サラボナ編です。お気に入り件数が少しずつ増えていてとても嬉しいです!
定期便の船に乗せてもらいサラボナに到着したソフィア達。
そこで待っていたものは・・・・・・
ウォン! ウォン!!
「きゃああああ、リリアン様止まってぇぇぇぇ!!」
ソフィアと同じぐらいの体格を持つ大きな犬と大きな犬に振り回されているメイドだった。
「」
「」
やあ、前話で感動的な出発を果たしたソフィアだ。
目の前で行われている喜劇?をどうするかで私達母娘は呆然と棒立ちになってしまっている。
暫くじーっと様子を見ていると大型犬がこちらに気づいたらしく猛然とこちらに走ってきた。隣に居た母さんが思わずビクリと驚いていたが私は受け止めるべくぐっと足を踏ん張った。ちなみにメイドさんは完全に引きずられていた。とんでもないパワーである。
ドドドドドド
「はっ!いけないそこの旅人さん避けてぇぇぇ!!」
メイドの悲痛な叫びがあがる
母さんは咄嗟に横へ飛んだ。
「ぬんっ!」
ガシィ!!と取っ組み合いのように私は受け止める。しかし勢いが強かったらしくズザザザザザと1m程後ろへ押されてしまった。まだまだ鍛錬が足りないな・・・・・・等とトンチンカンな事を考えていた私に母さんが駆け寄ってくる。
「ソフィア!大丈夫なの!?」
私は握り拳に親指だけを上に上げこう答えた。
「大丈夫だ、問題ない」キリッ
「それ絶対大丈夫じゃない奴よ!?」ガビーン
むっ、失礼な。本当に問題ないんだよ?それに暴れるのが満足したのかリリアンという大型犬も大人しくなり私の足元で寝そべってお腹を見せている。どうやら私の方が上の存在だと認めたようだ。
「いやいや本当に大丈夫だよ?ほら、お腹を見せて服従のポーズしてるし」
「あら本当ねえ・・・・・・でもあまり心配させないで頂戴、心臓に悪いわ」
溜息混じりにそう答えられた、解せぬ。
ふと先程のメイドさんが気になり辺りを見わたすとぐったりと倒れてるのが目に入った。慌ててメイドに駆け寄り抱き抱えて回復魔法をかける。
「うわ!メイドさん傷だらけじゃないですか!ベホイミ!!」
「う・・・・・・ん・・・・・・いい匂い・・・・・・うへへ」
グシャッ
母さんの般若の形相の右ストレートがメイドさんの顔に突き刺さった。やだ怖い。
とりあえず、追加でホイミをかけてあげた。
数分後
「え~っと、大丈夫ですか?」
「いや~、いいものたんの・・・・・・いえ、ごめんなさい、ナンデモアリマセン」
私がメイドさんの前に立っていたので後ろにいる母さんの顔が見えないのであえてスルーしておこう。
「でも本当に珍しいです。リリアン様がこんなに他人に懐くなんてお嬢様と婿様ぐらいだと思ってました!よくお嬢様もリリアン様を抱き抱えて止めていらっしゃいましたし」
・・・・・・どうやら私が原作で知っているフローラとは違うらしい。この大型犬のタックルはそれこそ常人だと吹っ飛ばされて大怪我もいい所だ。しかし件の彼女はその大型犬を力尽くで止めていたらしい。華奢な令嬢設定はどこへいってしまったのか。
「あの、貴女はルドマンさん宅のメイドさんでいいのかしら?私達ルドマンさんにお会いしたいのだけれど・・・・・・」
「あっはい!そういう事でしたらリリアン様の事でご迷惑お掛けしましたし丁度散歩も終わりなのでご案内しますね」
そう言ってグイグイと首輪についている紐を引っ張るがリリアンは動かない。そこで私が試しに命令してみた。
「リリアン、ハウス!」
すると、リリアンはガバッ!と立ち上がりウォン!ウォン!!とこっちですよ!と言わんばかりに吠えながら駆け出していった。尚メイドさんは急に走り出した為再び引きずられていった。
「きゃあああああああああああああ」
「・・・・・・行きましょうか」
母さんが呆れ口調でそう零し歩き始めたので私もそれについていく。
