幻想戦記クロス・スクエア   作:蒼空の魔導書

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閃の軌跡Ⅲクリア! ……なんて終わり方だ。 まさか大ピンチでエンディングとは。

リィン「……」

アリサ「……」

二人は特に心をやられる展開だったからな、落ち込むのも無理はないが……。

Ⅳで逆転劇を期待したいところですね。 次回作で閃シリーズはラストのようだし……てなわけで蒼空の魔導書、執筆再開です! 大変長らくお待たせしました!!




宿命の出会い。 出雲那とプルート

「ハァァァッ!!」

 

朱い煉獄のような空の下で機械巨人が上から勢いよく振り下ろした片腕と強い踏み込みによって突き放たれた碧の女聖騎士の大槍が正面から衝突する。 ガキィィンッ! という金属が衝突する音を響かせて、両者は火花を散らして相手に一撃を押し込もうと押し合う迫り合い状態となった。

 

「アホか!? あんな明らかにパワー馬鹿丸出しのデク人形相手に、正面からパワー勝負を挑む馬鹿がいるかよ!」

 

瀕死のリディとエリカを連れて後方に下がった出雲那はレゾナンスゴーレムに対してガチンコ勝負を挑みだしたサクヤの行動を見て文句を言うように言い叫ぶ。 確かに出雲那の言う通りだ、サクヤは女性にしては長身だがそれでも巨体を誇るゴーレム型のグリードと比べたら圧倒的に体格差で劣る。 三大源力が世界に齎された百年前より小さな幼女がプロレスラーの大人を軽く投げ飛ばすなんて光景など当たり前の現在ではあるが、グリードのような超常的な化物が相手となるとそんな非常識など覆されてしまう事だろう……しかし──

 

「大地のチカラを……甘く見ないで! ハァァアアアアアアッ!!!」

 

「なっ!?」

 

出雲那は眼を見開いて驚きの声を上げてしまう。 予想を裏切りサクヤの細腕で突き出された大槍はレゾナンスゴーレムの大木のような太腕を徐々に押し返しているからだ。

 

そして再び金属が衝突する鈍い音が朱い空に響き、サクヤの大槍がレゾナンスゴーレムの片腕を押し退けた。 サクヤはそのまま森羅万槍を横一閃に薙ぎ払う。

 

「《連突大地穿(れんとつだいちが)》!!」

 

突きからの薙ぎ払いによる一閃がゴーレム型グリードの巨体をよろけさせて敵の体勢を崩し、好機を見出したサクヤは更に追い打ちを掛ける。

 

「これが、(みどり)の騎士のチカラよ──《撃衝槍牙(げきしょうそうが)》!!」

 

長物を大きく振るった反動を感じさせる事も無い程に素早く大槍の切っ先を引いたサクヤはその切っ先に強大な霊力を収束する。 その霊力はただの霊力ではない、自然を象徴する碧の光は清く鮮烈で、その光を伴う大槍の一突きは大地の怒りを表すように地を響かせてレゾナンスゴーレムの巨体を真っ直ぐ後方へと突き飛ばした。

 

「す……凄げぇ……!」

 

ビルの端にある落下防止の(ふち)に機械巨人が背中から激突し、その縁が爆発するような轟音をならして崩壊するのを目の当たりにして出雲那は感嘆の声を上げている。 サクヤの流れるような連続技は鮮やかで、戦士として未熟な出雲那の眼では反撃する隙を見つける事ができなかったからだ……。

 

──なんっつう隙の無ぇ連撃だ。 半人前とはいえ【流れ】を極意とする葵柳流の剣士であるオレの眼でも、全く付け入る隙が見当たら無ぇなんて……。

 

出雲那の知り合いの中では今のサクヤの連撃を見切れるとしたら、照魔鏡の様な戦術眼を持つ一輝と、【ちょっと反則的な解析スキル】が使える師の刀華ぐらいのものだろう。 出雲那が舌を巻いていると半壊した縁で仰転していたレゾナンスゴーレムが半身を起こし、縁が崩壊した時に巻き起こった煙に紛れてレーザー光線をサクヤに向けて撃ってきた。

