インフィニット・ストラトス 慟哭の白銀少女   作:アブソリュート

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早くも第二話投稿しました!!

段々とエリスの成長がわかります!

楽しんでもらえたら嬉しいです!!


第一話「あれから十年後」

「全員揃ってますねー。それじゃあSHR始めますよー」

 

黒板の前にでどこか抜けているような顔をしている山田真耶。彼女はここIS学園の一年一組の副担任である。身長はやや低めで、生徒とほとんど変わらない。しかも服のサイズが合っていない。全体的に服がだぼっとしているせいかますます小さく見えてしまう。

 

「皆さん今年一年よろしくお願いしますね」

 

「………………」

 

学園初日だから真耶の言ったことに誰も反応を返さない。

 

「うぅ……で、では自己紹介をお願いします」

 

真耶は誰からも返事が返って来ないことに残念に思い涙目になりながらも教師としての職務に励む。そんな中一人の生徒が肩身を狭くしながら何かに必死に耐えている様子だった。

 

「……………」

 

この男、織斑一夏はあることがきっかけでIS学園に通うことになったのだ。そんな彼が肩身を狭くするのには理由があった。なにしろ彼以外のクラスメイトが全員女子なのだ。ここIS学園はいわゆる女子校なのだ。それには理由があった。

 

―――ISは女にしか扱えない。

 

これはある事件が起こったことでその事実が証明された。そのせいで今の世界は女尊男卑という世界に変わり果ててしまった。今では町で女性に声をかけられられたら使うだけ使い、もはや奴隷と変わらない始末を受けるはめになるのだ。

 

そんな女性しか使えない彼がISを動かしたことで世界中が大騒ぎ。世界初の男性として今では有名人きたものだ。そんな珍獣扱いを受けている彼が肩身を狭くするのも無理もない。

 

「……………」

 

一夏は何かしらの救いを求めて窓側の方に視線を送る。だが、薄情なことに六年ぶりの幼なじみの篠ノ之箒はふいっと窓の外に顔をそらす。久し振りの幼なじみに対する態度なのだろうかと疑問に思いながら一夏は自分の席の左隣の席の子に救いの視線を送る。

 

「……ん?どうしたの兄さん?」

 

少女は一夏の視線に気付き声をかける。一夏は少女にこの状況をどうすればいいのかを視線で送る。

 

(周りの視線がきついんだが……どうすればいい?)

 

(どう……って、いつもの兄さんらしく振る舞えば良いんじゃない?)

 

(それが出来れば苦労しないと思うんだが……)

 

そんなやりとりをしていると山田先生が顔を真っ赤にしながら一夏に声をかける。

 

「あ、あの、織斑くん!」

 

「え、何でしょう?」

 

「あ、あの、ここは教室なのでそんなに見つめあって……」

 

「え、いや!違いますよ!」

 

どうやら周りからはみつめあう男女にしか見えなかったらしい。その事に気付いた一夏は自分達がそういう事をしていたのではないことを主張する。

 

「ち、違いますから!山田先生が考えていることとは違いますからね!」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「ええ……勘違いさせてすいません」

 

一夏がそう言うと山田先生はどこか安心した表情を見せる。少女に関しては気にしていない様子だった。少女とは反対に箒はどこか苛立ちを見せている様子だった。

 

「じゃ、じゃあ自己紹介お願いしますね?」

 

「はい」

 

一夏は席を立って後ろを振り向くと今まで背中に感じていた視線が一気に向けられることを自覚する。

 

(……わーお)

 

なに言っていいのかわかんねぇ……。とにかく自己紹介をしなくっちゃな。

 

「えー……名前は織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

礼儀正しく頭を下げる。すると、辺りから『もっと喋ってよ』だの『まさかそれだけじゃないよね?』といった空気が漂ってくる。どうすれば困っていると先程の少女が制服の裾を引っ張ってくる。耳を貸せというジェスチャーを確認し少女から助言を貰う。そして、少女が言ったことをありのまま告げる。

 

「特技は無意識に女の子を口説くことです!俺にハートを奪われるな、よ……」

 

―――ちょっと待て。もしかして、俺、変なこと言ってないか?

 

「さすが兄さん。盛大にやらかしたね」

 

いや、やらかしたね……じゃねえよ!?

 

「何てこと言うんだよ!?」

 

第一印象最悪だろ!?

 

「そんなうっかりしている兄さんが良いと思う」

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

会話が成り立ってねえ~!もうやだこの妹!そんなに面白いか!?

 

「うん。面白い」

 

しかも心の中ちゃっかり読まれてるし……。

 

俺は再度教室の様子を確認すると予想していたものと違っていた。教室にいる生徒の大半が顔を赤らめ恥ずかしそうにしていた。……何故?

 

パァンッ!!

