1000時 執務室
『天龍達は遠征に言ったな。これからアレを使って建造をおこなう』
「アレですか」
『うむ、駆逐艦達がいない間に建造する。数は十ほど持って来てくれ』
そう言うと、提督は執務室を出て工廠に向かった。
「まぁ、確かにあの子達がいるときは使えませんからね」
私は棚から黒い板を取り出す、板の大きさは提督の1/10だ。
これは提督がたまに作り出す子機みたいなもので、提督はこれを通して声を伝えたり、視界を子機に移したり出来るのでこの鎮守府では通信機代りに使っている。
しかも、浮遊能力を持っていたり資材の代替えとして使える優れものだ。
だが、何故これを使わず、普通の資材のを使っていたかと言うと、原因は提督にある。
四日前、私と愛宕、金剛、駆逐艦達立ち会いのもと、摩耶を建造したときにそれは起こった。
提督の子機を使って初めて建造をおこなった時、提督が暇だからと言って、子機から断末魔のようなものをあげたのだ。
『ぎゃあああぁあぁ‼』『助けてくれぇ!!』『まだ死にたくない‼』と言う具合に、それは鬼気迫る迫真の演技だった。
私と愛宕と金剛は驚いて提督を見たが、涼しい顔で建造の様子を見てので、どう言うことなのか察する事ができたのだが。
駆逐艦達はそうではなかった。
「小さい司令官達が死んじゃう‼」
「もうやめてあげてほしいのです!」
「司令官!司令官!」と泣いてしまい、彼女達にトラウマを植え付ける結果となってしまった、それ以来駆逐艦達がいるときはこれを使用不可にしている。
工廠
私は提督の子機を持って工廠に入ると、提督と明石が話しているのが目にはいった。
話の内容はいつも通り、提督を分解するしないでもめている。
「提督、お待たせしました」
『高雄、ちょうど良いところに』
提督の言葉の直後、子機が二つ浮き上がり、明石の手元に飛んでいった。
『明石、これで勘弁してくれ。定期的には無理だが駆逐艦達がいないときに渡すから』
「んー。しょうがないですね、性能や構造は一緒見たいですしそれで手をうちましょう。
それで、今回はなに狙いで建造しますか?」
『今回は空母狙いだ。前回は運よく爆撃をかわせたが、次もそうなるとは限らないし、これから必要になるだろう。
とりあえず燃料400弾薬200鋼材500ボーキ700で二つ頼む』
「分かりました。では子機の配分はどうします?」
『鋼材とボーキは余裕があるから燃料に4つずつで』
「はい、では建造しますね」
そう言うと、明石は材料を妖精さんに渡し、建造時間が表示された。
『20分と2時間50分か、正規空母では無さそうだがひとまずOK、か?』
「私に聞かれても困りますよ」
『ふむ、では高速建造材を使うか』
「了解です。妖精さん達よろしくお願いしまーす!」
明石の呼び声のあと、妖精さんが資材をバーナーで炙り始めた。
「提督、断末魔はやらなくていいんですか?」
『ん、アレは初めての相手にやってこそ楽しめるものだ、既に知っている相手にやっても楽しくないでしょ』
「そのせいで駆逐艦にトラウマを植え付けてましたけどね」
『う・・・・・・アレは悪かったと思っているよ。あそこまで泣くとは思わなかった、でも反応を見るのは楽しかったです』
「貴方に罪悪感と言うものはありますか?」
『あるから暁達が居るときは使用不可にしているんじゃないか』
そんな話をしている内に建造が完了した。
「綾波型、特型駆逐艦、潮です」
「ウチは軽空母の龍驤や」
『私がこの鎮守府の提督だ。よく「提督っぽくない」とか言われるが本物の提督だ』
「キミが提督・・・・・・ねぇ」
龍驤は顎に手を当て、提督を観察するように見つめる。
「何かキミとは上手くやっていけそうな気がする、これからよろしゅうな」
「あの、もう下がってもよろしいでしょうか?」
『うむ、入って早々悪いが明日出撃してもらう、明日0900時に執務室に来てくれ。高雄、二人を寮に案内してあげて』
「了解しました」
こうして二人を寮に案内する事となった。
「いやぁ、かなり変わっとるけど何か面白そうな提督やね」
「わ、私は不思議な提督だなぁ・・・・と」
「ええ、確かに不思議で面白い提督ですよ。いろいろ多芸ですし」
「多芸ねぇ、どんなことできるん?」
「そうねぇ、自身の子機を作ったり、体から怪物を出してみたり」
「むむ・・・・・・謎が深まるばかりか。まぁ、楽しみにしとくわ」
黒い板とまな板の邂逅。