XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

80 / 103
ちょっと短めですけど載せますね

あと、後書きで詳しく書いてますけど、次回はif物語が入ります

それはそれでお楽しみに。ではどうぞー


大会スタート!

フィールドには倒れているラグラージ、その前には無傷のリザードン。相性の悪さなんて関係ないと言わんばかりのバトルに、観客も沸き起こった。

 

「ラグラージ、戦闘不能!リザードンの勝ち!よって勝者、アラン選手!」

 

リザードンを戻した仮面の青年は次の選手と入れ替わるように、入場口から控え室に戻った。正確には、戻ろうとした。通路まで来た時、とても聞き覚えのある声が聞こえたからだ。

 

「久し振りだな、アラン」

 

今目の前に立っているのは、自分にとっては忘れられない相手だった。彼とのバトルでしか感じることのできなかった高揚感。彼にだけは負けられないという思い。そして、自分を更なる高みへ連れて行ってくれる。

 

この街の伝説の勇者、アーロンそっくりの衣装を見に纏っている。両肩にはピカチュウと、何故かスバメがいるが、間違いない。彼は、

 

「来ていたのか……サトシ」

 

これは、何がどうあっても負けられない。アランの闘志が燃え上がり始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

久しぶりに会ったアランは、以前会った時よりも雰囲気が柔らかくなっているようだ。あの事件まで、ずっとマノンとハリさんを助けるために、一人で旅をしていたアラン。そして、カロス最大の危機を回避し、マノンと一からスタートとして、共に旅に出たのだ。

 

マノンとの二人旅は、アランにとっては、とても楽しいものなのだろう。彼の雰囲気からそう感じ取れる。

 

「マノンは来てるのか?」

「ああ、客席にいる。コルニとは会ったのか?」

「ああ。でも、なんでアランたちとコルニが?」

「俺もメガ進化のことを調べてたんだが、カロスで最初に確認されたメガ進化。その時のルカリオとトレーナーが、この土地に関係していると聞いたんだ」

「そうなのか。そのキーストーンと、メガストーン。見つけられたんだな」

「ああ。今度は、俺たちの力でな」

 

最初に確認されたメガ進化と、ルカリオにトレーナー。この土地に関係があるのだとすれば、まさか彼らのことなのだろうか。あり得なくはない。彼らの絆は、時を超えてなお繋がっていたものなのだから。

 

「サトシは?」

「俺、昔ここに来たことがあったんだ。その時に色々あって、招待してもらったんだ」

「色々、か。まさかとは思うが、何か大きな事件に巻き込まれていたんじゃないか?」

「えっ!?いや、別にそんなことはなかったけど……」

「ならいいけど。お前の順番は?」

「最後だ。だから、当たるなら決勝だな」

「なら、勝ち上がるだけさ」

「俺もだ」

 

拳を突き合わせるサトシとアラン。この時点で、当初ピカチュウで行こうと思っていたサトシが予定変更したのは、言うまでもない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一回戦は順調に進んでいく。アランの他に、カキ、キッド、コルニも無事に二回戦へコマを進める。特にコルニは伝説に残るルカリオに刺激を受けたのか、ルカリオ共々張り切っていた。そしていよいよ、一回戦、最終試合。

 

フィールドに立ったサトシの姿に、見に来ている子供達も盛り上がっている。

 

「あれ、勇者様だ!」

「本物かなぁ?」

「違うよ〜、だって勇者様は昔の人だもん」

「でも、かっこいい〜」

 

なんて声が聞こえる。サトシはその子供たちの方を向くと、優しい笑顔で手を振ってあげた。それを見た子供たちが(特に女の子)はしゃぎだした。

 

と、その近くにこちらを見ている見知った顔の女の子が一人いるのにサトシは気付いた。マノンだ。驚きの表情でこちらを見ているのに思わず笑ってしまうサトシ。マノンにも手を振ってから、改めて対戦相手と向かい合う。

 

「それでは、両者ポケモンを」

 

「行け、ガブリアス!」

「ガァブ」

 

対戦相手が繰り出したのはガブリアス、レベルもかなり高いようで、強敵だ。対するサトシは、アランがいると知った時から決めていたボールを手に取った。

 

「ゲッコウガ、君に決めた!」

 

