幻想戦記クロス・スクエア   作:蒼空の魔導書

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何らかの原因でPC版【暁の軌跡】のサーバーにログインできなくなってしまった……その所為で泣く泣くVita版で最初から最スタートしたよチキショー! 再販ガチャで奇跡的に引き当てる事ができたリーシャがぁぁああっ!!(泣)




異界化(イクリプス)

こっちの都合も知らずにいきなり決闘を仕掛けてきたシグナムをいつも通り雷切で斬り倒した出雲那は急ぎアーケード街に向かおうとするが、そこへ《終焉の盾(エインヘルアル)》のエージェントと名乗る謎の美女──サクヤ・マキシマが出雲那の前に現れ、出雲那を呼び止めたのであった。

 

──何だ? 誰だこの女? 何でオレの名前を知ってやがるんだ!? 統合企業財体をはじめ、このスクエアには多くの組織が活動してやがるが《終焉の盾》なんて組織聞いた事ねぇし……それにこの女、間違いなく強ぇ。

 

出雲那は優しい微笑みで自分を見つめて近づいて来るサクヤを警戒し身構える。 出雲那はサクヤとの面識は一切無いうえ、《終焉の盾》などと得体の知れない組織を名乗って近づいて来ているのだから、警戒するのも無理はないだろう。

 

「ふふ、そんなに警戒しなくても大丈夫よ。 安心して、私は君に危害を加えようとしている訳ではないわ」

 

「そんなの信用できねぇな。 見ず知らずの奴が名乗ってもいないのに人の名前を呼んで、得体の知れねぇ組織を名乗って声をかけて来るなんざ、怪しいと思わない方がバカだぜ」

 

「ふふ、確かにそうね……でも、知りたくない? 明日香が今、何所で何をしているのかを」

 

サクヤは警戒心剥き出しの出雲那の目の前に立つと、出雲那の眼を真っ直ぐと見つめて優しく問う。 その子を見る母のような微笑みは素なのか、それとも演技なのかは分からないが、例え素だとしてもそれだけでサクヤが信用足る人物であるという判断材料にはならない。 それに──

 

「……アンタ、柊と知り合いなのか?」

 

出雲那が今探している柊明日香という少女の情報を知っているかのような口振り……それがサクヤの怪しさ、延いては明日香への懸念をより一層強めていた。 もし明日香がサクヤ──《終焉の盾》という組織の関係者であるならば、彼女達がこのスクエア内で何か後ろめたい事を行っている可能性も考えられる。

 

「そうね、その認識で間違いはないわ。 言ってみれば私と明日香は()()()()()ってところかな」

 

返って来た返答は肯定。 これで柊明日香という少女がサクヤが所属していると言う《終焉の盾》という組織の関係者である事が濃厚となった……いや──

 

──もしかしたら、このサクヤって女がオレと柊を罠に嵌める為に嘘を吐いているっつう可能性もあるな……。

 

出雲那は仮説を決めつけずに様々な可能性を模索する。 今会ったばかりの他人であるサクヤの言葉を鵜呑みにするのは早計だ、真実をこの眼で確かめるまでは結論付けるのはまだ早い。

 

「まあ明日香のやっている事と私の任務は全く無関係とは言わないけれど、別件だから、あの子は私がこの都市に来ている事は知らないでしょうけどね」

 

「……アンタ、随分とよく喋るじゃねぇか。 オレの予想だが《終焉の盾》ってぇのは“裏”の組織だろ? オレ達スクエアの学生は将来の戦士候補生で一般の学生とは違うとはいえ“表”の人間だぜ? 守秘義務とか任務に対する機密事項とか無ぇのかよ?」

 

「もちろん、原則として組織の情報・エージェントの任務内容は表の人間に口外する事は禁止されてはいるわ。 ()()()()だけどね……」

 

「?」

 

淡々と語るサクヤにジト目で指摘を入れる出雲那であったが、サクヤは動揺する事も無く矛盾するような事を言ったので、出雲那は首を傾げた。

 

「どういう事だよ? それだとまるでオレに任務内容をベラベラと話す理由は()()()()()()()()って事に聞こえるんだが……まさか、アンタの任務って、オレにも関係があるってのか?」

 

「ええ、そうよ。 ふふっ、貴方なかなかの洞察力を持っているわね。 正直、驚いたわ」

 

