耀の出番全然出せなかったので今回はまあまあだす。
それよりもグリフォンの速度がわかんないんですけど。
白夜叉は彼らに問う
「さぁ、どうする?挑戦か、決闘か」
三人は冷や汗を流しながら、この現状を打開しようと考えを巡らせた。
そんな静寂の中、最初に口を開いたの十六夜だった。
「参った。降参だ白夜叉。こんな演出されたんだ。あんたには俺を試すだけの資格がある。『今回だけ』は素直に試されてやるぜ。」
「フフフっ……そうかの。して、残った小娘達はどうする?」
可愛らしい意地の張り方に笑みをこぼしながら、二人に問う
「……わかったわ。私も試されてあげる。」
「……右に同じ。」
「そうかそうか。最後におんしは?」
そう言ってエミヤを見る白夜叉。
「む?私か?…私はそもそも無用な争いは避ける主義なのだけど。…まあこの流れだ。興は乗らないけどその試練、受けようじゃないか。」
巻き込まれた感じになったが、エミヤも試練を受けることを決めた。
一連のやり取りをハラハラと見ていた黒ウサギは、ここでようやく心を落ち着かせ、十六夜達に文句を告げる。
「もうっ!お互い相手を選んでくださいませ!"階層支配者"に喧嘩を売る新人と、それを買う"支配者"なんて冗談にしてもやりすぎです!!
それに白夜叉様が魔王だったのは何千年も昔の話じゃないですか!」
「なんだよ。元魔王様だったってことか?」
「そう言うなよ黒ウサギ。私も遊びには飢えていたのだ。」
そう白夜叉が笑っていると。
彼方にある山脈から甲高い鳴き声が聞こえた。獣とも、鳥とも思わせる声に反応したのは、耀だった。
「今の鳴き声。初めて聞いた。」
「あやつか。…おんしらを試すにはちょうど良いかの。」
そう言って、パンッと言う手拍子を白夜叉が行った瞬間。目の前に体調五メートルはありそうな、半身が鷲で獅子の手足をもった獣が、一瞬にして現れた。
「グリフォン!!」
耀は何時になく興奮して、その存在の正面に移動しグリフォンを食い入るように眺める。
「さて、早速始めるかの。」
そう白夜叉が宣言すると白い羊皮紙が彼らの前に落ちてきた。
『ギフトゲーム名 "鷲獅子の手綱"
プレイヤー側
逆廻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
エミヤ・リン・トオサカ
・クリア条件
グリフォンの背に跨がり、湖畔を舞う
・クリア方法
"力" "知恵" "勇気" のいずれかでグリフォンに認められる。
・敗北条件
プレイヤーが降参、もしくは上記を満たせなくなった場合
宣誓 誇りと御旗と主催者の名の下にギフトゲームを開催します。
"サウザンドアイズ"印
「私がやる」
耀は真っ直ぐ綺麗に挙手したのだった。
『お、お嬢大丈夫か?なんや獅子の旦那より遥かに怖そうや…』
三毛猫がにゃーにゃー言う。
「大丈夫問題ない」
キラキラとした瞳でグリフォンを見続ける耀。それを見た三人は耀にこの場を譲った。
「失敗しても骨は拾ってやるよ、春日部。」
「何事も挑戦だ。そう気負うことはないさ。」
「頑張って」
残った三人は各々エールを送る。
そうして耀を残し少し離れる。
「初めまして。私、春日部耀です。」
『!?』
耀の言葉に反応したグリフォンはその顔に、驚愕の表情を張り付ける。
その顔を見ながら耀は彼に提案する。
「貴女が私を背に乗せて、誇りを賭けて勝負をしませんか?
