The music of mind for twintail . 作:紅鮭
しかし、不協和音とは不快な音ではなく濁った音のことであり、不快な音は『カコフォニー』と呼ばれるのである。
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「「「ぎゃーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」」」
キャッスルドランのいる亜空間でもネットやテレビは通じるらしい。
昨日の戦いが大々的に報じられ、マルシル、ラモン、
「はははっ!『顔面テイルブルー』だって!はははははっ!!」
「た、たしかにこんな凹凸のない身体で、こんなレッドより不面積が少ない衣装じゃあ……はははははっ!」
「この『ToR』って人、中々ギャグセンスいいじゃ~ん」
「笑える」
四人が見ていたのは新しいツインテール戦士──テイルブルーに関するスレ。
もし本人がその場にいたら万死に値するような光景かもしれない。
キバットも新聞を見ていたが、少し納得のいかない様な顔をしていた。
「どうして俺様がペット扱いなんだよ!俺はテナーの相棒だぞ!」
どうもキバットは記事によると自分はテイルファングのペットだと思われているらしく、その事について若干不満を覚えている様子だった。
「全くお気楽な奴らだ。それにテナー、お前も地形を変えるほど暴れることないだろうに」
「まぁ、あれはやりすぎたと私も思う。だが早朝から観光スポットとして大勢の人集りができているようだし、あれはあれで今後いい名所になると思うぞ」
「全く…」
次狼もテナーの軽率な行動に呆れ果て、当の本人も自分の短絡的な行為に反省しているみたいだった。
そんな中、ソファーにもたれかかっている響輔はというと「ぶすー」と少しふてくされていた。
「どうしたの?響輔おにいちゃん」
「ご機嫌、斜め」
「実はね───」
ラモンと力が心配する中今朝、響輔と何があったのかヴェディが代わりに説明し始めた。
□■□■□■□回想■□■□■□■□■
「なんだよこれえええええええええええええええええええ!!」
『仕方ない!貴様と私で二人分の消費量なのだからな』
「嘘つけ!この身体は元々君のだろ!君が食い意地張っているだけだろ!!──ああ!僕の楽しみに取っていた名店の羊羹まで食べて!」
「ヨウカンというのか、その黒光りする菓子。中々美味だったぞ。それにしても菓子もそうだが、
「話聞いている!?ねぇ?」
キバの鎧は装着者の体型に合わせて変形展開するのだが、年頃の女性からしてみれば体重は死活問題であり、テナーは細身だが太りやすい体質の為特に体型維持に細心の注意を払っている。だがそんな事より響輔は自分の楽しみにしていた大好物の和菓子に加えて、買い溜めいていた大量のカップ麺にスナック菓子を食べられて憤慨した。
□■□■□■回想終了□■□■□■□■
「つまりおやつを食べられて怒っているってワケかな?」
「あまりにもくだらんが、テナーが悪いな」
「何ッ!?私が悪いのか!?」
テナーは自分が攻められるとは思ってもいなかったのか、マルシルや次狼の言葉に動揺する。
「人のものを勝手に食べるなんて泥棒と同じじゃねぇか?」
「うん、テナー、が悪、い」
「テナおねえちゃん、謝んなよー」
「テナー、謝っちゃいなよー」
他の者も便乗してテナーを責め立てる。
「まあその響輔君。あんまり目くじらを立てないでおくれ」
不機嫌な響輔を見かねてマルシルが弁明してきた。
「私が説明するとだね。響輔君の精神を内に宿しているお陰でテナーはヘリオスの食料を大量に摂取しなきゃならないんだ。加えて、鎧や
「そういうことを言ってるんじゃなくて……!」
「ではどのようなことだ?」
「もううんざりなの!!君たちのおかげで僕の生活はめちゃくちゃだーっ!!」
