アインズは対峙した相手の顔を見て驚愕する。
「その顔、その目…あけみさん?」
その相手の顔は男女という性別の差があれど、ギルド「アインズ・ウール・ゴウン」で数少ない女性メンバーの一人である「やまいこ」の妹である「あけみ」のアバターにそっくりだったのだ。
アインズ、つまりユグドラシル時代のモモンガも鈴木悟としてあけみのリアルに会ったことはない。
だからアインズの知る「あけみ」とはユグドラシルのアバターの姿である。
エルフであり左右の瞳が異なる金銀妖眼(ヘテロクロミア)。
それは「やまいこ」や「あけみ」と仲の良かった「ぶくぶく茶釜」が、自らのNPCに引き継がせた特徴と同じものだ。
「我が始祖を知っているとは、貴様何者だ?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「あ、やっぱり」
アウラは思わず呟いた。
どことなくあった既視感はこれだったのだ。
森にいたあの熊も、自分の部屋に置かれているヌイグルミたち「やまいこズ・フォレスト・フレンズ」の」熊に似ているから生かして捕らえたのだ。
そして目の前で無様に転がるエルフもどことなく「あけみちゃん」に似ている。
だからこそ、手加減したのだ。
NPCか子孫かは不明だが、至高の御方の妹君に連なる者にしてはあまりにもお粗末な存在だ。
NPCならエクレアのような雑務関係なのかもしれないし、子孫ならよほど相手に恵まれなかったのかもしれない。
もちろん、至高の御方の妹君が選んだ相手なら自分たち(NPC)が口を挟むなど不敬だ。
だが、王国を見ればわかるように、親を同じくしても子に出来の良い者、悪い者の差は出てくる。
妹君の御子なら、きっと素晴らしい才能を持って産まれてくるのだろうが、それ以降はこの世界の生き物の割合が増えるなら、この悲しい結末(出来損ない)もあり得るのかもしれない。
「そうあれ」という正しい在り方(存在意義)も知らないなら、この愚かさも致し方ないのかもしれない。
やはり世界には神となる正しい導き手(至高の御方々)が必要なのだ。
己の力量も器量もはかれぬ身の程知らずは、哀れですらある。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「わたしは!ただ!奪われた我が子に会おうとしただけだ!」
エルフの王を自称する男の言葉に、アインズは少なからず心を動かされた。
家族を大切に思う気持ちを否定するような悪意は、アインズにはない。
自分の家族(NPC)が大事だから他者より優先順位が上なだけで、他の家族をわざわざ不幸にしたい訳ではないのだ。
自分や家族(NPC)の不利益にならない範囲でなら、いくらでも幸せになってくれてかまわない。
自分たち以外が幸せになってはいけない、などという考えを持っているわけではないのだから。
ましてや大切なギルドメンバーと関わりのある存在ならば、無関係な他人よりも優先順位は高い。
奪われた子供を取り返したい、ということだけなら、多少の手助けは考えてもいいだろう。
法国は人間至上主義を掲げ、他種族を迫害する国だ。
エルフを奴隷にするような国だから、子を攫ったのだろうか。
異形種にとって不利益な国であることは確定している国だ。
予定を早めてもいいかもしれない。
家族と一緒に暮らしたい、という願いの手助けくらいしてやってもいいだろう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
こうして「生まれる前にさらわれた可哀想な子」としてナザリックに保護された「この世界のオーバーロード」である娘は、父を棄ててナザリックに走ったのであった。
15巻の予告から、もしアインズがエルフ王に味方する状況はないかを考えて、ギルドメンバー絡みなら倫理も道理も放って味方するのではないか、というこじつけです。
あとは15巻の表紙の熊を見て、web版(アウラの部屋にある、金属の輝きを持つ爪をした熊のヌイグルミ)と絡めたくなったので。
web版のエルフ3人の話とか好きだったので、少し話に入れてみました。
15、16巻のあらすじを見て、こんな展開はないんだろうなと思ったのでネタ供養として出しました。
「あけみ」のアバターが左右の瞳の色が違うのも妄想です。