「茶化すんじゃねーよ。 こんなの一輝に比べたら凡人レベルだっての……で? オレに何の用があるんだ、終焉の盾のエージェントさんよ?」

 

出雲那は腕を組んで、面倒臭そうにサクヤに用件を求めた。

 

「そうね、時間も無いし簡単に話すわ……私の任務は武内出雲那君、貴方を探し出して協力者になってもらう事よ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──《八百万の神刀》の二振りが一つ──《創生の雷刀(イザ=ナギ)》に選ばれた【伊邪那岐(イザナギ)(つく)り手】である貴方にね」

 

「っ!!」

 

サクヤがスクエアに来た目的を語ると出雲那は喉を詰まらせるように顎を引いて眼を見開き、自分の腰に差す二振りの得物の内【伊邪那岐】と名が刻まれた鞘に収められた太刀を一瞥する。

 

「アンタ……この刀の事、知ってんのか……?」

 

声を震わせてサクヤに問う出雲那。 彼が刃を抜く事を拒むその太刀は物心が付いた時から出雲那の手に有り、実は彼はこの太刀の正体を知っているわけではない。

 

過去に第七機関の研究施設で調べてもらってみたところ、太刀はオリハルコンすらも凌駕する硬度を持つ謎の希少鉱物(レアメタル)で作られており、ウルム=マナダイトを遥かに超えるエネルギー量が秘められている事が判明した。 その時に第七機関は研究の為に出雲那に対して太刀を引き渡すように言い、出雲那はそれに応じて太刀を研究員に手渡そうとしたが、研究員の手に太刀が渡った瞬間突然太刀が怒り狂うように雷撃を放電し、まるで『貴様に我を持つ資格は無い』と言っているかのようにその研究員を焼き殺してしまうという、惨い出来事があった。 どうやらこの太刀──《創生の雷刀》は純星煌式武装と同じで自ら使い手を選ぶようであり、出雲那にしか扱えない代物なのであった。

 

創生の雷刀の素材である【強大なエネルギーを秘める未知の希少鉱物】の情報を公にするのは危険だと判断した第七機関は、カモフラージュとして創生の雷刀を純星煌式武装として登録し、『武内出雲那に創生の雷刀という純星煌式武装を貸し出した』という偽りの設定を作った。 しかし出雲那は【魔術師(ダンテ)】、基本的に純星煌式武装は気力以外のチカラを持つ者を使い手として選ぶ事は無く、魔術師である出雲那が矢鱈と純星煌式武装を使えば外部に情報を隠蔽する事が難しくなるだろう。 その為、第七機関は出雲那に“創生の雷刀の存在を知る者以外への情報の口外”と“創生の雷刀の刀身を鞘から抜く事”を余程の事が無い限り極力禁止する事を言い付けたのだった。

 

以上の事から、出雲那はこの《創生の雷刀》が何なのかをずっと前から知りたかったのだ。 この太刀は何処で自分の手に渡ったのか? 何故自分を使い手として選んだのか? 何時何所で作られた物なのか? ……それを知る者が目の前に居るかもしれない。 出雲那はそう思うと、居ても立っても居られなかった。

 

「知っているんなら教えてくれ! こいつは一体何なんd──うおっ!?」

 

出雲那は腰のベルトに差す創生の雷刀を手に取り、それを前に掲げて急かすようにサクヤに情報を求めようとするが、その時、突然として前に掲げた創生の雷刀がバチバチと帯電し、蒼い雷光を発して光りだしたのであった。

 

「な……何だよこれ!? コイツ、どうしちまったんだ!!?」

 

さすがにこれには狼狽えざるを得なかった出雲那は動揺しながらサクヤに説明を求めるのだが、サクヤもまた驚いたかように眼を見開いて表情を強張らせている。

 

「これは……まさか、“神刀の共鳴(レゾナンス・ディバイド)”!? 近くに居るっていうの? 八百万の神刀のもう一振り──《冥界の死刀(イザ=ナミ)》の所有者である【伊邪那美(イザナミ)の使徒】が!!」

 

「何だよそれ! 下手なラノベみてぇに訳の分からねぇ単語並べたって、意味解らねぇよ! ちゃんと説明しt──のあぁっ!!?」

 

出雲那は一人で勝手に解釈しているサクヤに詳しい説明を求めようとするが、その時蒼く光っていた創生の雷刀から蒼く細い光線が南に向かって伸びるように放たれた。

 

