堕ちてきた元契約者は何を刻むのか   作:トントン拍子

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 お久しぶりです。書き上げました。

 今回は拙作初の上下編となります。
 一話で纏まるかと思ったら文章量が予想以上に多くなってしまって………。
 それと落ち龍原作よりもかなり早くあのキャラが登場です(そんなことを言ったらランジュもそうなのですが…)。

 お気軽にお読みください。


第二章四節 交流 上

 

 

 

 ユウキとアイスの報告を受けたハリガンにカイムとランジュを連れて来てくれと頼まれた俺があいつ等のいる場所に下へ足を運ぶ途中、

 

(…何してんだ?)

 

 あいつ等から距離にして三段(約30メートル)ほど離れた木々の合間に隠れて、二人を観察している幼子達を見つけた。

 

「ねぇリュリューシュ、やっぱりやめようよ」

「そうだよ、危ないよ」

 

 二人の幼子が先頭にいる幼子へ舌足らずな声でそう(うなが)している。

 

「何を言う!これしきのことで逃げていては魔女王となる吾のこけんに………」

 

 綺麗な青髪を短く切り(そろ)えられたリュリューシュという名の先頭の幼子が、これまた舌足らずに二人に言い返しながら振り向いて、俺と目が合った。

 

「こんな所に隠れて何してんだ?」

 

『~!』

 

 今度は声に出して幼子達に呼び掛けると、全員が声にならない悲鳴を上げてリュリューシュ以外の二人が逃げ出した。

 近くの木に隠れると頭だけ出して涙目でこちらを警戒している。

 

(恐怖と警戒心…後は好奇心が少々、か。俺はカイムほど強面(しかめっ面)じゃないんだけどなぁ)

 

 内心軽く(へこ)みながら視線を隠れた二人から目の前の幼子へ移す。こちらは二人とは逆に好奇心が(まさ)っているようだ。

 

「そっ、そなた!いったいどこからあらわれた!?」

 

 それでも驚いたのだろう。涙目になりながら俺を指差して問い詰めてきた。

 俺は道すがら歩いて来ただけだし、こいつ等はその道の脇にある大きめの木に隠れてカイム達を観察していただけ。こちらからは丸見えだったのだが、

 

(面倒になるかもしれんし、言わぬが花か)

 

 そうする事にした。

 

「いや悪い悪い、ハリガンに頼まれてカイムとランジュを迎えに来たんだが、(たま)(たま)(ぐう)(ぜん)にお前さん等を見つけてな。こりゃ何事かと声をかけたのさ」

 

 少々おどけながら返すとリュリューシュとやらはごしごしと涙を拭いて腰に手をやり、尊大に胸を張ると、

 

「ふん、吾らを見つけたことはほめてやろう。吾の名はリュリューシュ。いだいなる【魔女王】グラン・デ・ルルゥのたましいを受けつぎ、いずれ全ての魔女をすべるさだめを持つ者だ!うやまえ!」

 

「…おおぅ」

 

 などと言い放った。さて、どう返したものか。

 

「リュ、リュリューシュ!はやく逃げて!」

 

「にんげんの男とはなしをしたらばーば様たちに怒られちゃうよ!」

 

「シェリスもエルリットもそんな弱気でどうする!それでも吾のはいかか!」

 

「わたしたちリュリューシュのはいかじゃないもん!」

 

「拙たちが危なっかしいリュリューシュのめんどうを見てるんだもん!」

 

「なにをー!?」

 

 返しに迷っていると隠れている二人がリュリューシュが言い争いを始めた。

 ばーば様とやらが誰かは知らないが余程厳しく躾られたのだろう。でなければ()に対してこれほど過剰に反応するわけがない。

 子供の仕草や言動を見れば何を重んじ何を嫌悪するのか、ある程度()()()()()()が見えてくる。まして、この子等程の幼子ならその(方針)(けん)(ちょ)に出る。

 

(無論、たったこれだけでそうだと決め付ける訳ではないが)

 

 仮に()()を魔女達の根底と考えるなら、俺やカイムを保護したハリガン達は相当な【変わり者】、ということになる。

 

(他の魔女の一族がハリガン達に協力的でないのもその辺りが原因の一端、か?)

