幻想戦記クロス・スクエア   作:蒼空の魔導書

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出雲那「テメェ、蒼空ぁ~。 予想通り新連載にかまけやがって、よくもまあ約五ヶ月もこっちの更新をすっぽかしてくれやがったなぁ~?」(黄旋丸を抜刀体勢で構えて雷切準備)

あ~、それは……スミマセンでした。 ついD◯es要素を取り入れるのが楽しくて、あとヒロインななのはさんが可愛いくt──

出雲那「ほほぉ~、遺言はそれで良いんだな?」

え″? ……あの──

出雲那「死ねぇぇぇええええーーーっ!!」(怒りのあまり偶然放てた本家と見紛う精度の雷切)

うぎゃぁぁぁああああああああああーーーーっ!!!

明日香「魔法少女リリカルなのはStrikerSを原作とした蒼空の魔導書の最新連載二次作品『THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡』の本編は現在第十話まで投稿済みよ」(宣伝)

フェイト「予告の通り、初っ端から私達機動六課が敵襲に遭って壊滅ちゃってるし……」

シグナム「あちらでも私は一撃か……解せぬ」(泣)




創生神との契約。 解放されしチカラと受け継がれる宿命

覚醒の光が膨れ上がりリトルガーデンを覆い尽くしていく……。

 

「女、よくここまで遮り続けたものだと褒めてやるが、そろそろ限界の色が視えるぞ。 どうやらここまでのようだな……」

 

「くっ!」

 

──出雲那に異界化の収束を任せた手前、何としてもこの伐刀絶技をリトルガーデンに墜とさせるわけにはいかない。 でも、彼の言う通りもうそろそろ私の霊力が尽きてしまいそうで限界が近いわ。 なんとかしないと……ん?

 

艦付近の空でプルートが放った“黒き太陽”を出雲那達が居るリトルガーデンに墜とさせないよう大質量の氷壁を隔てて落下を遮り抜かせないと全身全霊の霊力を注ぎ込んで踏ん張るも、あわやもう限界寸前のところまで氷壁を削られて来た為に切羽詰まった苦悶の声を漏らしていたサクヤの背にも、その光は届いていた。

 

「ぁ……」

 

「なっ!? ……いったい何事だ? あの目障りな光はっ!!」

 

自分が撃ち放った最大級の必殺伐刀絶技が進撃する道を遮る氷壁を突破するまであと数ミリ程度だというところで突如としてその軌道着弾地点に停泊してある航空母艦が眩い光の球形に覆い尽くされた光景が眼に飛び込んで来た為にプルートは動揺を露わにしていた。 透き通る氷壁を貫通して射し込まれて来る光の射線を非常に鬱陶しそうに左腕で遮ろうとして思わず《天カラ舞イ降リシ滅ビノ黒陽(デスヘリオス・カタストロフィー)》の制御を乱してしまい、サクヤはその好機を逃さなかった。

 

──なんて、心地の良い光なの。 ……不思議ね、気力と霊力が漲ってくるわ。 これなら──

 

「この太陽を押し返せる! はああぁぁあああぁぁああぁああああああーーーーっ!!!」

 

覚醒の光を背に浴びて回復した渾身の霊力を眼前で薄皮一枚“黒き太陽”の進攻を遮り続けている氷壁へと注ぎ込み、黒陽と鬩ぎ合わされて巨大なクレーター状に陥没している箇所を急速に盛り上げて黒陽をトランポリンの要領で朱き煉獄の空へと弾き返してみせる。 光の射線に弄されていたプルートは一瞬の間に真横を通り過ぎて行った自身の最大級の必殺伐刀絶技に信じられないと言わんばかりに絶句する。

 

「なん……だと……っ!? 一瞬の制御を誤ってしまったとはいえ、その一瞬で俺の《天カラ舞イ降リシ滅ビノ黒陽》を──っ!!!」

 

「ハァ、ハァッ! この光は…………うふふっ、出雲那ったら、遂に覚醒させたのね。 【伊邪那岐の創り手】としてのチカラを」

 

