問題児に紅茶、淹れてみました(休載)   作:ヘイ!タクシー!

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2巻入りました。問題児もブック◯フで買いました。

作者は昨年から受験のためグランドオーダー全くやってないのであまりグランドオーダーの話を作者が入れてくれると思わないでいて欲しいです。
ぶっちゃけキャラクター知ってるくらいですね。

干将・莫耶はオリジナル設定加えました。


火龍誕生祭
20話 北側初上陸


決闘から数週間後のサウザンドアイズ支店にて、エミヤは白夜叉の下へ訪れていた。と言うのもエミヤの剣が白夜叉の目に留まり、剣を造る度にその剣を卸して貰うよう、エミヤと契約をしていたのだ。

彼女は1週間に一度、戦場や掃除屋の時に見てきたそこそこの名剣を数本と、宝具D~Bランク程の剣を一本、白夜叉に渡していた。

今日はその卸す日であり、彼女はサウザンドアイズに来ていたのだ。

 

「やあ、白夜叉。今週の分を持ってきたよ」

 

「おお、そうか……。今日はその日だったな。おんしは他のメンバーよりも色々な要件を持ってくるついでに、私の手伝いをしてくれるからの。ついつい忘れてしまうわ」

 

「いつも世話になってるよ。それに個人的に君とは友達だと思ってるんだ。持ちつ持たれつの関係はとても私としては嬉しい。それとも、階層支配者である君に不敬かな?」

 

「そんな事はないぞ。ここ最近は友と呼べる存在とあまり会ってないからの。私としても、おんしの存在は嬉しいさ。それにおんしは常識人だからのぉ……」

 

そう言って白夜叉はお茶を啜る。

 

エミヤは剣を卸す以外にも、最近になって気づいた、自分の英霊としての霊格が上がってる事を知るための情報や、箱庭における刀剣類から始まり盾、鎌、鎧などの武具も観察させてもらっているのだ。

 

白夜叉曰く、出自によるものと、ギフトのせいであるらしい。元の世界で幾度と無く人類の危機を救った功績。前者はコレによるものと彼女も気付いた。

しかし後半のギフト云々については心当たりがなかった。

 

また、武具類も"ノーネーム"の倉庫にも優れた武具はかなり多く揃っていた。だが、彼女は一度見ればその武具の性能から使い手の経験までも解析できるのだ。

もう見るものが無くなってしまったエミヤは、白夜叉に頼んで彼女のコレクションやら、知り合いの者に頼んでもらった武具を観察したりしている。

 

その代わりと言ってエミヤは、階層支配者に来る案件の書類の手伝いをしていた。

流石にコミュニティの内情関係などはエミヤに届かないが、箱庭はイベント事に事欠かないため、その分の案件が非常に多い。

 

「白夜叉これが今週の分だよ。ちゃんと"ギフトを消す"ギフトには消される恐れがある注意事項を書いといてね」

 

「ああ、わかっとるよ……それにしても変な作り方をしているな、おんしは。それが神格を与える条件だとは言え、見たこと無いギフトだ」

 

そう言って白夜叉は渡された剣を一つ一つ観察しながら話す。

 

「まあ、ほとんどの神格武具はギフトを消されるとそれ自体も壊れることの方が多いから、あまり気にすることでも無いんだがな。おんしの場合、材料無しは狡すぎるが」

 

「まあ、私の場合は自身の魔力で剣を構成しているから材料無しではないけどね。その代わり、壊れるのではなく消えるけど。」

 

「そこじゃよ。箱庭広しと言えど神格付きの剣を造る人間などあり得ん。ほとんどの有機無機物を創る時は、その物質の性能をある程度引き出すくらいだ。おんしのように自からを糧にして神格を造り出す者など星霊だけだ」

 

「……それにしては、飛鳥のギフトも変わってると思うけどね。言葉一つで人や物を操ったり、性能を上げたりできるんだから。」

 

「……まあそうだな。良くも悪くもおんしら"ノーネーム"は飽きさせない存在だ」

 

そう言ってある程度観察を終えた白夜叉は剣をギフトカードの中に入れた。

 

「どれも質が良いので良い額で買い取ってくれるだろう。それとこの神格付きは上層に持っていく。良い結果を期待してくれ。………ところでエミヤよ。おんしは北の"火龍誕生祭"を聞いたことはあるな?」

