戦艦レ級 カ・ッ・コ・カ・リ(仮タイトル)   作:ジャック・オー・ランタン

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小説というのを描くのはこれが初めてです。

とある作品に感化されて小説を投稿するに至りました。

仕事帰りのわずかな時間ちまちまと書いてようやく出来上がった次第です。

なので更新速度に関しましてはあまり期待しないでください。

ですがこの小説を見て楽しむことができたのならうれしく存じます。


第一章 誕生と出会い
01 深海少女


 

 

 ・・・・・ゴポポ・・・・・

 

いつの間に寝ていたのか、まどろんでいた意識からふと覚醒する。

ただ、起きたのはいいのだが何かおかしい。

寝ていたのなら横になっているか何かに座っているものだと思うのだが、目覚めてから感じるのはゆらゆらと宙をただよっている感覚。

なんだか普通じゃないぞと周りを見渡すが、あたり一面上も下も真っ暗でなにもわからないままだ。

軽くパニックになりそうになるが、グッとそれを抑えまずは落ち着けと自分に言い聞かせる。

こんなところになぜ自分がいるのかをまず考えるのが今やることだ。

 

寝ている前は何をしていたか・・・・そうだ、自分は勤めている会社の都合で早めに仕事が切りあがって定時より早く家に帰れたのを思い出した。

年甲斐もなくはしゃいで少しでも早く帰れるよう軽く走っていた。

その際、走っている間の気を紛らわそうと音楽を聴くためイヤホンを耳に挿していた。

それがいけなかったんだろう、走ってる途中急に上半身を引っ張られる感覚がしたと思ったら腰から地面に体を打ってしまったのだ。

あれは肩に掛けていたバッグか、上着が何かに引っかかったんだろうか。

とにかく急なことでとっさに受け身などを取れなかったせいで痛みに悶絶する羽目になった。

 

ここからだ。

 

あまりの痛みに周りを確認するどころか、目も開けてられなかったのだ。

痛みに我を忘れしばらくすると誰かが近づいてくるのがわかった。

誰か転ぶとこを見て駆け寄って来てくれたのか。

しかし少し経っても呼びかけるでも助け起こしてくれるでもなく、なんなんだとつらいのを我慢して何とか近づいてきた誰かを確認しようと目を開けてきた瞬間--------

 

 

 

ここまでが自分の思い出せる最後の記憶だ。

結局今現在ここにいる理由がはっきりしてない。

最後の近づいてきた誰かを確認しようとしたとこから記憶が途切れたところを考慮すると、あの瞬間、気絶させられて今この状況にあるのではと仮定してみる。

するとあの時、体が引っ張られたのも事故でなく故意的な意図があって自分は何らかに巻き込まれたのだろうか。

ともかく、そうだとするとこれは拉致誘拐ということになる。

真っ暗でわからないが急いで自分の身の回りを確認せねば。

まず所持品を盗られてないか、携帯があれば助けを呼ぶことだってできるからいの一番にその手段を選択する。

そして体をまさぐろうとした時点でようやく自分の体に違和感を覚えた。

 

まず着ている服、そして体そのものに。

 

ゾッとする感覚とともにまたパニックに陥りそうになる。

ギリィッ、と歯を食いしばり無理やり思考を停止させる。

しばらくそのままでいると少しずづ落ち着いてくる。

一度深呼吸をと思えば入り込むのは空気ではなく口いっぱいに広がる塩気のある液体。

手を振ればわずかに感じる抵抗。

それが水中にあるそれと認識しても今度はたいして取り乱すことはなかった。

立て続けに混乱が起こったせいでやけに冷静に判断するようになったなぁ、と心に余裕ができたのはいいことだろう。

今まで水中にいたことに気付かなかったなんて落ち着いた行動を心掛けているつもりが、ほんとにただのつもりだった。

なぜ水中にいるのに呼吸に問題がないのかはいったんおいておく。

まずはボディチェックだ。

 

今度はゆっくりと自分の体を探ってみる。

まずは顔、なんとなく感触が違うのがわかる。

考え事をするとき顎を触ってることもあるので形がいつものものじゃないと分かった。

3日ほど顎を剃ってないから顎のひげが付いたはずだがその感触がない。

少しづつ手を下にもっていく。

首にはストールを巻いているか、ネックウォーマーを着けてるようだ。

のどには真ん中にあるはずの硬い感触がない。

のど仏がないのだ。

考えるのは後にしてさらに下に。

ふに・・・と柔らかい感触が胸についている。乳房、女性特有のおっぱいがある。

胸に着けているのはブラジャー、というわけではなさそうだ。

下着特有のふわ、という感じではなく、丈夫で張りのある素材で胸の真ん中に金属性のリングで繋いでいるとこから、ビキニタイプの水着であると予想をつける。

 