 

 まあ、それ以上は憶測の域だ。後でハリガンに聞いてみるとしよう。

 

「あー、取り込み中の所を悪いが」

 

 (かしま)しく騒いでいる三人にそう言って声をかけると、リュリューシュ以外は黙り込んでしまった。

 

「ええい、じゃまをするな!」

 

 ハリガンみたいな事を言い出した。隠れた二人と違って、この子はハリガンの躾のほうが強く出ているらしい。

 

「そうもいかん、こっちはまだ名乗り返しもしていない。俺の名はナーガだ。よろしくな」

 

 そう名乗ると、

 

「ナーガ?ずいぶんと大げさな名前だな」

 

 尊大な幼子に大袈裟と言われてしまった。

 

「俺も自分の名前がそんな大層なものだとは思わなかったよ。ところで」

 

「なんだ?吾はまだこやつらとはなしが」

 

()()()()()()()?」

 

 そう言って視線をリュリューシュからカイム達の所へ送り、顎でしゃくる。

 

「………」

 

 俺の言葉にリュリューシュは体を硬直させるとゆっくりと後ろを振り向いた。

 その視線の先ではカイムとランジュが(いぶか)し半分呆れ半分の目でこちらを見ている。

 

「わ、吾をたばかったな!」

 

「いや、こんな大騒ぎしてりゃ誰だって気付くだろ。…あいつ等に用向きがあるなら一緒に来るか?」

 

 これ以上この子等に時間をかける訳にもいかないので、そんな提案をしながらリュリューシュの横を通り過ぎる。

 

「むむむ……。いいだろうナーガよ、吾のともをせよ」

 

 少し悩んだ様だが、持ち前の好奇心に背中を押されたのか俺の後ろを着いてきた。残りの二人が何とか制止させようと声を掛けるが「しんぱいするな、そこで待っていろ」と何故か自信満々だ。

 

「賜った、魔女王殿」

 

 あくまで尊大な幼子に苦笑を返し、俺は少し歩く速さを緩めてカイム達の下へと向かった。

 

 

 

 

 

「ヾ∴¥、§&℃£]¢>?」

 

 少し離れた場所で騒いでいるナーガと子供等を見て、俺に文字を教えていたランジュがぼそりと(つぶや)いた。

 札を外しているため何を呟いたかは正確には分からないが、その呆れ顔からおそらくは「何をしてるのか」とか、そう言った意味だろう。

 この砦に帰って来てからというもの、時折あの子供等が隠れて俺を盗み見していたのには気付いていたが、何故ナーガではなく俺なのか。

 決して子供に好かれやすい容姿でも性格でもないし、子供だからといってナーガ(あいつ)のように愛想を振り撒く気も(さら)(さら)無い。

 そんな事を考えていると、ナーガと一緒に子供の一人がゆっくりとした足取りでこちらへと向かって来た。目算でセエレ程の年齢だろうか。

 外していた札を首筋へ着け直す。

 

「よう、勉学中に騒いで悪かったな」

 

 俺達の下まで辿り着いたナーガが一言詫びてきた。

 

「構わない。それで、何があった?」

 

「間の悪さが重なって()()だよ。ハリガンが大広間に来てくれとさ」

 

 ランジュの問いに肩を竦めながらナーガは答えた。顔の歪み具合を見るにそれなりの厄介事だろう。

 

「了解した。……で、そっちは?」

 

 俺とランジュの視線が子供に向く。

 いきなり視線を向けられた子供は一度びくりと肩を跳ね上げたが、()(じょう)にも(おそらく本人はそのつもりなのだろう)睨み返してきた。目の奥にある好奇心が色々と台無しにしてはいるが。

 

「何、こちらの【魔女王】殿がカイムに()(しゅう)(しん)らしてくな。(とも)(まわ)りを頼まれた」

 

 何だそれは。

 

「リュリューシュ、姉様に寝言を言うなと言われなかったか?また叱られるぞ」

 

「ねごとではないぞランジュよ!吾は本当にいだいなる魔女王のたましいをうけついでいるのだ!吾を怒らせるとひたいの第三の目がひらいて世界がほろぶんだぞ?ほんとだぞ?」

 

「…おい、何だ()()は?」

 

 軽く頭痛がしそうな会話にランジュへ話を振る。

 

「吾をコレ呼ばわりとは「気にするな、子供特有の()()だ」わ、吾のはなしを聞けー!」

 

 ああ、なるほど。

 

(やかま)しい。………何の用だ?」

 

