幻想戦記クロス・スクエア   作:蒼空の魔導書

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青竜学園生徒会役員大集合!





青竜学園生徒会の一時(ひととき)

出雲那達がドラグーンスタジアムの摸擬戦場に足を踏み入れている頃、青竜学園本校舎内にある生徒会室に今朝出雲那と一輝に決闘で負けた風紀委員の三人が訪ねて来ていた。

 

「という訳で、最近の我が学園の生徒達は規則を蔑ろにして学園の秩序を乱す傾向がありますわ。 学園に不必要な所有物を持ち込み、他者に不敬を働くなどの素行の悪い行いをする者が大勢居るという困った現状……東堂刀華、あなたは生徒会長としてこの事をどう思っていますの?」

 

風紀委員長のクレアが目の前にいる刀華に青学が抱える問題をどう思っているのかを問い質している。 リディとエリカが従者のように左右に立ちパイプ椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいる為、一見高慢な態度の様にも見えるがクレアの目は真剣だ。 この一件を非情に重く受け止めているのだろう。 刀華はそれを感じて真剣な表情でクレアと向き合う。

 

「学園の現状については私も良いとは思っていません。 なるべく早く改善策を取るつもりではありますが……クレアさん、あまり厳し過ぎるのも良くないと思いますよ? やり過ぎた抑制は人の心に不満を生みますから」

 

「甘いですわね。 素行の悪さは意識の緩さからなるもの、不遜な輩というのは少しでも甘さを見せればすぐに付け上がり好き勝手に秩序を乱すものなのですわ。 それを正す為に規則はあります、故に生徒の取り締まりは厳重でなければならないのです。 東堂刀華、あなたも生徒会長になったのならば、皆の模範であるその立場をしっかりと自覚してもらいたいものですわね」

 

「私は、みんなに恥じるような振る舞いをしているつもりはありませんよ」

 

「なら、この生徒会室内の無秩序っぷりは何ですの!?」

 

クレアは室内全体を指さして大声で指摘をした。 それもその筈、生徒会室内は今、床に足場が無い程物が散乱した散らかり様であり、混沌と化しているからだ。

 

更に言うと此処にいる生徒会役員等の立ち振る舞いも問題である。 書記である紫掛かった茶髪で真面目そうな男子生徒《アスベル・ラント》と金髪で高飛車そうな印象の男子生徒《ユーシス・アルバレア》は執務机で資料を纏めており、会計である黒髪で吊り眼の男子生徒《ジュード・マティス》と桃色の若干ウェーブが掛かった髪をしていて清楚な印象の女子生徒《江迎(えむかえ)怒江(むかえ)》はその隣で設備運営に関する費用の計算をしていて、庶務である薄紫の髪で気の弱そうな男子生徒《ユーマ・イルバーン》は来客者であるクレア達に御代わりの紅茶を酌んでいる為、この五人に関しては真面目に仕事をしているので問題は無い。 だがその他の三人が問題だ。

 

「あらら指摘されちゃった。 【貴女達が連絡も入れずに急に来たから片付けられませんでしたー】なんて理由、ワルスラーン社のお嬢サマには通用しないよね。 いや~、流石“元”無敗の女王(パーフェクトクイーン)()()()()()()()()()()()()上に、今年の生徒会長の座まで奪った相手には、大変お厳しい事で」

 

刀華の一歩後ろ隣に立っている生徒会のもう一人の庶務である黒いボサ髪で気の抜けた表情の男子生徒が悪怯れるフリをして皮肉を言う。

 

「《千種(ちぐさ)(かすみ)》! 貴様ぁっ!!」

 

「クレア様に対して何たる侮辱をっ!!」

 

「お止しなさいリディ、エリカ。 わたくしがワルスラーン社の令嬢なのも、二年前にわたくしが初出場した王竜四武祭で東堂刀華に負けたのも、わたくしが生徒会長になれなかったのも、全て事実ですわ」

 

「しかしクレア様!」

 

「いいからお黙りなさい」

 

「くっ、申し訳ありませんでした……」

 

霞の皮肉に当然クレアを慕っているリディとエリカは霞に食って掛かろうとするのだが、クレアが冷静に二人を制して下がらせた。 口では平静を装っているクレアだが、彼女の右手を見てみると血が滲む程拳を握りしめていて内心穏やかではなさそうである。 その事からどうやら刀華とクレアの間には大きな蟠りがあるようだ。

 