危機を跳ね除けたサクヤがリトルガーデンを覆う覚醒の光を見下ろして祝福の女神の微笑みを贈る一方、彼女が居る場より数km離れた空の戦場で更に激しい戦いを繰り広げ続けていた明日香とマリの眼にもその光が届いた。

 

「っ!? これは……」

 

概念ごと凍てつかせる異能と森羅万象を消し去る極光による激しいぶつかり合いで眼下に広がる炎海に氷粉(ダイヤモンドダスト)光粉(アウローラダスト)が散りばめられる中で突然射し込んで来た眩い光に霊剣使いと極光の魔女は戦いの手を止めて光が射し込まれて来ているリトルガーデンの方角を振り向き、遠目に見えた光のドームを目にして怪訝混じりの驚愕を露わにする。

 

「この感じって、雰囲気はまるで違うけれどプルートの《冥界の死刀(イザ=ナミ)》が発するチカラと同じ……まさか、あの出雲那とかいう奴の──っ!!?」

 

マリには既知感があった。 あの光のドームの中から溢れ出て来ている神々しいチカラは人間が持つ《三大源力》、その三種全てを神刀に宿る神の供物として捧げる事で引き換え得られる神のチカラの一部。 あの光のドームは神刀の奥底で永き眠りから目覚めし神の魂が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と契約を交わす際に顕れる一時的な“神域”……見間違いじゃない、彼女が親しく思う同僚の漆黒の少年剣士が一年と約半月前に《冥界の死刀》の深淵に眠る【死命の女神】を【伊邪那美の使徒】として永き眠りから目覚めさせて契約し、死の黒焔を操る《冥界の焔(ヘルフレイム)》となってしまったあの日も……。

 

「……フンッ! この数分の間に何があったのかは知らないが、あの雑草め、【伊邪那岐の創り手】として本格的に覚醒したようだな……」

 

遅いぞ。 ようやくか、待ちくたびれたぞ。 光のドームの中のそれをこの異界に居る誰よりも濃く深く感じ取っている【伊邪那美の使徒】はそう言わんばかりに宿敵の覚醒に二色の眼を細めて思わず微笑を零してしまっていた。

 

「そうだ、俺の宿敵となるならばそうでなくてはならない。 お前もそう思うだろう……“イザナミ”?」

 

()()()()()()()()()()()()は彼の左腰に差してある“伊邪那美(イザナミ)”と彫られている紫の鞘の中で、同感の意を表すように一瞬の間に不気味な紫光を薄く発したのだった。 まるで、深淵の闇底に潜むドス黒い何かが憎しみを向けるべき者を見つけた事に狂喜しているかのように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創生の雷刀(イザ=ナギ)》が唐突に凄まじく眩い光を放出したお蔭で絶体絶命の危機を脱する事ができた出雲那は今、膨張してリトルガーデンを丸ごと包み込んだその光に取り込まれた中にて、なんとも心地良い不思議な浮遊感に身を委ねて眼を閉じていた。

 

──あれ? ……オレは……どうなったんだ……。

 

見渡す限り白一色に染まった光の海の中を、武内出雲那の身体はまるで心地よい眠りに就いているかのようにフワフワと漂っている。

 

──何所だよ此処? 確かオレ……尊に化けたクソモノマネグリードにやられかけて……そしたら、腰の《創生の雷刀》が……光を……?

 

今、彼の存在がある世界を支配している“白”が濃く眩過ぎる為か、この場に入る直前まで対峙していた偽尊の姿は何処にも見当たらず、その戦いの場(バトルフィールド)であった異界のリトルガーデンの背景すらも視界に映せない……いや、そもそもこの光の世界は本当にリトルガーデンの上なのだろうか? 《創生の雷刀》が輝きを放ったあの瞬間に、何所か別の異世界に強制転移してしまったという事だって考えられる。 或いは、実のところ偽尊が放たれた眩い光に目が眩んで《新月一閃》を止めたというのは目の錯覚であって真実は奴の問答無用の一閃により胴を両断されて即死し、今自分は魂魄だけの存在となってあの世の境を漂っているのではないのか?

