私達の提督は黒くて固くて角張っている   作:霜月 龍幻

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3話

1830時

 

私は夕飯をとるため、食堂へ行くため廊下を歩いていた。

途中にあるサロンに何となく視線を向けると、提督と暁が向かい合って座っていた。

 

気になってサロンに入り、様子を見てみると暁の手にはトランプが一枚、提督の前にはトランプが二枚浮いている。二人はババ抜きをしているようだ。

 

暁は提督と浮いているトランプを交互に見て唸っている。

 

『ふふふ、どうした暁。最初の威勢はどこにいったのかな?』

 

「う・・・・・」

 

私は暁が何を見ているのかきになり、暁の後ろに回って提督を見る、そこには提督の手札が反射して映っている。

 

暁は恐る恐るジョーカーではない方、自分の上がり札に手をかけ、引いた。

 

引いたトランプをゆっくりとひっくり返すと、それはジョーカーだった。

 

「司令官さっきからずるい!」

 

『何がずるいのかね?これも立派な戦略だよ』

 

提督はそう言いながら札を引き、上がった。

 

私と愛宕も前に同じことをされたことがある、提督は自分の体に映ったカードの絵柄を変えたりするのだ。

 

「提督、あまりいじめてはダメですよ?」

 

『高雄、いじめてはいないよ。暁も私の反射を利用して勝っていたんだ、それを利用しても問題ないでしょ。もういい時間だし、夕飯にしよう』

 

「ま、まだよ、もう一勝負!」

 

「暁、貴女では本気の提督には・・・」

 

『良いだろう。ただし、私が勝った場合罰ゲームを受けてもらうからな』

 

「挑むところよ!」

 

こうして暁と提督は再戦したのだが、結果は言わずもがな提督の勝利で終わり、暁は罰ゲームを受けることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

暁は食堂の入口で立ち止まり顔が僅かに赤くなり沈黙し、その暁を他の艦娘達が取り囲んでいる。

 

「暁、かわいいよ」

 

「かわいいのです」

 

「よく似合ってマース。テイトク、ワタシにもドレス買って欲しいです」

 

今の暁の格好は、黒を主としたモノで、いわゆるゴシックロリータと言われるものだ。

白いレースのフリルが付いた黒い大きなリボンやドレスが似合っている。

 

「提督、あの服はどこから持ってきたんですか?」

 

高雄が怪訝そうにこちらを見ている。

 

『ゴスロリはいつか第六の誰かに着てもらおうかと買ってあったんだ』

 

「まぁ、提督がそれで良いなら良いのですが。今度私と愛宕、摩耶にも服を買ってもらえますか?」

 

『あ、ああ』

 

「ワタシもお願いしマース!」

 

「雷達の分も!」

 

「天龍ちゃんの分もお願いね~」

 

「ちょ!?オレはいいって!」

 

やはり女性は服が好きなのだろうか。全員分用意するにはけっこうな金額になりそうだが、彼女達の喜ぶ顔が見れるなら安いモノ、なのだろうか・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

翌日0930時 執務室

 

「龍田、天龍参りました~」

 

私と天龍ちゃんは、昨日指示された時間に執務室に訪れていた。今日は高雄さんが秘書艦のようだ。

 

『来たか、ではこれからの方針を説明する。

恥ずかしながら我が鎮守府は資材が乏しい、これもあの贅肉の固まりどもが資材を絞りやがて・・・・・・』

 

後半提督は黒いオーラを纏いながら、グチグチと不平不満を呟いている。

 

「提督、戻ってきてください」

 

『ごほん・・・・すまない。

これから二人には暁達をつれて遠征に行ってもらいたい』

 

それを聞いた天龍ちゃんの顔が嫌そうな表情に変った。

 

「何でオレが遠征に行かなきゃならないんだ。第一線から下げるな、出撃させろ!」

 

『出撃させたいのはやまやまなんだが・・・・・・』

 

提督が困っているようなので近くまで歩み寄り、耳打ちする。

 

「・・・・・・・を、・・・・・・・・・出来たりしますか?」

 

『君も面白いこと考えるね、採用するよ』

 

私は天龍ちゃんの横に戻り、先程提案した事がどうなるか楽しみに待つ。

 

「おい龍田、提督に何言ったんだ?」

 

「な・い・しょ」

 

 

『で、天龍は遠征には行きたくない、と?遠征も戦うためには必要不可欠なモノなのに?』

 

「当たり前だ、オレは前線で戦いたいんだ」

 

『仕方ない。天龍、少し追いかけっこしようか』

 

「は?」

 

次の瞬間、提督の体に昨日の真っ白な手が現れた。

 

「お、脅しには負けないぞ。その状態で追ってきても怖くないんだからな」

 

『私は追いかけないよ』

 

その言葉の直後、提督の体に波紋が広がり、真っ白な手が、顔が、体が出てどさりと床に倒れた。

 

「・・・・・・ま、まさか」

 

『そのまさかだ』

 

倒れていた真っ白な人の形をしたモノがギョロリと天龍ちゃんを見上げ、四肢をグネグネと動かしたあと、四つん這いになった。

 

天龍ちゃんは顔がひきつり後退る。

それを確認したヒトガタはそそまま四つん這いで駆けた。

 

「うわあぁぁ!こっちくんなぁぁぁ!!」

 

執務室の扉が勢いよく開かれ、天龍ちゃんは出ていってしまった。

 

 

 

 

 

「あらー」

 

『うむ、ここまで驚くとは思わなかった』

 

「提督、トラウマを植え付けるようなことはあまりしないでください」

 

『うむ、善処してみる』

 

そう言いながら現在進行形で天龍ちゃんを追い回していたりする。

 

「提督、今天龍ちゃんがどうなっているかわかります?」

 

『少し待ってくれ』

 

そう言うと、提督の体に映像が映し出される。

その映像には天龍ちゃんが映っており、アングルが低いので下着がチラチラと見えている。本当にこの提督は多芸なようだ。

 

『これはあのヒトガタのみている光景だ』

 

たまに振り返る天龍ちゃんの瞳には涙がたまり、必死に走って逃げている。狼狽えたり焦っている天龍ちゃんを見ているとどうも頬が緩くなってしまう。

 

《来るなぁぁぁーー!!わかった、遠征行くから!!》

 

こうして私と天龍ちゃんは遠征に行くこととなった。

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