「アハハ☆ 霞君さぁ、それはちょっと風紀委員長さんに失礼なんじゃない? 幾ら本当の事だからって過去の古傷を抉るのは良くないと思うぜ☆」

 

「お兄ぃマジデリカシー無さ過ぎ。 て言うか、キモい」

 

「キミタチ……自分達は関係ないような態度取っているけど、東堂会長が風紀委員長さんに怒られているのは、主に君達二人の所為なんだからね……」

 

室内の端にある大型テレビで仕事をサボってテレビゲームに没頭する怠け者副会長二人が皮肉を言った霞を扱き下ろす。 癖毛のある銀髪で幼稚園児のように小柄な男子生徒《御祓(みそぎ)泡沫(うたかた)》、赤混じりの茶髪でやる気のなさそうな雰囲気な霞の妹《千種(ちぐさ)明日葉(あすは)》、生徒会室内を散らかしたのはこの二人だ。 霞はその事を指摘するが二人は話を聞かずにテレビゲームを再開する……だが──

 

「もう! うた君も明日葉さんもゲームはいい加減にして片付けなさい!」

 

「わっ!? ちょ、ちょっと待って刀華! それ二時間前からセーブしてな……ちょまっ──う、うわぁああっ!!」

 

「あ~あ、ラスボス前だったのに消えちゃったよ。 また最初からラストダンジョンやり直しじゃん。 あははウケる♪」

 

「ウケませんっ! まったく二人共、こんなに散らかしてだらけ過ぎですよ! クレアさんの言う通り風紀が乱れています! 全ての生徒の模範となるべき生徒会役員としてあるまじき姿です!」

 

「いやウケるでしょ? 会長だって寮だと下着のまま昼寝してたりするくせに、だらけ過ぎって」

 

「何、東堂会長の下着姿? ……明日葉ちゃん、それ詳しく」

 

「千種君!」

 

「あはは☆ 刀華は昔から気を張る相手がいないと際限なく怠け出すからねー」

 

「いい、今私の私生活は無関係でしょ! と、ともかく早く片付けてください!」

 

「あははは……なんなら僕も手伝うよ。 丁度仕事も一区切り着いたところだし」

 

「私も手伝います」

 

「ほら、ジュード君と江迎さんも手伝うと言ってくれていますよ! 協力して早く片付けて下さい! 片付けないと全部捨てちゃいますからね!!」

 

「うわ、わかったわかった!」

 

「さあ、ハリー! ハリー!」

 

刀華(オカン)の掛け声によりドタバタと慌ただしく部屋の片付けが始まった。 人目も気にせずに埃を起てて動き回る生徒会役員達を見てクレアは呆れている。

 

「はぁ……まったく、あなた達ときたらいつもいつも……普段から規則正しい行動を心掛けていれば人前で醜態を曝す事などありませんのに……」

 

「本当にすいません、みっともないところをお見せしてしまいましたね……」

 

「謝罪の言葉は不要ですわ。 あなた達が生徒会に相応しいと言うのならば言葉よりも行動で示してほしいものですわね」

 

クレアは頭を下げて謝罪の言葉を述べる刀華にそう言って立ち上がり、刀華に背を向ける。

 

「あなたも生徒会長ならば胆に銘じておきなさい東堂刀華、青学の生徒達はあなたに期待しているのですからね。 その期待を裏切るような事はなさらないように」

 

「ええ、もちろん承知しています」

 

「ならいいですわ。 その意識を努々忘れないように……それから、あなたの弟子である武内出雲那にも風紀を乱すような行為は控えるよう言っておきなさい。 あの男は今朝もわたくし達が行っていた持ち物検査を遅刻するからという不誠実な理由で見逃すよう決闘を仕掛けて来たのですからね」

 

「ほぅ、なるほどねぇ。 要するに、武内にその決闘で無様に負けたから奴の師にあたる東堂会長に自分達の失態の尻拭いをしろというわけだな。 無様に負けた失態の尻拭いを」

 

「ええいっ、二度も言わなくて結構ですわ! リディ、エリカ、行きますわよ!!」

 

クレアは誠意を尽くして自分の言った事に同意してくる刀華に今朝問題を起こした出雲那に注意を呼び掛けるよう言うが、その事でまたしても霞が皮肉を言ってきたのでクレアは腹立たしくなりプンプン頬を膨らませながら取り巻きであるリディとエリカを引き連れて生徒会室から去って行った。

 

「やれやれ、あの風紀委員長さんマジ堅物で分かりやす過ぎでしょ。 揶揄いやすいったらありゃしない」

 