 

──オレは……──

 

『──目覚めよ。 我が魂宿りし神刀を手にする【資格者】よ……!』

 

「んん? ……何だy──は、はぁぁっ!!?」

 

自分という存在はどうなってしまったのかと思いを馳せていると突然として自分を目覚めさせようとする男性らしき声が耳に入った為に出雲那は何だ? と思い、早朝の寝起きの様に瞼を手で擦って、上体をゆっくりと起こし、目を開く。 すると、意識を覚醒させた途端に地に身を着けている感覚が無く、飛行スキルを使用していないにも係わらず()()()()()()()()()()()()の中をフワフワと浮遊している自分の現状に、彼は戸惑いの声を上げてしまう。

 

「いったい、何が……どうなってんだ!? 地面が何所にも無ぇ? オレの身体、何で浮いて──」

 

『気持ちは理解できないでもないが落ち着くがいい。 此処は私が一時的に創り出した“神域(バックヤード)”──神と人が対話する事を許された聖域だ』

 

「──っ!? 誰だっ!」

 

自分が置かれた状況に動揺する出雲那の耳に再び謎の男性の声が聴こえてきた。 錯覚ではない。 出雲那は警戒して声の聴こえて来た方に振り向きその正体を確かめようとすると、彼の視界は光の世界の一部に浮き出てきている()()()()()を捉えたのであった。

 

『よくぞ私を目覚めさせてくれた、【天の戦神】が人々に齎した三種のチカラを持ちて現世に生を受けた選ばれし者よ──』

 

語りだした影は、みるみる内にその“魂の形”を(つく)っていく──

 

『──私は《八百万の神刀》が一振り──《創生の雷刀(イザ=ナギ)》に宿りし【二大創産神】が片柱──《創生神イザナギ》なりッ!』

 

そして真名を高らかに明かした瞬間、その形は姿を得て光の世界に顕現した。

 

「我がチカラを振るう資格を持つ選ばれし者よ、(なんじ)に問おう──」

 

それは、大地を抉り取る鋭い爪を持ち、土色の毛並みを全身に纏う──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──そなたが私の(マスター)かっ?」

 

頭にチョンマゲを生やした人語を話す“モグラ”であった……。

 

「…………」

 

フッ、決まった……と、手乗りサイズのマスコット的チョンマゲモグラが二足直立で立ち(此処に足場は無い筈だが……)、某聖杯戦争に登場するサーヴァントのような口上を言い放ってドヤ顔を向けてきているのを前にして出雲那は口を紡いで沈黙し硬直していた。 鬼が出るのか蛇が出るのか多少緊張して身構えていたのに、現れたのが所謂“チンチクリンな謎マスコット”だった為に緊張感が台無しになったからだ。

 

──……ハァ? いきなり出て来て突然何言ってんだ、このナマモノ。 神域? 創生神イザナギ??

 

なんと言えばいいのか判らないような沈黙の空気が光の世界を支配する中で、ひたすらに神妙不可思議で胡散臭く、《創生神イザナギ》と自称したチンチクリンなチョンマゲ小モグラが向けて来ているドヤ顔を片眉を小刻みにピクつかせつつ最大級の怪訝を含んだジト目で無言凝視する出雲那。 今の彼の心情を簡潔に言うと「クソ馬鹿らしい戯言をほざいてんじゃねぇよ? 超怪しいな、このナマモノ」といったところである。

 

そんな中で時が止まったかのような沈黙の見つめ合いを数秒間……その直後に、自称イザナギのチョンマゲ小モグラのドヤ顔が蝋燭が融けたかのように垂れ下がった。

 

「……なんだ。 おぬし……男でゴザルか……」

 

がっくし……自称イザナギのチョンマゲ小モグラは出雲那に超絶と表せる程に落胆した表情を見せるとその場で四つん這いに倒れ込み、非常に無念そうに項垂れてしまった。 そのナマモノの失礼千万の行為を目の当たりにして出雲那は内心イラッときた。