「つ、次から次へと何なんだよ!?」

 

「……どうやら、ゆっくりと話している時間は無いみたいね」

 

「っ!? どあぁぁぁっ!!!」

 

そう言うとサクヤは困惑する出雲那の腕を取って上空に跳んだ。 当然、出雲那もサクヤに腕を引っ張られて上空に身体が投げ出される。

 

「い、いきなり何しやがるこのアマァッ!!?」

 

「いいから暴れないで! 事情なら後で説明するわ。 【伊邪那美の使徒】を有する“奴等”が動いたとなると、一刻の猶予も無いの! 急がないと明日香の身が危ないかもしれないわ!!」

 

「何だって!? どういう事だよ、おいっ!!」

 

「今は黙って着いて来なさい! この光の線が“神刀の共鳴”によるものなら、この光が射す先に《冥界の死刀》の所有者が居る筈……“彼等”の狙いが今回の明日香の目標(ターゲット)と同じだとしたら、あの子もこの先に居る筈よ!」

 

「……この線の射す方にあるのは……この東エリアの中央区か!」

 

空中で光が射す方角にある高層ビル郡を見据える二人。 サクヤの言う事が確かならば、あそこの何所かに明日香が居る筈だ。 そして、この先に何か大きな困難が待ち受けている……だが、今日知り合ったばかりとはいえ、学園の仲間であり、もしかしたら自分の命の恩人かもしれない少女を見捨てる事なんて考えられない。 出雲那は息を呑み、意を決する。

 

「……いいぜ、騙されたと思って今はアンタの言う事を信じてやるよ! だがな……もし、コレがオレや柊を陥れる罠だったんなら、テメェのその首を刀華さん直伝の雷切で斬り落としてやるからなっ!!」

 

出雲那はサクヤにそう言い放つと光指す方にある高層ビル郡を睨みつけながら自らの背中から雷光を放電する。 雷光は光り輝く鳥類の双翼を形作り、出雲那は夜空へと羽ばたいた。 出雲那の飛行スキル《天鳥(あまどり)》である。

 

「そうと決まりゃあ先に行くぜ! 遅れるんじゃねぇぞっ!!」

 

「え? ちょ、ちょっと!?」

 

サクヤの制止も聞かず出雲那はそのまま《雷光石火》を発動し、稲妻と見紛う速度で高層ビル郡に向けて飛翔して行った。

 

「……ふぅ……まったく、幾ら急いでいるからといって、せっかちなのもどうかと思うわよ……」

 

猪突猛進な少年が翔けて行った雷光の軌跡を眺めて溜息を吐く漆黒の美女は、()()()()()()()()()()少年の後を追うのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅蓮の劫火の様に朱い空……まるで血の様な緋色に染められたビル郡の中央を走るハイウェイの最果てに航空母艦らしき建造物が連結しており、その上には都市が存在している。

 

「うわぁぁああああああっ!!」

 

「きゃぁぁああああああっ!!」

 

その都市の一角にある闘技場(コロシアム)のフィールド上に、クレア・ハーヴェイ達青学風紀委員の姿は有った。 彼女達は今、追突した赤い罅の中にある謎の空間のこの場所で正体不明の人影と遭遇し、百武装(ハンドレッド)を纏ってその人影と激しい戦闘を繰り広げていた。

 

「リディっ!? エリカッ!!」

 

経った今リディとエリカに豪雨のように容赦の無い無数のレーザーが襲い掛かり、被爆による爆風で吹き飛ばされ闘技場の内壁に背中から叩き付けられた二人を見てクレアは悲痛の叫びをあげていた。

 

リディとエリカは大の字で壁に埋まった状態のまま気を失い、これで戦闘継続可能なのはクレアのみとなってしまう。

 

「温い……温過ぎますわ。 “クレア・ハーヴェイ”とその側近たる者が随分と腑抜けたものですわね。 その体たらくでは話になりませんわ」

 

「……くっ!」

 

満身創痍で片膝を着くクレアの目の前に立つ敵と思わしき人物がクレア達を見下すような目線で見て彼女達を蔑み、クレアはその人物を睨みつけて呻く。 クレアは既に【全身武装】を展開しており、敵が彼女が全力を出さなければならない程の戦闘力を秘めているという事が窺える。 その全身武装となったクレアの百武装である《気高き姫君(アリステリオン)》も、今はその気高さが見る影も無いくらいに半壊し、彼女が空に展開した六機の浮遊砲台と十機の小型浮遊砲台(ペダル)はその半数が敵の手によって撃墜されてしまっている。

