XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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やっと来ましたね、準決勝
個人的にはシンジ戦と並んで好きなバトルです

流石に作者の乏しい文章力では全部のバトルを表現し尽くすことができないので、ところどころダイジェスト風です

どうぞー


激闘!カロスリーグ 第3章 サトシとショータ、ライバル決戦!

カロスリーグ観賞会、準決勝第一試合を見たサトシのクラスメートたちは、開いた口が塞がらないようだった。準決勝からは6対6のフルバトルになったというのに、目の前の青年は2体しか使わずに、相手の6体を打ち破ってみせたのだ。

 

『最初に決勝進出を決めたのは、アラン選手!』

 

「アラン、強すぎるよ」

「信じられません。相性の悪い相手もいたはずなのに……」

「サトシ以上に無茶苦茶にも見えるが、それを裏付けるだけの確かな実力があるからな。生半可なポケモンじゃ、相性が良かったところで勝ち目がない」

「結局、メタグロスとリザードンしか使ってないから、他がどんなポケモンなのか、想像できないよ」

 

強いトレーナーなら、島キングや島クイーン、グラジオなど、知り合いの中にもいる。特にカキとサトシは、同年代の中でもバトルの実力は垢抜けている。だが、こんなにも単純な強さを見せつけられたのは、初めての経験かもしれない。

 

「流石、最強メガ進化」

「うん。アランは、本当に強かったわ。実力やポケモンとの絆もそうだけど、何よりその信念が」

「ああ。誰にも負けられないって、そう言ってた。強いよ、アランは」

 

画面の中のアランをみるサトシの目は、今までどんなバトルの前にしていたものよりも、ギラギラしているように見える。それだけアランが彼の中でも大きな存在なのだろう。

 

まぁ、そんな風に熱くなる相手が他にも2名ほどいるのだが、今の彼らはそれを知らない。

 

「いよいよだね」

「うん」

「わたくし、お二人の話を聞いてから、このバトルを見るのがとても楽しみでした!」

 

みんなが再び画面に注目する。写っているのは二人の少年。サトシとショータ。お互いのことをよく知るもの同士、そして、サトシにとっては初めての挑んでくる相手。

 

「俺さ、実はリーグの少し前まで、ショータのことが怖かったんだ」

「怖かった?サトシが?」

「俺さ、カロス地方に来るまでは、ずっと挑戦する側だった。ライバルだと決めた相手はいつだって俺より先を歩いていた。それでも、絶対に負けるもんかって、その気持ちで努力してきて、勝つことができたんだ」

 

例えばそれは自分の幼馴染で最初のライバルだったり、考え方の違いから幾度となく激突した最高のライバルだったり。そしてカロス地方で出会った、最強のライバルだったり。いつだって、自分は挑む立場にいた。

 

「でも、ショータは違った。最初は、駆け出し中の新人トレーナーだった。その頃に俺、ショータに色々とアドバイスを送ったり、バトルしたりしたんだ。ショータはその度に自身の経験にしていったんだ。すごい速さで成長したショータは、気がつけば俺のことを追い抜いていた」

「嘘!そんな短期間で、サトシを追い抜いたの!?」

「信じられない……」

「ほんとよ。ショータは、サトシを目標に、サトシを研究し尽くしたわ。所々にサトシのバトルスタイルを取り入れて、自分自身の強い武器にしたの。その実力は、みんなも見たよね」

「確かに、あいつのバトルスタイルは時折サトシっぽいところがあったな」

「そんなショータが、俺は怖かった。そして、焦ってた。一度は自分自身を見失いそうになって、自分がしっかりしてないからだって自分を責めて、周りに当たって……そういえば、あの時セレナにも悪いことしたな、ごめん」

「ううん。でも、サトシはちゃんとそれを乗り越えて帰ってきたもの」

「はいはーい、そこの二人。勝手に回想始めないの。始まるよ〜!」

 

マオに呼ばれた二人が画面を見ると、丁度サトシの一体目が出てきたところだ。フィールドではなく、巨大スクリーンの前に現れたのは、マスクで顔を覆い、マントを翻すルチャブルだった。観客やマオたちの驚く中、ルチャブルは颯爽と飛び降り、滑空するようにフィールドに降り立った。

 

「何何あの衣装?」

「あれは、セレナが作ってくれたんだよ」

「セレナが?」

「ルチャブルが、この大勝負のためにって頼んできたの。私もみんなに頑張って欲しかったから、張り切っちゃった」

 

対するショータが繰り出したのはケッキングだった。タイプの相性で言えば、サトシのルチャブルの方が有利だ。しかしそれはあくまでタイプの話。実際には、ルチャブルにとってはこれ以上なく相性が悪かった。