 

「んだよ!? オレが男だと何か悪いってのかよ?」

 

「“イズナ”というおぬしの名を聞き、拙者の主となる者はピチピチボインボインな女子(おなご)かと思うて、契約を交わすこの刻を誠に楽しみに目覚めの刻を待っておったというのに……いざ目を覚まし顔を会わせてみれば、その主はこのように“未熟なハナタレ小僧”とは……はぁぁっ! ……解っておったが、人の世とはなんとも残酷でゴザルよの~」

 

ブチッ! あまりにも人にケンカを売ったその呻きに出雲那の中で何かが切れる音がした。

 

「テンメェ~! このチンチクリンなナマモノがっ、ざっけんなァァアアアアアーーーッ!!!」

 

一瞬で蟀谷に青筋が浮かぶ程の腹立ちに耐えられず、室内でもないのに辺りに反響する程の怒声が大爆発した。 気持ちは分かる、確かにこれはウザイ。 戦いの最中にこんな訳の分からない空間に人を引き込んでおいて、顔を合わせた途端に理想と違うという理由でガッカリし、おまけに本人を前に“ハナタレ小僧”と聴こえる声で侮辱されれば、相当温厚な人間でもない限りはブチギレてシャウトしてしまうのは当然の帰結だろう。

 

「なっ!? 何を言うかっ! 拙者はチンチクリンなナマモノではゴザらん! その耳が腐っておる訳ではあるまい? 先程も申したであろう、拙者は《創生神イザナギ》。 《創生の雷刀》の内より永きに亘る眠りから目覚めた【二大創産神】の片柱でゴザルッ!」

 

だというのに、このチョンマゲ小モグラは出雲那のブチギレシャウトを耳に入れるとさも当然の如くムッとして身体を起こし、人を怒らせた自覚もなく反論する始末だ。 故に、その行動が出雲那の口を更に喚かせる。

 

「なぁぁあにが《創生神イザナギ》だ! なにが“ゴザルッ”だ! さっきと口調変わってんじゃねぇか、ふざけんなっ!! 確かにオレは毎回のペーパーテストで赤点ギリギリだけどな、それでも帝国ヤマト人だ! 《ヤマト創世神話》に登場する【二大創産神】を知らねぇわけがねぇんだよ、馬鹿にすんじゃねぇっ!!」

 

この世界には多くの神話・信仰が存在している。 世界全土で最も一般的に親しまれているのは世界最大級の宗教団体《七曜教会》が信仰している《空の女神エイドス》だが、世界各国各地にはそれぞれ独自に伝わっている民間神話があり、出雲那や明日香の出身国である帝国ヤマトの言い伝えである《ヤマト創世神話》もまたその一つであるのだ。

 

「いいか? 《創生神イザナギ》ってのはな、遥か昔の世界がまだ無かった頃に神が住む国【タカマガハラ】の統治を巡って【二大創産神】のもう片柱の《産命神イザナミ》と数千年間争い続けて、“生命”と“この世界”を創って相討ちになった神武者なんだよ!」

 

当然ながら、《創生神イザナギ》が描かれた絵画も帝国ヤマトの首都にある大美術館に展示してあり、その肖像は【荘厳な武者鎧に身を包んだ精悍な偉丈夫】の姿で描かれている。 出雲那は芸術を深く嗜む趣味など持ってはいないが、初等部学生時代は帝国ヤマトの学校に通っていた為に歴史の教科書でその肖像を見て記憶している。 故に──

 

「テメェみたいなウザったいマスコットが、あの“イザナギ”のわけが無ぇだろが!? 寝言かましてんじゃねぇぞボケナスッッ!!」

 

目の前のチョンマゲ小モグラがその“イザナギ”だと言われたところでそれをハイそうですかと信じる訳がないのだ、こんな馬鹿げた戯言がと……しかし、それを聴き入れた数秒の間の後に自称イザナギは実に可笑しそうに腹を抱えて笑いだしたのだった。

 

「ぷふっ……だは、あははははははははは!!」

 

