幻想戦記クロス・スクエア   作:蒼空の魔導書

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お待たせしました! 新章『銀綺の一刀と復讐の幻弾』編、堂々の開幕です!

活動報告で行ったアンケートの結果、新たに登場予定原作キャラの一覧に加えられた作品は『ハイスクールD×D』に決定いたしました!! さ~て、あのおっぱいドラゴン達はどんな役回りで登場させようかな~?(まだ決めてないんかいっ!?) 個人的には朱乃さんと木場が同率一位で好きなキャラなので、この二人の登場は早くなるかな~?

そして新章開始早々、早くも新キャラ登場ラッシュ! 新章の予告で察せた読者もいると思いますが、最初はあのオサレ死神漫画からあの人達が登場あああぁぁーーーっ!(ヒント:自称ハンサムエロ商人)

出雲那「そんなのは読めば分かるだろ? さっさとまえがき終わらせろよ、テメェのウザったい話を聞いたところでどうせ退屈な話なんだから」

おっと、それもそうだな……では新章開幕です!



銀綺の一刀と復讐の幻弾編イメージOP『Brand-new World』
TVアニメ『学戦都市アスタリスク』第一期OPより


銀綺の一刀と復讐の幻弾編
夜明けと共に目覚める出雲那。 新たなる非日常の始まり


『──いたぞ、反乱軍(リターナー)だ!』

 

──? ……なん……だ?

 

『男とガキは射殺し、女は捕らえろ!』

 

──うるせぇな……けど、なんだかやけに柔らけぇし温けぇ。 それに、妙に心地がいいぜ……?

 

『この先の岬に船を泊めてある。 俺が奴等を引き付けている間に、君はその子を連れて早く脱出するんだ!』

 

『そんなのイヤよ! あなたも一緒に!!』

 

──この柔らかさと声は女か? 抱きかかえられているみてぇで身動きがとれねぇ……てか、オレの手ってこんなに小っこかったっけか?

 

『頼む。 その子と……“出雲那”と共に未来を生きてくれ!』

 

──っ!? ……このオッサン、何でオレの……名前を……?

 

『じゃ、暫くお別れだ……元気でな、“リリア”! ……心配しなくても大丈夫だよ、奴等を撒いたら俺も直ぐに君達の後を追うからさ!』

 

──おふくろの名前まで……じゃあまさか、このオッサンは……!?

 

『それまで出雲那の事は頼んだ、しっかりと守ってやってくれ!』

 

──……駄目だ、この女の胸が心地良過ぎて眠くなってきた……。

 

『成長してデカくなったら、きっと女の子にモテモテなナイスガイになるぞ~、出雲那は! 何故なら、その子は俺と君の──』

 

──……温ったけぇ…………──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──あれ? でも、なんだか急に硬くなったような……?

 

「むっ!?」

 

奇妙に思って目を開けた瞬間に視界を覆い尽くしたのは……眼鏡を掛けた中年男性のヒゲ面だった。

 

「オぎゃぁ″ぁ″ぁ″ぁ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″っ!!!?」

 

「おお! 素早い反応! 良いですな!」

 

目が覚めたら布団の中で筋骨隆々でドレッドヘアーの知らない中年男性が覆い被さっていて、威圧感たっぷりの厳つい顔面がお互いの唇が触れ合う寸前まで迫っていた……劇画のように顔面崩壊させてチカラの限り絶叫してしまうのも無理はない。 こんな壮絶な朝の目覚め、嫌過ぎる……。

 

「ちっ……近い近い近いっ!!」

 

「店長! 武内殿が目を覚ましましたぞ、店長!!」

 

「オッサン誰だテメェッ!!? 何でオレの布団に入ってんだよ!? オレは“ソッチ”の気はこれっぽっちも無ぇぞ……って、布団?」

 