この時点で自分の体ではないと確信しつつある。

 

気にするのは後にして、下へと手をなぞると、おなかを伝ってへそのあたりからジッパーの感触を覚えた。

今着ているのはジッパー付きのロングコートだろうか、コートの下にはビキニってどうなんだ。と思考が逸れかけたが、ボディチェックに専念する。

コートの下に手を突っ込んで下半身を弄り、あぁやっぱり、と覚悟しながらもショックを受ける。

胸が女性のそれだったように、生殖器も男性のものから女性のそれになっていた。

へその下あたりを強めに押し込むと、圧迫感とともに男性だったころにはなかったナニカの感覚。この様子だと子宮もあるみたいだ。

身に着けているこれも多分ビキニだろう。

 

次は足に手を掛ける。

膝まで特に変わったとこはなさそうだが、膝から下がなんだか変だ。普通なら足首に掛けて細いものだが、太さは変わらず、感触もなんだか分厚く堅い。そしてまたショックを受けることになる。

足首にあたる部分から先がないのだ。くるぶしや踵がなく、足の甲から足の指がないのだ。

足を欠損してるのか、と一瞬焦るがそういうわけでもないようだ。

足の底を触ってみると、足の裏を触る感覚がある。足の形だが、どうやら楕円型の円柱状になっているみたいだった。

 

ここまで来るとこの体が普通じゃないと理解に及ぶが、現状の打破になるような要素が薄い。コートを着ているならポケットがあるんじゃないかといまだ真っ暗な視界の中、コートを引っ張るが、そこで腰に違和感を感じた。そういえば体の前は調べても、後ろはやってなかったなと思いだす。

お尻のすぐ上、尾てい骨のあたりに人間ならまずありえないものがある。

 

 

尻尾だこれ。

 

 

胸の奥がズゥン、と重くなる。血の気が失せるとはこのことだろう。しばらく呆然としてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いろんなことが立て続けに起こり、精神的にまいってしまってゆらゆらと水中をただよっているにもかかわらず、いったんそのまま眠ってしまった。水中で眠っていたせいで胎内回帰を連想したのか、気付いたら親指をくわえていた。幼児退行という言葉が頭をよぎって意識を覚醒する。

さて、いったん眠ったことでだいぶ気分も落ち着いてきた。自身の体が人外のそれに変わってしまったこともそういうものだと今は納得しておく。とにかく今は現状から一歩でも前進したい。

 

まずは現実逃避の原因となった尻尾の調査から始める。

お尻のすぐ上にそれはある。根本は何とかギリギリ両手の指で囲えるほどだが、そこからどんどんブッとくなっていく。それは自分の大腿より太く、下手すれば胴に匹敵するほどなのだ。長さを調べるために尻尾を、股をくぐって前に持っていくために動かそうと意識すると、今までになかった器官を認識できなかったせいか、それを動かそうという意志に反応するようにジワァッと神経が尻尾に伝わる感覚。性的快楽に似た得も知れぬ感覚が走り思わず身震いするが、それもすぐに収まった。

何も見えぬ視界の中、ペタペタと自分の尻尾を触っていく。長さはかなりのもので、今の自分の全長ほどあるのではなかろうか。力加減しだいで柔らかくも弾力性のある尻尾の感触は、これの上に乗って眠ればどんな感じだろうと妄想に更けてしまうほどには夢中になる魔力があった。尻尾の内側は何もないが外側を触ると堅い甲殻の感触がした。それは先端まで続き、大きなゴツゴツとした感触が手に伝わってくる。

 

うーむ・・・・やはり自分は人間ではない何かになってしまったのかと思いつつ手は止めず触り続ける。

 

尻尾の先端を触りつづけているうちに開く部分があると分かった。尻尾の先端に意識を向け、開いてみる。開いたところを調べてみると、それには穴があり、手を突っ込んでみてもどんどん奥へと挿入できた。

開閉ができ、穴があって奥行きがあることからこれが口内であると判断した。なんと自分の体は尻尾の先端にも口が付いているみたいだ。

 

もうどうなってるんだよ、この状況。と自身に降りかかっている状況に、それなりに図太い神経をしてると自称していた己の精神は打ちのめられそうになるのだった。

 