 別に強く言ったつもりはないのだが、俺の言葉に今度は全身をびくりと跳ね上げたリュリューシュという名の子供がナーガの後ろへと隠れた。

 

「大人気無さすぎだろ…」

 

 そうナーガが呟くが話が進まなくなるので無視する。

 

「うぅ、なんというはくりょく。やはり【竜殺し】は名前だけのこやつとはちがうな!」

 

 

 その言葉に、一度、心臓が早鐘を打った。

 

「おい、何だその差は」

 

「竜殺し?この男がか?」

 

「うむ!この前ケイがそういってた。こやつはここに来る前、()()()()()()()と」

 

 また、心臓が早鐘を打ち、それ以降のこいつ等の会話は聞こえなくなった。

 

 

 

━━━竜を殺した

 

 

 

━━━竜を殺した

 

 

 

━━━(アイツ)を殺した

 

 

 

 その瞬間、血濡れの「アイツ」が目の奥に映る。

 

 

 

 

 

『お主、強く━━━』

 

 

 

 

 

 軋み上げるほどに奥歯を食い(しば)り、「アイツ」の顔も幻聴も振り払い立ち上がる。

 

「どうした?」

 

 ランジュに返事を返さず背中を向け、

 

「……顔を、洗ってから戻る。お前等は先に戻れ」

 

 努めて冷静に言葉を(つむ)いで、返事を待たずに井戸へと歩き出した。

 何も知らない子供が、何も知らずに好き勝手に言った()れ言だ。

 それだけ。ただ、それだけだ。

 そう、己に言い聞かせる。

 

 

 

━━━感傷など必要ない。【それ】はもう、終わった事だ

 

 

 

 頭の中で思い出しそうになる()()()から目を反らして、

 

 

 

━━━俺が選び、俺の意思で(おこな)った事だ

 

 

 

 胸の内から吹き出しそうになる()()()に蓋をして、 

 

「………」

 

 吐き出すことも出来ない(よど)み、(にご)った、(くすぶ)り続ける()()()を抱えたまま、ただ、ただ、歩き続けた。

 

 

 

 

 

 ギリッ、っと強く歯を食い縛る鈍い音が聞こえた。

 視線をリュリューシュから目の前に座る男へと向けると、顔を伏せて口元を僅かに歪めている。

 前髪のせいで顔の半分が隠れてしまっているため精確な表情は読み取れないが、どうやら今の会話で気分を害した様だ。

 

「どうした?」

 

 わたしの言葉に返事を返さず男は立ち上がる。

 

「顔を、洗ってから戻る。お前等は先に戻れ」

 

 こちらに背を向けると有無を言わさず、それだけ言い捨ててわたし達から()()()()()井戸のある場所へ歩いて行ってしまった。

 

「どうしたんだ?」

 

「…さあ?今の会話の何かが(しゃく)(さわ)ったらしい」

 

 訝しむナーガにそう返して互いに遠ざかって行く男を見送る。

 

「ランジュ、ランジュ」

 

 するとリュリューシュがわたしを呼んだ。視線を向けるとナーガの服の端を掴んで不安そうにしている。

 

「何だリュリューシュ」

 

「そ、その…吾はあやつに悪いことをいったのか?」

 

 ああ、子供等の中でも人一倍感性が鋭く強い子だ。自分のせいだと思ってこの子なりに心配してるのか。

 

「そんなことない。偶々虫の居所が悪かっただけだろう」

 

 気遣うようにリュリューシュに声を掛ける。

 だが、

 

「で、でも、吾が竜を殺したといったときに…」

 

「言った時に?」

 

 次のリュリューシュの意外な言葉にわたしとナーガは目を丸くした。

 

「竜を殺したといったときにな、あやつ、()()()()()()()()()()()()

 

 そう言って、わたし達や見えなくなったカイムを(せわ)しなく見回している。

 

(泣きそう?あの男が?)

 

 あの男と関わってからまだ一日にも満たない関係だが、正直あの男から一番縁遠い印象しかない。というか想像出来ない。

 

(竜を殺した時に何かがあったのか?)

 

 安直なものなら家族や友を失った、などが考えられるが。

 

(……まさか竜に?)