視界いっぱいに広がる中年男性の顔面を死に物狂いで引き剥がしていると出雲那は自分が置かれている今の状況から妙な違和感に気付く。 知らない天井だ、正方形の木板が隙間無く綺麗に並べるように嵌め込まれている。 寮の自室だとしたらルームメイトの一輝と共同で使用している二段ベッドがある筈なのに、何故か自分は畳の上に敷かれた布団に入っているというこの現状は全く身に憶えの無い場に居るのだという確たる証拠であった。

 

「この部屋の様式は帝国ヤマトの……アンタ、いった──い″っ!?」

 

中年男性を布団から追い出し、この状況について問い質そうと上体を起こすとズキリと脳天に鈍い痛みが奔り、掌で押さえる。 すると、その掌と額の間を遮るザラリとした布のような感触が。

 

「これは……包帯?」

 

気が付くと、自分は何故か全身包帯姿になっているではないか。 何時こんなになる程の負傷をしたんだと一瞬の戸惑いを露わにするが、狼狽えていても何の解決にもならない。 故に出雲那は落ち着きを取り戻し、気を失う前に何事があったのかを可能な限り自分の記憶から引っ張り出して情報を整理してみる。

 

──そういや俺、柊の奴を連れ戻しに異界に入って、《終末の蛇(ヨルムンガンド)》の執行者である【伊邪那美の使徒】のプルートって粋好かない厨二野郎にフルボッコにされたり、《創生神イザナギ》とかいうチンチクリンエロモグラと契約してオレの持つ《創生の雷刀(イザ=ナギ)》の内に眠っていたチカラを解放して、それでドッペルゲンガーとかいうモノマネ好きの化物を倒して異界化(イクリプス)を収束させたんだった……か?

 

全身包帯姿になる程のダメージを負っている事から考えて、それはおそらく夢ではない……だったら、何故自分は今こんな見知らぬ部屋でぐっすりと眠っていたのだろうか? と困惑気味に疑問に思っていると唐突にこの部屋の出入り口である襖が開き、またもや見知らぬ一人の男性が剽軽な装いで入室してくる。

 

「ホラホラ、ダメでしょ武内サン。 傷なんてまだまだ塞がっちゃいないんだ。 あんまり動くと死にますよン♡」

 

手に持った扇子を口許に翳して飄々と話し掛けてきたその男性の第一印象はあからさまに胡散臭いの一言であった。 身に纏っている甚平の上に翠の半纏を羽織り、翠と白の縞模様の帽子を頭に被った装いで、人を揶揄うようににやけている様は相手に掴みどころを悟らせない怪し気な雰囲気を醸し出している。

 

「誰だ、アンタ? ……もしかして此処、アンタの家か?」

 

「ご名答♡ アタシは東エリア郊外に構えさせてもらっている、このしがない駄菓子屋【浦原商店】の店長(オーナー)で《浦原(うらはら)喜助(きすけ)》っていいまス。 んで、こっちは店員の《握菱(つかびし)鉄裁(てっさい)》サン」

 

「ドーモ、浦原商店に店員として勤めている握菱という者デス。 以後、お見知りおきを」

 

「は……はぁ、どうも……」

 

とにかく、現状を確認する為に警戒心を露わにして目の前の見知らぬ男性二人に訊いてみたが、こうも簡単に自分達の個人情報を明かしてくれるとは意外だったので、なんとも毒気を抜かれてしまう……。

 

──なんか調子狂うぜ。 この人等がオレを此処に連れて来て寝かせたのか? あの異界での戦いの後、いったいどうなって──

 

怪訝に眉を寄せてそう思っていると、喜助が入って来た開いたままの襖から今度は出雲那の見知った顔が二人覗き込んで来る。

 

「武内君? 目覚めたのね、よかったわ……」

 

「ウフフ、思ったより元気そうで何よりね。 でも、傷が塞がらないうちはできるだけ安静にしていなきゃだめよ♪」

 

「──なっ……柊? それにサクヤも!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し合いの場をお茶の間に移して、明日香があの異界化収束後の経過について説明をしてくれた。 話を聞くと、どうやら出雲那は初の異界での激戦によって身体に限界まで疲労が蓄積していたらしく、現世に帰還した直後に気を失っていたようだ。