 

 

ゆらゆら水中を漂う中、尻尾を抱き枕にぼぉっとしていた。無意識にまた指をくわえたまんまである。

いい加減光が見たい。ここがどこなのか指をしゃぶりながら推理する。

少なくともここは水の中である。それは間違いない。なぜ呼吸に何も問題ないのかが分からない。何も見えないことから目が見えていないか、何か実験生物的な感じで大きなカプセルの中にいるのか、それとも・・・・

 

 

 

 

 

      ここが光の届かない深海の底だからなのか

 

 

 

 

 

その考えに至った時、不思議とそれだという確信があった。

なぜだかわからないが、この体になってから深海の底で生まれ育ったという身に覚えのないはずの自意識を暗い海の底にいると自覚してから、忘れていたことが浮かび上がってくるようにじわじわと自分の中に染み込んでいくのだ。

 

なぜこのような想いが湧いてくるんだろう。もしや生まれた鳥が誰にも教わらずとも飛び方を無意識に解っているように、この体には・・・・・

つまり、そういうことなんだろうか?

思えば急な状況の変化や自分の体の変容に戸惑いや焦りがあっても、この深海の底で一人きりでいるという状況を自覚してもまるで動揺がない。不思議だと思うのと、まるで自室にいるような感覚にいままであった悩みがどうでも良いことのように認識してしまいそうだ。

 

ともかくここが海の底だというなら上へと泳いで行けばいつか海上に出られるだろう。いつまでもここにいるわけにもいかない。

海の中ではたしか水深200メートルから太陽光が届くのが鈍り、水深1000メートルからほぼ何も見えない暗黒の世界になる。

そう考えると今自分がいるところは最低でもその1000メートル以下ということになる。

いや、よく考えると人間が海中で光を知覚できるのが3~400メートルほどだったか、しかしこの体が深海での活動に適していると考えると水深1000メートル以下だという理論も的外れともいえない。

 

今は考えるより行動だ。

 

とにかく上へ上へと手や足をばたつかせるがまるで移動している感じがしない。しばらく必死こいて泳ごうとしたがまるで進展しなかった。

肉体的にはまだまだ余裕だが、精神的に疲れてきてるのでいったん休憩。

水中で尻尾を腕に抱いて、足をぶらぶらさせる。親指も気づけば口に含んでいる。もうこれ癖になってきてるなぁ、と思っていても特に直そうとは思わない。

この体、思えば呼吸をしていない。肺の中に空気があるようにも思えない。普通、微生物より大きな生き物なら呼吸はするはずだ。皮膚呼吸してるんだろうか?

次に、水深が下がれば下がるほど掛かる圧力は増強していく。推定1000メートル以下の深海にいるにもかかわらず、まるで問題ない。大丈夫である。

 

一体この体はどれほどのスペックを備えているんだろう。

 

この様子なら空だって飛べるんじゃないだろうか、まるでアニメのようにふぃーーっと宙を舞うのだ。

そんなブワッと駆け上がるイメージをすると、ふと解放感とともに海中を登っていく感触。

 

       もしかして

 

もっと強く想えばどんどん上へと昇っていくのを感じる。ここから出られるという気持ちが現実味を帯びてきて、わくわくが止まらない。真っ暗で見えないが笑みを浮かべていた。

それからどれくらい時間が過ぎたのか。まだ暗いが、気にせず上昇する。

確かに進んでいるのだ。今はそれで十分。

 

やがて何もない世界に色が付いた。

 

思考が止まる

 

だが水上に近づいていてゆく

 

だんだん色が鮮やかになっていく

 

 

 

 

 

        気付けばそこは蒼い世界だった

 

 

 

 

 

あぁ・・・・・・・・・・

 

 

あぁッ・・・・・・・・・・・

 

 

込み上げてくる、これは、泣いてしまいそうになるこれは、歓び。

 

今まで何も見えない暗黒からこの世すべてを祝福するような、そんな命にあふれた光景に海上に上がることなどすっかり忘れ、思う存分に景色を堪能していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼い世界にひとつの異形が泳いでいる。

 

よく見るとそれは手や足を全く動かしていない。にもかかわらずそれは海の中を移動していた。

 

目的などすっかり忘れ、自分の歳など考えずにはしゃぎまくっていた。スキューバダイビングはやったことはないがこのように素敵な体験なんだろうか。いや、きっとこっちのほうが素晴らしいに違いない。水圧やら浸透などでダイビングスーツや物々しい呼吸器を着けながらの遊泳と違って、こっちは素のままで思う存分楽しめるのだ。