 

「……モードチェンジ──」

 

もう一度《ガードアトラクタ》で防御するのかと思いきや、サクヤは今度は胸元から黄色のカードを取り出してそれを上に掲げてそう呟き、彼女の身体は再びそのカードと同じ色の光に包み込まれる。

 

「──Modeゲルブリッツ!」

 

光が弾けて消えると、黄色い帯で腰を引き締めた黄色の軽装を身に纏う可憐な双銃士が姿を現した。 身体の周りに電光がバチバチと迸っていることから、サクヤのこの双銃士形態の属性は“雷”であるようだ。

 

「速攻で行くわ! 《雷閃(ライトニングムーヴ)》!!」

 

敵が撃ってきたレーザー光線が直撃する直前でサクヤは身体中に黄色い電光を纏い、音速を凌駕した驚異的な速度でレーザー光線を回避する。 その動きはまるで雷そのものの様な錯覚を周囲の眼に映しており、出雲那の《雷光石火》やフェイトの《ブリッツアクション》の速度を大きく凌駕していた。

 

「ハァァアアアアアアッ!!」

 

サクヤは雷速のスピードをもって縦横無尽に動き回り、立ち上がったレゾナンスゴーレムが乱射してくるレーザー光線を容易く掻い潜りながら扇状のブレードが付属した双銃で雷弾を撃ちまくり、機械巨人の堅牢な装甲を砕き剥がしつつ敵に接近する。 敵が迎撃として繰り出してくる腕の振り下ろしや上半身を捻って敵を弾き飛ばす横回転攻撃を雷速のヒット&アウェイで避けながら双銃のブレードで巨体を斬り付け、離れては双銃による雷弾の嵐を容赦なく撃ち込んで敵にダメージを確実に与えて相手を攪乱していく。

 

「っ!?」

 

一方的に攻撃を受けて痺れを切らしたレゾナンスゴーレムが両腕に霊力を収束して上に振り上げたのを視認したサクヤはこの攻撃は少し厄介かもしれないという予感がして目を見開き、上空へと跳躍する。 直後、組まれた機械巨人の両腕がビルの床に叩き付けられ、この場が崩れ落ちてしまうと錯覚する程の激震と共に広場の床を埋め尽くす程の無数の円形の衝撃波を発生させた。

 

「おっと、危ねぇっ!!」

 

後方に控えていた出雲那も敵が両腕を振り上げた瞬間に身の危険を感じ、床に横たわるリディとエリカを両脇に抱えて付近にある連絡橋に跳躍していた。 上に跳んだサクヤは無事だろうかと出雲那が朱い空を見上げてみると、彼の眼に()()()()()が入ってきたのだった。

 

──っ!!? ……何だ? ……サクヤが……()()()()()()()

 

その光景は彼に動揺を生み出した。 空に跳躍した黄色い双銃士がその朱い空の上で静止し、ビルの上のレゾナンスゴーレムを見下ろして“立っている”からだ。 その理由は──

 

──何で、サクヤの奴が【魂律士(コンタクター)】の技術を使ってやがるんだ!? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()アレは、上位級の魂律士しか使えない霊術の超高等技術だった筈だ!!

 

阿散井恋次ら上位級の魂律士が使う技術を使用している事に出雲那は戸惑いを隠せないでいる……だが驚愕はこれだけでは終わらない。 敵対している相手を見失い頭部の一つ眼でギョロギョロと周辺を見回してオロオロしているレゾナンスゴーレムに向けて、サクヤは空中から右手の人差し指を指し向け……何かの詠唱を唱えはじめた。

 

「血肉の仮面・万象・羽搏(はば)き、ヒトの名を冠す者よ──」

 

──なっ!? あの詠唱は、まさか!!

 

「──雷鳴の馬車、糸車の間隙、光もて(これ)(むつ)に別つ──」

 

──しかも“二重詠唱”……だとぉっ!?