今までの鬱憤をぶちまけるかのようにその大広間に響輔の叫びが木霊する。
「僕の予定を無視したり、僕の頭の中で話しかけたり……これじゃまるで変な人じゃないか!」
「わりぃな響輔。俺らもお前の生活を第一に考えてるんだ」
と、キバットがなだめる。
「じゃあ、これからはキャッスルドラン以外ではずっと僕の体のままでいてちょうだい」
「待て!そんな事できるか!!奴らとと戦えなくなってしまう──よもや貴様、戦う時のみ私をこき使おうというのか?それこそ、そんな勝手許さんぞ!」
「何言ってんの!僕の身体を壊した君が悪いんじゃないか!!テイルブルーとも勝手に戦ったりして」
「そ、それは……」
響輔の提案に異議を唱えるテナーだが、責任感の強いテナーは響輔の糾弾に言葉を詰まらせる。
「たしかに響輔の言い分も最もだ」
「次狼!」
同意したのは次狼だった。
「はじめ約束した通り、響輔には響輔の生活を営む権利がある。戦いに巻き込むのはあまりよくない」
「おい待て、だからっと言って──」
「さすが次狼さん、話が分かる。よし!これで決まりだね」
「何も決まっていない!」
異議を申し立てるテナー。
「だがな、紅響輔。お前はテナーにもっと心を開け。お前はこれから否が応でもテナーと二心同体の生活を送らねばならんのだ。アルティメギルのエレメリアンはこれから強い奴が必ず来る。お前の心とテナーの心、互いが共存出来なければテナーは本来の力を出せず、いずれ勝てなくなる」
ここでマルシルも口を挟んできた。
「これから響輔君の
「でも、マルシルさんの仮定が正しいかどうかもわからないですし、それに…」
「それに?」
「──不安なんです」
「何だと?私がそれほどまで頼りないのか?」
響輔の言葉に反応したのはテナー。自分が頼りないと言われたと思い、静かにいきり立つ。
「そうじゃなくて──テナー、君は僕に何か隠していることない?」
その言葉を聞くと同時にテナーだけではなく他のメンバーにも緊張が走る。
心の音色にも乱れが生じ、それが響輔に確たる懐疑心が生ずる。
「どうして君や皆はこの世界のために戦っているの?これは僕たち人間とアルティメギルとの戦いで君たち
「だろうな」
そこに関してはテナーは肯定する。
「僕の命を助けてくれたことには感謝してる。でも、戦うこととは話が別だ。戦う理由がわかっていない人たちと戦う事なんてできないよ」
「…………」
テナーはしばらく黙った後、口を開く。
「今はまだ言えない。だが時が来たら必ず訳を話す。だから──」
「もういい!それじゃ僕は学校に行くね」
テナーの話を途中で中断し、憤慨した響輔はテナーの身体に入り、キャスルドランから出て行ってしまった。
あとに残されたメンバーは一言も言葉を発せず、そんな響輔の後ろ姿を黙って見ていた。
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その頃、アルティメギル基地では──
一体のエレメリアンが自室でパソコンを操作し、ある作業をしていた。
それはテイルファングの画像解析だ。
昨日ようやく再登場し、テイルレッドと共闘、フォックスギルディとテイルブルーを相手にした事はもちろんアルティギルの情報にも入ってきている。
しかし、テイルレッドより年上、深紅のツインテール、冷徹な美貌ぐらいしか情報がなく、まだ全貌がわかりきっていない彼女にエレメリアンの皆は彼女に対する
これでは戦闘前の士気に関わると危惧し、アルティメギルの隊長──ドラグギルディはあるエレメリアンを本部からよこすように進言した。
それからしばらく経って一人のエレメリアンがドラグギルディの元へ遣わされてきた。
「どうだ?進捗状況は?」
「ところどころピンボケに砂嵐、これは故意に自分の正体が公になることを阻害しているねえ。何か特別な装置が働いているよ」
