インフィニット・ストラトス 慟哭の白銀少女   作:アブソリュート

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え~超心配です……

うまく書けているといいのですが……

なにか不満があったらコメントください!




第二話「憤怒」

「――であるからにして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ――」

 

すらすらと教科書を読んでいく山田先生。そんな中、俺は全くついて行けていなかった。

 

「……………」

 

どっかりと詰まれた教科書五冊。その一番上のものをぱらりとめくるが、意味不明の単語羅列にしか見えない。

 

(お、俺だけなのか?みんな意味がわかってんのか?このアクティブなんちゃらとか広域うんたらとか、どういう意味なんだ?というかこれ、全部覚えないといけないのか………?)

 

ちらっと隣の女子を見ると、山田先生の話に時々うなずいてはノートを取っている。

 

(ぐ……。しかしこのIS学園に入るやつて事前学習しているっていうのは本当だったんだな……)

 

その事実がわかりこの授業をどう乗り越えようかと考えていると脇腹からチクチクとした痛みが襲ってくる。何だろうと思い原因を調べようと見ると……エリスがシャーペンで一夏の脇腹を刺していたのだ。

 

「……………」

 

「ふふっ。兄さんったら以外に我慢強いんだね?」

 

……何やっているんだエリス。妹が何故、脇腹を刺してくるのかわからなかったがきっと理由があると信じて訊く。

 

「俺に用事か?」

 

山田先生に気づかれないように小声で話しかける。

 

「ん~多分、兄さんが授業について行けなくて困っているから助けてあげようと思ったからのと……」

 

おおー!流石、兄妹が困っていたら助ける!これこそが兄妹愛だよな。千冬姉とは大違いだ。

 

「あと授業が聞いてて暇だったら兄さんに悪戯しようかと思って」

 

……前言撤回。千冬姉より性質が悪い。いや、どっちもどっちか?

 

「じゃあ、これ」

 

「ん?これは……」

 

エリスが俺に一枚のルーズリーフを渡してくる。それを受け取り中身を確認すると、今日授業で習うだろうと思われるところがまとめられていた。ぱっと見た感じだがわかりやすい。試しにどっかりと積まれている教科書の一冊を抜き出し照らし合わすとエリスがくれた物の方が理解ができる。

 

俺がルーズリーフを見ているとエリスはゴメンと謝ってくる。

 

「?なんで謝るんだよ」

 

「あのね?入学前に参考書が届いたの覚えている?」

 

「ああ、なんか古い電話帳みたいなやつだろ」

 

危く間違えて捨てそうになったけどな。そのことがばれて千冬姉に怒られたんだったな。

 

「実はあれ……私が捨てちゃったの」

 

「……マジで?」

 

一夏はエリスが捨てた理由がわからなかった。すると、エリスは何故捨ててしまったのかを話す。

 

「あの時の私、寝惚けてて何で同じのが二冊あるんだろうって思ってたの」

 

確かに、あの時のエリスは異様に眠そうだったな。しかも、見てからしばらく経ってから倒れてたな。

 

「同じの二冊もいらないと思ってそれで……」

 

まあ、理由がともあれ過ぎてしまったことは仕方がない。俺はエリスの頭を撫でながら告げる。

 

「もう過ぎたことなんだし気にすんなよ」

 

「でも……」

 

「だったらエリスが教えてくれ」

 

「……え?」

 

エリスは一夏に頼まれると顔を赤らめ恥ずかしそうな顔をする。

 

「い、良いんですか?」

 

「ああ、そうしてもらえると助かる」

 

「……はい!」

 

エリスははにかんだ顔をしながら返事をする。その表情を見れて安心したところで……後ろから殺気を感じる。振り向けない俺に代わってエリスが後ろに目掛けて指を指す。

 

「兄さん?」

 

「……なんだ」

 

「兄さんの後ろに――――般若が立っていますよ」

 

……聞きたくないことをわざわざありがとうございます。俺は恐る恐る後ろを振り向くと般若のこと千冬姉が出席簿を上にかざしている状態でいた。

 

「……なにか言い残すことはあるか」

 

「……べ、弁解の余地は?」

 

「あるわけ無いだろ」

 

そうして俺は視界が暗闇になっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「へ?」

 

二時間目の休み時間、またしても針のむしろを味わうかと思っていた俺は、いきなり声をかけられて素っ頓狂な声を出してしまった。

 