 

「──蒼火の壁に双蓮を刻む、大火の淵そ遠天にて待つ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──縛道の六十一、《六杖光牢(りくじょうこうろう)》!!」

 

サクヤが詠唱を言い切った刹那、強大な霊力で形成された六つの光帯が眼下のレゾナンスゴーレムに向けて放たれ、それがその巨体を一瞬にして六方向から貫き、六つの光杖が強力な枷となって機械巨人の身体をその空間に拘束してしまった……そしてサクヤの怒濤の攻めはこれだけでは終わらない!

 

「破道の六十三──」

 

二重詠唱によってそれを行使する霊力は既にその両掌に練り上げられている。 両手首が上下に重なり合うように両腕を眼下で拘束された敵に向けて突き出し、花弁のように開かせた両掌から蒼炎の奔流を撃ち放つ──

 

「──《双蓮蒼火墜(そうれんそうかつい)》!!!」

 

蒼炎は極太の炎渦となり、光杖に拘束されている為に身動きができない機械巨人を慈悲無く飲み込んでビルの一部を焼き貫き、灼熱の炎海へと消えて行ったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サクヤがレゾナンスゴーレムを撃破した後、出雲那とサクヤは重傷のリディとエリカに応急手当を施し、彼女達はなんとか一命を取留めた。

 

意識をギリギリ保っていたリディにこの異界内で行方不明となっているクレアの所在について話を聞いてみたところ、彼女が言うにはこの空中回廊を越えた先にあるハイウェイの最果てで巨大な航空母艦が連結して存在していて、彼女達は先程までその上に存在している都市の一角にある闘技場で突然遭遇した正体不明の敵と戦闘をしていたらしい。

 

なんでも、その航空母艦は二年前にワルスラーン社の企画(プロジェクト)によって始動する筈だった武芸者育成機関の海上学園都市艦、名は“リトルガーデン”というらしく、それはプロジェクトが始動した初日の日にとある海域で遊撃士協会が危険度Aランクに認定している超大型の魔獣《クラーケン》二体の襲撃に遭ってしまい、無惨にも破壊されてしまったそうだ。

 

当時リトルガーデンの艦長とその補佐を任されていたクレアとリディ達二人、海上学園都市を運営するワルスラーン社のスタッフ達と学園の生徒達はクラーケンの襲撃を受けて死にかけたのだが、ある一人の幼い武芸者が身を犠牲にしてクラーケン共を撃退してくれたおかげでクレア達は九死に一生を得たそうだ……そして、その犠牲になった幼い武芸者の名は《リザ・ハーヴェイ》といい、ファミリーネームで判る通りクレアの妹であった。

 

身の限界を遥かに超えた気力を放出した所為でリザは全身を損傷し今も眼を覚まさず、植物状態のままワルスラーン本社の地下研究施設の冷凍保存カプセルで眠っているそうだ。

 

このような事があった為に武芸者育成プロジェクトは凍結され、魔獣に破壊されてしまったリトルガーデンは当然廃艦となったそうだ。

 

「廃艦になった? それが本当なら、何でこんなところの最果てにそのリトルガーデンが存在するんだよ?」

 

「ZZ~」

 

「って、眠っちまったよ……」

 

「さっきも言った通り、《異界化(イクリプス)》というのは人の負の感情によって引き起こされるわ。 たぶん、この異界は彼女達の負の念から再現されたのでしょうね……」

 

「だから廃艦になったリトルガーデンがあるって事か……」

 

「そう……恐らく話を聞いた限りでは妹が犠牲になったっていうクレアって子の……いつまでもこの場に止まっている場合じゃないわね。 出雲那、彼女達を此処に寝かせてちょうだい」

 

「?」

 

出雲那は疑問に思いながらもサクヤに言われた通りにリディとエリカをサクヤが立っている前の床に並べて寝かせる。 するとサクヤは胸元から携帯端末らしき物を取り出して二人に向けて翳した。

 

──あれって、確か柊の奴が持っていた……。

 

出雲那はサクヤが取り出した端末を見て、それが今日の放課後に生徒会室でユーリとフェイトに事情聴取されていた時に明日香が弄っていた端末と同じ物だと気が付いた。 サクヤが何かを呟くと翳した端末が淡い光を発し出し、リディとエリカの身体からも同じ光が一瞬発せられると何事も無かったかのように光が消える。