「つまり?」
「これは『この世界』の技術じゃ見られないものだ。もしかしてドラグギルディ、『前の世界』での生き残りが関わっている可能性が高いかも……」
「やはりな。あの戦士にはテイルブルーと違い下品な乳があって思い出すのに時間がかかったが、あの装備には少し見覚えがあった──だが、問題はそこではない。テイルファングの画像解析はできるのか?我が部下達も痺れを切らしている。このままでは士気どころか、テイルレッド組とテイルファング組に分かれての内部分裂にまで発展しかねん。だが、かつて“例の部隊”に所属し、“
「結論から言って……この画像解析は難しいかも知れないね~、悔しいけど。でも、これだけの情報があるならそれらを照らして、モンタージュで等身大の蝋人形が作れるよ」
「本当か!?」
「僕のフィギュア制作技術に関しては──ドラグギルディ、エレメリアンの中でも折り紙付きなことはわかっているでしょ?」
そのエレメリアンはテイルファングの画像ファイルを開いていると奇妙な一枚を見つけた。
フードにツインテールを通した少女の写真。
「おや、これは?」
「それは甲冑を装着する直前のテイルファングの画像だ。その少女に関しても全く情報はない」
「……なるほど、ありがとう。作業を進めたいから、そろそろ席を外してもらえない?ドラグギルディ、蝋人形はアンタ出撃前にできるよ」
隊長であるドラグギルディに対して
ドラグギルディが出て行ったのを見計らうともう一度さっきの少女──テナーの画像を開く。
「へぇ、まさかあんたがこんな辺境の地にいるとはねぇ……
──ヴァンパイアギルディ……隊長」
そのエレメリアンは漆黒の西洋甲冑の姿にフード付きのマント、その内側にある顔にはいわゆる輪郭というものが存在しない。眼球もない、耳もない、鼻もない、口もない、あるのはただ黒い闇。
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登校しながら響輔は今後どうするか考えていた。
そんな中フォックスギルディの言葉が今でも頭に残る。
『あなたのその冷徹な仮面の下には“何か”が隠されていることに』
テナーはなぜこの世界で戦うことを決めたのか?
それを訊いてもテナーは茶を濁し、次狼たちはテナーから聞き出せと取り繕ってくれない。
真意を確かめようとしてもテナーと一体となっている自分にはテナーの心の音楽が聞き取れない。
次狼たちは聴こえるものの悪意がないのは確かである。
正直戦う理由が明確になっていない者に背中は預けられない。
ふと見ると前方には総二と愛香がいた。
何やら総二が愛香に頭を下げているみたいだった。
「さっきは悪かったって……」
「ふんっ、後で何か奢んなさいよ」
「総二君、愛香さん、おはよう!」
そんな二人に響輔は後ろから挨拶する。
「お!響輔」
「響輔、おはよう」
「今日のニュース見た?」
「今日のニュース?」
「ほら、テイルファングがまた現れたって」
「ああ、知ってる知ってる!」
「総二君、テイルファング好きだからどうかな?と思って」
テイルファング──テナーの話題を出すのは気が向かなかったが、友達の総二がどのように思っている方が気になるので響輔は訊いてみた。
「え?まあ、俺的には…うれしいけど、そのー…──」
「?」
総二は歯切れ悪くチラチラと愛香の様子を見ているのに気が付き、響輔も愛香の方を見やると、まるで射殺すみたいに総二に睨みをきかせてくれていた。
「愛香さんどうしたの?」
「悪い響輔、この話題はまた今度」
「え?う、うん」
小声で訳を聞こうとするも突然総二が話を切り上げ、響輔は何故愛香が不機嫌なのかまるで見当がつかなかった。
「そういえば、何かツインテールの女子生徒が多くないか?」
「言われてみれば…そうだね」
