。凄いよ、オオスバメ。アシマリもお疲れ様」
「アゥ」
「速いのにしっかり曲がれるし、体制も崩れないし。頑張ろうね、オオスバメ」
「ズバァ!」
各々が自分たちなりのやり方でポケモンを知り、協力し合っていた。ポケモンたちはサトシのクラスメートたちとも打ち解け、博士の期待以上の触れ合いになっていたとか。
「こうしてまたお前の背中で飛べる日が来たの、すっげえ嬉しいよ」
「ピィカチュ」
「お前が育てたあいつらなら安心だな。きっと立派に群れを守るリーダーをやってくれるさ・・・ありがとな、待っててくれて。長いこと、待たせてごめん」
「ピカピ」
「だから、今日はお前の全力、しっかりと見せてくれよな」
そう言われ、サトシを乗せていた大きな影は急上昇した。最愛の主人に、今の自分を知ってもらうため。この喜びを、言葉ではない方法で、伝えるために。
さて、サトシの前に現れたのは一体?
答えは次回の投稿で!お楽しみに!