 

いきなり背後から何か硬い物で頭を叩かれる。痛みが強すぎて思わず頭を抱えたまましゃがみこんでしまう。……知っている。この叩き方―――絶妙な力加減、計算ずくされた角度、適度な速度、俺がよく知っている人物。そう、そいつの名前は―――。

 

「出たな―――呂布!」

 

「ふんっ!!」

 

バシンッ!!

 

今度は頭ではなく顔の頬を叩かれる一夏。

 

「……誰が呂布だと?」

 

トーンが低めの声。よく見ると黒のスーツにタイトスカート、すらりとした長身、よく鍛えられいるがけして過肉厚ではないボディライン。組んだ腕に、狼を思わせる鋭い吊り目。そう、この人が俺の姉である織斑千冬だ。

 

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたのですか?」

 

「ああ、山田先生。いつもすまない。それとあの馬鹿が迷惑をかけた」

 

まだ、顔が赤いものの千冬姉に声をかける。千冬姉は山田先生に謝罪し終えると今度はこっちに向いて鋭い視線を、送ってくる。馬鹿とは心外だな。どこをどう見たら俺が馬鹿に見えるんだ?

 

「お前は何も考えるな、聞くな、見るな、思考を働かせるな」

 

もはや人ではない気がするんだが……。人権侵害はいけないと思うぞ、千冬姉。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五歳を十六才まで鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

 

さすが千冬姉。なんという暴力発言。しかし、教室には批判するような発言はなく、むしろ黄色い声援が響き渡る。

 

「キャーーーーー!千冬様よ!」

 

「ずっとファンでした!」

 

「あたしたちを調きょ……指導して下さるなんて!」

 

おい、今調教って言おうとしなかったか?

 

「私、千冬様の指導を耐えてみせたいです!」

 

「アオーン!ヘヘッ!」

 

すでに何か違うものが混じってるよ千冬姉!?もはや調教された犬だろ!

 

「はぁ……毎年思うんだがよくこれだけの馬鹿者を集めるものだ。それとも何か?これは私に対する何かの当て付けなのか?」

 

本当にうっとうしがっている千冬姉。まあ、気持ちは分かんなくはないけどさ。人気者で良いじゃないか。

 

「それで?お前はまともに挨拶も出来んのか」

 

「いや、千冬姉聞いてくれよ。エリスが―――」

 

バコンッ!!本日三度目の出席簿アタック。もはや叩く音が違う。

 

「お前は人のせいにすれば解決出来ると思っているのか?」

 

「痛たた。……そうじゃねえけどさ、理不尽だろ」

 

「妹に叩けと言う兄もどうかと思うがな。あと、織斑先生だ」

 

そんなやりとりをしていたのが不味かった。教室に兄妹だということがバレた。

 

「え……?織斑くんって、あの千冬様の弟………?」

 

「それじゃあ、世界で唯一男で動かせるっていうのも、それに関係して………」

 

「あのそこに座っている白銀色の髪をした人も知り合いなの?」

 

知り合いもなにも白銀の髪をした少女は織斑家の一員、六条エリスである。

 

「ついでに自己紹介しておけ、エリス」

 

「はい」

 

千冬姉の言ったことに返事を返すエリス。そして、俺と同じように後ろを振り向き自己紹介を始める。

 

「初めまして私の名前は六条エリスです。好きな食べ物はオムレツと林檎。趣味は兄を弄ることです」

 

落ち着いた声で自己紹介をするエリス。その自己紹介に満足していた千冬と一夏だがそれ以外の人たちは反応できずにいた。

 

「………………」

 

普通はここで先程と同じように騒いだりするであろう。だが、反応できずにいるのには訳があった。

 

―――左目が開いていないのだ。眼のところに傷が縦に深く入っている。右目は綺麗な翡翠色の瞳に対し左目は誰が見ても痛々しさを感じさせる。隠す気がないのか眼帯もせずありのままに晒しだしていた。

 

その様子を観ていた一夏や千冬は暗い顔をする。だが、エリスは気にした様子を見せず自己紹介を終えると千冬に声をかける。

 

「終わりましたけど……どうすればいいですか、姉さん?」

 

「……ああ、座っていいぞ」

 

千冬の言葉にエリスは従い席に座る。

 

「……では、これでSHRを終わりにする。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。いいな?分かったら返事しろ」

 

まだ先程の雰囲気が残っているせいか千冬姉に返す返事は小さかった。

 

こうしてぱっとしないままSHRが過ぎていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

参った。これはマズイ。ムリだ。

 

「……………」

 

一時間目のIS基礎理論授業が終わって今は休み時間。だが、この教室の異様な雰囲気がなんとも言えない。ちなみに、IS学園ではコマ限界までIS関連教育するため、入学式当日から普通に授業がある。学園案内は地図を参照しろってさ。親切心がかけているな、全く。

 

(だが、どうにかならないもんかな……)

 