「女の子ばかり見て…」
さらに機嫌を悪くし、ジト目で総二を見る愛香。
「いや、気掛かりなんだ。ツインテールにする子が増えている気がして…」
「テイルレッドとテイルファングが原因だと思うよ。それと、愛香さん──今何か焦っていない?」
「え?何で!?」
ドキリと動揺を隠しきれてない愛香。
「焦る?どうして?」
総二も不思議そうに尋ねた。
「あ、いや、そんな感じがして…違ったならごめんなさい」
「……何でもないわよ。ただ、このツインテールは私のトレードマークみたいなものだから…その…」
今度は愛香が総二にチラチラと視線を向けている。
「(ああ、なるほど…)」
愛香から流れる熱い音色を聴きながら響輔は何となく察した。
意識しているのかしてないのか、愛香は総二にさっきから髪を弄られて嫌な顔一つしていない。
二人は心を許している間柄なんだなと、愛香の甘酸っぱい音楽を聴き、すこし羨ましく感じた。
「そういや神童会長も最近ツインテールにしたのかな?」
「何でいきなり会長の話になるのよ!?」
「(総二君、空気読め)」
「いやだって、あんなすごいツインテールの人なら中学の時とか絶対気づいていたはずだしさ」
「会長は高等部からの編入なんだって。それなのに、半年足らずで学園の顔になったみたいよ」
「へ〜」
「ちなみに僕もこの間引っ越してきて、高等部編入だよ」
「そうなんですか?でもどうでしょう。すごくいい人に限って、意外に腹黒いんですよ。あのツインテールだって、あざといっていうか狙っているっていうか。幼い肢体は私好みですが」
「あざといって何だよ、好かれるために狙ってツインテールにする人がいるってのか?」
「そそそそそそそそそそそそそそそそそそそそそんな事あるわけないでしょ!!」
「(総二君、察してあげなよ)」
「プププー、ほっぺだけテイルレッドですよ、愛香さん」
ん?と、三人は同時に足を止めた。
響輔は驚いたみたいに顔を新たに声がする方に向ける。
「失礼します。どなたでしょうか?」
響輔が尋ねる。
「はじめまして。私、観束トゥアールと申します」
「観束?」
「はい、総二様の少し離れた親戚です」
「は、はあ、これはどうもご丁寧に…僕は紅響輔です」
「総二様のご友人の響輔さんですね。よろしくお願いします」
「いやあ、意外だな~。総二君にこんな可愛い親戚がいたなんて──外国の人だよね?日本語うまいね」
「いえいえ、それより本日私も総二様のクラスに編入しますので、響輔さんにはラブコメの主人公の周りにいる影の薄い男友達みたいにクラスの方々に『今日このクラス女子が転入してくるみたいだよ』と噂を流し、私がクラスに入ってきた時、『あ!あなたはあの時の!』と噛ませっぽいセリフを言って下さい。私は先生の指示も聞かず総二様の隣の席に座って、『これから学校でも一緒ですね総二様♡』と言います。するとクラスのモブの男子たちは『あ、あいつあの子とどういう関係だー!?』と言い始めますので…──」
「家に帰れ、犬畜生が────っ!!」
当たり前のように制服を着て、登校風景に溶け込んでいたトゥアールを愛香は思いっきり蹴っ飛ばした。
ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……!と叫びがドップラー効果で遠ざかる。
「二人共、今の女の人は?」
「響輔、あいつのことは忘れなさい」
「ふ~ん………………」
愛香は極力響輔と関わらせないようにしていたが、響輔あの少女の事が気になっていた。正確にはその心の音楽が。
「(彼女の音楽は流れている筈なのに、タチェットみたいに無音だった。五線譜も見えたけど彼女には音符が見えない)」
響輔はツインテールを取られた人を見ている。
その人は音楽、楽譜が消えている筈なのに五線譜のみ消えていなかった。
彼女は何者だったんだ?