 

「あの二人はもう邪魔ですわね。 敗者は外に放り出しておきましょうか」

 

敵はそう言うと片手を朱き天に掲げ、それと同時に顕れた転送陣によって気を失っているリディとエリカはこの場から姿を消したのだった。

 

()()()()()()……()()()()……」

 

満身創痍のクレアは怯えるように震えた眼つきで敵の顔を見上げ、戸惑うような声音で目の前に立つ敵に問いかける。

 

何故、クレアは敵の姿を見て戸惑っているのか? ……それは──

 

()()()()()()()()()()()()? ……ふふっ、聞くまでも無いでしょう?──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──わたくしは《無敗の女王(パーフェクトクイーン)》にして《気高き薔薇の守護者(ローズガーディアン)》──“クレア・ハーヴェイ”なのですから!」

 

その敵が自分と全く同じ(クレア・ハーヴェイの)姿をし、全く同じ百武装(アリステリオン)を展開しているからであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街を照らすライトの光が無数に輝き、夜空を彩る……そんな夜空を、武内出雲那は雷光のように翔けて行く。

 

「……あそこかっ!!」

 

出雲那の腰のベルトに差してある《創生の雷刀》から伸びた光の線を辿って雷光石火で飛翔する彼は、その光が途切れている場所に眼を向けた。 街の中央を走るハイウェイの下にある暗い歩道……どうやら光はそこを射しているようである。

 

「──よっと!」

 

《天鳥》を解除して、そのハイウェイ下の歩道に降り立つ出雲那。 すると創生の雷刀から伸びていた光の線は消えてしまった。

 

「……何だよ。 誰も居ねーじゃねぇかよ……」

 

その場で周りを見回しても、あるのはコンクリートで固められた歩道とハイウェイを支える太くて円柱状の無骨な柱、それと申し訳程度に歩道の端に植えられている小木があるだけ……《冥界の死刀》の所有者らしき人物どころか人っ子一人見当たらない(まあ、日が暮れた時間にこんな場所に子供が居たら、それはそれで問題だが……)。

 

「ったく! あの女、やっぱり騙しやがったんだな! 何が神刀の共鳴(レゾナンス・ディバイド)だよ? 柊も、【伊邪那美の使徒】なんて奴も、何所にもi「いや……()()()」──って、のあぁっ!? 急に現れんなよ! 驚くだろ!!」

 

出雲那が愚痴を叩いていると何時の間にかサクヤが出雲那の隣に立っていた。 出雲那はその事に驚いてギョッとし、サクヤに文句を言う。

 

「居るって、何所見て言ってやがるんだよ!? 人の姿なんて何所にも──っ!!?」

 

出雲那が怒り心頭の形相でサクヤを睨みつけ、この場所一帯を指さしてギャーギャー騒いでいると、突然ピキピキピキィィーーッ! と甲高く鳴る音が耳に入り、()()()()()()()()のを感じ取って騒ぐのを止め、恐る恐る円柱状の柱が立つ場所を振り返った。

 

「──なっ!!? ……あ、あれはっ!!!」

 

振り返ると、そこにはいつの間にか見覚えのある罅が顕れていたのだった。 空気を割って入ったかの様な赤い罅……間違いない、昨晩の夜に出雲那の前に顕れ、彼を正体不明の化物共が跋扈する謎の空間へと追いやった、あの罅だ。

 

「私達は、《異界化(イクリプス)》と呼んでいるの……」

 

「……異界化?」

 

「そう、君は知っている筈よ。 霊体の“異形”達が蔓延る、()()()()を」

 

「……」

 

因縁の相手を見るように出雲那は正面に浮かぶ赤い罅を睨みつける。

 

──昨晩の出来事はもしかしたら夢だったのかもしれないと心のどこかで思っていたのかもしれねぇ。 一度死にかけてビビッたのかもしれねぇな。 あんな地獄のような世界にもう一度関わるだなんて考えたくもなかったから夢だと思った方が気が楽だと、そう思っていた……。

 

強気に睨みつけながらも、出雲那の手は震えていた。

 

血のように朱い世界に跳梁跋扈する悪魔のような霊体の化物達……いかに戦士の卵であるスクエアの学生であろうとも、そのような悍ましいモノに関わるには心構えと精神がまだまだ未熟であると言えるであろう。 況してや出雲那は昨晩その化物達に殺されかけているのだ、込み上げて来る恐怖が体面に表れるのも無理はない……だが──

 

──でもな……今日知り合ったばかりとはいえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っていうのに見て見ぬフリをするマネなんてオレにはできねぇっ! 柊は……アイツはもうオレのダチなんだっ!!