 

ルチャブルの怒涛の連続攻撃が炸裂する中、ケッキングは微動だにしない。それどころか、効果抜群の技を連続で受けながらも、なまけるで回復してしまう。

 

「ルチャブルは相手の攻撃を受けることで自分を高める。でも、ケッキングは自分から攻めることをしないから、ルチャブルにとってはすごくやりにくい相手だった」

「ルチャブルのことを研究してたってこと?」

「それを元にした作戦を立てたってことか。しかもタイプ的に見たら相性が悪いはずだが」

「うん。全然動じてない。あっ!」

 

勝負を決めようとルチャブルの得意技、フライングプレスが発動する。しかしそれを狙っていたショータ、すかさずカウンターを指示する。ガラ空きになっていた胴体に、ケッキングの全体重を乗せたパンチが炸裂する。大きく弾き飛ばされたルチャブルは、その一撃で目を回してしまった。

 

「あのルチャブルが、一撃で……」

「完全にルチャブルの対策を整えていましたね。流石サトシを目標にし、研究をしていただけのことはありますね」

「サトシの二体目が来るよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

サトシの二体目、ファイアローがケッキングを下すと、ショータは次にブロスターを出した。ファイアローの得意のスピードと空中戦を見事に抑えこみ、ニトロチャージとアクアジェットの激突を制した。

 

「れいとうビームで羽を凍らせるなんて、本当に凄い作戦を立ててきてる」

「でも、サトシも咄嗟にニトロチャージで氷を溶かすのはさすがだね」

「サトシ、ピンチ?」

「次は誰が出るのかな?」

 

『ピカチュウ、君に決めた!』

『ピッカァ!』

 

「いよいよ登場だね、ピカチュウ!」

「ブロスターに対しても相性抜群!」

 

森のステージの利点を活かすピカチュウ。木々の間を縫って、素早く動き、奇襲をかける。しかし水のジェットで高速移動ができるブロスターはその攻撃をかわす。

 

エレキボールとりゅうのはどうが激突し、爆発が起きる。れいとうビームをかわし、木々をかけるピカチュウ。一進一退の攻防の末、ピカチュウのアイアンテールを、ブロスターがハサミで掴み取った。そのままみずのはどうを打ち出す体勢になる。

 

「まずいぞ、あれじゃ避けられない!」

「ピカチュウ!」

「いいえ、ピカチュウなら大丈夫です」

「え?」

「リーリエも見たことがあるの?」

「ええ。大試練の時に」

 

『ピカチュウ、エレキボール!』

 

挟まれたままの尾に電撃が集約される。電撃と冷気、二つのエネルギーが爆発を起こし、ピカチュウが離れることに成功する。そのまま飛び上がり、10まんボルトでブロスターを狙うピカチュウ。相手は先の爆発で身動きが取れなかったようで、直撃を受けて目を回していた。

 

「流石ピカチュウだな」

「でもまだ振り出しに戻っただけだよ」

 

続くショータの三体目、準々決勝でも活躍した、ギルガルドが登場した。再び木々を使い撹乱しようとするピカチュウ。しかしギルガルドはその刀身を伸ばし、次々に周りの木々を切っていく。ついには、周りの木々が切り裂かれ、ややひらけたフィールドに変えられていく。

 

「なんでこんなに木を切ってるんだろう?」

「恐らく、何か作戦があるんだろうな」

 

反撃に出ようとするピカチュウ。しかし目に見えて速度が落ちている。どこか動きにくそうだ。

 

「そうか!周りの木を切ることで、ピカチュウの行動を制限しているんだ」

「えっ、どういうこと?」

「まず、ピカチュウが撹乱に使っていた木をなくす。その切られた木が落ちた足場は、動いてしまって不安定だ。だが、ギルガルドは浮いているから、関係ない」

「じゃあ、ピカチュウのスピードを封じるために?」

「本当にサトシをよく研究してる」

 

反撃しようとするピカチュウだが、キングシールドによって攻撃が通らない。と、ここでサトシの指示で、ピカチュウが地面にアイアンテールを叩きつけた。周りの木が浮かび上がり、空中に足場ができる。

 

その足場を利用しながら、ギルガルドを困惑させるピカチュウ。接近するピカチュウに対し、ギルガルドはキングシールドを発動しようとした。

 

『今だ、ピカチュウ!板を投げつけろ!』

 

サトシの指示通り、近くにあった木材をギルガルドめがけて飛ばすピカチュウ。それは丁度刀身をはめ込もうとしていた、盾の取っ手部分に突き刺さり、ギルガルドは剣を抜くことも、差し込むこともできなくなった。