「おい、何爆笑してんだ? 今オレが言った事が、何か間違っているってぇのかよ!!」

 

「はははは! いやいや、すまん。 おぬしが言った事が誤っているというのではないでゴザルよ。 このぷりちーでピチピチギャルの視線を独り占めしてしまう拙者のこの姿は仮の姿でな。 本来はおぬしの言った通りのダンディーなハンサム侍なのでゴザル」

 

「アホかっ! んな馬鹿げた話、信じるとでも?」

 

何と言おうと信じる気のない出雲那は心底鬱陶しそうに自称イザナギの主張を突っ撥ねる姿勢だ。 そしたら「ならば仕方がない」と呟いた自称イザナギが小さな片手の爪先を天に掲げてみせる。

 

「ならば、これを見ても信じぬでゴザルかな? ──ほれっ!」

 

ざっくばらんにそう言い放つと同時にどこか神聖さを感じさせる神々しい“白い雷光”が掲げた爪先に迸った。

 

「──って、うおぉぉっ!?」

 

その雷光は一筋の閃となって発射され、出雲那の頬を掠めて後方の彼方へと直進して行き、光の中へと消えて行った。 唐突に不意打ちを浴びせられた出雲那は無論、それをやってきた張本人に文句を吐き出そうとする。

 

「テメェ、いったい何を──んんっ!!?」

 

だが雷閃が光の彼方へと消えて行ったその刹那に彼の後髪を一陣の突風が撫で、それを不意に感じ取った彼はその方角──つまり、経った今自称イザナギが撃ち放った雷閃が消えて行った方に振り向いてみると、其処には何時の間にか世界樹を連想させるような神聖な気質を纏った大樹が聳え立っていた為に、眼を剥いて仰天の唸り声をあげてしまった。

 

「な……なんだぁぁーーーっ!!?」

 

「はっはっは! どうだ驚いたでゴザルか? これぞ創生神たる我がチカラ──千の死に対し万の生を創造する《創生の神雷(ディバイン・ゲネシス)》ッ! この世の【生】を司るチカラなりっ!!」

 

「じゃ、じゃあテメェ、マジで……!」

 

あまりにも信じ難い事実に指をわなわなと小刻みに震えさせて、自称……否、正真正銘の《創生神イザナギ》の化身に向ける。 確認されるまでもないとイザナギは腰に手首を当てて「ブオッホン!」と一威張り喉を鳴らすと、理解したのなら早速本題に入ろうと先程とは打って変わった真摯な目で未だに動揺の震えが治まらない出雲那を見据え、口を切り出した。

 

「うむ。 激しい闘争の猛り、おぬしの心の叫び、深淵の眠りの其処まで聴こえてきたでゴザルよ。 大切な者の為に負けられぬと、勝利と未来(あした)を掴みたいと……その猛き魂の咆哮を聴き、神刀の内にて眠る拙者はこうして目覚めた。 そして今っ! おぬしを真なる【伊邪那岐の創り手】とし、拙者と“創世の契り”を交えよう!!」

 

──勝手に痛々しく話を進めんじゃねーーーっ!!

 

「さあっ! 我がチカラを封じたこの鞘から刃を抜き放ち、永きに渡りその内に精製し続けた《創生の神雷》を解き放つがいいっ! それをもって、契約は成るでゴザル!!」

 

まるでノリの良い宣教師の如く小さな両腕を光の天に大きく広げて揚言するイザナギに出雲那が内心でツッコミを入れていると、二人(一人と一匹?)の間に出雲那の腰に帯刀してあった筈の《創生の雷刀(イザ=ナギ)》が神々しい光を纏いて顕現していた。

 

「此処に引き込まれてからやけに腰が軽いなと思ったぜ……」

 

鍔と鞘口の隙間からバチバチィ! と超電圧を内包する稲光を漏れ出している荘厳な太刀を前にして出雲那は盛大な呆気に取られている。 もうどうにでもなれよとその柄を手に取ると、そこでイザナギが神妙な顔付きで「待った」をかけてくる。

 