今まで無意識で泳いでいたが、結局どういう理屈で手や足を動かさず移動できるんだろう。自分の体を見えない何かで包まれ、動くイメージをすると体が引っ張られる感覚とともに水中を移動しているのだ。

 

この体にはいまだ謎が多い。

 

気分も落ち着き、ちょうどいい海の光できれいな色をした岩の上に座りようやっと自分を観察する。

まず肌の色が異常だ。白すぎる。

自分の手を見てみる。どうやら指は人間と大差なく、五本あって長さも相応のものだ。宇宙人みたいに指が長かったり本数が違ったりしてなくて本当に良かった。

あえて人間と違うとすれば爪の色くらいだろうか、ピンクに近い紫色だ。このくらいならまるで問題ない。許容範囲だ。

自分の肌の色はとてもじゃないが血の通っている人間に出せる色じゃない。白人だってここまで色白じゃない。光の加減によっては青白く見えるほどなのだ。

次に自分の着ているものに注目する。

コートだと思ってたものはフードの付いた黒いレインコートだ。その下には同じく黒いビキニを身に着けている。

そして明るいところでようやく分かったのは背中にリュックタイプのカバンを背負っていることだ。

慣れない体で手間取ったが、鞄を外して中を確認することにした。

 

鞄に付いた横向きのチャックを外して中を覗くとそこにはこの状況に置かれる前、まだ人間だった時に持っていたものが入っていた。

携帯に財布、くせっ毛だった髪を整えるのに使っていた手鏡に櫛、そして音楽プレイヤーが入っていた。

携帯は・・・・やっぱりだめだ。海水に浸かっているせいで故障している。財布を確認したが、お金やカードなど特に手つかずで残っている。ただ、海の中なのでレシートはともかく紙幣が濡れてすぐダメになるだろう。少し気分が落ち込む。

 

気を取り直し、鏡を手に取って自分の顔を確認する。

鏡に映っているのは人間と変わらないそれだった。

幼く、かわいらしい顔が手に持つ鏡に写っている。これが今の自分の顔なのか。

髪色は肌と同じくまっしろで肩に掛からないくらいのショートだ。

瞳の色はアメジストのようなきれいな紫。すごく綺麗で自分はこの目がとても気に入ってしまった。人間だったころのこげ茶色に不満はなかったが、今やこの目の色はすっかり自慢である。

鏡を見るのはこれくらいにして、もう一方の手にある櫛をみてみる。

特に欠けているわけでも傷があるでもなく、この状況に置かれる前と変わらない。

それを見てほっとする。この櫛は無駄に高級品だからだ。

この楕半円状の黒い櫛だが、当時買うとき変にこだわっていいものを選んだものだ。おかげで4万を超える値段になったが、今や人生のパートナーの一つである。手元にあるのは助かる。

 

最後に音楽プレイヤーだ。

ここに来る直前、何者かに引っ張られるときにイヤホンごと手から離れてしまったはずだが、今手元にあるということはこの状況に置かれている元凶が回収してくれたというのか、何のために?

 

いくら考えても状況が変わるでもない。今は海面に向かうとしよう。これ以上持ち物が痛むのを傍観するわけにはいかない。

先ほどまでさんざん遊びまわったおかげで水中の移動は問題ない。

ぐんぐん上へと昇っていき、とうとう自分は約一日ぶりの空気に触れること叶うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザァァ・・・・・・

 

ザザァァァァン・・・・・・・

 

 

まばゆい砂浜に波が押しては引いていく

 

海岸線の砂浜に足跡が続いている。

 

足跡を作り出している原因をたどると、それはいた。

 

それはとても奇妙なものだった。

 

ヒトの形をとっているが、人ではありえない姿をしていた。

 

まず見てすぐに分かるのは、それには尻尾がある。さらにそれをよく見ると先端に顎門(あぎと)があるのだ。尻尾に付いた頭部はそれのよりはるかに大きく、不揃いで剥き出しの大きな歯がより人から外れる印象を助長する。それの口が開けば、人間の頭など丸齧りにできるだろう。

 

肌の色もまた異常だ。

まず白すぎる。黒いレインコートのジッパーを下腹部まで下げて見える肌は、美白というものを通り越して血の通った動物特有の温かみというものがないのだ。

 