 

「いやー、皆さんが無事で本当に良かったッス! まあ、柊サンとサクヤサンについては実力的に特に心配なんてしていませんでしたがねぇ」

 

んでもって「ワッハッハー!」と手に持った扇を扇いで調子良く笑っているこの喜助と──

 

「フ……じゃが、異界化を収束させた後の隠密退去についてはまだまだじゃのう。 あれだけの規模の異界化が顕れたのなら“表”が観測できる程に空間の乱れが生じるのは自然の理というものじゃ。 ド素人を一人抱えていたとはいえ、二人共不用心が過ぎるぞ。 あの場に儂らが来なかったら今頃おぬしらは護廷隊かギルドにしょっ引かれてカツ丼でも食っていたところじゃったかもしれんしのぅ」

 

部屋の隅の柱に背を預けて揶揄うような微笑を浮かべている、この妖艶さと気軽さを感じさせる猫のような雰囲気を醸し出す褐色肌をした妙齢の美女──《四楓院(しほういん)夜一(よるいち)》が空間の乱れの原因を調査する目的で東エリア中央区に集まって来ていた護廷隊士や遊撃士達の目を上手く掻い潜って駆けつけて来てくれたおかげで、今回の件を“表”に漏らす事なく危なげに退散できたのだという……その話が正しいのなら、つまり彼等もまた明日香達《終焉の盾(エインヘルアル)》の関係者であるという事だ。

 

「その事については、私の詰めが甘かった為に余計な苦労をかけてしまって申し訳ありませんでした。 しかし……まさか浦原さんと夜一さんまでサクヤさんの任務に協力していたなんて驚きましたよ?」

 

そして、疲労とダメージの負担で倒れた出雲那を手当して休ませる為に運んだ此処【浦原商店】は、青学に通うにあたっての明日香のホームステイ先なのだという。

 

大体スクエアの四大学園に在学する学生戦士は学園都市という構造上殆どが親元を離れて来ている為に学生寮に入る者がその数に比例して多くなっているのだが、都市を開発した《ダイランディア武闘王国》をはじめ、出雲那や明日香の出身国である《帝国ヤマト》などの武闘王国と同盟を結んでいる国々から大勢の戦士候補生を募っている為に、王族の子などの複雑な事情を抱えている者も少なくはない。 故に、四大学園の関係者はスクエア内に別荘や住宅街などのホームステイ先を見繕う事を許可されていたりする。

 

「ふふ、それはごめんなさいね。 別に内緒にしていたわけではないのだけれど、まさか学生一人を協力者に引き入れるだけの任務で異界関係の内容に係わるとは想定していなかったものだから」

 

「自分から彼を焚きつけておいて、よくもまあそんな事を……」

 

「もぐもぐ……それよりもさ、アンタ達は何でオレの──【伊邪那岐の創り手】のチカラを必要としているんだ? 協力者になる事はもう腹を決めているけどよ、詳しい内容も知らないまま利用されるのは、ちょっと不安があるぜ」

 

含み笑いをするサクヤの白々しさに呆れて自分の額を押さえる明日香の隣に座ってMyトマトケチャップを上部いっぱいに塗りたくった蜜柑のような赤い何かを口の中に放り込んで食した出雲那が自分の利用目的について詳しい説明を求めてくる。 確かに、幾ら“裏”の組織の情報を“表”の人間に漏らすのは御法度とはいえ、協力する以上は必要最低限の説明を受ける権利が彼にはあるだろう。 そこで待ってましたと言わんばかりに喜助がウキウキした顔で何所からか何故か紙芝居道具を取り出して、食卓の上にそれをドンッ! と立てるのであった。

 

「それもそうッスよね! てなわけで皆サンお待ちかね、“浦原商店良い子の紙芝居劇場”の始まり始まりぃ~♪」

 

「誰も待ってなどおらん」

 

夜一の冷めたツッコミをスルーしつつ楽しそうに紙芝居の絵を捲り始める喜助。

 

「むか~しむかし、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。 ある日、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。──」

 

──普通に帝国ヤマトにある有名な童話の(くだり)じゃねぇか……まさか、あのご都合主義だらけの童話が【伊邪那岐の創り手(オレ)】に何か関係しているっていうのかよ?