 

「記憶消去──完了」

 

サクヤはそう呟くとその端末を胸元に仕舞う。 彼女が呟いた言葉の通りならば、サクヤは今二人の記憶を消したのだろう。

 

「……なるほどな。 オレが柊に助けられたのを思い出せなかったのはアイツがこれでオレの記憶を封じたからってことかよ」

 

「そうね。 あの子本当は君の昨日の夜の出来事を丸々封じたつもりだったのでしょうけれど、この記憶消去は【適格者】には効果が無いの。 その時はまだ君は適格者である事を自覚してなかったから、ほんの少しだけ術が効いたみたいね。 だから一部だけの記憶が封じられていたのよ。 まったく、あの子ったらうっかり者なんだから」

 

「柊……本当に裏の組織の人間なんだな……」

 

改めて柊明日香というクラスメイトの少女が自分とは違う世界を見ているという事を出雲那は痛感した。 今この朱い地獄のような世界の何処かで明日香がグリード達や【伊邪那美の使徒】とかいう奴かその仲間を相手にたった一人で戦っているかもしれない……明日香の実力を考えて滅多な事で彼女が簡単に他者に後れを取るとは思えないのだが、それでも万が一という事もあるのでできるだけ急いで明日香と合流したいところだ。 しかし、リディとエリカをこの場に放置して行くわけにもいかないだろう。

 

「さて、本当なら異界探索の素人である君を一人で行かせたくないのだけれども、時間を掛けていられないし、仕方ないわね……出雲那、君は先に先行してちょうだい。 私は一旦この二人を安全な外に避難させに行くわ」

 

「それは構わねぇけど、ここから出られるのか?」

 

「ええ、普通ならこの異界の主であるエルダーグリードを倒して異界化を収束させるしかないのだけれど、私達《終焉の盾》のエージェントは皆不足の事態に陥った場合の為の緊急脱出用の転移術を習得しているわ。 異界化を引き起こしたグリードのランクによっては転移できない事もあるけれど、この異界はどうやらギリギリ大丈夫のようね」

 

サクヤはそう説明して霊装を上に掲げ、彼女を中心に古代文字が書かれた方陣が床に出現する。

 

「それじゃあ出雲那、明日香の事はお願いね。 私もできるだけ早く追い付くから、それまで無茶をしちゃだめよ♪」

 

サクヤが出雲那にあざとらしくウィンクすると一瞬にしてサクヤと床に寝かされているリディとエリカはその場から姿を消したのだった。 その場に残された出雲那は腕を組み、サクヤ・マキシマという女性の底知れなさについて疑問を感じた。

 

「サクヤ……アンタは一体何者なんだ? 霊装の形態を自由に変えるわ、それと一緒に異能も別の属性に変わるわ、普通の伐刀者でありながら霊圧の足場や《鬼道(きどう)》といった魂律士の霊術を使うわ、鬼道の二重詠唱なんて高等技術を使えるわで、おまけにあの強さ……下手をしたら刀華さんよりも上かもしれねぇな。 《終焉の盾》のエージェントってぇのは、みんなあの女のように底知れねぇのだろうか……柊、テメェも……」

 

もしかしたらあの今日クラスメイトになった亜麻色の髪の少女もまた出雲那の想像を遥かに超えた存在なのだろうか……もしかしたら自分が心配して助けに行くのは余計なお世話だったかもしれないと思いつつも出雲那は床を蹴り、異界の先へと向かってビルから飛び出して行った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが……“リトルガーデン”か?」

 

五分後、空中回廊を抜けた出雲那はビル郡のド真ん中を走るハイウェイに立って朱い炎海の水平線の先に見える船らしき建造物を眺めて確認するように呟いた。

 

「リディの奴が言った通りだったな。 あそこに行くまでの道のりは一直線のハイウェイだ。 迷う事はねぇだろうがクソ遠いぜ……それに──」

 

