私達の提督は黒くて固くて角張っている   作:霜月 龍幻

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2話

午後

 

演習を終えた電は、モノリス司令官さんに呼ばれて仕事を手伝っているのです。

 

この鎮守府は出来てから日が浅いのと、司令官さんが正体不明の謎の板と言うこともあり、一部の司令官さんからは『あんなのに資材やるくらいならうちに寄越せ』と言われているのです。

 

「司令官さん、建造はどうしますか?」

 

『んー、そうだなぁ。軽巡か駆逐狙いで燃料250弾薬30鋼材200ボーキ30を2回で頼む。今度こそ軽巡が出てくれると助かるんだけど』

 

「わかりました、明石さんに発注しておくのです」

 

 

先程の事が原因なのか、この鎮守府の資材の貯えは少なく、所属している艦娘も少ないのです。

一応資材になるなものはあるのですが、アレは出来れば使いたくないのです。

 

現状、この鎮守府にいる艦娘は戦艦1、重巡3、駆逐4の計8人だけなのです。

燃費等を気にするこの鎮守府になぜ戦艦がいるのかと言うと、軍の上層部には司令官さんに期待している人もいて、その人達から『一隻は戦艦が居た方が良いだろう』と、高確率戦艦レシピを1回回せる資材を貰って回したところ、金剛さんを建造できたのです。

 

 

 

「建造の発注終わりました。時間は一時間なのです」

 

『そうか、ようやく軽巡が来そうだな』

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後 工廠

 

私は秘書艦の電と一緒に工廠に来ていた。

目的はもちろん新しく建造した艦娘と会うためだ、今は明石が連れてくるのを待っている状況だ。

 

『やはり緊張するな』

 

「はいなのです」

 

しばらく待っていると、明石が艦娘を二人つれて戻ってきた。

 

「提督、念願の軽巡二人よ」

 

「初めまして、龍田だよ」

 

「オレの名は天龍、フフフ・・・・・・怖いか?」

 

なかなか面白そうな二人だ。

 

「ところで提督はどこにいるんだ?」

 

そう言いながら天龍は辺りを見回している。

 

「この人がこの鎮守府の司令官さんなのです」

 

「は?この真っ黒な板が提督?」

 

何か不服そうな物言いだ。

 

『天龍、残念ながら私が提督だ』

 

天龍はこちらの言葉を聞いても疑っているようだ。こちらに顔を寄せて来る。

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、本当にこの板が提督なのか?」

 

電や明石はこの板が提督だと言うけど、天龍ちゃんと同じくいまいちピンとこない、まぁ妖精さんと言う不思議な存在がいるならこう言うのもいるかもしれないのはわかるけど、実際目の前に出てこられると反応に困る。

 

『なら私が提督である証拠を見せよう。私の体をよく見ててくれ』

 

天龍ちゃんは提督と思われる板の言うことに従い、じっと見つめる。

 

 

 

次の瞬間、板の内側から真っ白な手がビタンと叩きつけられた。

 

「ひっ!?」

 

その後もビタビタと複数の手が張り付き、その後ろには怨嗟の声をあげているような顔が複数覗いている。

天龍ちゃんは尻餅を着き、涙目になりアワアワしている。

 

 

『フフフ、怖いか。これは私を生み出すために犠牲になった提督達だ。私はこの提督達を贄とし、至高にして不滅の提督として妖精さん達によって産み出された存在なのだ』

 

 

 

 

「司令官さん、嘘はよくないのです」

 

「う、嘘・・・・・・?」

 

『うむ、嘘だ』

 

その言葉の直後、提督の中の真っ白な人影達は『どっきり大成功』の札を持ち、飛び跳ねたりハイタッチをして喜んでいる。

 

 

「・・・・・・」

 

 

天龍ちゃんは床に座ったまま呆然と提督を見上げている。この板はなかなか面白い人(?)のようだ、天龍ちゃんをからかうときに手伝ってもらおうかしら。

 

「提督、これから天龍ちゃん共々よろしくお願いします」

 

『では、寮の方には電に案内させる。明日0930時に執務室に来てくれ、今後の活動を説明する。電、案内したら今日の仕事は終わりだ』

 

「了解なのです。寮はこちらなのです」

 

私と天龍ちゃんは電の後に続き、工廠を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「提督、あまりからかっちゃダメですよ?」

 

明石はこちらを見ながら苦笑いしている。

 

『私的には中二病な設定で馴染もうとしたのだが』

 

「ちゅうに?」

 

『こちらの話だ。とりあえず念願の軽巡が入った、これで安定して資材確保ができそうだ』

 

本当はアレを使っても良いのだが、駆逐艦達が使ってほしくないと言っているので今は使用不可にしている。

 

「資材確保も良いのですが、以前申請を出した件OK出ませんか?」

 

明石はそう言いながら体を寄せて来る。

 

『・・・・・・あの件な。申請書は焼いて棄てた』

 

「えー!!せっかく事細かに利点とか技術応用による可能性とか書いたのに!」

 

頬を膨らませながらポコポコと叩いてくる。

 

『私をバラすとか言うふざけた申請に可と答える方がアホだ』

 

「ふざけていません。これは人類の暮らしをより良くするための犠牲なのです」

 

『犠牲って・・・・・・私は死ぬの前提なのか。ますますもって許可出来ない!』

 

そう言いながら全速力で飛び、工廠を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

工廠を飛び出した私は、行く宛もなく鎮守府内をさまよっていた。

執務室に戻っても良いのだが、今日やることは全て済ませてしまったのでやることがない。

 

何をするか考えていると、前から暁が歩いてきた。

 

『やあ、暁。今日の演習はどうだった?』

 

「司令官。もうバッチリよ」

 

暁はそう言いながら胸を張る。本人としては一人前のレディとして扱って欲しいだろうが、こういうしぐさを見ていると父性が刺激される感じがする。

 

『他の二人は?』

 

「響と雷は図書室に行ったわ。二人に何か用事でもあったの?」

 

『いや。暇になったので一緒に遊ぼうかと思ったのだが、あてがハズレたようだ』

 

「なら、この暁が司令官のお相手をするわ」

 

こうして私は暁と遊ぶことにした。

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