体は剣で出来ている(下ネタ)は書くの止めた。
エミヤがレティシアとお風呂に入り、泡で埋まるレティシアを助けだし、お風呂から出てレティシアと一緒にin the bedした翌朝。
エミヤと、特に潰されることなく安眠できたレティシアは、お互い起床の挨拶をして起きる。
エミヤの姿は、お風呂から出た時に置かれていた下着と、白のノースリーブに赤のショートパンツと言ったラフな格好であった。
女性物の下着を着る時、特に抵抗なく着れたのは身体のおかげか。はたまた磨耗した記憶が疼く、凛と金髪の女の子の顔のせいなのか。
レティシアはエミヤが即席で作った服を着ていたが、今は赤のジャケットに黒のYシャツをネクタイで締め、白のスカートを履いていた。
つまり昨日と同じ格好なのだが、彼女の服には自動洗浄効果と持ち主の身長にあわせて伸縮するギフトが付いているためだからだった。
身仕度を整えた二人は、胸ポケットの中に入ったレティシアの案内のもと、一番大きな談話室に入った。
中には十六夜と、ジンが二人で何か話しているところだった。
「おう、お姫様。おはよう」
「お、おはようございますエミヤさん」
エミヤの存在に気づいた十六夜と、若干エミヤに苦手意識があるジンは挨拶した。
「ああ、おはよう。二人は何の話をしていたんだ?」
「んー……まあ今日のゲームに向けてコイツにアドバイスしてたのさ。それとお姫様……俺は今回、コイツらが負けたらコミュニティから脱退する事にしたからソコんとこ宜しく。」
「そうか。妥当な判断だね。十六夜は"ノーネーム"にいても得られるのは"箱庭の貴族"と白夜叉の後ろ盾のみ。…………まあ、正直言うと君はこういう崖っぷちな展開が好みだと思ってたんだけどね。宛が外れたかな?」
「いや、合ってるぜ。ただ、俺以外まともにギフトゲームに勝てないコミュニティじゃあ、上には上がれない。
"俺の足元並み"の実力があれば文句は無いんだがな……。そうだ、お姫様。お前も一緒に出よーぜ!」
「十六夜さん!?」
エミヤと十六夜の会話を黙って聞いていたジンだが、あまりに身勝手な十六夜の発言に流石に横槍を入れた。
「なんだおチビ様。言っとくが、これは冗談じゃねーぞ。………チラホラとお姫様の力を観察していたが、コイツは底辺で埋もれて良い存在じゃない。お姫様のためを思うんだったら、ここはお前が引くべきだ。それに俺がまだお姫様の全力を観ていない!!」
「……絶対最後が目的だよね。……まあ、ステキなお誘いではあるよ。十六夜という戦力が消えて、現実不可能な目標を目指して皆が死ぬぐらいなら、"サウザンドアイズ"幹部である白夜叉の庇護かに入って君達を支援するぐらいの方がちょうど良いだろうし………実際、私は彼女に誘われているしね。」
そう言ったエミヤに絶望を感じて青ざめるジンだったが、
「だけど。……私は黒ウサギに恩があるし、ノーネームの一人と密接な関係を築いた手前、それは出来ないよ。
私は自分の命と親友なら命を捨てられるようなバカだから。すまないね十六夜。」
その言葉を聞いて彼は安心するのだった。
十六夜は口を尖らせて残念そうに呟く。
「じゃあ、しょうがねーか。その親友とやらも一緒にお姫様を拉致るだけにしとくぜ。」
「やめてください!!」
朝の"ノーネーム"屋敷にてジンの悲鳴が響いた。
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その後、エミヤが子供達に紹介され、黒ウサギ達はゲームが行われる"フォレス・ガロ"を目指していた。
途中、ガルドにゲームを申し込んだ時に3人が知り合ったらしい"六本傷"の喫茶店の店員からエールを貰うなど合ったが無事相手の本拠門前に着いた。
そこの門は蔦で覆われていて、門の向こうに見える景色は深い森だった。
「……ジャングル?」
「虎の住むコミュニティだし、おかしくはないんじゃないか?」
「いや、おかしいです…“フォレス・ガロ”のコミュニティの本拠は普通の居住区画だったはずなのに…。それにこの木々は…」
ジンがそっと樹木に触れる。
樹木の表面が脈打ち、まるで生き物の鼓動のようですらある。
「やっぱり…“鬼化”している。いや、でもまさかーー」
「ジン君、ここに“契約書類”が貼ってあるわ」
鶴で覆われた門の柱に貼ってあった羊皮紙を見つける飛鳥。そこに書かれていたのは、
『ギフトゲーム名 “ハンティング”
・プレイヤー一覧
久遠 飛鳥
春日部 耀
ジン=ラッセル
・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐
・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約”によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具 ゲームテリトリーにて配置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。
“フォレス・ガロ”印』
「ふーん、指定武具ねぇ…」
「ガルドの身をクリア条件にーー指定武具で討伐!?」
「こ、これはまずいです!」
ジンと黒ウサギが悲鳴のような声をあげる。
「このゲーム、そんなに危険なの?」
「いえ、危険度はそれほどでは。問題なのは、このルールーーーー指定武具です。ルール上、飛鳥さんのギフトも耀さんのギフトも通じないということです」