リリアンが走り去った方向へ歩いて暫くすると大豪邸とも言える大きな家が見えてきた。傍には大きくRIRIANと書かれた犬小屋と真っ白に燃え尽きたメイドさんが居た。
どうやらここがルドマンの家らしい。村から殆ど出なかった私には無駄にでかく見えた。
「あら、もしかして婿様のご友人のビアンカさんではないですか?」
「あっ!もしかしてフローラさんの結婚式で衣装を整えていた・・・・・・」
「はい、メイド長で御座います。お久しぶりですね、7年ぶりくらいでしょうか?今日はどうしてこちらに?」
「実はルドマンさんにお尋ねしたい事がありまして・・・」
「なるほど。少々お待ちください」
母さんはこのメイド長を名乗る人と知り合いらしく、トントン拍子で話が進んで行くのを私は眺めていた。そして最後の一言を残して屋敷に戻っていった。
「母さんはさっきの人と知り合いなの?」
「ええ、このお屋敷の令嬢であるフローラさんがアベルと結婚式を挙げた時に一緒にフローラさんの衣装を整えるのを手伝ったのよ」
「へえ~」
暫くして先程のメイド長が戻ってきた。
「ビアンカさん、どうぞお入りください。旦那様がお話を聞くそうです。ところで後ろにいる子は・・・・・・」
「ありがとうございます。この子は私の娘で」
そう言って母さんにズイッと前に出された。
「ソフィア、6歳です!」
そうですか。と暖かい微笑みを向けて後でお菓子を出してあげるわね。と言いながら私達をルドマンの居る部屋へ案内してくれた。これが瀟洒か。
少し歩いた所で一つの扉の前でピタリと止まった。
コンコンコン
「お客様をお連れ致しました」
「入れ」
さあ、いよいよ生ルドマンと対面だ。おぉ・・・本当にサ○ーちゃんのパパみたいなヘアースタイルだ。すげーと思わず元男のような感想が漏れた。
「今日はよく来られたビアンカさんそしてソフィアちゃん。して今日はどういったご用件かな?」
「実は私達母娘で旅を始めたんです。山奥の村へ来る旅人から数年前にアベルとフローラさんがグランバビア新国王、王妃になられたと聞き及びまして一度会いに行ってみたいと思ったんですが行き方がわからなくて」
そう苦笑いしつつ母さんがルドマンに説明を始めた。
「なるほどのう。グランバニアへ行くには船がなくては厳しい。何せ山と森に囲まれた自然の要塞のような国じゃからな。実を言うと私自身ここ数年あの二人に会っておらんのだ」
そう言って少し寂しそうな表情をする。そして真剣な表情で言葉を続ける
「それに女性と子供の二人でなどと婿殿のように魔物を味方につけているわけでもなく二人だけの旅となるとおいそれと行かせる訳にはいかんよ。ビアンカ君は婿殿とフローラの大切な友人なのだから」
それを言われて俯いてしまう母さん。この流れは不味い!と思った私は
「あの・・・」
「む、何かな?お嬢さん」
とてもいい笑顔のおじ様という言葉が似合う笑顔でこちらを向いた。
「実は母さんにも話していない事があるんですが、グランバニアに行きたいと最初に言いだしたのは私なんです」
ルドマンと母さんは揃ってじっと私を見ている。
「私はある夢を見ました。黒と蒼の長い髪の男女、そして二人が交わり産み落とされる男の子と女の子。しかし両親は魔物の罠に陥り石にされてしまう」
驚愕の顔を浮かべる二人を一旦無視して話を続ける
「いつしか子供達が成長し、両親を探しに旅に出る・・・といった夢です」
ぐぬぬ・・・と唸りつつルドマンが訪ねてくる
「しかしそれは只の夢じゃろう?子供の見る夢ぐらいで・・・・・・」
と、言いかけた所で母さんが追撃してきた。
「いいえ、ルドマンさん。きっとこの子が見た夢は真実ですわ」
キリッとした顔で答える母さん。突然の態度の変化に驚くルドマン。
