大分執筆に慣れてきたと思ってますが、2月後半になればもうちょい見やすくなると思うので、それまでこの書き方で我慢してください。
まあ自分でハードル上げといて結局変わらないオチな気がしますが。
写真撮影から三日後。“ノーネーム”のメンバーは敷地内の噴水前広場にいた。労働を担当する子供達を含め、その数は128人+1匹。数だけならば、ちょっとした中堅コミュニティになる。
「えー、それでは! 新たな同士を迎えた“ノーネーム”の歓迎会を始めたいと思います!」
黒ウサギの開始宣言に、子供達がワッと歓声を上げる。屋外に運び出された長テーブルには、ささやかな宴会料理が並んでいた。そんな離れた位置から、一人仏頂面で立っているエミヤにレティシアが近づいた。
「………………(不満顔)」
「どうしたのだエミヤ?そんな明らかに、私不満です、の顔をして。」
「ああ、レティシア……普段は子供達の仕事を奪ってはいけないと思い、家事を自制してるんだけどね……
……今回はお祝いと聞いて、私も久々に料理を振る舞う機会だと思ったんだ…………だけど……黒ウサギが………うわあぁぁぁぁああ!!!!」
「落ち着けエミヤ!普段絶対しない取り乱し様だぞ!」
「………だって……だってッ!!………私は……家事を自分でやらないと持病がぁぁぁぁ!!!」
「どんな禁断症状だ!?いいから落ち着け、ほら。」
そう言ってレティシアはエミヤを抱き寄せてあやす。
「レティシアぁ……私は……私わぁぁッ!」
「うんうん。わかってるよエミヤ。今度、私のために料理をしてくれ。」
「……良いのかい?こんな……こんな薄汚れた私なんかの手で作った料理を…………君は食べてくれるの?」
どんな落ち込みようだ。と内心呆れるが、普段は凛としたエミヤのネガティブっぷりが愛らしいと思ってしまう自分がいることに、少し笑ってしまうレティシア。
「フフッ、お前の気が済むまで作ればいいさ。いつでも歓迎するよ。」
「うぅぅぅ……れてぃしあぁぁ……グスッ……ありがとう…」
「よしよし。」
そんな光景を離れた位置から見守る四人。
「………なんかカップルみたい。」
「みたいじゃなくてカップルなんじゃない?」
「流石にそれはないとは思いますが……でもレティシア様は親友と言うには少し近すぎるかもしれませんし、あんなレティシア様は見たこと無いですし……なんか複雑です(ボソッ)」
「女性はなんでもかんでも色恋沙汰にしなきゃ気がすまねーのか?」
女性三人がエミヤとレティシアの関係を疑う中、十六夜はその議題に茶々を入れた。
「いえ、あれは少し近すぎるわよ。」
「何て言うか、エミヤは性格が男っぽいからそう見えるんだよね。」
「そうですね。ボーイッシュと言うか、どこかキザな男の人らしいと言うか……。何となく女性にモテるんですよエミヤさんは。」
「まあそうかもな。流石の俺でも、お姫様が言った様な台詞は吐けないわ。」
「まあ今はそのキザな騎士さんもあんなんだけどね。」
彼等はもう一度エミヤを見る。
膝をついて幼女に抱き付く銀髪女の子と、それを受け止める金髪幼女。
「「「和むわぁ」」」
そんなエミヤは、見られているとも知らずにレティシアに抱き締められながら、ある会話を行っていた。
(ねえねえヤー君)
(……なんだいメドゥーサ)
(そんなにご飯作りたいならアルちゃんにも作ってよー)
(別に私は構わないよ。というか作りたい位だし)
(本当?わーい\(^^)/)
(………前から思ってたけど、その口調はどうにか出来ないの?君を前の世界で知ってる分、とても違和感が……)
(えーー。だってアルちゃん元からこの口調だしぃ。て言うか神話の時の私に会ったことあるって言ったけどー、それ多分、可能性の分体でしょ?)
