誠に申し訳ございません。
それでは本編をどうぞ。
「あ」
ほのかも自分がした事に今更気がついたようだ。
暫く考える素振りを見せ、手を2度鳴らし小声で由美を呼ぶ。
「お呼びしましたか? お嬢様」
「錬が倒れたの、部屋に運んであげて」
時雨は内心、
「先に上がるわ、時雨君。ゆっくりしてきなさい」
「はいよ」
錬はタオルに包まれ、由美に運ばれて行った。
〜10分後〜
「いい湯だった」
腰にタオルを巻き、着替えを探す。
「時雨様、こちらです」
そう言って由美が男物の服を持ってきてくれた。
「ありがとう」
着替え始めた時雨は異変に気づく。
「由美、これもわざとか?」
「何のことでしょう? お嬢様からの指示ですが」
時雨が着ようとしていた服は昔、着ていた服だった。
「他に無かったのかよ」
「ありますが」
「そっちにしてくれ、これは……な」
「了解しました」
由美は時雨から特攻服を預かり、代わりにカジュアルスーツを渡した。
「何でこれなんだ?」
「私の趣味です」
「もう良いから」
時雨はそう言うと自分が持ってきたリュックサックを開け、服を取り出した。
「パーカーですか?」
「ああ」
「王道ですね」
由美は冷たい目線で言葉を吐き出す。
時雨は素早く着替える。
そして風呂場を後にした。
部屋に戻り、布団に体を埋める。
時雨のまぶたは徐々に重くなる。
「時雨君? あら……おやすみなさい」
長い1日が終了した。
朝
「朝です、お嬢様」
ほのかの部屋に由美の声が響く。
「お嬢様、朝です。起きてください」
「むにゃぁ……。ライト……」
ピクッ
由美の眉が動く。
強引に掛け布団を剥がす。
クシュン
ほのかは縮こまるものの、起きる様子は無い。
由美の口から、ため息が溢れる。
スタスタと部屋を出ていき、時雨の部屋に向かう。
コンコン
「時雨様、入ります」
ガチャ
「ん、何だ? 由美か」
「起きていたのですか?」
「ああ、昔からの癖だ」
「それは、
時雨は苦笑いを浮かべ、「さぁな」と呟いた。
「用は何だ?」
「お嬢様が起きないので、起こしてください。あの調子だと私が起こすより、時雨様が起こす方が効率が良いかと」
「はいはい」
時雨は頭を掻きながら、ほのかの部屋に向かった。
コンコン
「ほのか? 入るぞ」
……。
時雨は反応が返ってくるのを待ったが何も返ってこなかった。
時雨は、
中は女の子らしい服やぬいぐるみが置いてあった。
何だか甘い"香り"もした気がした。
「おい、起きろ」
ほのかのおでこを軽く叩く。
むにゃむにゃ…………。
起きる気配が無い。
時雨も呆れてものが言えない。
「てい!」
時雨はほのかのおでこに全力でデコピンをする。
「痛いわ、時雨君」
「起きたか、朝だぞ」
ほのかはむくりと起き上がる。
髪の毛もボサボサで、同一人物とは見えない。
「じゃ、出て行くから」
「ライト、着替えさせて」
まだ寝ぼけているようだ。
「自分で着替えろよ」
数分後、いつもと変わらないほのかが出てきた。
「行きましょう、時雨君」
「はいはい」
このギャップにも、もう慣れてしまった時雨である。
「お兄ちゃん、おはよー」
「ああ、おはよう。外の様子はどうだ?」
「自分の目で見た方がいいよ」
時雨は夏奈の言っている意味がわからなかった。
それだけゾンビの数が増えたのだろうか。
謎が深まる中、時雨は恐る恐る玄関を開けた。
「な……」
ゾンビが殲滅されていた。
確かに昨日ほのかと俺で殲滅した時には、いなかったゾンビもいる。
「夏奈が言っていたのはこういう事か」
時雨は家の中に戻っていった。
「あ、時雨おはよう」
「おはよう、錬」
「昨日の件だけど」
「地下で見つけたものか?」
「あとで取りに行こうと思うんだけど」
「わかった」
朝食の後に取りに行く事にした。
「ごちそうさま」
朝食が終わり、時雨達は再び倉庫に向かうことにした。
「これだよ」
「!?」
時雨は仰天した。
「『
「そうよ正真正銘、時雨君が使っていた相棒よ」
「ほのか、どういう事だ?」
頭上にクエッションマークを浮かべる錬に、ほのかは「後で話す」とだけ伝えた。
時雨の妹である夏奈ですら知らない時雨の過去を。
「とりあえず持っていこう」
時雨はショーウィンドウの扉を開け『更識』と『金月』を取り出し、ほのかに『更識』を手渡した。
表情では語らないものの、ほのかは『更識』の重みに不安を感じていた。
本当に『
「お嬢様、大変です!」
由美が慌てて倉庫に入ってきた。
由美は普段からほのかと似て、冷静に行動しているためここまで慌てているのは珍しかった。
「どうしたの?」
「ゾンビが……」
ドン!ドン!
何かが玄関を強く叩いている。
時雨の額に冷や汗が見られる。
「夏奈、俺と一緒にまとめた荷物を取ってこよう」
「う、うん」
「由美、他に脱出 出来る道はあるか?」
「この倉庫の奥から一応出られます」
「わかった、そっちに向かってくれ」
そう言い残すや否や時雨は駆け出した。
時雨はドアの耐久が限界を迎えるまで5分と見積もった。
最低限の食料を取るためにキッチンへ。
武器にしていた木刀を取りに借りた部屋に。
こうしている間にも
「これで最後だ」
「お兄ちゃん、こっちも終わったよ」
時雨は頷き、倉庫の方向に向かい全力疾走した。
バンッ!!
ドアが役目を辞め、ゾンビの大軍が押し寄せてくる。
チラりと夏奈の方を見ると、無事に倉庫に辿りついた。
「クソッ……」
時雨は、あの頃と違い体力が若干落ちた気がしていた。
「時雨君、何しているのかしら。早くしなさい」
ほのかは手を伸ばして待っていてくれている。
時雨は、ほのかの艶のある手を掴んだ。
ほのかも自分の手を掴まれたのを確認して、全力で引っ張った。
「助かった……。ありがとう、シルバー。……あ」
つい、昔の呼び名が出てしまった。
しかし、ほのかは気にすることなくスタスタと、歩いていった。
そして急に振り向き、
「どういたしまして、ライト」
とだけ言った。
こんにちは、葉月雅也です。
今回はフラグ立てッスね。
時雨とほのかの過去での接点を、書きやすくするためだけのお話です。
プロット作っている時から書くか悩んだんですよね。
うーん、2話連続でゾンビとの戦闘が無いことになるんですよね……。
本当にすみません。
それでは今回はこの辺で。