「千種君、あまり迂闊な事を言って人を怒らせるのは感心しませんよ」

 

「や、それ無理だと思うから、て言うか無理だから。 お兄ぃは相手の悪意にカウンター打つことでしかコミュニケーション取れないし、て言うかコミュニケーション取れないし」

 

「はぁい、明日葉ちゃんは手を動かそうねー」

 

「お兄ぃキモい」

 

クレア達が生徒会室を去ったのを確認すると刀華はクレアを怒らせた霞を戒めるのだが、話を聴いた明日葉が片付けを中断し霞を貶す感じで言っても無駄だと刀華に断言し、その事に不満を感じた霞が誤魔化すような口調で明日葉に片付けを再開するよう言い、明日葉はそんな霞を罵倒する言葉を放って片付けを再開した。

 

「それで? 学園の風紀の乱れについては、まず自分達がしっかりしない事には何も言えないのはいいとして……武内には注意しておくの?」

 

「いいとしてって、いい訳ありません! しっかりして下さいね! 当然イズ君……いや、武内君が他人を困らせたのならO☆SE☆LTU☆KYO☆Uします!」

 

なんだか“お説教”のニュアンスがおかしい気がするが、どうやら刀華はクレアの要望通り出雲那に注意を呼び掛けると決めたようだ。 そこへ──

 

「会長、今月の資料を纏め終わりましたので、確認と承認印をお願いします」

 

と、アスベルが刀華に呼び掛けてきた。

 

「……という訳で千種君、私は仕事で忙しいので、代わりに武内君を探してここへ呼んで来てくれますか?」

 

「……」

 

刀華が霞の肩に手をポンッと乗せて出雲那の捜索を命じる。 見計らったかのようなタイミングに霞は嫌そうな顔をするが内に社畜魂を秘める彼は無言で頷いた。 悲しい性である。

 

「それと別件なのですが、ついでにマイ・ナツメさんも呼んで来てくれますか? 多分彼女は武内君達と行動を共にしているでしょうから、面倒にはならないと思いますし」

 

「? ……構わないけど……何で?」

 

探して来るのは構わないが何故マイを連れて来るのかを疑問に思った霞は刀華に理由を訊ねる。

 

「それは──」

 

刀華が理由を話すと霞は「あぁ、ナルホドね……」と納得して生徒会室を出て二人の捜索に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レスターVS変態(ダクネス)の決闘後、レスターが事後の様に満足そうな表情で気を失ったダクネスを後方の控えベンチに放り投げてバトルフィールドを降り。 協議の結果、善吉&トニーVSリィン&アリサの決闘を先に行い、次に出雲那&一輝VSスティング&ローグの決闘を行うという順番に決まった。

 

そして前者の試合が始まってから両者互角の拮抗状態のまま数分が経ち、バトルフィールド中央で善吉とリィンが近接戦(クロスレンジ)で打ち合う。

 

「おらおらっ! どうしたリィンッ! 太刀筋が寝ぼけてるぜっ!」

 

「くっ、速い!? なんて凄まじい蹴りの応酬なんだ!」

 

それは一輝のセリフだろ!? とツッコミが入りそうな事を言い放ちながら善吉はシューズ型煌式武装を履いた足で怒濤の蹴りの乱撃をリィンに浴びせ、リィンは善吉の蹴りの速度が速過ぎる為手に持った太刀を盾にして防ぐのが精一杯であり防戦一方な状態だ。

 

人吉善吉──彼は蹴り技を主体とした肉弾戦を得意とする星脈世代である。 幼い頃から鍛え上げたその蹴速は音速を超え、敏感な恐怖心を利用して人間の限界反射速度である0.1秒で敵よりも速く攻撃を叩き込み、手数で相手を圧倒するバトルスタイル。

 

──善吉の足技は本当に圧倒的に速くて鋭いな。 だけど、良く見極めれば必ず隙は見つかる筈!

 

善吉の蹴りの猛ラッシュに耐えながら守勢から抜け出すチャンスを窺うリィン。 耐えに耐えて善吉の疲労が蓄積されるのを待ち──

 

──……ここだっ!