「おはよう!よい朝ですわね」
突然弾んだ声が後ろから聞こえた。
噂をすればなんとやら、満面笑みの神童会長がそこにいた。
「おはようございます神童会長」
「おはよう会長、なんか機嫌いいですね」
「ええ、テイルファングが再び現れてすごく嬉しいんです。しかも今度は二人で協力してエレメリアンを倒したのが王道っぽくて熱くって……」
あー、やっぱりその話題出しちゃう?と思った矢先、不機嫌オーラ全開な愛香が隣にいた。
「それと、テイルブルーなのですが──……」
今度はテイルブルーの話題が出ようとした時、総二の顔色が悪化した。
愛香の機嫌もさらに悪くなる。
もしかして愛香さん────
「あまり、悪い人じゃないという感じでしたわ」
「え?」
「TVやネットのニュースでアレコレ悪い印象に捉えがちですけれども、何でか悪い人じゃない気がしましたの。なんの確証もないただの勘なのですけれど……」
それを聞いて愛香は一転、あなた分かってるじゃない!と目を輝かせ、擦り寄っていく。
「総二君」
「ん?」
「もしかして愛香さんてテイルブルーのファンなの?」
「え?」
「だって、あの喜びよう…」
「えっと…まあ、そんなところかな?あいつもあいつで苦労してるんだよ」
「まだテイルファングとの仲は険悪みたいですが、いずれ分かり合える日が来ますわ」
「……うん、そうですね」
響輔は愛香の心に何か罪悪感的なものが刺さるのを感じ取ったが、気のせいだろうと気に留めなかった。
「会長は本当にツインテイルズを応援しているんですね」
ツインテイルズとはテイルレッドとテイルファングをまとめて世間ではこう呼ばれている──テイルブルーは察してください。
「この歳で変だと思うかもしれませんが…わたくし、ヒーローに憧れていますの。未だに子供向けの特撮番組を見たり、おもちゃも買ったり」
「そうなんだ」
「意外ですね」
「あの日もメイド達の目を盗んで足を運んだヒーローイベントで襲われてしまいましたの──だから、運命を感じていますのよ。テイルレッドとテイルファングに助けられた事に」
「運命ね…」
となりで総二がポツリと呟くと、真剣な眼差しで告げる。
「会長、きっとテイルレッドも、ファングも、ブルーも、会長みたいに応援してくれている人がいることを本当にありがたいと思っている。心の支えになっているはずだよ」
総二の言葉を聞いて響輔は少しばかりの感動を覚えた。
「そうかもしれないね。一人でも支えになってくれる人がいるのと、いないのとじゃあ……違うと思うよ」
テナーが何のために戦うのか、それはまだわからない。でも、人の
『お前はテナーにもっと心を開け。お前はこれから否が応でもテナーと二心同体の生活を送らねばならんのだ。アルティメギルのエレメリアンはこれから強い奴が必ず来る。お前の心とテナーの心、互いが共存出来なければテナーは本来の力を出せず、いずれ勝てなくなる』
次狼の言っていた事を思い出した。
──この世界の人間でテイルファングの正体を知る者として、彼女の力になって上げて欲しい。
暗にそんな意味で口にしていたかもしれない。
「ありがとう。確か、ふたりは……一年A組の観束総二君と紅響輔君──でしたか?」
「ッ!どうして僕達の名前を…?」
「いやですわ、生徒会長として全校生徒の名前と顔はすべて暗記していますのよ。それではまた学校で」
ニッコリと屈託のない笑みを浮かべて、先を急ぐ会長。
しばし見送ったあと響輔たちも急ぐ。
「じゃあ、僕たちも行こうか」
と足を運ぼうとした矢先、校門前でテイルレッドとテイルファングのファンと思わしき連中の
「あ、テイルレッドが俺にほほ笑みかけてくれた」
「ふん、いつまでも次元の低いことを……。俺なんて、トランクスにテイルレッドを念転写してきたぜ!」
「ああ、ファングお姐様。あなたはいつ私を迎えに来てくださるの?」
「その鋭い爪の生えた両腕で私を抱いて♡お姐さま」
「てめぇ!レッドのbot作っただろ!俺が先に作ったんだぞ」
「うるせえ!俺の方がフォロー数多いいんだぞ!第一、もう世界中で三千アカウントぐらいテイルレッド・テイルファングのbotは出来てるんだよ!今更だろ!」
「うん!わかった!それじゃあ、放課後一緒に映画館行こうねテイルレッドちゃん♡」
「もう、ファングお姐様ったら……ふふふふっ♡」
何だこのカコフォニーみたいな妄想集団は?
男子生徒はテイルレッド、女子生徒はテイルファングに対しての妄想を膨らましていた。
今テナーは眠っているが、当の本人がこの光景を目の当たりにしたら──僕なら遺書を残して自殺を図るね。
僕がとなりを見ると、総二君が泣いていた。
総二君、君もツインテイルズが不憫でたまらないんだね。
確かに、テナーや総二君にも心の支えが必要かもしれない。
いざとなったら僕が味方してあげなきゃ。
決意を新たに学校へ向かう響輔であった。
テイルレッド、テイルブルーの本人がいることにも気づかないで──。
早く一巻終わらせたい。
デュラハンギルディは他の二次創作でも登場しましたが、これは別個体だと思ってください。
次回、一巻のクライマックスにしようかな?