 

白夜叉は一旦剣の話を切り上げ、別の会話に移った。

 

"火龍誕生祭"ーーーーーーーー数々の鬼種、精霊種が造り出した美術工芸品の展覧会・批評会が行われ、それに合わせて様々なギフトゲームが街全体で主催されると言った、お祭りである。

 

「あれだけの事務処理を手伝ったんだよ?内容くらい知ってるさ。」

 

「まあそうだの。……エミヤよ。その展覧会におんしの優れた剣を出しては見ないか?おんし作の剣が広まれば必然的に対魔王コミュニティの名前も広がる。そしてこの祭は名前を売るのにかなり良い条件だ。やってみんか?」

 

「………前にも言ったけど、私のは贋作だよ。なんと言うか、各々が本気を出して造った作品の中に贋作を入れるのは気が引ける」

 

(ええー良いじゃん別にー。ヤー君のなら見たこと無い剣だから誰も気にしないよー。それにこの世界なら同じ名前の模造品もいっぱい売られてるよ?)

 

(まあ、そうだけどね……なんと言うか良心が……)

 

アルゴルが賛成的な悪魔の台詞を吐く。

エミヤが良心と悪魔の言葉に板挟みされていると、

 

「まあ、良いと思うぞ。確かに褒められた事ではないが、未知の剣を見てみたい者も多い。それに己の才能で造った物は箱庭では認められるからの。例え模造品でも本物より良ければそちらが認められる。そう言う世界だ」

 

箱庭は何万年も生きている者が多いし、全体が広すぎる。よって著作権など無い。なので、彼等が求めるのは自分が銘を付けた作品がどれだけ箱庭に轟くか。それだけである。

 

「…………わかったよ。ノーネームの為でもあるし、その件に乗るよ」

 

「そうかそうか。まあ、おんしの出場枠は既に入れてあったから了承を得られて良かった」

 

「…………私が断っていたらどうするつもりだったの?」

 

「その時は泣きつく」

 

「…………………」

 

「ちゃんと造った物は返ってくるから安心しろ。それで、何を出す?今から造るのでは間に合わないだろう?」

 

白夜叉はエミヤの最高作品に興味があるらしい。目を輝かせている。

 

「…そうだねー……。確か、北側は過酷な環境に耐えるためのギフトが重宝されるんだよね?」

 

「うむ、そうだの」

 

「ならそう言う剣にしておくよ。その方が注目度も上がるだろうしね」

 

「そうか、是非頼んだぞ。それと後一つなんだが、これは"ノーネーム"にも招待状を送ったのだ。聞いとるか?」

 

「まあね。レティシアといる時に黒ウサギが持ってきてたのを覚えてるよ。ただ境界門(アラストラルゲート)はお金がかかるから行かないと言ってたけどね。」

 

そう言って思い出したように呟く。黒ウサギに十六夜達問題児には黙っていてくれと頼まれたのだった。

 

箱庭は大きすぎるため、街も都市も何もない、野ざらしな部分が大半を占めているが、それでも都市などはかなり広い。北の境界線までここからだと約980000㎞あるらしい。よって何処かの都市に行く場合は境界門(アストラルゲート)と呼ばれる!外門と外門同士を一瞬で繋ぐシステムを使うのが常識だ。これにより、どんな遠くの場所でも行き来が楽になる。

ただし、通る度に"サウザンドアイズ"発行の金貨を1人1枚支払わなければいけない。

 

「まあ資金関係はこういう時の為に、剣を君らに売っていたから大丈夫だって言ったんだけど、拒否られてしまったよ。なんでも、『エミヤさんの個人的なお金だから受け取れません』と言われてしまった」

 

「ハハハ、黒ウサギらしいな…………だが、今回はちと訳があってな。おんしらには来てほしいのだ」

 

「白夜叉の頼みと言うなら黒ウサギを説得させるけど、なんでだい?」

 

白夜叉は真剣な表情になってエミヤを見る。

 

「実はの、"サウザンドアイズ"の私の同士がある予言を出したのだ。『火龍誕生祭にて、"魔王襲来"の兆しあり』とな」

 

「…………なるほど、それで対魔王コミュニティである私達にその話を振ってきたんだね」

 