(……まあ、そうだね。君は彼女に比べて幼いから。)
そう念話で話をしながら、エミヤはメデューサ改めアルゴルの悪魔顕現時を思い出す。
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白夜叉ゲーム盤"草原と荒野の狭間"にて
白夜叉とエミヤはある準備をしていた。
「……で、本当におんしは奴の意識を起こすのか?悪魔に霊格を落としたとは言え、かなりの問題児だぞ。というか"箱庭三大問題児"の一角だぞ。」
「……一応、彼女と面識はある。もしかしたら違う人物なのかも知れないけど……まあ、霊格落ちした彼女なら此方に主導権がある以上、なにも心配要らないと思うよ。」
「甘い。わたあめに蜂蜜とガムシロップと砂糖と生クリームをかけた後それを捨ててコーヒーを飲むくらい甘い!」
「苦くなってるじゃないか。」
「自分の考えの甘さに気付き、苦くなるんだ。」
「……ああ、そういう……」
「まあ、おんしを認めてるからこのような場所を貸して魔王顕現の手伝いをしようとしているのだ。ありがたく思えよ。」
「うん。感謝してるよ白夜叉。」
「……まあ報酬は貰えるから別に良いが……それにしても憂鬱だ。あやつともう一度顔を会わせることになるとは……」
「そんなに嫌なのかい?」
「会えばわかる……」
そう言ったっきり、白夜叉は黙ってしまった。
エミヤは、ブレスレットに加工した"アルゴール"が封印されてる装飾品を天に掲げ、封印を開いた。
装飾品は輝き続け、光が最大になった後。
エミヤの目の前に、黒く所々破れたローブを被る女の子が現れた。紫色の艶のいい髪を垂らし、大人しそうな可愛い顔をローブの隙間から覗かせる。
「……メドゥーサ。意識はあるかい?」
「………………」
アルゴルは辺りをキョロキョロと見回してから、エミヤと白夜叉を見て言った。
「アルちゃん大復活ぅぅ!!!」
その言葉と共に、右手をピースの形にして目の横に持っていき、腰に左手を当てて足を開くポーズをとった。キラリッと星が出そうな程、見事なポーズだった。
「……………」
「……………」
「フフフフフ。アルちゃんの可憐さに言葉を失っちゃった?ホントはもっと美しい大人の身体をしてたけど、この身体でも十分アルちゃんの魅惑を引き出せてるようね!!さっすがアルちゃん、マジ罪な女の子!!」
白夜叉とエミヤはアルゴルの登場に言葉か出なかったが、一応知人である白夜叉はエミヤより先に回復した。
「……ウザイ。」
「なにこのお子ちゃま?うーーん……もしかして白夜王?……アハハ!!こんなチンチクリンになっちゃってウケるぅーー。」
「おんしも同じだろうが!!」
「アルちゃん、あんたと違って美人だしぃー。おんなじにしないでほしいなー。」
「……ここで殺すぞ?」
「あーパス。私は今ちょー霊格落ちてるし。ってあんたもか。まー、あんたは"アレ"持ってるだろうからやっぱパスだわー。」
「…………うぜぇー……」
白夜叉がマイペースなアルゴルに脱力していると、エミヤも会話に混ざった。
「君がメドゥーサだね?私の知ってる存在とは全然違うが、まあよろしく頼むよ。」
「はぁ?随分昔の名前を出すわね、あんた。と言うか昔のあたしを知ってるの?」
「いや、君を知ってる訳ではないよ。君の可能性の一つである存在と、殺しあった事があるぐらいだね。まあ、容姿は君が大人になった時の顔をしていたけど。」
「へぇ……私と殺ったことあるんだ。それって私がアテナの呪いにかかる前だよね?」
「多分そうだろうね。そう言う君も化け物らしくない格好になってるけど、なんでだい?」