 

「嘘ぉ!?」

「こんな技の封じ方があるの?」

「思いついたとしても、やらないよ普通」

 

流石は元祖奇想天外戦略家。フィールドのあらゆるものを味方につけたバトルスタイル。ショータの上をいく常識を超えた戦法を繰り出すサトシに、マオたちはもう何度目かわからない驚愕をあらわにする。動けないギルガルドに、ピカチュウの十八番、10まんボルトが炸裂する。ギルガルドは目を回して、地面に落ちたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後フィールドが変更された後、後半戦のバトルにも、彼らは惹きつけられた。オンバーンとボーマンダのドラゴン対決。オンバーンの特徴を利用した奇襲や、ボーマンダのやきつくすによる誘導、最後のドラゴンダイブとアクロバットの激突の末、両者ノックアウトとなったものの、激しいバトルだった。

 

続いてショータの出したペロリームに対し、サトシは相性の悪いヌメルゴンで対決。連続で繰り出される攻撃に耐えるヌメルゴン。相性の悪いはずのフェアリータイプの技も耐え抜き、強力ながまんで反撃。最終的にはペロリームのようせいのかぜとの激突し、ダブルノックアウト。

 

互角の対決が繰り広げられる中、遂にショータの最後の一体、ジュカインが登場。ピカチュウと互角のスピードに、それを上回るパワーを見せつける。ピカチュウも食らいつこうとするものの、先の二戦連続によるダメージもあり、ジュカインのハードプラントによって倒されてしまった。

 

 

「これでサトシも残り一体」

「ということは、」

 

『ゲッコウガ、君に決めた!』

 

サトシの6体目、ゲッコウガ、満を持しての登場である。会場も、マオたちも、この戦いに大きな期待をする。間違いなく、このバトルは今までの比ではないくらいの大勝負になる。そう確信していた。

 

『行くぜ、ゲッコウガ!みずしゅりけん!』

『ドラゴンクロー!』

 

ゲッコウガの放ったみずしゅりけんをドラゴンクローで切り裂くジュカイン。続いてかげぶんしんで接近するゲッコウガに対し、ジュカインはハードプラントを発動。分身が消えて行く中、一体だけがジュカイン目掛けて飛び出してくる。

 

リーフブレードを構え、ゲッコウガを狙うジュカイン。対するゲッコウガはいあいぎりを使い、光の刃で迎え撃つ。息もつかせぬ攻防に、カキたちも呼吸を忘れるんじゃないかと思うほど、食い入るようにバトルの様子を見ている。

 

暫し視線をかわすサトシとショータ。そして、

 

『行くぞ、ゲッコウガ!フルパワーだ!』

 

ゲッコウガの周りを水流が覆う。身体が変化し、水が弾ける。現れたのは、カロスリーグ初日に誰もの注目を集めた、あの新しい姿のゲッコウガ。

 

『ジュカイン、行きますよ。僕たちの全てを!』『ジュカイン、メガ進化!』

 

対するショータもジュカインとの絆の力、メガ進化を発動する。強化進化したゲッコウガと、メガ進化したジュカイン。この二体の登場に、会場の盛り上がりは最高潮だった。

 

『ハードプラント!』

 

更に威力の上がったハードプラントがゲッコウガを狙う。飛び上がってかわそうとするが、ジュカインの意思のままに、ゲッコウガを追尾する。このままでは食らってしまう、そうみんなが思う中、

 

『いあいぎりだ!』

 

両の手に水で出来たクナイを握り、高速で回転するゲッコウガ。そのままたやすく自身に迫るハードプラントを切り裂いてしまった。

 

「ええええっ!?」

「ハードプラントを切っちゃった!」

「なんつーデタラメな……」

 

お返しに背中の巨大みずしゅりけんを投げるゲッコウガ。それをドラゴンクローで打ち破るジュカインだったが、その隙にゲッコウガはジュカインに接近していた。

 

『つばめがえし!』

 

強力なアッパーカットから流れるように踵落としへと繋げるゲッコウガ。一瞬ひるんだものの、ジュカインはリーフストームで反撃に出る。かろうじて防御に成功するゲッコウガだが、大きく後ろに弾かれる。

 

『リーフブレード!』

『いあいぎり!』

 

両者、二刀を持ち、互いに接近する。縦横無尽にフィールドをかけながら、幾度となく激突する両者。あのサトシとゲッコウガ相手に、ここまで互角に渡り合えるとは。カキたちはジュカインとショータの実力に改めて驚かされる。