 

「──川に着いたお婆さんが洗濯をしていると、上流の方から、それは大きな大きな──」

 

──確か、何故だか桃が流れて来るんだったよな、主人公になる赤ん坊が中に入っている……確かに訳が解らねぇ展開だし、それがもし《異界化》や【二大創産神】の宿命が何かで関係していたとしたら……!?

 

ゴクリ! 川の上流に目を向けて驚いているお婆さんの絵が捲られようとするのを、息を呑んで見守る出雲那……緊張の中で喜助がその絵を勢いよくスライドさせて捲ると、そこに描かれていたのは、なんと──

 

「──おっぱいが流れて来たのでした♡」

 

「阿呆がッ!!」

 

「きゃいん!」

 

紙芝居の画用紙全体に無駄にリアルに描かれた何でもできる証とも男のロマンとも言われている自主規制確実な果実ごと、喜助は瞬間移動の如き速さで一瞬にして接近してきた夜一に蹴り飛ばされて障子を突き破った……アホ丸出しで隣の部屋の畳に倒れ込んだ喜助を夜一は額に青筋を浮かべながら塵を見るような目で見下ろしている。

 

「それはおぬしが昔、質の悪い悪ふざけで帝国ヤマトの(わっぱ)に聴かせて酷い悪影響を与えてしもうた為に、現地警察の御用になりかけおった卑猥な作り話じゃろうが! 真面目にせんか!!」

 

「あっははー! いやッスねぇ、夜一サン? なにやら武内サンがすっごく堅そうにしていたもんッスから、軽くその緊張をほぐしてあげましょうと、ちょっとお茶目な冗談をしただけじゃないですかぁ♪ それにアタシ、どちらかと言うとお尻派でスし♡」

 

「死ねッ!」

 

「あべしっ! あーれーっ☆」

 

そして、他者をイライラさせるようにヘラヘラとふざけた言い訳をした為に夜一の蟀谷に青筋を増やし、外の庭まで蹴り飛ばされて行く喜助を眺めて出雲那は唖然と言葉が出せず表情を固まらせていた。

 

「…………」

 

「アラアラ、二人のペースにすっかり戸惑ってしまっているみたいね」

 

「……ごめんなさい武内君。 浦原さんと夜一さんは結社に入る以前からの旧友同士で、何時もああなの。 慣れない間は難しいかもしれないけれど、できるだけ流してくれると助かるわ」

 

「ああ、なんとなく理解した……」

 

つまり自分はまた厄介な変わり者と知り合ってしまったという事かと、出雲那はそう俯瞰して呆れるように目を細める。 やれやれ、こんな調子でこれからやっていけるのだろうか……。

 

「あの~、確か夜一さんでしたっけ? あの帽子のオッサンがウザイと思ったのは同感ですが、そろそろ話を進めてくれよ」

 

「フッ……仕方がないのぅ。 あの阿呆に代わって儂が説明してやるとするか」

 

内心を察してもらった事で気分が良く思ったのだろうか、夜一は出雲那の催促に応えて気取るように微笑を浮かべつつ両腕を組み、耳の穴かっぽじって良く聞けとでも言うかのように説明を切り出した。

 

「まずは儂らが係わる《異界化(イクリプス)》についての成り立ちから話す必要があるじゃろうな……出雲那、おぬし百年前の《第一次遭遇(ファーストアタック)》と四十年前の《第二次遭遇(セカンドアタック)》については、さすがに知っているじゃろう?」

 

「ああ、そりゃ幾らオレが馬鹿でもそれぐらいの一般常識は把握しているっての」

 

