私達の提督は黒くて固くて角張っている   作:霜月 龍幻

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1話

いつもと変わらない日常。

空は晴れ渡り、海は凪、一定の周期で波の音が聴こえてくる。

 

私が配属された鎮守府は、一ヶ月前に作られた新しい場所だ。

今日は資料室で妹の摩耶と一緒に深海棲艦に関しての資料を整理している。

最初は摩耶一人が頼まれたのだが、彼女はがさつな部分があるので心配になり、提督に許可をもらってこうして手伝っている。

 

 

 

資料整理が始まって一時間半ほどたち、摩耶は詰まらなそうに資料をながめ、並び替えていく。

整理開始時と比べるとそのスピードが明らかに落ちている。

 

そんな時、摩耶から話しかけられた。

 

「ねぇ、高雄姉」

 

「何?」

 

「アレって本当に提督なの?」

 

三日前に建造された彼女ならもっともの感想だ、と言いたいが。あの人(?)は確かに提督には見えないが、なれてくればそうでもない。

相談事には乗ってくれるし、駆逐艦達と遊んでいる姿もよく見られるが、初見では誰も提督だとは思わないだろう。

 

「アレとか言ってはダメよ?」

 

「でもさぁ、高雄姉も最初はそう思ったでしょ?」

 

「・・・・・・まぁ、否定は出来ないわね」

 

摩耶の言う通り自分も最初は本当に提督か疑ってしまったが、初期艦であり秘書艦の電の説明を受け今に至る。

 

「とりあえず資料整理はここまでにして提督に報告しに行きましょ、このまま続けても効率が下がりそうだし」

 

そう言い、摩耶と一緒に資料室から出て、執務室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室の前に着き、分厚そうな扉をノックする。

 

「高雄です、資料整理の報告に参りました」

 

『入りなさい』

 

「失礼します」

 

提督の了承をもらい、扉を開けて中にはいる。

 

 

執務室に入って正面。

提督の使用している机には、真っ黒な板が鎮座していた。

 

私と摩耶は机の前に進み、書類を提出する。

 

「提督、報告書です」

 

机に置かれた報告書が黒い板に引き寄せられ、ひとりでにめくられていく。

 

『ありがとう。私はどうもこういった作業が苦手でね』

 

黒い板から声が聞こえ、表面には文字が表示される。

 

そう、目の前にあるこの高さ180㎝、幅110㎝、奥行き40㎝、黒い光沢を持った黒い板がこの鎮守府の提督である。

 

名前はモノリス、元人間で本名は他にあるらしいがそう呼んでくれとの事なのでそう呼んでいる。

 

なぜモノリスが提督をしているかは謎である。

噂では、妖精さん達が造った提督だとか、宇宙から飛来した地球外生命体だとかそんな眉唾なものが流れている。

 

そんなことを考えていると、執務室の時計が昼を告げる鐘を鳴らした。

 

『もうこんな時間か。高雄、摩耶、一緒に食事でもどうかな?私が奢るよ』

 

「ありがとうございます。お言葉に甘えてご一緒します」

 

提督に食事に誘われたと知ったら金剛が悔しがりそうだ。

 

そして三人で執務室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

提督は床から5㎝浮き、滑るように移動している。原理は不明、なぜ浮けるのかは明石ですら解析できないらしい。この技術が手にはいれば立体起動が出来るかも知れないのに、とぼやいていた。

私と摩耶はその提督後ろに付いていく。

 

食堂に向かっていると、窓に向かって髪を整えている愛宕がいた。

 

『愛宕、何をしているんだ?』

 

「あ、提督。ちょうどいい所に、少しじっとしていてもらえますか?」

 

『・・・・・・またかい?』

 

「ここから鏡があるところまでは遠くて」

 

そう言うと愛宕は提督を鏡がわりにして身嗜みを整える。

 

提督は黒く、光沢があるので艦娘達に鏡に使われることが度々ある。

 

「愛宕、提督に失礼でしょ」

 

『まぁ、いいじゃないか』

 

「ですが」

 

「提督がこう言ってるんだし、いいんじゃない?」

 

「摩耶まで・・・・・・」

 

提督は艦娘に甘いような気がする。まぁそこが良いところでもあるのだが。

 

「提督、ありがとうございます」

 

服装や髪を整え終わった愛宕は提督に抱き付き胸を押し当てた。

 

『うむ、素晴らしい感触だ』

 

「提督?」

 

私は怒気を込めて提督を呼ぶ。

 

『う・・・ゴホン、愛宕くん。こう言ったことは時と場所をわきまえてくれると助かる』

 

「はーい」

 

そう言うと愛宕は提督から離れてその場を後にし、提督は名残惜しそうに愛宕を見送った。

 

 

 

 

 

 

食堂に着き、料理を持って空いている椅子に座る。

席の位置は私の右隣に提督、正面に摩耶だ。

 

ちなみに食事の内容は、私はシーフードカレー、摩耶はステーキ、提督は鋼材とボーキとなっている。

 

『いただきます』

 

「「いただきます」」

 

こうして食事を始めたのだが、提督の場合食べると言うより取り込んでいると言った方が正しい気がする。

鋼材とボーキが提督の体に波紋を立てて取り込まれていく。

 

 

食事をとり終え食堂にあるテレビを見ていると、食堂入口からドタドタと走る音が聞こえ、金剛が勢いよく入って来て声をあげる。

 

「テイトクゥ‼私を食事に誘わず、高雄と摩耶を誘うとはどういう事ネー‼」

 

コツコツと靴の音を響かせ提督に近寄り、顔を近づけて詰め寄る。

 

『金剛、今日は非番じゃなかったっけ?』

 

「それと食事は別の話デス‼」

 

『でも食事は済ませてしまったしなぁ。

じゃあ明日は一緒に食事しよう』

 

その言葉を聞いた金剛の表情が一気に明るくなる。

 

「本当デスか?約束ネ」

 

そう言うと金剛は食堂のカウンターに去っていった。

 

 

 

「嵐みたいでしたね」

 

『ああ・・・・・・』

 

 

その後、お腹が落ち着いてから提督は午後の仕事に戻っていった。




艦これは改とアーケードをプレイしてますがいろいろおかしな部分があるかもしれませんので、その辺り見逃してもらえると助かります。
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