これがなかなか難しい!
色々と設定おかしくね?となるところがこれから先でても、
あぁ、ここではそうなんだな、ってな感じでなるべく流してください
ウルトラホールから現れたウルトラビーストに、サトシたちは思わず身構える。
ふわふわとしたその姿で、クラゲのような動きをしながら、パラサイトと呼ばれたウルトラビーストが降りてくる。
「あぁ、待っていたわ!やっとまた会えたんですもの!忘れたことなんて、一度だってなかったわ!」
両手を広げ、パラサイトを出迎えるルザミーネ。ザオボーも嬉しそうな笑みを浮かべている。
一方サトシの隣、リーリエの身体がふらつき、崩れ落ちる。咄嗟にサトシが支えるものの、体に全く力が入らないようで、恐怖からか、身体が震えている。
「リーリエ、しっかりしろ!」
「あ、あぁ、ぁあっ」
「くっ、シルヴァディ!エアスラッシュ!」
「シッヴァ!」
プレミアボールから飛び出したシルヴァディがパラサイトに攻撃を仕掛ける。真空の刃が直撃し爆発を起こす。
「やったか?っ!?」
爆炎の中から伸びる触手が、シルヴァディの体を持ち上げる。そのまま振り回され、投げ飛ばされるシルヴァディ。壁に激しく激突し、倒れる。
「シルヴァディ!」
「ピカチュウ、10まんボルト!」
「ピィーカ、チュー!」
ピカチュウの得意技、10まんボルトが炸裂する。しかしパラサイトには効果が薄いらしく、平然としている。
「何でっ!?もしかして、みずタイプじゃない!?」
一瞬悩んだサトシ。その隙をつき、ピカチュウをも弾き飛ばすパラサイト。シルヴァディの隣に吹き飛ばされるピカチュウ。サトシとグラジオが駆け寄る。
「っ、強い!」
パラサイトが動き出す。ゆらゆらと浮遊しながら進む先には、動けずに座り込んでしまっているリーリエ。
「リーリエ!」
ハッと顔を上げるリーリエ。パラサイトの触手がリーリエに向けて伸ばされる。と、サトシのボールの一つから、誰かが飛び出し、リーリエとパラサイトの間に飛び込む。
『ブルゥアウ!』
球状に練り込まれた波導をぶつけられ、パラサイトが大きく弾き飛ばされる。リーリエを守るように現れた青い影。ルカリオが鋭い目つきで、パラサイトを見つめている。
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「ルカリオ!」
『サトシ、私に力を貸してくれ。波導を使い、奴を穴の向こうへと押しもどす!』
「でも、それってアーロンみたいに!」
『大丈夫だ。あの時ほど強大な相手ではない。それに、私一人ではない!』
「わかった」
リュックからグローブを取り出し身につけるサトシ。サトシとルカリオが並び立つ。
「何をするつもりなのかしら。ザオボー、パラサイトを守りなさい」
「御意に!フーディン、サイコショック!」
ザオボーのボールから飛び出したフーディンがサトシたち目掛けて攻撃を仕掛ける、が、横から飛んできたあくのはどうに相殺される。
「ザオボー、貴様の相手は、俺たちだ!」
「ぐっ、邪魔をしないでくださいよ、グラジオ坊ちゃん!」
グラジオとザオボーが激突する中、サトシとルカリオがパラサイトへと両手を向ける。
「『波導は我にあり!』」
二人から放たれた波導がパラサイトを拘束する。動きを封じられたパラサイトが抵抗を試みるも、ゆっくりとウルトラホールの方向へと動かされていく。
(よぉし、このまま……えっ?)
パラサイトへと意識を向けていたサトシ。と、何かが聞こえたような気がした。気のせいかとも思ったが、その声は徐々にはっきりして来る。
(……ココ違ウ……仲間チガウ……仲間、ドコ……家、ドコ……?)
(これって、あいつの?)