約百年に突如としてこの星に降り注いだ未曾有の大災害《落星雨(インベルディア)》によって齎された《万応素(マナ)》により【星脈世代(ジェネステラ)】【魔導士(ウィザード)】【伐刀者(ブレイザー)】といった《三大源力》をチカラとする超人戦士を誕生させた《第一次遭遇》に、約四十年前に再び降り注いだ落星雨の影響で人間に仇名す多種多様の怪物が世界中に跋扈する事となってしまった《第二次遭遇》。 この二つの事件は世界の情勢と歴史を劇的に変化させた故に世界的にもあまりに有名な出来事であり、出雲那の言う通りこれはこの世界の一般常識と言っても過言ではない為、聞かれたところで今更だろう。

 

「フッ、さすがに愚問じゃったな……それで、《異界化》という事象が初めて観測された時期についてなんじゃが……実はな、それは魔獣や虚といった人類の天敵がこの星にやって来おった第二次遭遇以前の“《第一次遭遇》直後”なんじゃよ」

 

「……え?」

 

あまりにも意外な事実を聞かされてポカンと口を開けてしまう出雲那。

 

「ふふふ、驚いておるようじゃのぅ」

 

「無理もないわ。 異界に潜む怪異(グリード)のような怪物が世に現れたのは《第二次遭遇》直後であるというのが“表”の世界の常識なのだもの……人類が《第一次遭遇》時の落星雨によって齎された万応素の影響で手に入れた三大源力を用いて戦いを始めたのもその超常的なチカラを巡った政治的な小競り合いが始まりで、それが後の《第二次遭遇》が訪れるまでに《超常大戦》という大規模な世界大戦に発展するのだけれど、その間にも世界各地では【神隠し】や【魔の海域】などといった都市伝説や怪奇現象が数多く観測されていた」

 

そのサクヤの説明を引き継ぐように明日香が話す。

 

「“裏”の世界ではその多くの原因が異界が現世に侵食して顕れた影響であるという事実を、組織を設立してそれ等と対峙した事で証明したわ。 その組織というのが、私達──《終焉の盾(エインヘルアル)》なの」

 

《終焉の盾》の発足は第一次遭遇から二年後、地上に降り注いだ落星雨の被害が齎した荒廃が徐々に回復しつつある頃から世界各地で観られるようになった不可解な現象をとあるマフィアが独自に調査する目的で組織内の異能力者を招集し構成させた調査隊が始まりだった。

 

世界中に蔓延した万応素の恩恵を受けた異能力者が台頭する時代を予期させるようにチカラを持った権力者がチカラ無き民達を異能によって弾圧や搾取などをするといった能力至上主義者による非道な行いが徐々に増え出していた当時、それを象徴するかのように魔法の暴力に物を言わせて無力な貧民層を虐げる事で嗜虐的快楽を満たすという悪逆非道な行為を日常的に行っていた事で問題視されていたとある富裕層の魔導士がある日を境に突然人前に姿を見せなくなったらしく、その時期に観られるようになった不可解な現象と併せて不審な何かを感じ取った組織の首領(ボス)は起ち上げたばかりの調査隊を派遣。

 

件の魔導士が頻繁に危害を加えていたとされる貧民層が暮らす貧民街に赴いて聞き込み調査を行った後、入手した情報を元に調査隊がたどり着いたのは強欲な悪魔が封印されているとされる民間伝承がある祠だった。

 

調査隊は件の魔導師の行方を突き止めるべく様々な検証調査を行ってみるものの幾ら可能性を模索したところで大した進展は見込めず、その場の調査を切り上げようとしたその時に調査隊の隊員である一人の伐刀者が唐突に悍ましく異様な“霊圧”を祠の出口付近より感知した。 その場へ急行すると、其処へ偶然通りかかっていた犬の散歩中だった女性が空間に顕れていた朱い罅の中へと悍ましい異形の手によって引きずり込まれているという非常極まりない光景があった為に、調査隊は咄嗟に異形と女性を追って得体の知れない罅の中へと飛び込んだ。

 

罅を潜った先には、瘴気に満ち溢れた地獄と件の魔導士と女性を餌として喰らい殺していた巨大な体躯を持つ地雷蜘蛛の異形が調査隊を待ち受けていたのだったらしい。

 