話しかけられてきた相手は、地毛の金髪が鮮やかな女の子だった。白人特有の透き通ったブルーの瞳が、ややつりあがった上体で俺を見ている。わずかにロールがかかった髪はいかにも高貴なオーラを出していて、その女子の雰囲気も『いかにも』今の女子という感じだった。

 

今の世の中、ISのせいで女性はかなり優遇されている。優遇どころか、もはや行き過ぎて女=偉いの構造にまでなっている。そうなると男の立場は完全に奴隷、労動力だ。今じゃ町中ですれ違っただけの女にパシリされる男の姿なんて珍しくも無い。

 

つまりそういう、いかにも現代の女子が目の前にいた。腰を当てた手が様になっているあたり、実際いいところにの身分なのかもしれない。

 

ちなみにこのIS学園では無条件で多国籍の生徒を受け入れなくてはいけないという義務のせいで、外国人の女子なんて珍しくも無い。むしろ、クラスの女子半分がかろうじて日本人というだけである。

 

「訊いてます?お返事は?」

 

「ああ、訊いているけど……俺に何か用か?」

 

私がそう答えると、目の前の女子はかなりわざとらしく声をあげた。

 

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

 

「……………」

 

正直、この手合いは苦手だ。

 

ISを使える。それが国家の軍事力になる。だからIS操縦者は偉い。そしてIS操縦者は原則女しかいない。だからといって、その力を振りかざすのは違うと思う。力が粗暴なら、そんなのはただの暴力だ。

 

もし、エリスがここにいたら大変なことになっているだろう。彼女も俺と同じくこの手合いの者は苦手としている。いや、彼女の場合は苦手としているんじゃなく嫌っていると言った方がいいだろう。

 

「悪いな。俺は君が誰だか知らないんだけど」

 

「わたくしを知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補にして、入試主席のこのわたくしを!?」

 

ああ、名前はセシリアって言うのか。へーえ。

 

「質問いいか?」

 

「ふん。下々の要求にこたえるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

 

「代表候補生って、何?」

 

がたたっ。聞き耳立てていたクラスの女子数名がずっこけた。

 

「あ、あ、あ・・・・・・」

 

「『あ』?」

 

「あなたっ、本気でおっしゃいますの!?」

 

「ああ、知らない」

 

素直に答える。

 

「……………」

 

セシリアは怒りが一周して逆に冷静になったのか、頭が痛そうにこめかみを人差し指で押さえながらぶつぶつ言い出した。

 

「信じられない。信じられませんわ。極東の島国というのは、項まで未開拓の地なのかしら。常識ですわよ、常識。テレビが無いのかしら・・・・・・」

 

失礼な、テレビくらいはあるさ。……正確に言うとあったけどな。

 

「で、代表候補生って?」

 

「国家代表IS操縦者の、その候補生として選出されるエリートのことですわ。……あなた、単語から想像したらわかるでしょう」

 

「そうだな」

 

言われてみればそうかもな。

 

「そう!エリートなのですわ!」

 

おお、復活した。さすがは代表候補生。

 

びしっと俺に向けた人差し指が、鼻に当たりそうな位近かった。

 

「本来ならわたくしの様な選ばれし人間とは、クラスを同じすることだけでも奇跡……幸運なのよ。その現実をもう少し理解していただける?」

 

「へぇ~、まあ俺にはどうでもいいや」

 

「な、なんですって!?」

 

セシリアは俺の机を思いっきり叩く。

 

「別に俺はそんなことして貰わなくてもいいし。大体、そっちから勝手に声をかけて来ただろ?」

 

「わたくしの優しさを無駄にするのですか!?」

 

「ああ、必要ないから」

 

俺はセシリアにきっぱり言う。すると、セシリアはわなわなと震えだす。

 

「よ、よくもまあそんな事が言えますわね!?大体あなたって言う人は!」

 

キーンコーンカーンコーン。

 

「っ……!後で覚えてらっしゃい!逃げるんじゃなくってよ!?」

 

「誰も逃げねえのに……」

 

むしろここから逃げる奴がいたら凄いと思うぞ。ほぼ確実に千冬姉に捕まると思うが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではこの時間は実習で使用する各種装備の特性について説明する」

 