 

 いや、それは流石に飛躍しすぎだ。

 同じ人ですらない、殺し合いをしなければならなかった竜相手に何を想うというのだ。

 何か知っているかとナーガに視線を向けるが、向こうも首を横に振るだけだった。

 

「…や、やっぱり、吾が…、あやつに嫌なことを」

 

 わたし達が黙っているのを勘違いしたのかリュリューシュの表情がどんどん暗くなっていく。

 もう一度声を掛けようとした瞬間、ナーガがあやす様に抱き上げた。

 

「そんな事ないさ、お前さんはカイムに悪口を言ったか?言ってないだろ?カイムだってお前さんに怒ったり叱ったりしなかっただろ?」

 

 気遣うでもなく、なだめるでもなく、(ひょう)(ひょう)と自然体のまま、リュリューシュに語り掛けた。

 

「でも…」

 

「ん~………、じゃあこうするか。ここいる皆でカイムに謝ろう。「悲しい気持ちにさせてごめんなさい」って、どうだ?」

 

 ナーガの言葉にリュリューシュの顔が少しだけ晴れる。

 

「…ほんとにいっしょにあやまってくれるのか?」

 

「本当だとも。なぁ、ランジュ?」

 

 そう言ってこちらに視線を向けてくる。

 

「ああ、そうだな。一緒に謝ろう」

 

 わたしの返しにようやくリュリューシュの顔が明るくなる。

 

「………うむ、わかった。では今すぐに「と、言いたい所なんだが、先にハリガンの用事だ」…むぅ!」

 

 膨れるリュリューシュを地面へと降ろしながらナーガは続ける。

 

「悪い悪い。だが、本当に大事な用事なんだ。カイムも来るし、それが終わってから謝ろう」

 

「……ぜったいだぞ?ほんとにほんとだぞ?」

 

「ああ、本当に本当だ」

 

 その言葉に満足したのか、リュリューシュはナーガが来た道を歩き始めた。

 

「ではすぐに姉様のところへゆくぞ!ついてまいれ!」

 

「賜った。魔女王殿」

 

 ナーガも歩き出す。わたしも本を仕舞い、ナーガの横へと並ぶ。

 

「すまなかったな」

 

「気にしなくていい、俺も少し気になったからな。謝りついでに何か聞ければ御の字だ。まあ、あの感じじゃ言わんだろうが」

 

 だろうな。誰だって話したくない事の一つや二つ持っている。

 あの男にとってそれが竜に関することなのだろう。

 

「あと、あそこに隠れてるチビすけ共を頼む。俺じゃあ恐がって近寄ってくれん」

 

「わかった。集まる場所は大広間だったな?」

 

「そうだ。先に行ってるぞ」

 

 そう言い残すとナーガはリュリューシュと共にシェリスとエルリットが隠れている所を通り過ぎて行く(リュリューシュは完全に二人の事が頭から抜けていた)。

 それを見送ったわたしは木の陰へと声を掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 一刻(二時間)前

 

 大広間での話し合いの結果、ハリガンは隠れ里の会合に出ることになった。

 最初こそ反対したのだが、どうやら内容が俺達に関するものらしい。

 行ったら行ったで吊し上げを食らい、行かなきゃ行かないで俺やカイムだけでなく自分達の立場も悪くなるとのこと。

 ()(めん)()()にも程がある。

 二日三日で帰ってくると言い残し、手早く身支度を整えると(かざ)(ぐも)を借りて隠れ里へと出発してしまった。

 幸いにもカサンドラ軍との戦い方や策はこちらで粗方決めてくれていいと言っていたので、すでに数人の魔女に指示を出している。

 

 それが半刻(一時間)前

 

 それが終わってからカイムに三人で謝ったのだが、想像通りうんざりした様な、気まずい様な、悪びれている様な、何ともいえない顔をされた。

 先程の態度についてもそれとなく聞いたのだが、「何でもない」「お前等が気にする必要はない」と、こちらも予想通りはぐらかされてしまった。

 戦果としてはリュリューシュが仲直りに一緒に(ゆう)()を食べる約束をさせたくらいだ。当然、俺等も同伴で。

 

 それが二半刻(三十分)前

 

 そして現在、俺はカイムを(ともな)って湯殿で湯に()かっている。

 

「ふぃ~…、毎度許可を貰わにゃならんとはいえ、時間を気にせず温泉に入れるのは贅沢だな。次の戦に勝ったら俺達用の湯殿を作って貰うか?」

 

 そう言って手足を伸ばす。嗚呼、癒される。

 

