日常が崩壊した世界で。   作:葉月雅也

4 / 31
錬 「なあ、時雨」
時雨 「何だ? 錬」
錬 「今回も、俺達のトークらしいぞ」
作者 「悪かったな!」
時雨 「黙れ」
作者 「はい……」
錬 「で、今回は俺らだけ?」
作者 「そうですねー」
時雨 「話す内容無いくせに」
作者 「あるわ!!」
錬 「なんすか?」
作者 「二次創作出すわ」
時雨&錬 「……地雷踏むやつだこれ」
作者 「うるさい! とりあえず……」
一同 「本編をお楽しみください!」


過去との接点

「クソガキめ……」

 

自分の提案を無視して、自ら危険な道を選んだ彼らに長元は、ただただイライラしていた。

 

「まあ良い、俺にはもう関係ない事だ」

 

長元は不敵な笑みを浮かべ、校庭に戻って行った。

 

 

 

 

 

「格好つけたのは良いけど、お兄ちゃんこの後どうするの?」

 

本当のところ時雨には何も案が無かった。

今から時雨の家に戻っても、圧倒的に食材が足りない。時雨の額に冷や汗がうかぶ。

 

「それなら、私の家に行く?」

「え、いいのー?」

 

ほのかは表情を変えずに頷き、了承した。

 

「ご家族の許可は得ているのですか?」

 

みくがごもっともな質問を投げかける。

 

「その心配は無いわ、私の持っている家だから」

 

みくにはほのかが言っている意味がわからず首を傾げた。

 

「さあ、行きましょう。ここから歩くなら、20分くらいかしらね」

「急ごう」

 

時雨を先頭に、駆け出した。

 

 

 

 

 

 

「しかし、数が多いな」

 

時雨も10体目から数えるのを止めていた。

それだけ数が多いのだ。

 

「え、えい!」

 

護身用に時雨から渡された包丁でみくも攻撃をする。

しかし、攻撃はゾンビの肩に刺さっただけでゾンビの行動は止まらなかった。

 

「大丈夫か?」

 

錬がゾンビの後方から頭を突き刺した。

 

「ええ、ありがとうございます」

 

かろうじて立っているが、生まれた子鹿のように震えていた。

 

「全く、しっかりしてくれよ。ほら」

 

錬は、その場にしゃがんだ。

 

「え?」

「おぶってやるよ、早くしろよ。時雨達と、はぐれる」

「あ、ありがとう……」

 

錬は、みくを背負い時雨達のもとに駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ここよ」

 

ほのかの声で皆、足を止めた。

今のところ辺りにゾンビの姿は無い。

 

ほのかはインターホンを鳴らし、マイクに向かって話しかけた。

 

「私よ」

 

ドアの施錠が解除される。

 

「お急ぎください」

 

少しドアが開き、1人の少女がドアを開ける。

 

全員が建物の中に入ったのを確認して、少女はドアを閉めて施錠した。

 

「紹介するわ、私のメイドの由美(ゆみ)よ」

長崎(ながさき)由美です」

 

時雨達も軽く会釈をする。

 

「ほのかさんは本当にご令嬢ですか?」

「……さあ? 判断は任せるわ」

 

「由美、皆を部屋に案内してあげて」

「承知しました。さあ、こちらへ」

 

由美に時雨達は案内してもらった。

 

 

部屋は広く、時雨の部屋より大きかった。

 

「広いな……。由美さん、ありがとう」

「……兄貴」

 

時雨の瞳から光が消える。

 

「お前の兄貴じゃない」

「そうですね、失礼しました」

 

由美は一礼して去っていった。

時雨はベッドに横になり呟いた。

 

「……もう、俺は……」

 

 

 

何時間経っただろうか。

いつの間にかに寝てしまっていたようだ。

 

「起きなさい、時雨君」

「ん……そんな時間か……」

 

夕食の匂いがする。

 

「早く行きましょう」

 

ほのかは足早に部屋を出ていった、時雨も後に付いて行った。

 

 

 

「遅いぞ」

 

錬がテーブルを叩いて2人を急かす。

 

「うるさいぞ」

 

時雨は近くの戸棚にあった引き出しからフォークを取り出し、錬の額に向けて投げた。

 