「《異界化(イクリプス)》──それは第二次遭遇の影響によって開いた異次元の扉とは別に、第一次遭遇が齎した万応素が世界中に蔓延しはじめた時より度々現世に顕われ出したものじゃ。 昨日の夕刻におぬしが霊装を使って現出させた“異界に通じる(ゲート)”は【適格者】と呼ばれておる選ばれた伐刀者が霊装で“特異点”を攻撃する事で顕現させる事のできる異界への入り口でのう。 ()()()()()()()()()()()()()()()その門を潜るか、又はその異界に住む【グリード】の手によって引きずり込まれるかの二つしか方法はないのじゃ。 故に、異界に関する問題は霊的な存在を監視・管理しておる《瀞霊護廷隊》すらも例外なく、“表”の組織にどうにかできるものではない。 何故なら、護廷隊が抱えておる魂律士(コンタクター)が【適格者】に選ばれた例はなく、また《伐刀騎士連盟》に加入しておる伐刀者の中に【適格者】である者は今のところ存在していないようじゃからのう……」

 

「それが、異界関係についての事を表沙汰にできない理由だってわけかよ……」

 

「その通り。 問題を解決する手段のない“表”の司法に異界の存在が下手に(おおやけ)になれば、私達の活動に介入されて厄介な事に成り兼ねないわ。 だから異界に係わりを持つ“裏”の組織は異界関係の事柄に対して“表”に情報が漏れないよう、細心の注意を払って活動しているの」

 

「それと、《異界化》という現象は今夜一さんが話してくれた“特異点”を起点にグリードが居る迷宮が現世と重なり、様々な形で現世を侵食して顕現する……それは人間の悪しき感情によって引き起こされるとされているわ。 今回の場合、どうやらクレア・ハーヴェイ(あの風紀委員長さん)が心の内に抱いていた【焦り】と【不安】が増長されて異界化が起きた可能性が高いわね……」

 

明日香の見解の通り、確かに異界化に巻き込まれたクレアは過去の過ちと近頃の自分の不甲斐無さで内心に押し潰されてしまいそうな程の焦燥と不安を抱いていた。 彼女は其処に《ドッペルゲンガー》というグリードに付け入れられて、あの滅亡する世界のような煉獄を顕現させてしまったのだろう。 先程話した悪逆非道の限りを尽くした過去の魔導士も嗜虐的快楽を求めるあまりに悪しき感情が暴走して、強欲の異形が住まう異界を呼び起こしてしまったのだ。

 

「なるほどな。 わかっていた事だったが、あのままいったらクレア先輩は結構ヤバかったってわけか……アレ? そういや、あの異界化が収束した後クレア先輩はどうなったんだよ?」

 

「ふふっ、その心配ならいらないわ。 あの武芸者(スレイヤー)のお嬢さんなら、君と明日香が良い雰囲気になっている間に私が記憶消去を施して回収しておいたからね♪」

 

「「ちょっ!!?」」

 

「ほほぅ」

 

あざといウィンクを向けてくるサクヤに悪戯っぽく恥ずかしい場面を暴露された出雲那と明日香は思わず出た声をハモらせつつ赤面してしまう。 それによって二人が危惧する事が現実になるようにそれは面白い話を聞いたと夜一が羞恥に縮こまった二人にニヤニヤと意地悪な笑みを向けてきている。

 

「フフフ、なんじゃなんじゃ? 二人共近頃に知り合ったばかりじゃというのに、もう“いかがわしい関係”になってしもうたのか? グフフ、いや~参った参った。 まったく、最近の若者はお盛んじゃの~♪」

 

「すっげぇムカつく笑い方をするんじゃねぇっ! オレと柊はそんなんじゃねぇっての!!」

 

「サクヤさんも誤解を招くような言い方をしないでくださいよ!」

 

「あら、そうなの? 今回の異界化が収束した後、回収した武芸者のお嬢さんを都市のデータベースをハッキングして調べた彼女の住まいに私が送り届けて戻って来た時も貴女、ぐっすりと眠ったままの出雲那を気に掛けて彼に膝枕までしていたっていうのに♪」