「ピクシー、ムーンフォース」
『何っ、があっ!?』
もうあと一息というところで、ルカリオの体が大きく弾き飛ばされる。不意をついた攻撃を放ったピクシーが、そのトレーナー、ルザミーネの隣に降り立つ。
「ルザミーネさん!?」
「ダメよサトシくん。せっかく来てくれたビーストちゃんを追い返そうとするなんて。私も、ずっと会いたかったんですもの」
ふわふわ漂うパラサイトを見上げてから、ルザミーネがサトシを見る。
「ねぇ、サトシくん。貴方も私と一緒に来ない?」
「えっ?」
「私はこれから、あの子の住む世界に行くのよ。私と、私の愛するビーストだけのいる世界。そこで生き続けるのよ、素敵でしょ?」
嬉々として語るルザミーネの姿は、好きなものについて語る少女のようにも見え、けれどもとてつもなく歪である。
「でも、サトシくんだけは特別よ。貴方自身もとても特別な存在ですもの。ポケモンと心を通わせ、強い絆で結びつく。ほしぐもちゃんのように、きっとビーストちゃんも、貴方のことを好きになってくれるはずよ。だから、貴方は一緒に連れて行って上げるわ」
ルザミーネの手がサトシの頬に触れる。
「さぁ、行きましょう?」
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パァン
乾いた音が響く。
叩かれた手を、信じられないものを見るかのように、ルザミーネが見つめる。突然のことにサトシも驚く。
ルザミーネの手を払った手はまだ震えている。けれども、サトシとルザミーネの間に立ったリーリエは、しっかりとルザミーネを見据えている。
「勝手なことばかり、言わないでください!」
驚愕の表情を浮かべていたルザミーネ。その顔が怒りの形相へと変わる。ワナワナと体を震わせ、あれほど愛情を注いでいたリーリエを睨みつける。
「邪魔をするの?私の赤ちゃんが、私に逆らうの!?」
「赤ちゃんなんかじゃありません!わたくしはもう、自分で物事を決められます!」
自信を睨みつける母親の視線を真正面から受け止めるリーリエ。驚いていたサトシも、なんだか頼もしいその姿に思わず笑みが浮かぶ。
「ルザミーネさん」
「あぁ、サトシくん。貴方ならわかるでしょう?ウルトラホールの先には、きっとほしぐもちゃんの世界もあるわ。だから、」
「ごめんなさい。でも、俺は行けません。俺は、みんながいるこの世界が、好きだから。それに、俺はほしぐもを託されました。だから、助けます!」
その言葉を合図に、誰かが反応するよりも早く、ピカチュウが装置めがけて走る。でんこうせっかで、ほしぐもが捕らえられたケージを弾くピカチュウ。
「なっ、」
「アイアンテール!」
「チュー、ピッカァ!」
鋼鉄の一撃が、ケージを容易く打ち砕く。宙に放り出されるほしぐもを、ルカリオがキャッチする。
「どうして……どうして邪魔をするの!ピクシー、マジカルシャイン!」
「頼むぞ、ゲッコウガ!みずしゅりけん!」
ボールから飛び出したゲッコウガが、ピクシーとルカリオ達との間に立つ。みずしゅりけんを回転させ、盾のようにし、ピクシーの攻撃を防ぐ。
「つばめがえし!」
「ゲッ、コウガ!」
素早く接近したゲッコウガの拳がピクシーを弾き飛ばす。サトシを見て、ゲッコウガが頷く。その隣にピカチュウが並び、ルザミーネとピクシーを見張る。
「頼んだぜ、二人とも!ルカリオ!」
『あぁ』
「あいつを、元の世界に帰してやろうぜ」
装置からほしぐもが外れたため、ウルトラホールが不安定になってきている。2人が気を落ち着かせ、集中する。
(もう少しの辛抱だ。すぐに帰してやるからな)
2人の波導が再度パラサイトを包み込む。パラサイトの体がまたウルトラホールへと誘導される。今度こそ上手くいく!
「……らい」
「…………嫌い……」
「嫌い、嫌い、大っ嫌い!」
突然、パラサイトに向かって見たことないボールが投げられる。パラサイトがその中に収まり、ボールが持ち主の元へと戻る。キャッチしたルザミーネが、ボールを愛おしそうに撫でる。
「これでいいわ。誰にも邪魔させない、渡さない!だって私のなんですもの」
「お母様!?」
「ゲットしただと!ウルトラビーストを!?」
「ふっ、あれこそ私が極秘に開発していたウルトラビースト捕獲専用のボール。名付けて、ウルトラボールです。この部屋にはモンスターボールなどを妨害する電波も遮断されていますしね。備えておいて正解でした」
ボールを撫でていたルザミーネがサトシ達を睨む。
「もういいわ。折角私と一緒に連れて行ってあげようと思っていたのに……邪魔をする子は嫌いよ。リーリエも、グラジオも、サトシくんも。私の言うことを聞いてくれればいいのに!」
ボールの中から出てくるパラサイト。そのパラサイトの触手を握るルザミーネ。そのままパラサイトが上昇し、ウルトラホールに向かう。
「母さん!」「お母様!」
「さよなら……」
最後に冷たい笑顔で見下ろしながら、ルザミーネはパラサイトとともに、ウルトラホールの中へと消えていき、ホールが閉じてしまった。