俺以外の生徒は全員女子。クラスだけではなく学園全体がそうなのだ。ちなみに『世界で唯一ISを使える男』というのは世界的にもニュースになったらしい。当然、学園の関係者から在校生まで俺の事を知らない人はいないと思う。

 

そういうわけで廊下には他のクラスの女子が二、三年の先輩が詰めかけている。しかし女子だけの空間に馴染んでしまっているせいか、なかなか話かけようとしてこない。それはクラスの女子も同じなのか緊張感が満ちている。

 

……いや、恐らくそれだけではない気がする。何故、俺に声をかけてこないのか薄々思うのだが……。

 

「兄さん、お疲れ様」

 

エリスが一夏の首に腕を回し背中に胸を当てる。ふゆんと背中越しから柔らかい感触が伝わってくる。制服からなのに暖かいのが伝わってくる。男としては嬉しい限りだ。だが……。

 

「……ときにエリスよ」

 

「なんですか、兄さん?」

 

優しく微笑みながら兄を呼ぶ。見ているだけで癒される顔をするのだが、なんとか流されないように注意を払いながらこの行為の真意を問う。

 

「……なんで胸を当ててくるんだ」

 

「そ、それをわざわざ言わせるのですか?」

 

頬を赤らめながら恥ずかしそうな仕草を見せるエリス。だがしかし、俺は知っている。

 

「ああ、言ってくれないと分からないな」

 

きっぱり言うとエリスは清々しい顔をしながら言う。

 

「兄さんの困った顔を見てみたいから」

 

はい、確信犯、決・定!!やっぱりか!絶対こうなることが分かってやっただろ!?

 

「うふふ。兄さんカッコいいですよ?」

 

嘘おっしゃい!明らか面白いの間違いだろ!?そのにやけている顔が何よりも証拠だ!

 

「……ちょっといいか」

 

「「え?」」

 

突然、話しかけられた。二人して間抜けな返事をする。誰だろうと思い正面に立っている女子生徒を見る。

 

「………ほ、箒?」

 

「………………」

 

目の前にいたのは、六年ぶりの再会になる幼なじみだった。

 

篠ノ之箒。俺が昔通っていた剣術道場の子。髪型は昔と同じポニーテール。肩下まである黒い髪を結ったリボンが白色だから映えて見える。身長は平均的な女子。うちのエリスより少し小さいくらいだ。

 

ちなみにエリスの身長は一六五センチ。女子にしては大きく千冬姉より一センチ小さい。そういえばこの前二人で身長の争いが起きていたような……。

 

「………廊下に出るぞ」

 

「おう―――グエッ!?」

 

箒の提案に乗り席を立とうとしたところをエリスの腕によって阻止される。

 

「どこに行こうとしてるの、兄さん?」

 

なあエリスよ。落ち着こうじゃないか。そして話し合えばわか……。

 

「おい、早くしろ!」

 

うわー。六年も会わなかっただけでこんなにも変わるとは。時が流れるのは早いもんだな……。

 

「全く、なにをぐずぐずしているんだ……むっ?」

 

「……………」

 

箒は一夏が来ないので連れに戻るとエリスの姿を確認する。エリスは箒が戻ってくると嫌そうな顔をしながら威圧の籠もった視線を送る。

 

「お前は……エリスか?」

 

「馴れ馴れしく呼ばないで」

 

箒がエリスの名を呼ぶとエリスは拒絶の思いを籠めて言う

 

「なっ、久しぶりに再会する幼馴染の言葉ではないだろう!」

 

「うるさい。兄さんが好きで好きでしょうがないメロン野郎が」

 

……メロン?食べ物のメロンか?箒ってそんなにメロンが大好きだっけな?

 

「う、うるさいぞ!大体、そんなこと言ったらお前もそうだろうが!」

 

「だから、何です?私は兄さんのことが好きですよ」

 

まあ、俺も好きだけどな。何だかんだ言ってエリスは可愛いしな。

 

「俺も好きだぞ」

 

「――――っ!兄さん!」

 

エリスは嬉しそうな顔をする。それに対して箒は顔色が蒼白になっていく。だが、織斑一夏にはある欠点があった。それは――――鈍感なのだ。しかも、超が付くほどの。

 

「まあ、家族が好きなのは当たり前だと思うんだけどな」

 

ピシッ!

 

……ん?何の音だ?

 

「……兄さん」

 

「どうしたんだ、エリ―――ス!?」

 

エリスは一夏の首に回していた腕に力を込める。すると、一夏の首からメキメキと音をたてる。一夏はエリスに首が絞まっていることをジェスチャーで知らせるが無視される。

 

「ええ、兄さんがそういう人だって分かっていました。期待した私が馬鹿でした」

 

「ちょ、エリス、やめ、くびがぁ!?」

 

そんな光景を見ていたクラスメイトは何故だかエリスと仲良くなれると思うのであった。

 

 




何故、箒に対してあれだけ冷たくするのかは今後の話で紹介しますのでよろしくお願いします!!

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