「あったり前じゃない!!あんな化け物みたいな格好、私が意識のある時になるなんて絶対御免だわ!!」
「なるほど。凄い胆力だ。」
プンプン怒るアルゴルを眺めるエミヤ。しかし、脳内でアテナを罵り尽くしたのだろうか。エミヤに顔を向けて言う。
「そう言えばあんた。私の意識戻してるけど、私に殺される覚悟はある?」
「いや、ないよ。なんだい?意識を取り戻したくなかったのかな?」
「まっさかー。でも、私は人間なんかに縛られるつもりもないわよ。つー訳で、ハイ石になって」
そう言って彼女の瞳に霊格の高まりが生じるが
「悪いけど、そう易々と石化されるわけにはいかないからね。」
視界に二つの剣、干将・莫耶の切っ先が写った。
「これは対怪異用の宝具なの。格を落とした怪物"アルゴルの悪魔"である君に絶大な効果があるけど、試してみる?」
「……………まあ、そうだよねー。昔の私と殺りあって生きてるわけだし、対処法ぐらい知ってるよねー。」
そう言って瞳に込めようとした能力を解く。
「それに私は普通の人間じゃないさ。過去に英雄と呼ばれた存在だから。」
「うげぇ………アルちゃん英雄嫌いなんですけどー」
エミヤは剣を持つ手を下ろしてから干将・莫耶をギフトに入れる。
「まあ、君が思ってるほど清く正しい英雄じゃないよ。私は結局悪役になったしね。反英雄、もしくは英雄の紛い者かな。」
「ああ……なんか納得だねー。君は何となく
うーーーん……………親近感が沸いたよ。しばらく君を殺すのは止めて厄介になろうかな。」
「そっか。……人を呪う悪魔と人を救う為に殺す英雄。いいコンビになるといいね。」
そう言ってエミヤは握手を求めようとするが、
「あーでもアルちゃんあんま表出ないよ?私の美貌で虫どもが勝手に騒ぐのは全然いいんだけどー。アルちゃん、アテナのブスに面倒事持ってこられるのヤだから。それに封印されてて思ったんだけど動くのダルい。」
そう言ってすぐエミヤのブレスレットに戻っていった。
(ちなみに会話はブレスレットを通してねー。んじゃあアルちゃん寝るからお休み。)
そう言ったきり、彼女は意志疎通を拒んだ。
「……嵐のように去っていったのぅ………」
「……まあ、意外と協力的だったのは嬉しいけどね。」
「そうだの……時間が奴を変えたのか、エミヤに何かしら感じたのか知らんが……あやつも大人になったということか……」
「…………引きこもりは大人になったのかい?」
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(……………)
それから少し時が経ち、何故か知らないがアルゴルはなついた。
(ねえねえヤー君。)
(なんだいメドゥーサ)
(さっきからこの吸血鬼の胸に顔擦り付けてるけど良いの?無いチチだけど。)
「…………………(赤面)」
レティシアは自分の胸にずっと顔を埋めてる(スリスリしてるだけで埋まるほどは無い。でもちょっとある)エミヤに、流石に恥ずかしさを感じてプルプル震えていた。それを見たエミヤは、
「………とても、良い、心地、です。」
(……しまった!選択肢を誤った!殴られる!)
(ヤー君ウケるwww)
「………まあ、別に女性同士だからな。やましいことは何もないし別にいい。」
「…………あれ?良いのかい?私の経験上、殴られると思ったのだけど。」
「なんだ?何かイヤらしいことでも考えてたのか?」
「そんな事はないぞ。うん。決してない。」
「…………そうか。」
「………そうだよ。」
(アルちゃんもう寝るね。)
(待ってメドゥーサ!この空気の中寝ないで!!)
…………………………
(寝やがった!?)
