幻想戦記クロス・スクエア   作:蒼空の魔導書

3 / 27
メインヒロイン登場回です……えっ? もう前から登場しているじゃないかって? ……さあ、なんの事かなぁ。(すっとぼけ)





突然やって来た謎の編入生

時刻は午前八時。 数万人は入るであろう広大な講堂の中でズラリと整列する紅いブレザーの学生服を着用している学生達。 神妙な空気の中“騎士甲冑を身に纏う鳳凰”の校章の下、壇上で一人の女子生徒が毅然と演説をしていた。

 

「化物が跋扈する世界は恐怖か? 未来は不安か!? 現実は絶望か!!?」

 

威厳のある凛とした声が講堂内に響き渡る。 声の主は目の前に並ぶ学生達を誰一人として見逃さないようその全てを見通すような眼光でしっかりと見据えている。 眼に焼き付く程黒く美しい長髪が眩しい彼女の堂々とした佇まいが全ての人の眼を惹きつけて離さない。

 

「それならばこの私を頼るがいい! 安心しろ、私は《黒神(くろかみ)めだか》だ、私は見知らぬ他人の役に立つ為に、ここに居る!!」

 

壇上で演説する少女──黒神めだかは何の躊躇いも無くそう言い放つ。 クレア・ハーヴェイが女王なら彼女は“王”だ。 圧倒的な威厳を放つその姿は上に立つ者の貫禄を感じさせる。

 

「そんなわけで、本日よりこの私が貴様達の生徒会長だ! 学業・恋愛・家庭・労働・私生活や修練に至るまで、悩み事があれば迷わず私達生徒会に相談するがよい!!」

 

めだかは一呼吸をおいて、目の前の全学生を見据え毅然と締めの言葉を言い放つ。

 

「二十四時間三百六十五日、私は誰からの相談でも受け付ける!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「…………」」」」

 

青竜学園本校舎四階、高等部二年A組の教室内にて四人の少年少女達が机の上に置いた生徒手帳のディスプレイから()()()()()()小型の空間モニターに映し出された映像を観賞して唖然としていた。

 

「とんでもないわね……これが今年高等部一年にして生徒会長に抜擢されたっていう《ナイツニクス学園》の黒神めだかか……」

 

金髪真紅眼の気が強そうな女子生徒──《アリサ・ラインフォルト》が呆れ半分にそう口にする。 空間モニターに映し出されている映像はスクエアの北エリアにある名門校《ナイツニクス学園》の入学式の生中継であり現在生徒会長就任の挨拶を行っているところだった。

 

「《完全無欠の聖人(ザ・パーフェクト)》の二つ名は伊達じゃないな。 なんて圧倒的な存在感だ……」

 

腰のベルトに刀を差した御人好しそうな黒髪の男子生徒──《リィン・シュバルツァー》が空間モニター内の映像で演説を続けるめだかを称賛する。 名門であるナイツニクス学園の入学式は他の三校より始める時間が早く、一時間前の午前七時から開始されていた。

 

「スクエアの四大学園の名門ナイツニクス学園ぶっちぎりの首席で、スポーツにおいてもあらゆる記録を総なめ状態、手にしたトロフィーや賞状は数知れず、実家はスクエアの都市運営のスポンサーである《統合企業財体》筆頭で世界経済を担う《黒神グループ》という冗談みたいなお金持ち、戦闘力においてもスクエアの学生トップクラスでその眼で“観た”相手の技・技術・異能を気力で強化した魔力だけで再現し()()()()()()()()()()()()()完成(ジエンド)》という名のキチガイな能力を使う魔女(ストレガ)……善吉(ぜんきち)、本当にこんな凄い人に《四武祭(フェスタ)》で勝つつもりでいるの?」

 

長い青髪を黄色いリボンで縛りポニーテールにしている豊満な乳房を持つ女子生徒──《マイ・ナツメ》が、めだかの経歴を読み上げて眼前の椅子に座っている薄めの茶髪で吊り眼の男子生徒に話し掛ける。

 

「カッ! 当然だろ。 俺はあいつに勝つ為に、あいつとは別の学園に入ったんだぜ? 今更撤回なんかするかよ!」

 