 

『知らない“全”よりも大事な“個”を助ける』──それが武内出雲那の流儀(スタイル)だ。 もし柊明日香という人間が全くの他人ならば自分が死にかけた空間に入ってまで助けに行こうとは思わなかっただろう。

 

だが今日一日だけで明日香とは一緒に昼飯を食べた。 共に歩いた。 共に決闘(デュエル)を観戦した。 ……武内出雲那にとって柊明日香とは、もう失いたくない大事なダチなのだ。 だから、出雲那はここから……引かない!

 

「覚悟……決めたのね」

 

「……ああ」

 

出雲那の腕の震えが止まったのを視認したサクヤが気持ちを確認するように出雲那に呼び掛けるが、もう彼女に言われるまでもない。 出雲那は罅の向こう側の世界──“異界”に足を踏み入れる為には何をすればいいのかがまるで解っているかのように、罅に向けて足を一歩踏み出した。 そして彼は……自分の持つ“第三の刀”の銘を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「闇を斬り払え──《十拳(とつか)》!!」

 

隠していた【霊力】が解放され、出雲那の右腰に()()()()()が顕現される。 葵柳の門を潜った時から今まで共に戦ってきた自慢の愛刀《黄旋丸(おうせんまる)》に、自分が持つ意味を未だに知らぬ無限のチカラを秘めし太刀《創生の雷刀》、そして経った今顕現した雷光渦巻く白い鞘に刀身が収められた太刀型の霊装《十拳》……武内出雲那は、これ等三本の刀を所有する。

 

──《八百万の神刀》が主として認める者の絶対条件……それは【気力】【魔力】【霊力】──俗に『《三大源力》と呼ばれる三つのチカラ全てを内に秘め、その全てを行使する事ができる者』であるという事……成程、《創生の雷刀》の所有者なのに何故彼から霊力を感じないのかと思っていたけれど、何らかの封印術で【霊力】を封じ込めて隠していたのね。

 

出雲那は【魔術師(ダンテ)】としてスクエアの運営委員会に学生戦士登録をしており、自分が魔術師であると同時に【伐刀者(ブレイザー)】でもあるという事は世間に隠していたのであった。

 

古来より世間一般では魔力と霊力を両方持って生まれた者は前例が無く、《三大源力》という異なるチカラ全てを同じ器に存在させる事など不可能であるとされている。 もし出雲那が《三大源力》全てを持って生まれた特異存在であるという事が世間にバレれば、世界中の異能研究者達が出雲那の人体構造を調べる為に彼の許へと押し寄せて来て、大騒ぎになる事だろう。 最悪の場合、解剖される事も十分に有り得る。

 

故に出雲那は普段から強力な封印術式で自分の霊力を封印して外に漏れないようにして、周りにこの事を隠しているのだ。 この事を知っている者は彼の親友である黒鉄一輝をはじめ、彼が信頼を置く知り合い数名だけである。

 

──それにしても流石は《創生の雷刀》に選ばれた【伊邪那岐の創り手】だわ。 気力と魔力は勿論、霊力も相当な総量を持っているわね。

 

サクヤが後ろで見守る中、出雲那は赤い罅の前に立ち、顕現させた《十拳》の柄を左手で握り締めて、居合の構えを取る。

 

「ふぅ……すぅ~っ」

 

息を吸って精神を整えると、《十拳》の鞘に霊力の電流を流す。

 

──もし出雲那が【適格者】なら、その“異界の裂け目”に霊力をぶつければ“ゲート”を顕現させる事ができる筈──

 

霊装の太刀の刀身が収まった鞘の内部に磁界が発生し、雷光が激しく火花を散らす。

 

「いくぜ……刀華さん直伝──」

 

それは現青学最強候補の一人にして現生徒会長の少女より教授された伝家の宝刀。 彼の抜き放つそれはまだ未完成ではあるものの、異次元の速度で繰り出される一刀は人の身で太刀打ちする事など許さない。