「うむ。私も行くから多分大丈夫だと思うが、万が一の時がある。それにおんしらには私がいる分、丁度良い初陣になるだろうしな。送り迎えもしてやるぞ」

 

そう言って白夜叉は鼻を高くしてふんぞり返った。

エミヤはそれを見て、考えの余地があるだろうと思い、黒ウサギにこの話を持っていくことにした。

 

「わかったよ白夜叉。この件、さっきの件も含めて黒ウサギに言ってみるよ。それとコレ、渡しとく」

 

エミヤは立ち上がり、ギフトカードから赤く燃え盛る剣を出し白夜叉に渡す。

 

「あん?……おおっ、これまたすごい剣だな。これを展覧会に出すのか?」

 

「そうだよ、だから大事に扱ってね。……私はそろそろ帰るよ。多分、北に行くための準備とかもしないとだし。準備ができたらみんなで来るね」

 

「うむ、またの」

 

そう言ってエミヤは"サウザンドアイズ"をあとにした。

 

彼女がもう少し遅くに出ていれば。帰り道、アルゴルが出て来て、欲しい物を買ってあげなければ十六夜達に会っていただろうに。

 

____________________

 

"ノーネーム"屋敷内

エミヤが帰ってくると、なんだか屋敷の中が慌ただしくなっていた。

 

「あっ!エミヤ様おかえりなさい!」

 

「ただいまリリ。なんでこんなに屋敷の中が慌ただしいんだい?」

 

エミヤの前に慌ただしく走っていた、割烹着を着た狐の耳と尻尾を生やす少女ーーーーーーーーリリが足を止めて挨拶した。

 

「そうですっ!エミヤ様は十六夜様達を見ませんでしたか!?」

 

「いや、見てないよ?何かあったの?」

 

「大変なんです!!飛鳥様が十六夜様の側頭部にシャイニングウィザードを仕掛けたら、十六夜様がジン君を盾にしてジン君の側頭部にシャイニングウィザードがっ!!」

 

「落ち着いてくれリリ。わけわからないことになってるよ」

 

「とにかく大変なんです!!エミヤ様も十六夜様達を」

 

「エミヤさぁぁぁぁあああんん!!」

 

「ん?っがフッッ!!!」

 

「キャアッ!」

 

リリィが焦りながらもエミヤに説明しようとすると、それを遮った黒ウサギが振り返ったエミヤにダイブし、そのまま二人揃って壁に激突した。

 

「エミヤさん大変なのですよ!!」

 

「た、確かに大変だね……主に私の鳩尾がッ」

 

「十六夜さん達に手紙の事がバレました!!コレ見てください!!」

 

そう言って黒ウサギは苦しんでるエミヤに手紙を突きつけた。そこには、

 

『黒ウサギへ。

北側の4000000外門と東側の3999999外門で開催する祭典に参加してきます。貴女も後から必ず来ること。エミヤさんとレティシアもね。

私達に祭りの事を意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合()()()()()()()()()()()()退()()()()()死ぬ気で探してね。応援してるわ。

P.S ジン君は道案内に連れていきます。』

 

「………………なんて面倒な」

 

そう手書きで書かれていた手紙があった。その文面がいかにも問題であり、エミヤは力無く呟くのだった。

 

____________________

 

「それで、どうするんだい?白夜叉にはタダで送って貰うと言われてたから、彼等は既に北側にいると思うけど」

 

「当然捕まえます!!北に行くのは構いませんが、今回の事は許しません!!」

 

「……わかった。私も彼等にお灸を据えてやろう」

 

その後、レティシアとも合流して、境界門にエミヤのお金で通って北側にむかった。

 

北側に着くと、熱い風が頬を撫でた。彼等はすぐ高台にある北のサウザンドアイズ支店に向かうが、その途中、エミヤは高い場所に移動した時、そこから北の風景を眺めた。

 

北側と東側を区切る、天を突くかというほどの巨大な赤壁。

鉱石で彫像されたモニュメント。ゴシック調の尖塔群のアーチ。

外壁に聳える2つの外門が一体となった巨大な凱旋門。

色彩鮮やかなカットグラスで飾られた歩廊。

昼間にもかかわらず街全体が黄昏時を思わせる色なのは、おそらく朱色の巨大なペンダントランプのせいだろう。

その光景に少し足が遅れる。

黒ウサギはそんなエミヤにも、レティシアがエミヤに合わせて速度を落としたことにも気付かず、突っ走っていった。

 