「確かに、おぬしは【伊邪那岐の創り手】として選ばれし者でゴザル。 この場で今その鞘から刃を抜き放てば、おぬしは【生】を司る神のチカラを手に入れる。 拙者が覚醒する直前までまるで歯が立たず斃されかけた、おぬしの過去の友の陰影すらも圧倒できよう……」

 

自分で急かしておいて何を今更と《創生の雷刀》の柄を握った体勢でこちらに振り向き、訝しそうなジト目を向ける出雲那に「しかし」と間を置いてイザナギは真剣に向き合い問いかける。

 

「そのチカラを手にするという事は、“我が誓いの宿命”をも受け継ぐという事に他ならんのでゴザル! その刃を鞘から抜き放てば、もうおぬしは後戻りする事は許されぬ!」

 

誰が言ったか『大いなるチカラには、大いなる責任が伴う』との事だ。 故にイザナギは己のチカラを授ける前にその宿命を背負う覚悟を主となる者に問わねばならない。

 

帝国ヤマトに伝わる《ヤマト創世神話》にはこの世界の創世以前、神々の世界の【座】を永きに亘り巡り争った【二大創産神】の内、この世に産み出す【命】を司るチカラを持っていた《産命神イザナミ》は戦いの最中、“【死】を司る邪神”にイザナギへの激しい憎悪と殺意に付け入れられてしまい、全ての魂を焼き滅する“冥界の焔(ヘルフレイム)”をその身から撒き散らす《冥王イザナミ》へと変貌してしまったとされている……これによって【イザナミが千の命を殺し、それに対してイザナギが万の命を創る】という対極構図が出来上がったのだ。

 

「真の【伊邪那岐の創り手】となれば、この未来(さき)、おぬしは《冥界の死刀(イザ=ナミ)》を持つ【伊邪那美の使徒】を不倶戴天の敵として争い続ける宿命を背負う事となる。 それはおぬしだけでなく、おぬしの周りをも巻き込み、いずれは世界全土に災厄を齎すかもしれぬでゴザル。 少なくとも《冥王イザナミ》の【死】は、おぬしに近しい千の命を殺しに掛かるであろう──」

 

つまり、この剣を抜けば出雲那はあの《終末の蛇(ヨルムンガンド)》の執行者──《冥界の焔(ヘルフレイム)》プルート・A・イグナイトとどちらかが斃れるまで未来永劫争い続ける宿命が決定付けられてしまう。 更には出雲那の近しい友人・知人達をも争いに巻き込み、最終的にはこの世界全ての命運が懸かった戦いへと発展するという事だ。 一輝が、ステラが、善吉が、マイが、リィンが、アリサが、刀華が、サクヤが、そして明日香が、【伊邪那岐の創り手】の宿命の因果によって起こされる戦いの最中に【伊邪那美の使徒】であるプルートをはじめとする立ちはだかってくる敵対者の手にかかり、その命と魂を《冥王イザナミ》に奪われてしまう未来だって有り得る。 故に──

 

「──それでもおぬしは、その剣を抜く覚悟が有るでゴザルか? 大切な者達が宿命に巻き込まれて死に直面するかもしれぬとしても、おぬしはチカラをt「いい加減、長ぇんだよ! シラけるから少し黙りやがれ!!」──なんとっ!!?」

 

真剣な威圧を籠めてその覚悟を問おうとしたイザナギに対し、出雲那は無礼にも空気を読まずに話の腰を折る罵声を飛ばした。 最近の若者である彼はイザナギの長い問い質しに大昔から生きている不老不死の賢人が主人公にチカラを与える際のテンプレの如き諄さを感じて凄まじく苛立ったようだ。

 

「そんな事、テメェに言われなくても分かってんだよ。 オレも、一輝達も、この戦島都市スクエアの四大学園に在学している“戦士候補生”なんだ。 戦争だろうが、【伊邪那岐の創り手】の宿命だろうが、【戦いに生きる覚悟】なんてこの都市に来た時点でとっくに決めていんだよ!!」

 