吊り眼の男子生徒──《人吉(ひとよし)善吉》はマイの質問に不機嫌そうに答えた、どうやら善吉はめだかに因縁のようなモノがあるようだ。

 

「でも《完全無欠の聖人》と言ったら、この三年間全ての《四武祭》に出場して一つの例外もなくベスト8に名を連ねている猛者で、そのうちの約半数は優勝だそうだ。 そんな相手に勝つなんて並の難易度じゃないぞ?」

 

「カッ! そんな事は先刻承知だぜリィン! 寧ろ望むところだ!」

 

雲の上……いや、太陽より遠い目標に挑む事に意味があると拳で掌を叩き気合いを入れる善吉。 彼等が話題にしている《四武祭》とは、戦島都市スクエアで季節を跨いで年に四回行われる学生同士の武闘大会であり、この都市の所有国である武闘王国ダイランディア政府監視の下、都市運営のスポンサーである《統合企業財体》主催で行われる。

 

《四武祭》はスクエアの四大学園の生徒全てに参加権利があり、出場不出場の選択は自由。 大会は大きく分けて四つあり、まず最初に春に行われるタッグ戦の《鳳凰四武祭(フェニクス)》、次に夏に行われる五人一組のチーム戦の《獅鷹四武祭(グリプス)》、その次は秋に行われるスクエア最強の学生を決める個人戦の《王竜四武祭(リンドブルス)》、そしてシーズンの締めくくりの冬に行われるスクエア最強の学園を決める学園対抗の団体戦《獣王四武祭(レギオス)》という流れの強行軍で開催されて行く。 《鳳凰四武祭》《獅鷹四武祭》《王竜四武祭》の三つの大会の制覇者には莫大な賞金と大会制覇者(チャンプ)の名誉が与えられ学園卒業後の進路先で色々と優遇される(ダイランディア軍に入った場合は最初から尉官として迎え入れられる)という特典があり、《獣王四武祭》で頂点に立った学園は来年度の学園運営予算を他の学園の倍額貰う事ができ学園の施設を充実させ学園を発展させる事ができるのである。

 

故にスクエアの学生達は四武祭の覇者を目指して日夜鍛練や決闘に励むのである。 そんな四武祭のベスト8常連であるという黒神めだかは、中等部時代の三年間で鳳凰四武祭で二回優勝、王竜四武祭で一回優勝、獅鷹四武祭に至っては毎回メンバーを替えて出場し三回全て優勝、そして団体戦である獣王四武祭も全戦に出場して三年間ナイツニクス学園をスクエアの頂点に君臨させる事に貢献をしているという、とんでもない学生だ。

 

「黒神めだかもそうだけど、ナイツニクス学園にはスクエアどころか世界に名を轟かす有名な猛者がいっぱいいるのよねぇ。 今年の生徒会副会長に指名された《白舞の姫将(プリンセスジェネラル)》でしょ、《聖騎士(ペンドラゴン)》に《風の剣帝》、《黒の剣士》に《閃光》、《空を翔ける者(フリーグラビディ)》に《不動空斬》、そしてここ二年間の王竜四武祭の決勝で二度黒神めだかを破っている中等部の《狂犬》、他にもとんでもない猛者達が沢山いて、ここ三年間の四武祭は全て例外なくナイツニクス学園が制覇しているわね……」

 

「特に三年前の黒神さんの“グランドスラム”は凄かったよね。 中等部一年にして全四武祭を制覇した異端児って、凄い話題になったし……」

 

アリサとマイが言うように名門であるナイツニクス学園は多くの武才を持った学生達が在籍していて、毎年四武祭はナイツニクス学園の学生が総なめ状態であるのだ。 なので学園の規模も他の三学園と比べて大きく施設も充実している。 今やナイツニクス学園はスクエアの頂点なのだ。

 

「ああそうだな……けど、だからと言っていつまでもナイツニクスの連中に好き勝手やられっぱなしでいいと思ってんのかよ!? 俺はヤダね! そんなの俺の反骨精神が許さねぇ」

 

そう言って善吉は席から立ち上がり、教室の開いた窓の前に移動して立ちリィン達にビシッと指をさして宣言をする。

 

「いいか!? 俺は絶対四武祭の舞台でめだかちゃ……黒神めだかをブッ倒s「ダイナミック入室ぅぅっ!!」──うがっ!!?」

 