エミヤを助ける者がいなくなり、この空気をどう払拭しようか考えを巡らせていると、宴もいよいよたけなわとなったのか、黒ウサギの声が辺りに響いた。
「それでは、本日のメインイベントが始まります! みなさん、箱庭の天幕にご注目下さい!」
星々が瞬く、綺麗な夜空が広がるなか、やがて---
「あ・・・・・・・・・!」
その声は誰のものだったのか。それが合図だったかの様に、一つ、また一つと流星が箱庭の天幕を迅る。
「流星群か……懐かしい。」
「なんだ?お姫様は見たことあるのか?」
そう言って近くに来たのは十六夜だった。彼もまた星を見上げていた。
「……終わりの見えない、旅をしていたときにね。」
「へえ。ロマンチックな旅だな。」
「そんないいものではないよ。まあ、この光景は中々に壮観だからね。」
そう言ってエミヤは心底懐かしそうに目を細めて天を見上げている。そんな彼等を尻目に黒ウサギは説明を続けた。
「箱庭の世界は天動説の様に、全てのルールが箱庭を中心に回っています。先日、同士が倒した“ペルセウス”のコミュニティはその責から“サウザンドアイズ”から追放され、あの星空からも旗を降ろす事になりました!」
「……それは悪いことをしたね。(……いや、黒ウサギは怒ってたからそのせいかも。私のせいではないはず。)」
そう思って黒ウサギを見ると、どこか晴れやかな顔でいた。きっと彼女は、レティシアの事やコミュニティに対しての数々の暴言に意趣返しができて満足なんだろう。
もう一度空に視線を移すと、夜空にあった筈のペルセウス座が"アルゴルの首"部分の恒星を残して消え、代わりに夥しい数の流星がそこにあった。
「今夜の流星群は、“サウザンドアイズ”から“ノーネーム”の再出発祝いも兼ねています。鑑賞するも良し、流れ星に願いを託すも良し。皆で心ゆくまで楽しみましょう♪」
黒ウサギの音頭と共に、子供達が高々と杯を掲げ合う。
「空から星座を無くすなんて……あの星の果てまで、箱庭の為の舞台装置だというの?」
「そういうこと……かな?」
アハハハ……と、エミヤ達の近くに来ていた飛鳥と耀も力なく笑い合う。
「星を観察してアルゴルの星が食変光星じゃない事は分かっていたが…………まさか星座まで造られたものだったとはな」
先ほどまでペルセウス座が輝いていた空を見上げ、十六夜は感慨深げに溜め息をついた。
「箱庭にある物全てがゲーム盤……。随分スケールの大きいゲームだね。」
「そうだろう?これが箱庭だ。修羅万物全てが集まりゲームを行うのだから、星の一つや二つじゃ足りないさ。」
エミヤもこの現象に驚き、レティシアはどこか誇らしそうに呟く。
そんな彼等にサプライズが成功したと、耳をピクピクさせて喜びを表現しながら近づいてくる黒ウサギ。
「ふっふーん。驚きました?」
そんな黒ウサギに、十六夜は降参と言わんばかりに両手を上げる。
「やられた、とは思っている。最果ての大瀑布に、水平に廻る太陽、大陸を貫通させる剣、…………色々と馬鹿げた物を見てきたつもりだったが、まさかこんなショーが残っていたとはな。お陰でいい個人的な目標が出来た」
「おや? それは何でございましょう?」
十六夜の発言に他のメンバーも気になり耳を傾ける。彼はペルセウス座の消えた夜空を指差し、
「あそこに俺達の旗を飾る、というのはどうだ?」
そう言って心底
「それは・・・・・・・とてもロマンがございますね♪」
(私のはもう飾ってあるけどねwww)
(良いこと言ってるんだから黙ってなさい。)
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少しだけギフト説明
"無限の剣製"
言わずと知れたアレ
彼女が解析・貯蔵した剣が内包された世界。また、この世界ならば剣以外でも投影の負担が減る。
普段エミヤが出している剣は魔術によって投影された剣であり、この世界から溢れ落ちた物。
"抑止力の守護者"
エミヤシロウが生前人を助けるために抑止力と契約した物。
死後、守護者として人に仇なす外敵を排除する掃除屋を全うする。
"抑止の契約"
守護者と呼ばれる存在として契約していたエミヤは、箱庭に来るときの強制的な移動で抑止力とのパスが切れたことにより、ギフトの変質を起こした。
彼女が危惧している、戻される現象も起きることはない。
彼女の契約内容がこの世界でどう言ったものなのか、何者と契約しているか不明。
"全て遠き理想郷"
詳細不明
"魂の器"
青崎橙子が造った最高作品の人形。エミヤの身体を元に造ってあるが、色々と謎の多い器。
1巻終わりましたね。さて、次は私にとって(ここのみ)未知の巻でございます。他の方々の作品見ながら書いていこーかなーって思ってます。
とりあえず14、15終わってから投稿かな。
勉強の合間のみでよく頑張った私。