 

──……まあ、だけど──

 

超電磁加速銃(レールガン)のように雷速で刀身を鞘から撃ち出す超電磁抜刀術……その名は──

 

「──雷切っ!!!」

 

居合いと共に抜き放されし雷速の一刀が目の前に浮く赤い罅を横一閃に斬り裂く。 すると、その赤い罅に異変が生じはじめた。

 

──《八百万の神刀》に選ばれたんだから、適格者じゃないなんて事は、有り得ないでしょうね。

 

そして“ソレ”は顕れた。 赤い罅は完全に姿を消し、なんと代わりにアーチ状の赤い扉(ゲート)が其処に立っていたのだ。

 

──……この中に、あの化物達が居る世界が……柊の奴もそこに……。

 

出雲那は顕れた扉を眺めて息を呑む。 この扉の向こう側に待ち受ける化物達や、恐らく来ているであろう《冥界の死刀》を持つ【伊邪那美の使徒】なる者……それを思うと今まで彼が感じた事の無い緊張感が彼の脚を畏縮させる。

 

「……よしっ!!」

 

それでも……この扉の向こうで明日香が危険な目に遭っているのならば、この程度の緊張で立ち止まってなどいられない。 出雲那は気を引き締め、扉に掌を押し当てて、勢いよく押し開いた。

 

灼熱の様な朱い光が開いた扉から溢れ出て来る。 まるで地獄への入り口の様だ。 出雲那は畏縮する脚の震えを抑え、朱い光が導く扉の中へとその脚を踏み出した。

 

──待ってろよ柊……今、行くぜ!

 

出雲那とサクヤが扉を潜り抜けると扉は自動的に閉まり、東エリア中央区のハイウェイ下よりその姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




色々と出て来た重要な設定。 《八百万の神刀》だの、【伊邪那岐の創り手】と【伊邪那美の使徒】だの、厨二病もいい加減にしろ! と思うでしょうが、自分は厨二病です。 なのでこれは仕方がありません!!(キッパリ)

サクヤ「開き直って誤魔化しているけれど、頭は大丈夫なの?」

キャラが毎回自分に辛辣で辛い……。

まあ、その話は置いといて……今回のゲストは結社《終焉の盾(エインヘルアル)》のエージェント──《サクヤ・マキシマ》こと『シャイニング・ブレイド』のサクヤさんです!

サクヤ「ふふ、よろしくね」

いや~、自分シャイニングシリーズだとサクヤさんがぶっちぎりで一番好きなんですよ、実は! もしオリ主が学生じゃなかったら間違いなく彼女をメインヒロインとして起用していましたね!

サクヤ「私は相手が学生でも一向に構わないのだけど……」

まあ、レイジも学生でしたからね。(アレは恋愛とは違うだろうけど) ……でも、サクヤさんは大人の魅力が光る女性ですから、もしやるんなら大人同士の恋愛バトルファンタジーが書きたいですね。

さて、ここで宣伝です! 自分──【蒼空の魔導書】は先日息抜き作品を一つ投稿し始めました!

タイトルは『蒼空の魔導書 カーニバル・クロノファンタズマ』! 内容は、この幻想戦記クロス・スクエアを含む自分が投稿している作品に登場するキャラ達が一堂に会し、「色々な事を楽しくおかしくやっちゃおうぜ!」という、おふざけが過ぎる話となっております!

サクヤ「それはいいけれど……このあとがきみたいに手抜きで【台本形式】で書いているのはどうかと思うわよ?」

ハハハ。 まあ息抜きですし、シリアスがある訳でもないので簡単に書いています。(汗) ギャグは有りまくりですけど! 「シグナムが死んだ! この人でなし!!」みたいな感じで。

サクヤ「えっ? シグナムって、そういう役回りなの?」

あっはっは! 間違いなくシグナムファンの人達にブッ飛ばされますね!!(泣)

台本形式が大丈夫な人は是非見てほしいです! 戦闘とは違う出雲那達が見られると思いますので。

サクヤ「他作者の作品のキャラとのコラボも考えているみたいだけど……大丈夫なのかしら?」

ああ、ぶっちゃけ不安だ!(笑) まだどの他作者様にコラボをお願いするかも決めていないし……まあ、頑張ります!!

それでは、今回はこの辺で……サラダバー!


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