そんな異形の本体を見てみるとこれまた意外、かわいらしい幼い少女の姿をしている。

異形の尻尾からは考えられないようなギャップがその容姿をより際立たせている。

見た目は10歳から12歳ごろだろうか、白く肩に掛からないほどのショートヘア、深く煌めくアメジスト色の瞳、小さいが確かな膨らみのある胸、尻尾に目をつむればだれもが認める美少女だ。

 

そんな彼女が今何をしてるのかというと・・・・

 

 

 

おぉ~~、おしりまで苦も無くくっつく♪

 

いわゆるペタン座りを堪能している。男性には体の構造上、苦も無く実行するには難しいとされる女の子特有の座り方を実行し、楽しんでいた。

 

 

 

海面から出た後、近くにある岩礁に上がりどこかに島がないかあたりを見渡していた。

どこかにちいさな島影がないか目を凝らすと、まるで高性能カメラで拡大解析するみたいに遠くまではっきりとみえた。視力がとても良いというよりも、この体に備わっている機能のように感じた。

 

意識してやってみると呼吸をすることができた。

自分の声がどんな感じか確かめようと声を出そうとしたのだが・・・・

 

「ハァ――――――ッ」

 

出そうとしたのだが声が出ない、息を吐き出す音だけが出てくるだけ。

なんどか試してみたが、駄目だった。どうやらこの体、声帯がないようだ。海で生まれ育ち、生活をするであろうこの体は声を出す機能は備わってないのかもしれない。

しかし、これからのことを考えると言葉を話せないのはいろいろと不都合だ。

いるかわからないが人とコミュニケーションがとれない、これだけでも大きい。

歌も歌えない。せっかく違う性別になっているのに女声で歌ができないのは結構なストレスだ。

 

それは一端置いといて、今は島を見つけよう。

そうして数分ほど探してるとやっと島を見つけた。

後は泳いでそこにたどり着くだけだ。普段から泳いでいるわけではないが、幸運なことにこの体は溺れるということを知らない。

 

ただ、島にたどり着くころには慣れないことをし続けたせいで身も心もクタクタになっていた。

誤算だったのは島までの距離がトライアスロンもびっくりの距離だったこと。

自分の遠くまで見える目のスペックが十数キロメートル単位で見えていたなんて予測付くわけないじゃないか。スタープラチナかよ。

海岸線沿いを少し歩いてすぐに休憩に入り腰を落ち着けることに。

ついでにペタン座りを試したという経緯があったというわけだ。

 

 

 

 

 

ぼぉ~~ッと空を見る。

 

「ハァ・・・・」

 

思えばずいぶんと遠くまで来てしまったものだ。

体のだるさも相まって、ため息の一つも付きたくなるのはしょうがないと思う。

気付けば光の届かない深海で、性別どころか、人間ですらなくなって、今現在ここが地球なのかすら怪しい。

ネット小説でよく読んでいた異世界転移、転生というジャンル。

よもや自分がそれを実体験するなんて・・・・

少なくともTS、人外転生は確実だ。

これからどうすればいいのかうまく考えがまとまらない。

 

・・・・・・・・・・・

 

うん、疲れてるのだ。

いったん眠って考えるのはそれからにしよう。

 

尻尾を横から回し、腕と顎を乗せて寝る体制に入る。

しばらくすると意識がまどろみ始める。

ウトウトと空と海の景色を見つつ、波の音を子守歌にぼぉっとしているとき。

 

 

 

 

ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン

 

 

 

 

エンジン音?

 

 

どこから?

 

 

ふと聞こえてきた異音に意識を覚醒し、音の原因を探る。

 

 

見つけた

 

 

空だ。

空に音の元がいる。

“遠視”を使い、それを見る。

 

 

飛行機だ

 

 

羽があり、プロペラも確認できた。

ということはここは少なくとも人間がいるのは確かだ。

ついでに地球である可能性も高まってきた。

おもわず手を着きながら立ち上がる。

 

「ッ・・・・フゥ・・・・」

 

背伸びをして体の調子を戻す。

 

うん

 

なんだかどうにかなるような気がしてきた。

 

さて、まずは何をしようか。

 

 

 

 

 

 

 

彼女は気付かない

 

 

その飛行機をよく見ると大きなラジコン飛行機程度の大きさしかないことを

 

 

そしてその“艦載機”がこちらを捕捉していることを

 

 

 

 

 

 




TS、人外転生と自分の好きな要素を出したのがこの作品です。

そしてこの作品を出すに至ったきっかけの“ある作品”に感化されて、後に非常に過激な描写が出てくる予定です。

追記
次話1月5日 12:00予定
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