 

「ハァッ!」

 

「っ!?」

 

蹴り続けた疲労により一瞬蹴りの鋭さが鈍った所を、リィンは太刀の柄尻で善吉の蹴り上げを叩き落し、大きくバックステップで後方に跳躍して善吉から距離を取った。

 

「チャンス! 燃え尽きなさい──《フランベルジュ》ッ!!」

 

そこへリィンの後方に控えていたアリサが魔弓型魔装錬金武装に炎の魔力矢を装填し、フリーになった善吉に狙いを定めて放つ。

 

「うおっと! 危ねっ!!」

 

善吉は身体を反らす事によって間一髪炎の魔力矢を躱す事に成功するのだが──

 

「逃がさないわ──」

 

アリサは炎の魔力矢を放ってからすぐに次の魔力矢を魔弓に装填し、今度は善吉の真上に狙いを定めて弦を引き絞り──

 

「──《メルトレイン》ッ!!」

 

魔力矢に多量の魔力を“収束”すると同時に上空に放ち、魔力矢が善吉の頭上10mの位置で破裂すると同時にそこを中心として広範囲に火の雨が地上に降り注いだ。

 

アリサ・ラインフォルト──彼女は魔弓型魔装錬金武装《プリマシューター》による遠距離支援を得意とする魔弓士タイプの魔導士であり、【炎熱】と【光翼】の属性変換付与による属性魔法攻撃と回復支援魔法を使い熟す。

 

「ちょっ!? マジかよ! やべぇっ!!」

 

体勢が不安定な状態で上から降って来る無差別絨毯爆撃に戸惑う善吉。 身体を反らした無防備な体勢では、この広域殲滅魔法をやり過ごす事など不可能だろう。 万事休すか?

 

「そうは行かないよ~。 そぉれ、《怠惰の欲球(ニートボール)》♪」

 

そこへ、経った今左サイドでリィンの水平斬りをスライディングで下に潜り抜けて躱したトニーが一瞬の隙を突いて()()()()()()()()()の銃口を善吉の頭上の火の雨に向けて、その銃口から大きめの鈍色の魔力球を撃ち放つ。 一直線に飛んで行った鈍色の魔力球が火の雨の一部に直撃するとパンっ! という音を立てて破裂し、そこから侵食するように赤い火の雨の色が鈍色に染まって行き、火の雨全体が完全に鈍色に染まると、なんとそれの落下速度が大幅に減速した。

 

「おおっ、ナイスだトニー! サンキュな!」

 

「貸し一つだよ~? 今度ケーキ奢ってね~♪」

 

メルトレインが減速している隙に善吉は空爆範囲から避難してトニーと言葉を交わした。 鈍色の炎雨が誰もいない広範囲の石畳の床に突き刺さって行き、床に焦げ目一つ付けずに全ての火が消滅していく。 本来ならばアリサのメルトレインはこの鋼石のバトルフィールドを焦がすくらいの威力はあるのだが、どうやらトニーが放った《怠惰の欲球(ニートボール)》は直撃したモノの速度だけでなく破壊力まで減少するようだ……それにしてもイヤな技名だな……。

 

トニー・フィルウィン──彼は魔術師である。 ここへ来る途中でトニー本人が明日香に暴露していた通り彼は【被弾した対象を弱体化させる魔力球】を生成する能力を持っている。 ()()()()()()()()()()()()()煌式可変武装(フェアルクス)”を二刀流で自在に使いこなし、小柄な身体で素早く動き回って相手を翻弄する。

 

バトルフィールド上で一進一退の攻防を繰り広げる善吉達。 両者一歩も引かない手に汗握る戦闘に外野も気を昂らせていた。

 

「へぇ~、四人共なかなかやるじゃない。 ホント今日戦えないのが残念だわ」

 

「ははは、気持ちはわかるよステラ。 僕も早く剣を交えたくてしょうがないからね」

 

「ああー早く戦りてーっ! そろそろケリ付けろよ善吉ぃっ!」

 

「うるさいぞスティング、黙って観れないのか?」

 

「あはは……でも四人共以前より一段と腕を上げたよね。 リィンとアリサは相変わらず息ピッタリだし、善吉とトニーはタッグ結成当初はバラバラだったのに今じゃあんなに上手く連携を取るようになったしね」

 

「フンッ! ま、まあまあやるじゃねぇか……」

 

ワイワイガヤガヤと観戦する一同。 早く自分も戦いたくてうずうずする者や決闘している四人を以前の彼等と比べて評価する者など、様々な盛り上がり方で気を高まらせている。

 

「へっ、アイツ等なかなか熱くさせてくれるじゃねぇか!」

 