サトシのボールから現れたゲッコウガは、両腕を組み、閉じていた瞳を開き、静かに相手を見据えた。審判のコールが入り、バトルが開始される。

 

「ガブリアス、ダブルチョップ!」

「ガァブ!」

 

両腕に力を込め突っ込んでくるガブリアス。それに対しゲッコウガは避けるのではなく、逆に正面から突っ込んでいく。

 

「かげぶんしん!」

 

走りながら分身を作り出すゲッコウガ。突然のことに、ガブリアスが戸惑い、動きを止めてしまう。

 

「つばめがえし!」

 

素早くガブリアスの懐に潜り込んだゲッコウガ本体。ガブリアスが気付いた時には、既に顎に真下から強烈なアッパーカットを喰らわされていた。更に返す刀でかかと落としが炸裂し、今度は大地に頭から叩きつけられるガブリアス。

 

カロスリーグでも何度か見せた技ではあるが、この流れるような連続攻撃は、生半可なスピードではできない。サトシのゲッコウガに、アイリーンも驚きの表情で試合を眺めている。

 

「コウッ?」

「大丈夫か、ゲッコウガ?」

「コウガ」

 

ガブリアスの特性、さめはだ。直接攻撃を受けると、相手にもダメージがある厄介なものだ。ゲッコウガも、手足にわずかな痛みはあるが、問題ないとサトシに答える。

 

「ガブリアス、りゅうのはどう!」

「ゲッコウガ、みずしゅりけん!」

 

ガブリアスが口を大きく広げ、強力なエネルギーを放射する。すぐさまゲッコウガも、両手にみずしゅりけんを構え、投げつける。二つの技が中央で爆発を起こす。

 

「ガブリアス、りゅうせいぐん!」

「ガァブゥア!」

 

空高く打ち上げられるエネルギーの球体。空中で弾けたそれは、フィールドとゲッコウガ目掛けて降り注ぐ。ドラゴンタイプの大技を発動させ、勝利を確信したのか、トレーナーは笑みを浮かべている。無論、一部例外を除いて、りゅうせいぐんでダメージを与えられない相手はいないだろう。

 

まぁ、運の悪いことに、その一部例外にこそ、このサトシのゲッコウガが含まれるのだが。

 

「かわして、りゅうせいぐん封じ!!」

 

次々に飛来してくる隕石の様な攻撃に怖気付くことなく、ゲッコウガは飛び込んだ。素早い動きで、りゅうせいぐん一つ一つを足場として、どんどん上昇していく。全く当たる気配がない。どこに攻撃が来るのか、五感を研ぎ澄ませ、予想し動く。更にケロマツ時代に特訓したがんせきふうじふうじの経験。

 

昔取った何とやら。できない芸当ではなかった。

 

あまりのことに、相手トレーナーもガブリアスも惚けている様だ。

 

「叩き込め、いあいぎり!」

「コウッガ!」

 

全ての攻撃をかわしたゲッコウガが、最大高度から降りて来る。その勢いをそのまま乗せ、右手に光の刃を握る。ほんの一瞬の交差の後、ゲッコウガが刃をしまう。ガブリアスがその場に崩れ落ちた。

 

「ガブリアス、戦闘不能!ゲッコウガの勝ち。よって勝者、サトシ選手」

 

冷静なバトルを見せ、敵を圧倒したゲッコウガとサトシに、観客が拍手を送る。あれだけ動いたにもかかわらず、息一つ切れていないゲッコウガ。その様子をアランが入場口から眺めている。

 

(更に力をつけているみたいだな……面白い)

 

俄然彼とのバトルが楽しみになってきた。こちらに戻ってきたサトシとハイタッチを交わしてから、アランは二回戦へと臨むべく、フィールドに出た。

 

 

 

その後、激しいバトルを制していくサトシたち。今の所、サトシ、アラン、カキ、キッド、そしてコルニは、誰一人脱落することなく順調に勝ち進んできた。が、いよいよお互いに対戦し合う時が来たのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最初の激突は準々決勝一回戦。一人目はアラン、そして対するはキッドだ。

 

相対して見て改めてキッドは感じた。

 