「そんな……」
「かあ、さん……」
「では、私もこの辺りで。失礼」
テレポートで逃げるザオボーを、誰も止められる状況になかった。ただ、目の前で起きたことがあまりにも受け入れられ難くて、あまりにも突然すぎて、あまりにも非情で……
「ピカッ!?」
『これは……サトシ!』
慌てた様子のピカチュウにルカリオ。サトシ達が駆け寄ると、ほしぐもの体が光り輝いている。
「これは、進化の光?」
「ほしぐもちゃんが、進化するのですか?」
光の中から現れたほしぐもは、姿が完全に変わっていた。雲のような体は硬くなり、その瞳は閉じたまま。泣くことも、笑うことも、動くこともしない。まるで眠っているかのようにも見える。
『データなしロト。ただ、似たようなケースにトランセルとコクーンがあるロト。もしかしたら、さらなる進化をするかもしれないロト』
「では、無事ということなのですか?」
「わからない。ほしぐもはウルトラビーストだ。俺たちの常識では語れない」
「ほしぐも……」
ルザミーネがいなくなり、ザオボーも逃げた。助けようとしたほしぐもは動かなくなってしまった。失敗してしまった……サトシが拳を強く握りしめる。
「えーと、皆さん。取り敢えず、一旦戻りましょう。落ち着けるように、紅茶でも飲みませんか?」
唯一の大人、ビッケがリーリエの肩に手を置きながら場をまとめる。ここにいてもしょうがない、そう判断したグラジオとサトシも、特に反対しなかった。
部屋から戻る間ずっと、リーリエはサトシの服の袖を掴んでいた。まるで何かに縋り付かなければ、崩れてしまいそうで、壊れてしまいそうで、誰も声をかけられなかった。
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エーテルパラダイスからメレメレ島に戻ったサトシ達。ビッケと共にバーネットに事の顛末を説明したところ、
『状況はわかったわ。マシンを直して、ホールをもう一度開けるようにしてみる。今、あなた達がすぐにできることはないから、一度帰って休みなさい』
と言われてしまった。しかし、実際自分たちでは、どうしたらウルトラホールを開くことができるのか、全くわからない。頼みのほしぐもも、動くことができない今、彼らは頷くことしかできなかった。
「ルザミーネさんを、助けなきゃな」
ポツリとサトシが呟く。しかしそれに対し、グラジオが首を横に振る。
「サトシ、ここまで巻き込んでしまったことはすまなかった。だが、ここから先は、俺たち家族の問題だ」
「けど、」
「このことは俺がなんとかする。だから、お前は手を引け。じゃあな」
さっさと歩いて行ってしまうグラジオ。その場に残されたサトシは、リーリエの様子を伺う。俯いたまま、シロンを抱き締めている。励まそうにも、なんて言えばいいのかわからない。結局彼の口から出たのは、
「帰ろう、リーリエ。博士に相談してみたら、何かわかるかもしれないだろ?」
なんて、当たり障りのない言葉だけだった。博士ならわかるかもしれない、そんな可能性はゼロに近いと、自分でもわかっているのに。
「はい……」
それでも、小さく頷いたリーリエを休ませるべきだという考えから、サトシはその手を取ってククイ博士の家まで歩いて帰った。
「サトシ……ごめんなさい」
その夜、動きやすい服装に普段と違うポニーテールに近い髪、そしてサトシが愛用しているものに近い大きさのリュックを背負ったリーリエが、博士の家から抜け出した。
(少しの着替えと寝袋。携帯食料に、キズぐすり。もうスプレーは、使わないから置いて行く……こんなに少ない荷物なんですね、サトシの旅って)
こんな時に不謹慎と思いながらも、その荷物でサトシとともに旅をする自分を想像してしまう。きっと沢山のドキドキやワクワクが待っているのだろう。
けれども、自分が行くのはそういう旅ではない。向かう先はウルトラホールの先、ウルトラビーストの世界。母を助けるために、自分が行かなければいけない。
(ちゃんと伝えなきゃ、わたくしの思いを)
少し歩いた先に、木にもたれかかっている人影が見える。雲が動き、月明かりがその顔を照らす。
「……お兄様」
「行くのか?」
短い問いかけ。でも、それだけで十分伝わる。目を閉じ、小さく息を吐く。緊張が少し解れた気がする。目を開き、兄を見つめる。
「はい!」
翌朝、胸騒ぎがしたサトシが早くに目覚めると、リーリエの姿はなく、書置きが一つしてあった。
『ククイ博士、そしてサトシへ、
お母様を助けに行ってまいります。少し時間はかかるかもしれませんが、必ず一緒に戻ります。がんばリーリエです
待っていてください
リーリエ』
いなくなったリーリエ。
動かないほしぐも。
家族の問題だと言ったグラジオ。
そしてルザミーネさん。
大人しく手を引く、なんて、出来るわけがない!
俺だけじゃない、みんなだって!
なぁグラジオ、俺たちは……
次回、XYサトシinアローラ物語
『見せるぜ、絆!日輪の祭壇へ!』
みんなもポケモン、ゲットだぜ!