「し、しかしでゴザr「うるせぇっ!!!」」

 

仲間達共々、覚悟はとっくに決まっていると豪語してくる出雲那に納得がいかないイザナギが「この宿命はそんな安いものではない」とその覚悟の認識の甘さを諭そうと言い返そうとするも、出雲那はそれを大声で制して聞く耳を持たない。

 

「確かにテメェの言いたい事は正しいんだろうよ。 オレ達は《三大源力》というチカラを持っていても、まだ人生の半分も生きていないガキだ。 何億年も生きてきた神様から見たらオレ達の覚悟なんて底が浅く見えるんだろうよ……けどな、別にオレは覚悟があるから周りがどうなろうと構わないと思っているクズじゃねぇ」

 

そう言って彼は《創生の雷刀》の柄を握ったまま柄尻に自身の額を寄せて眼を瞑り、静謐の中で仲間達の笑顔を思い浮かべてみる。

 

中等部に入りたての頃、スクエアに来て最初の友となり、共にこれまで切磋琢磨してきた、黒鉄一輝。

 

寮生活に慣れてきた頃、東エリア周辺区域で迷惑行為を働いていたならず者チーマー共をシメる際に居合わせたのが切っ掛けで協力して奴等を壊滅させた以後につるむようになった、人吉善吉。

 

一輝と組んで初出場した《鳳凰四武祭(フェニクス)》の予選決勝でぶつかり、一進一退の好試合の末に認め合い、友としての付き合いをはじめた、リィン・シュバルツァーとアリサ・ラインフォルト。

 

実家の事情と《純星煌式武装(オーガルクス)》の対価によって人生を狂わされ絶望の末に自殺しかけたのを救い、皆と共に心の支えとして共に居る事で笑顔を得た、マイ・ナツメ。

 

今日、青学に編入してきた一年で知り合ったばかりだが、親友である一輝の大切な彼女である、ステラ・ヴァーミリオン。

 

中等部の頃に決闘(デュエル)を申し込んで完敗し、その技と在り方に憧れを抱いて慕い、二年前の事件で危機に陥った幼馴染の親友を救う為に自らの奥義を伝授してくれて、チカラ及ばずその親友を失った後の現在も尚師であり姉のような存在としていつも自分を心配して看てくれている、東堂刀華。

 

【伊邪那岐の創り手】のチカラ目当てで自分に協力を仰ぎに接触してきて、この異界に自分を乗せて誘った《終焉の盾(エインヘルアル)》という怪しい裏組織のエージェントだが、刀華とはまた違う大人の姉っぽさに惹かれる雰囲気をしていて悪い感じはなく、裏組織のエージェントに見合った強さを持ち、今こうしている間にもプルートが放った“黒き太陽”をリトルガーデンに落とさせないよう防いでくれていて(出雲那が知らないからこう言ったが、実際にはもうその攻防は済んでいる)、頼り甲斐のある、サクヤ・マキシマ。

 

そして、ステラと同じく今日、自分のクラスに編入してきたばかりで知り合って間もなく、サクヤと同じ《終焉の盾》のエージェントであるという謎の経歴を持っており、おまけに才色兼備の風貌で何かと付けての優等生ぶりと気の強さが少し鼻に付くが、昨夜の異界化に巻き込まれてグリードに殺されかけた自分を救ってくれた命の恩人で、どこか危なっかしくて放っておけない、その未来(さき)まで見据えているような量り知れない意志を奥に宿した透き通る碧眼と目を合わせると自分は不思議と惹かれてしまう、そんな神秘性をも感じさせてくれる同級生、柊明日香……。

 

のほほんとしたトニー、ライバルで青学の仲間であるスティングとローグ、同じくレスターと変態(ダクネス)、刀華以外の青学生徒会の面々、いつも規則規則と鬱陶しいクレア達風紀委員、東エリア支部の遊撃士であるユーリとフェイト、その他にも多くの大切な知人達の笑顔が出雲那の脳裏を過ぎって行く(シグナム? さあ、知らんなぁ)。 どれもこれも武内出雲那にとって大切になった“個”だ。 本音を言うと、そんな大昔の神様が現代まで引き摺ってきた宿命なんかに巻き込みたくなんかない……でも──