「………どういうこと?」
「“恩恵”ではなく、“契約”によってその身を守っているのです。例え神格保持者であろうとも手は出せません。自分の命を勝利条件に組み込むことで、それ自体を自らを守るための鎧としたのです!」
そう言って説明する黒ウサギに、ジンは青ざめていた。
「………すいません、僕のせいです。はじめに“契約書類”を作った時にルールを決めておけばよかったのに……!」
エミヤに言われた事を思い出して、ジンは後悔する。そんな彼らを尻目に、エミヤは小声でレティシアと会話していた。
「さっきジンが鬼化しているとか言っていたけど、これはどうなっているの?」
「……すまない。彼らを試そうと思って私が、ガルドと森全体を吸血鬼化させたのだ……」
「そうか……。まあ、奴は犯罪者だったから良いけど。君は吸血行動が必要なの?」
「いや、私達"純潔の吸血鬼"は相手に"鬼化"のギフトを与える時に吸血行動をとる。基本的に食事は他の者と一緒だ。まあ、たまに主食が血と言う者も居るがな。」
「なるほど、箱庭の世界ではそれほど吸血鬼も危ない訳ではないのね。」
「そうだ。私達が昼間から外に出られるのも、箱庭全体に覆われている天幕のおかげだ。故に、私達は箱庭の安寧を守るための存在として、"箱庭の騎士"と呼ばれている。」
「そうか……」
そうやってエミヤがレティシアに質問している時でも、話は進む。
「敵さんは捨て身で五分に持ち込んだわけか。中々やるじゃねえか」
「気軽に言ってくれるわね…条件は厳しいわよ。指定武具がどんなものかも書かれていないし…このままでは厳しいかもしれないわ」
綺麗な顔を歪ませている飛鳥。自分が売った喧嘩だけに、彼女は責任を感じていた。
「だ、大丈夫ですよ!“契約書類”には『指定』武具と書かれています!最低でも何らかのヒントはあるハズです!もし無ければルール違反となり“フォレス・ガロ”敗北が決定!この黒ウサギがいる以上、反則は見逃しません!」
そう言って愛らしいステキ耳をピコピコさせる黒ウサギ。
「そうだね。別にもう負けが決まったわけでは無いのだから、そうマイナス方面に考えを持っていく必要も無いよ。」
そう言ってレティシアとの会話を終わらせたエミヤも、彼女達の会話に参加する。
「何よ。貴女が最初に難癖付けてきたんじゃない。」
そう言って噛みつく飛鳥だったがーーーー
「私が言ったのは最悪の条件で挑まれた時の話だよ。別に今回は命を賭けてる訳じゃない。なら、自分達が不利の状況で勝つ良い練習になる。そうプラスに考えていた方がいいよ。」
「……まあ、言いたいことはわかったわ。そもそも私達が負けるわけ無いのだから、そんな悲観にならなくてもよかったわね。」
黒ウサギとエミヤに諭されて強気に戻った。
それを見ていた耀も
「……私も大丈夫。黒ウサギとエミヤが励ましてくれた分は応えるつもり。」
そんな風に鼓舞し鼓舞される女性達を余所に、十六夜はジンに何か話しかけていた。
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3人が森の中に入っていくのを見守った残り組は、フォレス・ガロの門前で、森の奥を観察しながら結果を待っていた。
「暇だ……。」
「こればっかりはどうしようも無いので……」
「おい審判。お前、中に入れないのか?」
「黒ウサギのステキ耳は万能なので、半径一キロの情報を意識すれば判断できます。よって入ること無く中の情報を確認できるのです。」
えっへん。と可愛らしくその大きな胸を張る黒ウサギ。
それをひと通り観察すると、十六夜はエミヤに愚痴る矛先を向けた。
「お姫様ならその視力で中を確認できるんだろ?黒ウサギもそうだしなんかズルくねーか?」
「まあ、木がかなり邪魔だけど、私なら今も彼女達が見えてるよ。と言ってもただ歩いているだけだから面白味もないけどね。」
「ふーん。やっぱりそうなのか。つーかギフトに載ってなかったけど、お姫様の視力は人間辞めてるだろ。なんで何にも載らねーんだ?」
「いや、一応"魂の器"に入っているよ。ただコレは、私本来の動きやスキルを使えるようにするのが目的に作られているから、厳密には違うけどね。」
「"魂の器"、ね……」
何かを考えた十六夜は一度静かになった。
「そう言えば黒ウサギはまだお二方のギフトを詳しく知らないのですが、どう言ったものか聞いても宜しいですか?」
黒ウサギも暇なのだろう。黙っている二人に話を振った。
「あー…俺も今一よくわかって無い部分があるからな。
説明となるとなんとも言えん。」
「そうなのですか。…エミヤさんは?」
「まあ、私はわかってるよ。そうだね……"
「そうなんですか?………エミヤさんからは身体能力向上では利かない、私達と同じ力を感じるんですが?」
「へぇ…………その力ってのはどういった類いのモノなんだ?」
「そうですねぇ……何かこう英雄と呼ばれる人たちの霊格というか…その人たちに由来する物を感じるというか…」
「鋭いね黒ウサギ。撫でてあげる。」
そう言ってエミヤは黒ウサギに近付いて頭を撫でる。
ぶっちゃけ、さっきからピクピクと動く黒ウサギの耳が可愛くて仕方なかったのだ。
「エミヤさん!?あうぅ……」
顔を真っ赤にして大人しく撫でられる黒ウサギと、恍惚な顔で撫でるエミヤの図が暫く続いた。
絶対黒ウサギ可愛いよね。
ケモナーな私には黒ウサギを見ているだけで耐えられないだろうよ。