「…で?(わざ)(わざ)ここまで連れてきて何の話だ?」

 

 声を描けてきたのは俺から少し離れた場所でいつもの(ぶっ)(ちょう)(づら)で浸かっているカイムだ。

 距離が空いているのは偶然で他意は無い。服を脱いだ時に大蛇を見て(おのの)いたとか、それで昼の事を思い出したとか、大蛇に奇襲された時にすぐに動ける様にしているとかでは断じて無い。

 (たま)(たま)、偶々なのだ。

 

「そう()くなよ。あんたはもう少し肩と眉間の力を抜いた方がいい」

 

 言葉を返すと余計な世話だとばかりに鼻を鳴らされた。そのまま互いに無言で湯に浸かる。

 

「…今回の戦、このままで勝てると思うか?」

 

 そう切り出したのは額に浮き出た汗が頬を伝い顎から下へ落ちた時だった。

 

「………()()()しないだろうな」

 

 まあ、そうだわな。

 

「勝っても被害が馬鹿にならん、か。やっぱ兵力差だよなぁ」

 

 ユウキの話ではカサンドラの砦に集まっている兵士達はすでに千人以上、その上まだまだ増えているのだから頭が痛い。

 

「何とかハリガンが他の氏族を引っ張って来てくれると助かるんだが」

 

 今回はいつもの小競り合いとは訳が違う。下手をすれば魔女全体の命運に関わるのだ。

 だが、

 

「無駄だろうな」

 

 カイムはそんな俺の願いをバッサリと斬り捨てた。

 

「…いやいや、流石に自分達の命だぞ?男だ何だとは言ってられんだろ?」

 

「本当にそう思うか?」

 

「………」

 

 思わず言葉が詰まってしまった。

 

ハリガン(あいつ)の話が本当にならここにいる魔女共は四百年以上人と争っている。さらには完全な女社会だ。【理屈】でどうにかなるものじゃない」

 

 そんな事はない、と言い返したいのだが何故か俺の心がそれを理解し、納得してしまった。

 

「……俺とあんたを入れても三十にも満たない人数で千以上を相手しろと?俺等は死兵か?」

 

 腹の底で怒りが煮え滾る。

 たかだか男がいるだけ(そんな事)で魔女は魔女(ハリガン達)を見捨てるのか。

 

「だが、それならそれで開き直れる」

 

「…どういう意味だ?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 カイムがとんでもない事を言い出した。

 

「………正気か?」

 

「何も馬鹿正直に正面から戦う必要はないだろ。()り様など幾らでもある」

 

 んな阿保な。この兵力差の軍隊相手に何を、

 

(…待て、()()()?………………()()?)

 

 俺の中で一つ【案】が浮かぶ。瞬く間にそれを土台として一つの策を組み上げてゆく。

 

(………駄目だ、骨組み(情報)がたりん)

 

 舌打ちが出そうになるのを押し留め、湯から立ち上がる。

 

「何か思い付いたか?」

 

「まぁな、出来ることなら絶対にやりたくない(おお)(ばく)()も大博打だが何とかする。カイム、(いな)(ずま)を貸すから明日の朝ユウキとセレナを連れてちょっと()()してくれ。ハリガンが戻るまでには下準備を終わらせたい」

 

 この後アイスからも出来るだけ【大きな紙】と【筆】を借りねばならない。

 ああ、その前に、

 

「それと、念の為の確認なんだが」

 

「?」

 

「あんた、()()()()()()()()()?」

 

 俺の問いに非常に嫌そうな渋面でカイムは答えたのだった。




 如何だったでしょうか?

 魔女陣営のマスコット、ちょっとオトシゴロなリュリューシュの登場です。
 作者としては拙作のカイムを書くにあたり絶対に必要なキャラだったので、かなりフライング気味ではありますが登場させていただきました。
 ちなみにシェリスとエルリットは原作作中で存在を確認できるのですが名前を確認できなかったので今作オリジナルの名前です(後に確認出来たらそちらの名前に直します)。
 ちょっとした拙作オリジナル設定を

・リュリューシュ 五歳 一人称 吾

・シェリス 六歳 一人称 わたし

・エルリット 五歳 一人称 拙

 となります。
 これからリュリューシュ筆頭にチビっ子三人娘も本作に関わってきますので何卒よろしくお願いいたします。
 では、また次回お会いしましょう。
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