 

「オレは信じているんだよ。 心強いダチ達は、頼りになる先輩達や先人のスクエアの戦士達は、そんな事でやられたりなんかしないってなぁっ! 仮に、万が一、その誰か下手打って殺されそうになったとしても、その時はオレが絶対に殺らせねぇ! 千の死に対して万の()()()()()()()()()()()()()なんざオレはごめんだ、ふざけんじゃねぇ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──オレは、降りかかって来る千の危機をこの剣で斬って、万の大切を救ってやらぁぁ────ッッ!!!」

 

その決意と共に、彼は威勢よく創生の神が宿る剣を鞘から引き抜いた。 迷いのないその雄姿をその眼に焼き付けたイザナギは観念したかのように、または自分の眼に狂いはなかったと感嘆するかのように、表情を緩ませていた。

 

「……そうか──」

 

遥か古に世界を生み出した聖なる雷が刀身を抜き取った鞘の鯉口から解き放たれて、神域中に迸って行く。 無数の白い稲光が周辺の空間に突き刺さると、そこからスゥゥっと消えて広がるように光の空間が徐々に消滅し出すのであった。

 

「──おぬしの決意、しかと受け止めたでゴザルよ。 この刻をもって契約は成った。 おぬしはこれで正統な【伊邪那岐の創り手】としてその神刀を抜く度に我が《創生の神雷》を振るう事が許され、同時に果てしなき闘争の宿命を背負ったのでゴザルが──」

 

感慨に浸るようにしながら出雲那の背にこれからの事を語りかけているイザナギの化身もまた“神域”の消滅に同調するかのように消えかかっている。 その愛らしくも生意気そうな顔には、もう目の前の主を心配する色はない。

 

「──その決意が本物ならば、大丈夫でゴザルな。 拙者はそういう真っ直ぐな気概を持った者がピチピチギャルな女子に次いで大好きでゴザルよ」

 

「ケッ! ピチピチギャルで全部雰囲気が台無しだっての、このスケベモグラが! てか、それ現代(いま)はもう死語だから!!」

 

「ははははッ、ではこの夜を明かした後にまた会おう! おぬしの正道に創生の栄光あれ──っ!!」

 

ここに、契約を結んだ主の祝福を祈る高らかな創生神の一声をもって光の神域は完全に消滅した。 ……そして、そこにはもう手乗りサイズのチョンマゲ小モグラの姿も消え去っていたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりの更新にてマスコット登場! その名は《創生神イザナギ(手乗りサイズのチョンマゲモグラ)》!!

イザナギ「チャオ♪ 拙者が《創生神イザナギ》でゴザル! さあ、刮目せよ! このぷりちーボディーに見惚れるがいい! 今ならピチピチボインボインな女子(おなご)限定で“抱っこ”も可とするでゴザルよ!」

出雲那「アァホォかぁーーっ!? いきなり何が“ぷりちーボディ”だっ! 神様だってんならもっとそれらしくしろよ!」

うんうん、二人はいいコンビになりそうだ♪


さて……実はですが、この作品に登場させる原作キャラを一枠増やそうかと考えています。

そこで活動報告にてユーザーの皆様にそれについてアンケートを取りたいと思います♪

加える候補の原作は下記の四つ──


・ハイスクールD×D

・戦姫絶唱シンフォギア(Gまで視聴済み、アンケートに選ばれたらGXを一気視する予定)

・UNDER NIGHT IN-BIRTH

・ありふれた職業で世界最強(文庫版)


活動報告にも書きましたが、アンケートの締め切りは『9月27日』とさせていただきます! 閃Ⅳの発売予定日ですよー、マジ楽しみだ♪

あ、無論感想での投票は無効です。 活動報告の方にお願いします。


次回は真の【伊邪那岐の創り手】に覚醒した出雲那が遂にドッペルゲンガーを撃破? お楽しみに!!

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