ビアンカはアベルの特徴は教えてもフローラの特徴までソフィアに教えてはいなかった。そしてお告げの言葉を思いだし、ソフィアが見た夢は予知夢もしくはすでに起こってしまった事だと確信した。
「この子を産まれて間もない頃、教会へ祝福をうけさせようと連れて行きました」
「そこで精霊ルビスと名乗る者からお告げを受けたのです。この子は大きな災厄に抗う者だと。そして私自身もまた無関係ではない・・・・・・と。この子が言うなら親として支える者として信じますわ」
そこには誰もが見惚れる一人の女の笑顔があった。
「そこまで言われてしまうと私にも止める事は難しそうだわい・・・・・・」
溜息をつくルドマンに対して私はうっかり爆弾を投下してしまう。
「義理の弟と妹が待っているかもしれないんだもの。遠慮なんてしていられないわ」
ピシッ
部屋の空気が凍りついたような錯覚を覚えた。隣に居る母さんからはダラダラと汗が吹き出ている。
「ソフィアちゃんや、それはどういった事かな?」
先程と同じ笑顔なのに目が笑っていない。
「え~っと、私のお母さんは隣にいるけど、お父さんはアベルって人だと聞きました」
ギギギと壊れたブリキ人形のように母さんの方へ私の言葉は真実か?と言わんばかりに睨む。母さんはコクコクと頷くしかできない。
「・・・・・・はぁ」
今までで一番大きな溜息をついたルドマン。当然だろう、信じて送り出した娘の夫が別に子供を作っていてその本人が目の前にいるのだから。
「ソフィアちゃん。先程の夢の話が事実であったとして君は婿殿に何を望む?」
「殴ります。バイキルトをかけて全力全開で。その上で責任を取らせます」
ぽかーんと呆ける二人。そしていち早く正気に戻ったルドマンがニヤリと笑う
「ほう。してどうやって責任を取らせるのかな?」
「私としては王位継承権なんていりませんので母さんを第二夫人として娶って貰えればそれだけで万々歳ですね。後はフローラさんでしたっけ、その人と母さんに挟まれて修羅場になってるであろう父さんをお茶を啜りながら見ています」
それを聞いたルドマンが吹き出した
「ぐわっはっはっはっ!!なるほどのう、それは面白い!!婿殿には丁度いい灸かもしれんな」
ハッ!っと正気に戻った母さんがこちらに詰め寄ってくる
「ちょちょちょ、ソフィア!?わわわわ、私そんなつもりでグランバニアに行くつもりじゃ・・・・・・」
とオロオロしている。愉悦である!
「そんな事言って、母さん毎晩自家発電してるんだからいい加減きちんと放電させててくれる棒が欲しいでしょうに」
ボンっ!と顔が真っ赤になる。流石にルドマンも苦笑い。小さい声でソンナ・・・バレテタ・・・?ムスメニ・・・・・・?アァァァァァァ!!と高級ソファーの上で悶えている。
「うむ、実に良い
ホッコリしながらルドマンが話をまとめ始めた。
「グランバニアへ行くにはここから船で東にあるネッドの宿屋という所から更に北へ行くとグランバニアへ続く山道がある、そこを越えればグランバニアは目と鼻の先だ」
「船は3日後だしてあげる事にしよう、その間このサラボナに留まり観光をしておくと良い。今なら港に私自慢のカジノ船が停泊しておるぞ!」
そういってルドマンが話をまとめ切った。私はお礼を述べて未だにポンコツになってる母さんを担いで退出した。ちなみに話に一切出てこなかったラーミアはずっと私の頭の上で寝ていたのだが皆スルーしていた。何故だろうか?
とりあえずグランバニアへ行く手段は得たので宿屋へ向かう。今日も疲れた、お休みなさい。母さんは私に見られてハァハァいうようになったなんて私は知らない、知らないったら知らない。
ふう、長くなっちゃったぜ。ルドマンは太っ腹だってわかんだね!
次回はカジノ回になると思います。
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