ハイウェイの上には先の先まで無数の小型グリード達が徘徊していて出雲那の往く手を阻んでおり、簡単には目的地に辿り着けそうもない。 《天鳥》で空から行くにしても宙を跳び回っている蜂型や花型のグリード達との交戦は避けられないだろうし、空中戦は飛行スキルを維持し続けて戦闘しなければならない故に気力・魔力・霊力を大量に消費する為、あの母艦に居るであろうこの異界化を引き起こした元凶のグリードや【伊邪那美の使徒】なる者とその仲間とこの先で交戦する事を考えると、それは避けるべきだろう……しかし──

 

「──あそこにクレア先輩が居て今も正体不明の敵と交戦しているっつうのがマジだとしたら、ザコ共相手にあまり時間は掛けてられねぇな……仕方ねぇ。 すばしっこそうな奴だけ斬り倒しながら雷光石火で突っ切るか」

 

敵防衛線を突破する算段を渋々と決めた出雲那は左手に携える十拳を右腰のベルトに差して抜刀の体勢を取り、前傾姿勢で敵群の中に突攻を開始しようとするが……その刹那、上空から二つの影が飛来した。

 

「焼き滅ぼせ──《火ノ加具土(ひのかぐつち)》!!」

 

「天才魔導士マリさんとその他一名、只今参上っ!!」

 

突然悪魔の両翼の様な魔力翼を羽ばたかせて舞い降りた黒い外套を身に纏う少年が漆黒の焔を刀身に纏う刀型の霊装を右手に顕現し、出雲那が向いている約10m先の道に着地すると同時にその刀身を地に突き立てる。 同時に地獄のような紅蓮の空に似付かわしくないキャスケット帽を頭に被った少女が足下に展開された飛行輪をもって宙に佇んでおり、空を蹂躙するグリード共を見据えて両掌を前方に突き出し巨大な虹色の魔法陣を展開していた。

 

「地に立つ魑魅魍魎共よ! 闇の焔に身を焦がして冥界へと逝け!! 《地ヲ焼キ滅ス煉獄ノ黒焔(アポカリプス・インフェルノ)》!!!」

 

「ええい! あの世へブッ飛べ、有象無象っ!! 《極光流星群(スターダスト・アウローラ)》!!!」

 

漆黒の少年が地に突き刺した刀の刀身から闇の深淵の如くドス黒い焔が一直線状にハイウェイの表面を侵食して行き往く道の果てまで立ち塞がるグリード共を纏めて焼き払い、極光の少女が引いた右拳で殴り付けた魔法陣が爆散し無数の虹色が砲弾の嵐となって朱き空を蹂躙し飛行するグリード共を極光の中へと消し去っていく。 それはまるで、光と闇が天地を別つ滅びの時(ラグナロク)のような光景であった……。

 

「……なっ!!?」

 

突然現れた謎の二人組が大規模な広域殲滅スキルを放ち、異界の果てにあるリトルガーデンまで防衛戦を張っていたグリードの大群を一掃するという、圧倒的な光景を目の当たりにした出雲那は唖然と絶句した。 唐突な出来事に動揺を露わにしてしまったのもそうだが、何よりも何故特定の人間しか入れない筈の異界に人がいるのかという疑いを抱いたからだ。

 

──な……何なんだ、コイツ等!? いきなり空から飛んで来て、この先に居るグリード共を一匹残らず蹴散らしやがっただと! サクヤの仲間……ってわけじゃねぇよな?

 

出雲那はまず、二人組がサクヤと同じ《終焉の盾》のエージェントである事を考えてみる。 サクヤは何も【一人で任務に当たっている】と言った訳ではない、故にその可能性を考慮して目の前の黒い外套を身に纏った銀髪褐色肌の少年に話しかけてみようと思ったのだが……。

 

「……ふっ! やれやれ、期待外れだな。 この程度のランクの異界か……拍子抜けにも程がある。 この異界化を引き起こしたエルダーグリードの底が知れるというものだ」

 

──っ!!? まさか……アイツが持っている太刀は!!