ズドォン!!という爆撃のような音が遠くから聞こえてエミヤも正気を取り戻した。彼女が音の方向を持ち前の視力で見ると、黒ウサギが般若の顔で耀を捕まえて、白夜叉に投げ飛ばしているところだった。十六夜達はどこにもいない。逃げたのだろう。

 

「遅れてしまったか。ごめんね、レティシア」

 

「いや、初めて北側に来たのだからしょうがないさ。早く黒ウサギに追い付こう」

 

「レティシアはそのまま追いかけて欲しい。私はサウザンドアイズ前の高所から君らを援護する。」

 

「え、?……援護するってエミヤ……こんなところで弓を使うのか?」

 

「安心して。一般人に当てるようなヘマも、物を壊すような事もしないから」

 

「………まあ、あの二人が穏便に終わるわけでもないしな。エミヤがストッパーになってくれ」

 

そう言ってレティシアは黒ウサギの後を追った。

 

「さて、どうせ今回の抜ける云々も十六夜の提案だろう。少しお灸を据えねばね。」

 

(わあー、ヤー君ドSの顔してるよー。そんなところもカッコいいよー)

 

(黙ってて)

 

____________________

 

(どうやら黒ウサギとレティシアは二人を見つけたか。…………飛鳥はレティシアが捕まえたね。黒ウサギと十六夜だけ屋根に登って何か喋ってるけど、とりあえず一発ぶちこむか。)

 

(ヤー君過激ぃー!そんなところに痺れる憧れるぅー)

 

ちょうど黒ウサギと十六夜が何かゲームをしたのだろう。二人の手元に羊皮紙が現れていた。

 

(まあ、私には関係ないよね。興味ないし)

 

(そうだねー。関係ないよー。だからやっちゃえー)

 

どういうわけか十六夜が黒ウサギを追いかけ始めたが、エミヤはとりあえず十六夜を貼り付けにすれば良いだろうと思い、弓と剣を取り出す。

 

(ま、ここは街だし、一応外すことがないよう注意しなきゃね。という訳でまずは一発。)

 

(ヤー君頑張ってぇー。)

 

捻れた剣を弓にあてがい、切っ先を十六夜に向けた。

 

____________________

 

十六夜視点

 

「おい、どういうことだ黒ウサギ!スカートの中が見えないじゃないか!!」

 

「フフフッ!これは白夜叉様に貰った、絶対に見えそうで見えない鉄壁のミニスカートなのですよ♪」

 

「ちっ!あのやろうチラリストかよ!こうなりゃあ、あのスカートの中に顔突っ込むしか!」

 

「だまらっしゃい御馬鹿様!!」

 

(やはり黒ウサギは後ろに跳んだか。)

 

どちらが先にお互いを捕まえるかというゲームを十六夜と黒ウサギは始めていた。

黒ウサギはその耳で十六夜の位置が常にわかるため、必然的に身を隠す行動をとる。十六夜はそうはさせまいと黒ウサギを追う形になった。

 

(このゲームはどちらが優れた体を持っているかで決まるわけだ。いいねぇ。そう言うのは俺様嫌いじゃない)

 

そう十六夜が、黒ウサギを追いながらスカートの中に突っ込む事も考えていると、視界の端に、光る物体が音速を軽く超える速度で迫ってくるのが見えた。

十六夜は反射的に掴もうとするが、その瞬間ソレは爆発した。

 

「いってぇ!」

 

慌てて掴もうとした左手を見れば、掌が少し焼けていた。

 

(今のは捻れた剣だった。しかも剣が爆発する能力を持っていた……こんなもん持ってんのは)

 

「オイオイお姫様!ここから何㎞離れたところから狙ってんだよ!いねーよそんな狙撃手!」

 

十六夜は襲ってきた方向、サウザンドアイズ支店がある高所の方向を見た。

そこから、更に色とりどりの閃光が此方に飛来して来るのが見えた。

 

 




なんかエミヤが……

この捻れた剣はカラドボルグじゃないっすよ
捻って伸ばした剣ですよ
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