一、二時間目とは違って山田先生ではなく千冬姉が教壇に立っている。よっぽど大事なことなのか山田先生までノートを手に持っていた。

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗試合に出る代表者を決めなくてはいけないな」

 

ふと、思い出したかのように千冬姉言う。

 

「クラス代表とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点でたいした差はないが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更はないからそのつもりで」

 

ざわざわと教室が色めき立つ。まあ俺には関係ないだろうと思っていた。クラス長と言うんだから面倒に違いないな。なった奴は大変だな。

 

「はいっ。織斑君を推薦します!」

 

……はい?あ、そっか。千冬姉のことか!そうだよな、織斑って名前の人って千冬姉しかいない――――ってんなわけあるか!

 

「私もそれがいいと思います!」

 

ちょ、みんな!待て!落ち着け!

 

「ま、待てくれ!俺かよ!?」

 

つい思わず机から立ってしまった。だが、千冬姉は俺のことなんか無視しているのか話を続ける。

 

「他にいないのか?いないならこの馬鹿で決定になるぞ」

 

「待ってくれ!俺はそんなものになる気は――――」

 

「自薦他薦は問わないが他薦されたものには拒否権など無い。諦めろ」

 

うわー。相変わらず横暴な発言だな。

 

「で、でも――――」

 

反論を続けようとすると後ろの席から甲高い声が遮った。

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

バンッと叩いて立ち上がったのは、あのセシリア・オルコットだった。うわ、さっきの子か。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

なら何でさっき挙手をしなかったんだよ……。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!私はこのような島国までIS技術の修練に来ているのであってサーカスをする気は毛頭ありませんわ!」

 

ずいぶんと酷い言いようだな。日本とイギリスはそんなに変わんだろ。

 

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしだけですわ!」

 

興奮冷めやらぬ―――というか、ますますエンジンが暖まってきたセシリアは怒涛の剣幕で言葉を荒げる。

 

「ましてやこんな『日本』なんてくだらないところに何故、わたくしが来なくてはならないのですか!こんな馬鹿げた国に――――」

 

バンッ!!

 

「――――『日本』が何だって?」

 

教室にいる全員がものすごい音が出た場所に目を向ける。すると、エリスが怒気を含んだ視線をセシリアに向ける。机を叩いたと思われる手から血が床に降り落ちていく。叩かれた場所はひびが入っており机としての機能を失っていた。

 

「……お前らはいつもそうだ。力を手に入れたら簡単に人を見下し、奴隷のような扱いをする。そんなことだからこんな世界になってしまったんだ」

 

「あ、あなた何を言って……」

 

「ISなんて物ができなければよかったのに……。そうすれば私の家族は――――」

 

――――死なずに済んだのに。

 

エリスは机を叩いた手をさらに強く握り締める。そのせいでエリスの床の周りには血の海に変わろうとしていた。唇をきゅっと噛み締め必死に怒りに堪える。少ししてから深呼吸をし千冬に告げる。

 

「私もそこのイギリス野郎と同じく自薦したいと思います」

 

エリスが言うと周りのクラスメイトがざわめきだす。

 

「……一応、自推する理由を聞いておこう」

 

「はい、あいつにISの何たるかを教えてあげようと思いまして」

 

エリスがそう言うとセシリアは若干びびった様子を見せながらも言ってくる。

 

「ふ、ふん!いいでしょう。なら、あなたにISが何たるかを教えてもらいましょうか」

 

「ええ、言われなくても」

 

「ハンデはいりますか?」

 

セシリアはエリスがISの初心者だと思いハンデの提案を持ちかける。すると、千冬がセシリアに警告する。

 

「……オルコット。これだけは伝えておく」

 

「は、はい?何でしょう?」

 

「―――死ぬなよ」

 

「……え?」

 

セシリアは千冬の言ったことが理解できずにいる。それはセシリアだけではなくクラス全員が思ったことだった。

 

「千冬姉。それってどういう意味なんだよ」

 

一夏が千冬に問いかけるがただ口を閉ざすばかりである。一夏はエリスの方に視線を向けると先程と変わらずセシリアのことを見続けている。

 

「……後悔させてやる。ISに乗ったことを一生―――」

 

それはいつも兄を困らせるエリスではなく獲物を狩ろうとしている狼と同じであった。

 

そして、これから一週間後に行われる戦いで分かるのであった。

 

 

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