 

銀髪の少年──《プルート・A・イグナイト》が落胆の言葉を吐き捨てると共に外套を翻すと、腰のベルトの左側に差してある“伊邪那美(イザナミ)”と銘が刻まれている紫色の鞘に収められた悍ましい雰囲気を感じる太刀を出雲那の眼が認識したのだった。 彼はそれで確信した。

 

『これは……まさか、“神刀の共鳴(レゾナンス・ディバイド)”!? 近くに居るっていうの? 八百万の神刀のもう一振り──《冥界の死刀(イザ=ナミ)》の所有者である【伊邪那美の使徒】が!!』

 

『いいから暴れないで! 事情なら後で説明するわ。 【伊邪那美の使徒】を有する“奴等”が動いたとなると、一刻の猶予も無いの! 急がないと明日香の身が危ないかもしれないわ!!』

 

──奴の腰に差してあるのが《冥界の死刀》! 間違いねぇ! あの野郎がサクヤの言っていた【伊邪那美の使徒】っ!!

 

「シッ!!」

 

出雲那は十拳の柄を握りしめて迷わずプルートの背中に向かって疾走、容赦なく抜刀して彼に斬り掛かった。 ……だが、その一刀は簡単に受け止められてしまう。 プルートが振り返らずに無言で背中に回した《火ノ加具土》によって。

 

──止められた!? 侮っていたわけじゃねぇけど、今のは素の全力でやったんだぜ。 それを後ろ向いたまんまで……初っ端から雷切をブチかました方がよかったか?

 

二人はそのまま刃を合わせたまま無言になり、底知れない緊張感が周囲を包み込む……そして、数秒の沈黙の後にプルートが出雲那に顔を向け、出雲那はその顔を見て時が止まったかのような錯覚を覚えるのだった。

 

「…………ぁ……?」

 

出雲那は()()()に見覚えがあった……いや、あるなんてものではない。 何故なら──

 

「なんの、冗談だよ? ……お前は……二年前の……“あの事件”で──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──……死んだ筈だろ……“(みこと)”っ!!」

 

その顔は幼き頃から葵柳の修練を共にし、互いに理の高みを目指そうと切磋琢磨し合ってきたが、ある出来事によって無念にも道半ばで尽きた出雲那の盟友であった男──《葵柳(あおやなぎ)尊》そのものなのだから……。

 

 

 

 

 

 

 




ライバル、遂に邂逅! その正体は“ある事件”で死んだ出雲那の友だった男? いったいどういう事なのか!? 待て、次かi──

クレア「待ちなさい、蒼空の魔導書!」

うおっ!? いきなり何んなんですか元クイーンさん?

クレア「ふざけた呼び方はお止めなさい! わたくしはどこぞの転倒王者じゃありませんわ!!」

えっ!? でも貴女、王竜四武祭で刀華に負ける前に……。

クレア『女王(クイーン)はただ一人! このわたくしですわっ!!』

なんて、試合前にパフォーマンスしてたじゃないですかぁ。(笑)

クレア「ちょっ!? 何を勝手にわたくしの黒歴史を暴露しているのですわ! それよりも、これはどういう事ですの!?」

これとは?

クレア「リトルガーデンが魔獣の襲撃で廃艦になっている事や、リザが意識不明になった理由が『ハンドレッド』の原作と全く異なる事。 そしてサクヤ・マキシマがBLEACHの戦闘スキルを使用した事など、色々ツッコミどころが多過ぎますわ! 説明しなさい蒼空の魔導書!」

世界観がごちゃ混ぜなんだから何が起きても不思議ではないでしょう? 敵はサベージだけじゃないんだから。

それからサクヤが鬼道などのBLEACHの死神の戦闘スキルを使用できる理由は【ある人物が彼女に教えたから】です。 もちろんBLEACHキャラですよ。 その人物は近いうちに登場します!

クレア「ああ、リザ……」

……まあ、リザの扱いについてはごめんなさい。 かなり後になりますがリザは復活します。 ……気が遠くなる程後ですが。

クレア「ゆ、許しませんわ……百武装展開(ハンドレッド・オン)っ!! 懺悔なさい、蒼空の魔導書っ!!」

ちょっ!? 待って!! いきなりバスターキャノンhギャァァアアアアアッ!!!


*見苦しいところを見せてすいませんでした。 次回もお楽しみに!

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