「「キャアアアアアアアアアッ!!?」」

 

大きく宣言し終わる前に開いた窓からいきなり突風と共に額にゴーグルを着けた男子生徒が飛び込んで来て、その勢いのまま飛び込んだ窓の前にいた善吉の背中を踏みつけて床に沈め、吹き荒れた突風の所為で正面にいたアリサとマイのスカートが捲れ上がり一瞬彼女達の下着が丸見えとなる。 因みにアリサがピンクと白の縞模様でマイが純白だった。

 

「間に合ったぁぁーーーーっ! セーーーーフッ!!」

 

「って出雲那!? ビックリさせないでよ……」

 

「リィン! 貴方見てないでしょうね!?」

 

「み……見てない見てない! ピンクと白の縞色なんて見t「しっかりと見てるじゃない! バカッ!!」──ぐはっ!!」

 

「出雲那君、勢い付け過ぎだよ。 もっと静かに入らないと」

 

「一輝!? ここ四階だよ!? 星脈世代の出雲那はともかく何で大した霊力を持っていない伐刀者の一輝がここまで跳んで来れるの!!?」

 

『キーンコーンカーンコーン!』

 

「うるせぇぞこの馬鹿共がっ! とっとと席に着け、ホームルーム始めんぞ!」

 

派手に窓から教室に飛び込んで来た出雲那の後から音も無く一輝が入って来るとチャイムが鳴り、教壇側の入り口から入室して来たA組の担任の先生の怒鳴り声が教室内に鳴り響き、教室内の生徒全員自分の席に着席した。(出雲那に踏みつけられた善吉は気絶していたのでマイがお姫様抱っこで席に運んで座らせた)

 

担任は白いツンツンした髪を揺らして教壇に立ち、甲に赤い珠のようなモノが装飾された黒いグローブを着けた両手をホワイトボードの前に置かれた教卓の上にバンッと着いて、その赤と緑のオッドアイに生徒達の姿を収め、ぶっきらぼうに挨拶と自己紹介を始めた。

 

「今日から一年間テメェらの面倒を見る事になった《ラグナ》だ。 好きな食い物は天玉うどん。 嫌いな物は権力を振りかざす奴等だ。 よろしく頼むぜ!」

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

シ~ンと静まり返る教室内だが無理もない、自分達の担任として着任したラグナ教諭は厳つい面をしていて素行も悪く、どう見ても社会不適合者という印象がプンプンするのだから。 不遜な沈黙にラグナは訝しそうな表情を浮かべる。

 

「何だよシケてやがんな。 ここは葬式会場か? あぁん?」

 

不機嫌になって生徒達にガン飛ばすラグナ。 本当にこの男は教師なのだろうか? まるでチンピラである。

 

「ねぇ出雲那。 あの人が私達の担任の先生なんだよね?」

 

「ん? そうなんじゃねぇの~。 青学の教師達は皆強ぇから不審者が変装して侵入したなんてありえねぇと思うし……一輝はどう思うんだ?」

 

「マイ君の気持ちは分かるけれど、僕も出雲那君と同じ意見かな……それにしても、何故この手の人種は気に入らない事があると人を威嚇するのだろう?」

 

「まあ教師になる程だから根はいい人間なんだろう。 人を見た目で判断するべきじゃないと思うよ」

 

「確かにリィンの言う通りだけど、銀髪オッドアイだなんて今時厨二病の人間でもやらないわね」

 

「オイッ! 聞こえてんぞ其処っ!」

 

ひそひそ話をする出雲那達を指さしてツッコムように怒鳴るラグナ。 聴こえていたようだ。

 

「ったく! これは銀髪じゃなくて色が抜け落ちてんだって……」

 

──髪の色が抜け落ちたって、苦労人なのか? イライラしてんのはストレスの所為なのかもな……。

 

ラグナの愚痴を聞いて出雲那は勝手に解釈して納得していた。

 

「……まあいい、廊下で待たせている奴もいるし、とっとと進めるか」

 

ラグナは気を取り直して生徒達と向き合う。

 

「実は今日新しくテメェらの仲間になる奴がいる。 編入生ってやつだ」

 

ラグナが人差し指で耳の穴を穿りながらそう言うと教室内の生徒達がざわざわしだした。

 