 

一旦距離を取る両者。ジュカインのリーフストームが、今度はゲッコウガを捉えた。宙に打ち上げられるゲッコウガ。畳み掛けるようにハードプラントが襲いかかる。

 

空中で体制を整えるゲッコウガ。襲いくる触手をかわし、その上を走りながらジュカインに接近しようとする。飛び上がるゲッコウガ目掛けて襲いくる触手を、一瞬のうちに切り裂くゲッコウガ。しかし中々距離が縮められない。

 

「あのゲッコウガが押されてるなんて」

「ああ。あのジュカイン、相当強いな」

「うん。凄すぎ」

「でも、サトシは諦めてないですよ。ほら、サトシを見てください!」

「「「「「ん?」」」」」

「えっ、俺?」

「あ、いえ、そうではなく!画面のサトシです」

「「「「「「ああ〜」」」」」」

 

画面に映るサトシを見る。サトシは、これだけ追い込まれているというのに、ただ楽しそうに笑っていた。

 

「笑ってる」

「なんか、とても楽しそう」

「この時、俺本当に楽しかったからなぁ。ショータと全力をかけて戦えることが、すっげえ嬉しかったし、負けられないって思ってた」

「そういえば、シトロンが言ってたわ。サトシの強さは二つで一つ。サトシにポケモンがいる限り、ポケモンたちにサトシがいる限り、みんなの力は、もっともっと強力になる、って」

「なるほど……確かにそうだな」

「うん」

「だね」

「うんうん」

「ですね」

 

画面では迫り来るハードプラントを、ゲッコウガが切り刻んだ瞬間が映されている。背中のみずしゅりけんが一回り大きくなり、ゲッコウガは地面を蹴って飛び出した。

 

触手をかわしながら進み、かげぶんしんを発動させるゲッコウガ。その数は今までとは比べ物にならないほど多く、フィールドの空を埋め尽くす。

 

『ショータ受け止めろ!これが俺とゲッコウガの全てだ!みずしゅりけん!』

 

背中のみずしゅりけんを手に取り、空に掲げるゲッコウガ。そのみずしゅりけんに、力を集約させるように分身たちが集まっていく。

 

ゲッコウガの何倍もの大きなになったみずしゅりけんが、ジュカイン目掛けて投げられる。咄嗟にリーフストームを指示するショータ。ジュカインも雄叫びをあげ、リーフストームをみずしゅりけん目掛けて打ち出す。

 

激突した両者の技、しかしゲッコウガのみずしゅりけんの威力に、リーフストームが押し返される。大きな爆発を起こしながら、二つの技がジュカインに命中した。煙が晴れると、そこにはジュカインが倒れている。体が光に包まれ、元の姿に戻るジュカインは、目を回していた。

 

『ジュカイン戦闘不能、ゲッコウガの勝ち!よって勝者、マサラタウンのサトシ選手!』

 

勝敗は決した。サトシのそばに降り立つゲッコウガ。会場は激しいバトルを見せてくれた両者に、惜しみない拍手を送っていた。もちろん、カキたちも。

 

「すごいバトルだったな」

「なんかあたし感動しちゃった」

「私も」

「サトシのゲッコウガ、改めて凄いんだね」

「ええ。バトルを見ていて、こんなに熱くなったの、わたくし初めてです」

 

「本当に、改めて外野として見ると凄いバトルだったんだな。無我夢中だったから、よくわからなかったぜ」

「ふふっ。それだけ楽しかったんでしょ?あの時のサトシ、すっごくキラキラしてたもの。かっこよかったよ」

「あ、うん。サンキュー、セレナ」

 

照れくさそうに頬をかくサトシ。完全にサトシとセレナはイチャイチャしてるようにしか見えないが、やはりそこは初見組と振り返り組。お互いに思うことは異なるため、自然と別れて話すのも仕方がない。暫くはさっきのバトルの余韻に、誰もが浸っていた。

 

しかし、余韻に浸ってばかりではいられない。カロスリーグはこれで終わりではないのだ。話が盛り上がりながらも、彼らは次の映像を見る準備を始めた。

 

いよいよ次は決勝戦。サトシと、あの圧倒的なまでの強さを見せつけたアラン。カロスリーグ最後の大勝負、その振り返りが始まる。




ついに、激闘!カロスリーグも最終回

いよいよカロスリーグの決勝戦。
サトシとアラン、最後の戦い!

カロス地方の誰もを虜にした、あの激闘を振り返るぞ!

次回、激闘!カロスリーグ 最終章
サトシとアラン、頂上決戦!

みんなもポケモン、ゲットだぜ!

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