短編小説   作:重複

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レメディオスに出番を作るとしたら、というネタです。

多分いろいろ無理がある。



誤字報告をくださった方々、ありがとうございました。


頑張れるか レメディオス

レメディオスは憔悴していた。

仕えつくすべき主君であり、掛け替えの無い親友である聖王女(カルカ)を、守る事もできずに失い。

公私共に頼りになり、同じ主を仰ぐ者として歩を進めていた大事な妹(ケラルト)も失ったのだ。

これで精神を打ちのめされるなという方が、非人道的だろう。

例え国一番の聖騎士と称えられた存在だとしても。

 

といっても、それは既に過去の栄光だ。

 

家族や主君を亡くした者など、この国には数え切れないほどの数で存在する。

それを一人だけ特別に悼むことなど、有り得ないだろう。

 

更には、「国一番」といっても、他国にいくらでも「それ以上」がいる事だと、国中に知れ渡ったのだから。

 

 

自分がヤルダバオトより弱者である事を認めるのは辛かった。

王国のアダマンタイト級冒険者が撃退できたのだから、悪の存在との戦いに対してなら聖騎士たる自分の方が上だという自信があった。

それがヤルダバオトに対しては、何の役にも立たなかった。

挙句、魔導王からは「足手まとい」と断じられた。

 

これからの国の行く末を考えれば、頭の良くない自分でさえ、あまりの困難に苦しく吐き気がした。

 

聖剣は悪に対して、強さを発揮する。

しかし、戦った亜人は悪の位相ではなかった。

どれほどに納得のいかない事だとしても、聖剣はあの亜人を「悪」と判断しなかったのだ。

 

悪魔であるヤルダバオトにさえ、たいしたダメージが入ったように見えなかった。

いや、あれは何ら痛痒を感じてはいなかっただろう。

そのヤルダバオトを倒した魔導王。

アンデッドなのだから聖剣が効くと思っていたが、もしかしたらヤルダバオトと同じく効果がないかもしれない。

 

考えられる理由は二つ。

悪魔やアンデッドでも、悪の位相ではない可能性。

もう一つは、人間が蟻に噛み付かれてもチクリとしか感じないように、ヤルダバオトと自分の力量が桁はずれに離れている可能性。

どちらの理由に対しても、「そんな事が認められるか」という感情と、「十分に有り得る」という冷静な部分がある。

 

ふと、戦った三匹の亜人の言葉が思い出される。

 

『絶対的な支配者の子を宿すことにどれほど値打ちがあるのか理解できぬとは』

『自分の子供を産んだ種族には目をかけるじゃろうなぁ』

『優秀な父親の血を引けば、それなりの子供が――いや、父親を超える優秀な子供が生まれるだろうから』

 

そう、強者の子は強者だ。

それはどの種族でも変わらない真理だ。

自分は人間としては強くとも、他種族のあの亜人や悪魔たちと比べれば・・・・・・認めたくはないが、特別ではない。

 

だが、自分が強い男の子供を宿せば、その子供は自分くらいには強くなるだろう。

父親が自分より更に強ければ、自分より強くなるはずだ。

そして、そんな自分の子供が何人もいれば――

 

「聖王国は強国になる」

 

そうだ。自分にはまだやれる事がある。

 

聖王女(カルカ)の掲げる理想、「弱き民に幸せを、誰も泣かない国を」

 

それを実現する方法。

 

その為に必要な、自分より強い男――

 

ヤルダバオトは死んだ。生きていたとしても悪魔だ。悪の存在との子供など論外。

魔導王。骨だ。

ヤルダバオトが恐れ、魔導王が強者と認めた存在。

 

それは――

 

「そうだ、モモンだ」

 

魔導国で会う事は叶わなかったが、モモンは人間だ。

なら、自分と子供を作る事が出来る。

 

なんて素晴らしい考えだろう。あの三匹の亜人の言葉とも合致する。

それに子供が出来れば、モモンもこの国(聖王国)に移り住むだろう。

魔導国の力を削ぎ、自国(聖王国)の強兵となる。

完璧な策だ。

本当に自分は戦いに関する事には、考えが回る。

 

レメディオスは、自分の考えを自賛した。

 

相手(モモン)にも、選ぶ権利があるとか、

魔導国との関係が悪くなるとか、

子供が必ず国に仕えるとは限らないとか、

諸々の問題は、レメディオスの頭の中には存在しない。

考え付いた未来への最短距離の道筋しか、考えつかないのだ。

道が塞がっていて回り道をするかもしれない、という考えは無い。

 

更には、道そのものが断ち切られている可能性など想像すらしないだろう。

 

 

そして、――ぞっとした。

あのメイド悪魔は、美しいという言葉では足りないほどの美を備えていた。

そして、あの三匹の亜人も、悪魔の子種をもらうと言っていた。

 

つまり悪魔は子を生(な)す事ができるという事だ。

 

まさか、あのメイド悪魔を魔導王が欲したのは、モモンにあてがって、その子供を己が物とする為ではないだろうか。

そう考えれば「あの」魔導王が、この国にわざわざやってきた辻褄が合う。

合ってしまう。

 

自分(レメディオス)が考えた強兵の手段を更に早くから考え、これ幸いとこの国の災難を利用したのではないのか。

 

そんなことにはさせない。

 

すぐに行動に移らなくてはならない。

 

もしかしたら、王国でもモモンの子供を狙っていた輩がいたのかもしれない。

 

頭の良くない自分が考えつくのだから、王国でもあったと思うべきだ。

 

であるならば、どのように行動すべきだろうか。

 

ただ魔導国へ行っても、モモンに会うことは出来ないだろう。

 

なら、やはり王国へ行って、親しい者の紹介状をもらうべきだ。

 

前回は蒼の薔薇だったが、モモンが冒険者組合に登録していたのなら、他にも親しい者がいたはずだ。

 

そういった者から紹介状をもらえば、魔導国で魔導王を通さなくてもモモンに会えるだろう。

 

「よし、さっそく」

 

 

 

 

 

まずはリ・エスティーゼ王国へ行くのだ。




ネタです。




原作の「頑張れ アインズ様」
外伝の「頑張れ エンリさん」
13巻後に始まる「頑張れ ドッペルさん」

みんな頑張っているけれど、レメディオスは頑張れば頑張るほど、方向を間違えている気がします。(やはり手綱持ちがいないからか)

どこかの未亡人さんの言葉を覚えていてほしかったものです。



補足
1、レメディオスが、三匹の亜人の会話をきちんと覚えていられるのか。

レメディオスは戦闘に関しては、記憶力がありそうかな、と思います。
そうでないと、戦闘経験が貯まらない。(職業や種族の、弱点や特技など)

2、モモンに女。

書籍4巻のドラマCDでもWEB版でも、冒険者組合長のアインザックが頑張っていたので、よくある事なのでは、と。

しかし、このレメディオスは「モモン」に会ったら、「私と子供を作ってくれ!多ければ多いほど良いぞ!」とか言い出しそうな気がします。
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