 

「サ~ク~ヤ~さ~んッッ!!」

 

学園ではクールな優等生キャラでいる明日香もサクヤにかかれば形無しであった……閑話休題(それはさておき)、耐え難い恥ずかしさに身悶えていた明日香が昂った憤慨の感情を冷ましつつ「う″うん……ゴホンッ!」と一つ咳を払うと、空気を落ち着かせて《終焉の盾》に関する補足を入れる。

 

「そして、そんな異界に潜む【グリード】は今回のように人の弱い心に付け込んで、“表”の世界に危害を及ぼす存在なの。 グリードの魔の手から人々を護る為、異界を監視し、この世から一匹残らずグリードを駆逐する事を目的とする【刃の盾を掲げる戦士達】──それが私達が所属している、結社《終焉の盾(エインヘルアル)》という組織よ」

 

そう言って彼女はスカートから携帯端末を取り出すと、その背面に浮かび上がった紋章を出雲那に見せた。 おそらくそれは《終焉の盾》のロゴマークだろう、【光輝く刃が正面に立ち塞がる壁を貫くかのように中心から突き出ている大盾】を模したデザインのようだった。

 

先程語った過去の調査隊はあの後激しい応戦の末に地雷蜘蛛の異形を倒して異界を収束させた。 ……しかし、捜索していた魔導士も巻き込まれた何の罪も無かった女性も、霊的存在に対抗する術を持たない伐刀者以外の仲間達の多くもが犠牲となってしまい、これ以上このような事などあってはならないと、その後に組織から独立した彼等が《終焉の盾》となった訳なのだ。

 

「は、はは……。スクエアの戦士候補生として超常的な事柄には慣れていたつもりだったんだけど、ここまできたら流石に頭がついていかねぇ……」

 

出雲那も《三大源力》というチカラを生まれながらに有した異能力者の端くれだ。 今更非現実的な事象や超常的な存在なんかに驚きはしないと思っていたが、世界は彼が思っているよりも奇なりである。 参ったなと言わんばかりに左手の人差し指で蟀谷を掻くと、それよりも知りたかった本題に入ろうとした。

 

「アンタら《終焉の盾》が何を目的として存在している組織なのかは解ったけどよ、それとオレの宿命やチカラに何が関係あるって言うn『ピピピピピーーーッ!』──って、うるせぇな、急に何の音だよ? ……って、おあぁぁっ!? 今、七時かよッ!!」

 

突然鳴ったアラーム音は午前七時に鳴るように設定してあったお茶の間の時計からだった。 青学のホームルームは八時からだ。 急いで学園に登校しないとまた遅刻だ……焦る出雲那の肩に背後から誰かの手がポンッと置かれる。

 

振り向くと、其処には先程夜一によって屋外まで蹴り飛ばされていた喜助がまるで反省の色が見られないようにヘラヘラとした態度でもって、ドクロマークのステッカーが側面に貼られている怪しいボトルを持って来ていたのだった。

 

「これから一時間毎にこのクスリを一錠ずつ飲んでください。 そうすれば夜までに傷の殆どは回復します」

 

そう言って、ずいっ! とその怪しい薬が大量に入れられたボトルを出雲那に差し渡し、「思ックソ、ドクロ書いてんじゃねぇか……」と不安気にそれを受け取る出雲那。

 

「“勉強会”はそれからにしましょ♪ タダでさえアナタは異界探索に関して素人だというのに、今無理をして今後の活動に支障が出てもらってもナンですからねェ」

 

そう言って踵を返し、喜助は手を後ろにヒラヒラと振る。

 

「ホラ、それまで柊サンと学校にでも行ってらっしゃい。 学生なんだから、今しかない青春を謳歌しないと」

 

「……何なんだよ、いったい……」

 

「あはは……取り合えず学校に行きましょうか。 折角気を利かせてくれたのだしね」

 

「お、おう。 そうだな……」

 