「痛っ!!」

 

オールバックにしている錬の額から若干、出血する。

 

「時雨〜!」

「あ?」

 

時雨の眼力に錬は怯み、何も言えなってしまった。

 

「お嬢様、料理が冷めてしまいます」

「そうね、時雨も早く座りなさい」

 

由美が椅子を引き、ほのかが座る。

 

「いただきます」

 

静かに、実に静かな食事が始まった。

 

 

〜10分後〜

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

皆、食事が終わった。

 

「ほのかさん、この家の武器になりそうなもの探しも良いですか?」

「構わないわ、探しましょうか」

 

皆、席を立ちほのかの後ろに着いて行った。

 

「武器になりそうなものなら倉庫です、お嬢様」

「そう、ありがとう」

 

ほのかは感謝しているようだが、相変わらず表情に変化は無い。

 

「さあ、手分けして探しましょう」

「はいよ」

 

 

〜数十分後〜

 

 

「あ」

 

錬が声を上げた。

 

「何か武器になりそうなものあったか?」

 

「こ、これは……」

「何だよ」

 

時雨は、期待しながら錬のもとに寄る。

 

「『トラハザード』! (ぬか)の天使 コリペアさんのデビュー作。しかも初版じゃん!!」

「それ、面白いのか?」

 

時雨は冷めきっていた、しかし錬は気にもせず語り続けた。

 

「もちろん! 内容は……」

 

錬は口を閉ざし、俯く。

 

「どうしたんだ? 内容は何なんだよ」

 

時雨は、一応内容が知りたかった。

普段マンガしか読まない時雨は、糠の天使 コリペアの事は知らなかった。

 

「まさに、こんな世界だよ。ゾンビが発生した町から逃げて……転校した先の町でもゾンビが現れて、それでも生き延びるお話だよ……」

「確かに似ているな、今の現状と」

「だから、言いたくなかったんだ」

「で、その話だとどうなるんだ?」

 

 

錬はしばらく間を開け、深呼吸をしてから口に出した。

 

「知らん」

「は?」

 

時雨は呆れて何も言えなかった。

 

「知らんって、どういう事だよ!」

「まだ、続編が出る……予定かもな」

 

錬が確信しないような言葉を選んだ理由は、時雨には理解出来た。

 

「その人、生きていると良いな」

 

その人にサバイバル術が、備わっているかわからない。

故に、この言葉は時雨なりの優しさだった。

 

「そうだな」

 

いつもとは、真逆に錬は静か答えた。

 

「何しているのかしら? 時雨君」

 

いつの間にか時雨の背後に、ほのかが現れた。

 

「何して……あら?」

 

ほのかは錬が持っていた本に気が付いた。

 

「欲しかったらあげるわ、その本」

「良いのか!?」

「ええ、構わないわ」

 

錬は嬉しそうに、本を抱え微笑んだ。

まるで少年のように。

 

 

「お嬢様、外にゾンビ達が……」

 

由美が早歩きで、ほのかの近くに来る。

 

「あら、時雨君」

「はいはい、行きますよ……」

 

ほのかと時雨は、倉庫をあとにした。

 

「お兄ちゃんと、ほのかさんだけで大丈夫かな?」

「大丈夫だろ、お前の兄だぜ」

 

時雨達が消えていったドアを残されたメンバーは眺めていた。

錬が皆に声をかけた。

 

「俺達は、 俺達に出来ることをしよう」

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、数多いなぁ」

 

大体引き出しから両手て数えられるくらいだろう。

しかし、相手はゾンビだ。

1体との戦闘でも命を落としかねない。

 

「そうね、でもあの頃の捌いた(送った)数に比べたら少ない方よ」

「そうだな……そうかもな」

 

 

時雨とほのかは武器を構えた。

目と目を合わせ、タイミングを合わせる。

時雨が先に駆け出し、先陣をきる。

 

鮮やかな剣技で、ゾンビを捌いていく。

彼の脳内では既に、ゾンビとの戦闘と判断していない。

あくまでも頭を狙い叩く実に単純な作業と、考えていた。

 

戦い方も段々荒々しくなっていき、服に返り血が付着していく。

 

「ふふふ……あはははは……これだよ…この感覚!」

 