内容は、あそこの山まで私を背負ったまま往復してここまで帰って来る。それにまでに貴女が私を振るい落としたら貴方の勝ち。帰ってこれたら私の勝ち。」
そう言って、遠くにある山脈の内、こちらから見える手前の山に指を指す。
『……ほう。勝負の内容は構わない。だが、お前は誇りを賭けるといった。少女1人落とせないのでは私の誇りは失墜する。それと同等の誇りにお前は何を賭ける?』
「命を」
そう宣言した。
その言葉を聞き、グリフォンは耀の瞳を見つめる。
そしてグリフォンはその言葉を受け止めた。
『いいだろう少女よ!その覚悟見せてもらうぞ!』
そして耀とグリフォンの誇りを賭けたゲームが始まった。
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耀がグリフォンに跨がり空を駆けてすぐ、影も形も見えなくなった。
「さて、どうなるかの。」
「うう、心配です……」
「春日部もああ見えてギフト持ちなんだろ?なら、何かしら手は打ってるさ。」
「そうだと良いのだけど…」
「そう心配しないで、黒ウサギ、飛鳥。今のところ寒そうにしているけれど、かなり余裕を保ってるよ。」
励ましを送るエミヤ、それに待ったをかける十六夜と白夜叉。
「まてお姫様。もしかして見えてるのか!?」
「そうだけど、なにか?」
「なにか?じゃないぞおんし。ここからあの山までどれぐらいあると思ってる?」
「大体30㎞程度ね。そんなことより、もう折り返してる。」
エミヤの眼には、グリフォンがスタートの倍以上の速度で、上下左右に耀を振り落とそうとする光景が見えていた。
その速度はマッハ3と同等。氷点下の温度とも合わさって、体感温度は計り知れない。
そしてどんどん距離を詰め、グリフォンは戻ってきた。
それを認識したグリフォンは諦めと共にゲームに耐えきった耀に労いの言葉をかける。
『喜べ娘よ。』
そう言って振り向いた瞬間。耀は手綱を離し落下していた。
しかし、すぐに足で空気を踏みしめ、空を歩いた。全員が絶句してその光景を見る。
耀はそんなエミヤ達の目の前で着地すると、
「ブイ。」
指でVの字を作り此方に宣言した。
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「いやはや大したものだ。まさか友となった者のギフトを手に入れるとは。しかし、そのギフトは先天性の物か?」
「違う。父さんが作った木彫りのおかげ。」
「ほほう。それは面白そうじゃの。見せてもらえぬか?」
耀は頷き、白夜叉にその木彫りのペンダントを渡す。
十六夜達も横からそれを覗きこんだ。
「複雑な模様ね。」
「意味は昔教えて貰ったんだけど忘れちゃったの。」
そんな飛鳥と耀を尻目に、他の面々は神妙な顔をしてそれらを鑑定、解析している。
「この中心を目指す幾何学線……そして中心の円の空白。耀さん、お父様の知り合いには生物学者が?」
「うん。私の母さんがそうだった。」
「この図形は系統樹を表してるのか白夜叉?」
「おそらくの……いやはやこれは凄い!おんしの父は希代の大天才だ!!まさか人の手で独自に系統樹として確立させ、それをギフト化してしまうとは!!
これは正真正銘"生命の目録"と言っても過言ではない一品だ!!」
興奮覚めやまぬ白夜叉に、耀は疑問をぶつける。
「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ?でも母さんの作った系統樹の図はもっと樹の形をしてたと思うけど。」
「うむ。それはおんしの父が表現したいモノのセンスが成す業よ。この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表したもの。
再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化遂げて進む円の中心、即ち世界の中心を目指して進む様を示しておる。
中心が空白なのは、流転する世界の中心だからか、はたまた生命の完成が未だに視えぬからか、それともこの作品そのものが未完成だからか。
ーーーーうぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されたぞ!実にアーティスティックだ!おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」
「ダメ」
拒絶の意を示す耀。それを聞き残念そうに白夜叉。
「で、結局どういったギフトなんだ?」
そう十六夜が呟くと、隣のエミヤが説明した。
「私も解析していたが何しろ物が物な上に専門外だったのでな。
わかることは、動物と話せること。友となったギフトを貰うこと。それらを重ね合わせ独自の系統樹を創造することができるといった具合だな。」
「へぇー。…なんだお姫様。鑑定のギフトかなんかもってるのか?」
「いや、鑑定と言うより解析だな。それにコレはギフトじゃない。」
それを聞いていた黒ウサギは思い出したように白夜叉に語りかける。
「そうでした!白夜叉様、今日は鑑定をお願いしにやって来たのです!」
それを聞いて明らかに嫌そうな顔をする白夜叉。
「よりにもよって鑑定か。専門外どころか無関係も良いところなのだがの。」
そう言って白夜叉は四人を観察する。
「どれどれ……うむ。四人とも素養が高いのはわかったが何とも言えん。おんしらはどの程度把握している?」
「企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「異議無し」
「うおおおぉい!?確かに対戦相手だった者にギフトを教えるのは気が引けるのかもしれんが、話が進まんだろ。」
「人に値札貼られるのは趣味じゃないんでな。」
「私は大体の力は把握しているし、起源もわかってる。今さらリスクを侵して自分の能力を晒す気はないの。」
十六夜とエミヤの言葉に同意する後の二人
困った白夜叉だがピンッと妙案が浮かんだ。
「ふむ。試練をクリアした者達を只で追い返すのは主催者としての名折れ。贅沢だがコミュニティ復興の前祝いだ。」
白夜叉がパンパンと手を打つ。すると四人の前に光り輝くカードが一枚ずつ現れた。
コバルトブルーのカード
逆廻十六夜
ギフトネーム"
ワインレッドのカード
久遠飛鳥
ギフトネーム"威光"
パールエメラルドのカード
春日部耀
ギフトネーム"
"ノーフォーマー"
シルバーのカード
エミヤ・リン・トオサカ
ギフトネーム"
"抑止の契約"
"全て遠き理想郷"
"魂の器"
エミヤさんの視力は鷹の目と魔術で強化されたご都合主義です。
今作品のエミヤさんのイメージカラーは紅と銀です。
アチャ子と言えば銀かと。赤銅色は似合わん。