そうだ……彼女を連れて今日の学校に行く為に、昨日の夜を戦ったのだ。 何時の間にか自分の鞄を持って来てくれていた明日香の微笑みを見ると勝ち取ったんだという実感が心の奥底から湧いてくる。

 

「行こうぜ柊、オレ達の青学へ!!」

 

新たなるハチャメチャな非日常が今、始まった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




閃の軌跡Ⅳ完結マジ感動ぉぉぉーーーっ! いやー、最終決戦燃えたッス! なんか皆が同志って感じで、全員一丸となって闇を打ち破り未来へと飛翔する【光まとう翼】だって本当に思えたし。 もうっ、たまらん!

リィン・シュバルツァー君! 完結作にして初のハッピーエンドおめでとう!

リィン(閃Ⅳコス)「ありがとう。 無事に相克を乗り越えて帝国の呪いを討ち払う事ができたのも、暗い絶望の淵でもがき苦しんでいた俺を底から引っ張り上げてくれた新旧Ⅶ組の仲間達と、これまで恩を返しきれない程に俺達をずっと助け支えてくれた協力者達、その皆のおかげだ」

アリサ「でもリィン、ノーマルエンドのアレはちょっとないんじゃないかしら? EDの歌詞はとても素敵だったけれど、せっかくあなたにもう一人で無茶をしないでと皆で釘を刺していたのに、あなたったらまた──」

あー、アリサさん? 一応それネタバレになるから言うのはできるだけ控えて欲しいんだけど……。

アリサ「あ、ごめんなさい。 たぶんノーマルエンドが正史になるとは思えないけれど、どうしてもあの時のリィンの無茶が納得いかなかったものだから」

リィン「ははは……まあ、ノーマルエンドの方は仕方がなかったさ。 トゥルーエンドに辿り着く道が手に入れられなかった以上、あれしか他に方法が無かったんだ……」

ほんと、感動的なトゥルーエンドが用意されていて本当によかったです……シェラ姉ーーッ! オリビエーーーッ! 結k──

リィン&アリサ「「コラーーッ!? 君(あなた)がネタバレしようとするんじゃない(わよ)ーーーーっ!!」」

あっはっはっは! とにかく、閃シリーズ完結おめでとうっ! ……そういや無茶をやった主人公といえば、落第騎士の新刊の方でも一輝が相当な無謀をやらかしていましたね……。

ステラ「まったくだわ……もうイッキったら、下手をしたら閃Ⅳノーマルエンドでのリィンよりも酷い無茶をして……(ジロッ)」

一輝「わ、悪かったよステラ。 珠雫にも言われてあの無茶で僕がステラに酷い事をしそうになったというのは物凄く心が砕けそうになる程自覚させられたし……ごめんなさい」

ははは……なんだか最近の主人公は一人で背負い込んで自分を省みない無茶をしてしまう傾向が流行っているみたいだな。 見ていないけれど、リリなのの新作映画でなのはも超絶無茶をしていたという話もかなり耳にするし……。

リィン&一輝「「ははは……ゴメン」」

さて、そこで猿の反省ポーズをしている無茶馬鹿な剣聖と剣神は放っておくとして──

アリサ&ステラ「「しれっとちょっとネタバレしてるし……(汗)」」

──ようやく新章が始まりましたが、読者の皆様、最初の内容はいかがだったでしょうか?

早速新キャラとして登場した『BLEACH』の浦原さんと夜一さん。 実は、あの二人は前の章でも少しだけ出ていたんですよねー……え? 知ってた?

活動報告で行ったアンケートの結果で『ハイスクールD×D』のキャラ達がクロス・スクエアに参戦する事が決定して、出雲那達の戦いはますます激しさを増していきます! うおおおおおおおっ、バトル物はパワーインフレじゃぁぁぁあああああーーーーっ!!!

気合いも入ったところで、今回はここまでっ! では次回まで、サラダバーーーーーッ!!



銀綺の一刀と復讐の幻弾編イメージED『Startear』
TVアニメ『ソードアード・オンラインⅡ』ED1より
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