「編入生? 随分唐突ね」

 

「四大学園から別の学園に異動するのは原則禁止の筈だろう?」

 

「転入じゃなくて“編入”って言ったでしょ? スクエアの外から来たって事よ」

 

「男子? 女子? 美少女だったら是非御近付きになりたいな」

 

あちこちから話し声が聴こえて来る。 転校生や編入生の話題となると色々と騒がしくなるのは皆戦士を志しているスクエアの学園でも同じのようだ。

 

「……はぁ……んじゃもういいぜ、入って来いよ」

 

「失礼します」

 

「ん?」

 

ラグナが教壇側の出入り口に向かって手招きしながら声をかける。 その時出雲那はその出入り口の扉から聞こえてきた高い声を聴いて何か違和感を覚えた。 この声どこかで……と。

 

扉が開いて、そこから入室して来たのは整った亜麻色の長髪をした如何にも優等生という雰囲気を感じさせる美少女だった。 彼女は教卓の横に立ち、氷の結晶のように透き通った碧い眼でクラスメイト達を見据えると、丁寧に自己紹介を始めた。

 

「皆さん初めまして。 今日から皆さんと共に色々な事を学び鍛練に励んでいく事となりました、《(ひいらぎ)明日香(あすか)》といいます。 私は名前で分かる通り《帝国ヤマト》の出身ですが、三年前から前年度まで《ヴァーミリオン皇国》にある学園に留学していました。 この度、この戦島都市スクエアの青竜学園に編入し、皆さんと共に将来に進んで行ける事を大変喜ばしく思います。 基本的なルールは一通り覚えたつもりでいますが、新参者である私はまだまだ至らぬところがあるかと思いますので、皆さん御指導御鞭撻をどうかよろしくお願いします」

 

手慣れたように自己紹介をした編入生の明日香が一礼をすると周りから様々な声が聴こえてきた。 素直に新しい仲間を歓迎する者、美少女の登場に歓喜する男子生徒、イケメン男子じゃなかった事にガッカリする女子生徒、丁寧な自己紹介を聞いて凄いと圧倒された者、明日香のスタイルが抜群なのでいやらしい妄想をする男子生徒など色々といたが、そんな中で出雲那は明日香の姿を見た瞬間に頭の中で何かの映像がフラッシュバックして額を掌で押さえていた。

 

──何だよこれは? いきなり訳がわからねぇ……。

 

一瞬だったうえに映像に靄が掛かっていたので、出雲那は何がなんだかわからなかった。 ……ただ一瞬だけ視えたのは、水晶のように青く光るレイピアと一輪の睡蓮であった。

 

──……今のは……あの時の女の霊装?

 

「ったく堅っ苦しい自己紹介だな。 まさに優等生って感じでよ」

 

出雲那はぶっきらぼうなラグナの声で現実に引き戻される。 壇上の明日香に目を向けてみると彼女はラグナに向いて軽く微笑んでいる。

 

「ふふふ、すいません。 少し退屈させてしまったようですね。 どうも私は言葉を考えるのは不向きのようでして」

 

「控えめな事をほざくところも絵に描いたようだな……テメェの席はそこが空いてっからそこに座れ。 ホラ行けよ」

 

ラグナの指示に従って窓側の最前列の席に座る明日香。 出雲那達から見てかなり奥の右斜め前の席だ。

 

──今のは編入生を見た瞬間に出て来やがった……アイツがあの女と何か関係してんのか? それともただの白昼夢か?

 

わからない。 出雲那は突然のフラッシュバックの事を気味悪く思った。

 

それからホームルームが終わるまでの間、出雲那は気が付くと明日香を目で追っていた。 先程のフラッシュバックは何を意味するのか? 昨晩の伐刀者の少女と明日香の関係は? 今はまだ何もわからなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




──てなわけでメインヒロインである柊明日香さんが登場しました♪ 原作は『東亰ザナドゥ』で、原作でもメインヒロインです……一応。

アスカ「ねぇ、その“一応”って言うのはやめてくれない? 私は公式のメインヒロインよ」

いや、でもねぇ……あれはどう見ても幼馴染ENDでしたからねぇ……。

アスカ「クリミナルブランドッ!!」

ア″ア″ァ″ァ″ーーーーーーッ!!!



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。