「ええそうね。 実力は両タッグほぼ互角。 人吉君達は、人吉君が手数の近接戦で相手に何もさせずに攻め立て、逃したのならフィルウィン君が弱体化の能力で時間を稼ぎ、再び人吉君がラッシュで攻めるという攻撃コンビネーションが主軸の戦法。 一方シュバルツァー君達は、近接戦主体のシュバルツァー君を攻撃の基点として、遠距離支援主体のアリサさんが臨機応変にシュバルツァー君を援護するという比較的に安定した戦法。 人吉君達もシュバルツァー君達も、なかなかいいタッグだわ」

 

「へぇ~? 柊、お前なかなか良い眼してるじゃねぇか」

 

「ふふっ、こう見えても戦術眼には自信があるの。 まあ、さっきのダクネス先輩には凄く驚かされたけどね……」

 

出雲那と明日香もかなり楽しそうに会話しながら観戦している。

 

「あれは究極の初見殺しだからな、ある意味……んじゃよ、お前はどっちが勝つと予想する?」

 

「ん~、そうね……一見すると強力な必勝パターンを持っている人吉君達の方が有利に見えるでしょうけど、私が見る限りでは勝つのはシュバルツァー君達よ」

 

「奇遇だな、オレもそう思うぜ。 なにせリィンは《灰色の騎士》っつう二つ名持ちの実力者で、そのリィンを経った今フリーにしちまったんだからな」

 

出雲那と明日香は共にリィン達が勝利すると予想した。

 

リィン・シュバルツァー──今出雲那が言った通り彼は《灰色の騎士》の二つ名で知られる実力者だ。 彼は一応ただの星脈世代なのだが、煌式武装ではなく通常の太刀である《風切(かざきり)》を使用、気配察知能力と洞察力に優れ、それを活かした堅実な戦い方をする。 それだけなら至って平凡より少し上というくらいの星脈世代なのだが……彼は《八葉一刀流》という流派の使い手だ。

 

《八葉一刀流》とは東方出身の剣士である《剣仙(けんせん)》──《ユン・カーファイ》老師によって創始された流派であり、一部例外はあるが基本的に刀や太刀を使用する剣術だ。 この流派は一から八の型まで細かく分かれていて、八葉を修める者は一通り全ての型を学んでいる。 そこから更に自分に合った型を選んで修練を積んでいき、どれか一つの型でも皆伝に至った達人はこう呼ばれるのだ……《剣聖(けんせい)》と……。

 

「これで決める! 四ノ型《紅葉切り》っ!!」

 

「しまっt──ぐはっ!」

 

「おろ~☆」

 

アリサの援護のおかげでフリーになったリィンが風切を鞘に収め、音速にも近い目にも留まらぬ速度で一ヶ所に固まった善吉とトニーの眼前に接近し、弧を描く剣筋の抜刀術で二人を斬り抜け、斬られた二人は床に沈んだ。

 

『END OF DUEL! winner リィン・シュバルツァー&アリサ・ラインフォルト!』

 

ソーサラーキューブから発せられる機械音声が勝者達の名を告げ、バトルフィールドを覆っているソーサラーフィールドが解除され決着が着いた。 勝ったのは出雲那と明日香の予想通り、リィンとアリサのタッグだった。

 

「負けたぁっ、チキショー! おいトニー! もう少しリィンを抑えてられなかったのかよっ!」

 

「抑えててもよかったけど~、それだと善吉はアリサのメルトレインで丸焼きになっていたよね~」

 

「ははは……でもいい勝負だった。 危うくこっちも押し切られるところだったよ」

 

「そうね、機会があればまたやりましょう」

 

決闘が終了し、倒れた二人を起こしてから四人は和気藹々とした言葉を交わしてバトルフィールドから降りる。 とても充実した時間だったのだろう、四人とも気分のいい顔つきをしている。

 

「よっしゃ! やっと終わったかぁ。 待ちくたびれたぜ!」

 

「確かに結構待ったな、退屈はしなかったが」

 

「次は僕達の番だね。 行こう出雲那君!」

 

「ああ! たっぷり暴れてやるぜ!」

 

そして待ってましたと言わんばかりに、出雲那と一輝とスティングとローグの四人が善吉達と入れ替わるようにバトルフィールド上に上がった……青学最強タッグの栄誉を懸けた決闘が今、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっ!? カスミンお前、あんまりクレア様をボロクソ言うなよな。 あの人ファン多いんだから苦情が来るっての!(アンチ・ヘイトのタグ追加したし)

霞「いや、書いたのは君だし。 俺は悪くねぇ」

明日葉「お兄ぃウケる。 それどこの親善大使のマネ?」

霞「別にマネして言ったわけじゃないからね」


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