この少年の強さは、単なる力だけではないと。今までも圧倒的なまでの力を見せていた彼のリザードンだが、まだ全力は見せていないはずだ。このワクワクする感じ、何か大きな冒険をする前の時のそれに似ている。彼の実力を知りたい。

 

そう思って、キッドはボールを手に取った。

 

「頼むわよ、マニューラ!」

「出てこい、リザードン!」

 

冒険家としての活動でも、パートナーとして活躍してくれるマニューラ。確かにリザードンに対して相性は悪いが、スピードには自信がある。素早さで、リザードンに勝ってみせる。そう意気込むキッドだった。

 

「マニューラ、シャドーボール」

「マニュ、マーニュ!」

 

「ドラゴンクロー!」

 

先制攻撃を取ったキッドたち。リザードン目掛けてシャドーボールが発射されるが、エネルギーを纏わせた爪で、リザードンはたやすく切り裂いて見せる。そのまま飛び上がり、マニューラに迫る。

 

「れいとうビーム!」

 

接近するリザードンにれいとうビームを撃つマニューラ。しかしリザードンは体を捻るように飛び、攻撃をかわす。すぐさま反撃のドラゴンクローをマニューラめがけて振り下ろす。

 

「下がって、マニューラ!上を取るのよ!」

 

キッドの指示にマニューラが後ろへと跳ぶ。リザードンの攻撃が地面に与えた衝撃を利用し、フィールドを囲む客席の柱を蹴り、高く飛び上がると、リザードンの真上をとった。

 

「つじぎり!」

「6時の方向。かえんほうしゃ!」

 

リザードンの背中に攻撃を決めようと降りてくるマニューラ。しかしリザードンは、アランの指示を元に直ぐに振り返り、そのまま直ぐにかえんほうしゃを放った。そのタイミングは完璧で、その射線上に、丁度マニューラが降りて着たところだった。

 

突然目の前に迫る炎を、マニューラにはどうすることもできなかった。炎がマニューラを包みこむ。フィールドに落下したマニューラは既に目を回していた。

 

「マニューラ、戦闘不能!リザードンの勝ち!よって勝者、アラン選手!」

 

またもや圧倒的とも言える力で、アランが勝利した。この大会、バトルの合間に回復することは許可されているが、そもそもリザードンは未だに一撃もダメージを受けていないのだ。

 

「負けたわ。今年はサトシくんにリベンジしようと思ってたのに」

「あなたも、サトシの知り合いなんですか?」

「ええ。以前この街で色々とね」

「そうですか。でも、俺はあいつと戦うまでは、負けられないので」

「彼とのバトル、本当に楽しみにしてるのね」

「はい。あいつは、俺のライバルですから」

 

バトルの時の真剣な表情と違い、穏やかなアラン。しかしサトシとのバトルの話をしているときは、どこかギラギラしている。アランを見ていたサトシにそっくりだ。

 

「なら、頑張ってね。決勝までいかないと戦えないわよ」

「俺は必ず勝ち上がります。あいつも、必ず」

 

自信満々に言い切るアラン。肩をすくめたキッドは、アランと握手を交わし、控え室へと戻っていった。

 

その後、準々決勝は進んでいく、残ったのはアラン、カキ、コルニ。残すバトルは後一つ。

 

フィールドに上がるサトシと対戦相手。準々決勝最終試合、間も無くスタートだ。

 

いよいよバトルも大詰め。果たして、今年の波導の勇者に選ばれるのは、一体誰か?

 

……To be Continued

 




*注意
次回の投稿はとある読者様から登場させてほしいとお願いのあった、オリキャラが登場します。

ifこんなキャラがいたら、というゲストキャラクターとなりますので、物語には直接影響しない、パラレル扱いです。

取り敢えずは一話限りの登場ですので、ご了承ください。



『波導の勇者たちに捧げるバトル大会、準々決勝最終試合。

サトシの前に立ちはだかるのは、彼を知っているらしい甲冑姿の少年。

仮面の下に喜びの表情を浮かべる彼が繰り出したのはキリキザン。

ゲッコウガと知り合いらしい彼らは、サトシたちと戦う中で、ある力を見せる!

次回、オルドラン城編
キズナの力!侍のキリキザン

みんなもポケモン、ゲットだぜ!』

もちろん、ストーリーはまた別に描きますので

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。