誰が見ても時雨は暴走状態に入っていた。

 

「あら、あの頃(むかし)と同じ目をしているわね」

 

そう言うほのかも手作りの槍を操り、ゾンビの機能を停止させていく。

 

ズブッ……ズブッ……。

 

無言で動かなくなったゾンビの腹部に、過剰攻撃を繰り返す。

 

「おいおい、まだ残っているぞ」

「あら、わかっているわよ」

 

そう言って次々とゾンビを殲滅していく。

 

 

 

 

 

「大体、終わったか」

「ええ、大体終わったわ」

 

時雨とほのかはお互いの服を見るなり、返り血塗れになっている事に気が付いた。

 

「早く、着替えよう」

「変態ね」

「は? 傷口とかから、ウイルス入ったら終わりだぞ」

「わかっているわよ」

 

そう言ってスタスタと家の中に戻って行った。

 

「相変わらず、ほのかは何考えているかわかんないな」

 

独り言を呟き時雨も風呂に入りたいと思いながら戻って行った。

 

 

 

「おかえり、お兄ちゃん」

「遅かったな、時雨」

「ほのかさん、大丈夫ですか?」

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

「ああ、ただいま」

「ただいま」

 

夏奈達は時雨とほのかの服に付いた返り血を見て戦闘の激しさが目に浮かんだ。

 

「そう言えば、倉庫に……」

「錬、すまん。先に風呂に入らせてくれ」

「ああ、そうか。気づかなくて悪かった」

 

錬はバツの悪そうに謝った。

 

「兄k……時雨様こちらです」

「お前、わざとか?」

「何のことですか?」

 

由美は完全にシラを切っていた。

 

チッ

 

時雨は軽く舌打ちをして由美の後に付いて行った。

 

 

 

 

 

「いい湯だな……」

 

露天風呂ではないが、ガラス張りで石庭が見える。

 

「ふぅ……」

 

時雨は、戦闘中に(いだ)いた感情を思い出していた。

 

「あー、恥ずかしいなぁ……」

 

誰もいない風呂場で時雨は呟いた。

 

「まだ、そんな事言っているの?」

「しょうがないだろ……。は?」

 

大浴場に近い浴槽から時雨は入り口の方を見る。

そこに立っていたのは、タオルを丁寧に体に巻いた……ほのかだった。

 

「何でお前が!?」

「ここ、私の家よ」

「いやそうだけどよ……」

「なら、問題無いでしょ」

 

そう言い、ほのかは体を丁寧に洗い始めた。

まるで大和撫子のようだった。

時雨は、ほのかの方を見ないように後ろを向いた。

 

「さっきは、サポートありがとう」

「いえいえ」

 

会話が続かない。

いつの間にか体を洗い終わったほのかが、浴槽に入り、時雨の背中に寄りかかっていた。

 

「で、何で入ってきたんだよ。時間ずらせよ」

「私だって早くお湯に浸かりたいんだから」

 

しかし、それだけでは理由になっていない。

再び時雨が文句を言うために口を開こうとした時、それをほのかが遮った。

 

「時雨君は、何で生き延びようと思っているのかしら?」

「急にどうしたんだ?」

「この前、みくさんに聞かれたの」

 

時雨は暫く考えた後、はっきりと答えた。

 

「好きな人にちゃんと告白するためかな」

「誰なの?」

「それは言えないな」

「……(ボス)の権限を使っても?」

「ああ」

「せめて、どんな子か教えなさい」

「笑顔がかわいい(かもしれない)子」

 

ほのかはそれを聞き、珍しく表情を少し変える。

しかし、背中合わせの時雨には見えていない。

 

「時雨ー! 俺も入っ……グヘッ!」

 

入ってこようとしたのは、錬だった。

それをほのかが本気で殴ったのだ。

 

「何故、ほ……の……かが……」

 

時雨はこの時、錬の不運さに苦笑した。




最近、読まれているのか不安になりながらも書いている葉月雅也です。
現実世界では私立の高校入試が近づいてきていますね。
あれは、大変だった……。
今も僕がこうしている間にも頑張っている受験生、応援しています。
単願の人も、併願の人も真剣に頑張ってください。
まとめると、『頑張ってください』ということです。
それではまた、どこかで。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。