ハイスクールD×D 奇跡の天使   作:瑠夏

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4ヶ月ほど空いてしまった……。


2話 母

 

 

天界の中枢機関『ゼブル』。ここには、熾天使(セラフ)達が住んでいる。

それは勿論、熾天使であるジブリールも例外ではなく、その娘である七星十香も一緒に住んでいた。父親は教会の仕事関係で滅多に会うことはない。

そんなジブリール家の食卓には、いい香りを漂わせたお皿が二つ並べられていた。

お皿の中身はシチュー。忙しいジブリールに変わって毎日十香が料理を作っている。

「では、いただきます」

「いただきます」

 

十香とジブリールはいつもよりすこし遅めの夕食を開始する。

 

「ん〜、さっすが十香ちゃん! 何時もながら最高の料理だわ!」

「ありがとう。お母さんが喜んでくれると、作った甲斐があったよ」

 

十香の作ったシチューを頬張りながら、絶賛する。それを聞いた十香はジブリールに喜んでもらえて良かったと、微笑む。

十香の微笑みをジブリールが見た瞬間。

ジブリールの綺麗に整った小さな鼻から、ツーと、血が流れてきた。

 

「ち、血!? お母さん、鼻から血が出てるよ!?」

 

十香は慌ててティッシュを何枚かとり、ジブリールの血を拭った。

十香はただただ心配そうに見つめるが、ジブリールからは十香が瞳を潤ませ、上目遣いで覗いているように見え、その可愛さのあまり、更に吹き出す血の量が増えていく。

十香自身は自覚していないことだが、十香の姿容は女神ですら逃げ出す美を持っている。その冗談としか思えない美貌に、上目遣いなどされたら、同性であろうとひとたまりも無いだろう。その証拠に、ジブリールの流血が更に激しさを増したのだから。

故に、ジブリールの流血が止まるのに時間を有したのは当然のことだったーーーー

 

 

 

 

 

「ごちそうさま。ふぅ、十香ちゃんの作るご飯が美味しくて食べ過ぎちゃった」

「えへへ。これからも作るからたくさん食べてね。太らない程度に……ね」

「はーい……と、そうだった。十香ちゃん、少しだけ時間いい? 真面目な話があるの」

 

鼻からの流血も止まり、シチューを食べ終えた十香は、ジブリールと話をするため、食事時と同じ向かい合わせに座った。

 

「話って何? 今日帰ってくるのが遅かったのと関係してるの?」

 

十香が聞くと、ジブリールは一つ頷き、肯定した。

 

「実は、ミカエルさまから…………いいえ、私を含めた熾天使(セラフ)全員からの依頼なの」

「ーーーーっ!?」

 

熾天使(セラフ)といえば、大昔から生き続ける伝説の天使たちだ。

そんな大物たち全員からのお願いとなると、驚きと共に、急激に緊張が身体を襲う。

何をお願いされるのか。セラフメンバーには今でも可愛がってもらっている十香は、あまりおかしな依頼は来ないと思っているが、それ相応のものだともわかっている。

十香はジブリールの言葉を待った。

「貴方には奪われたエクスカリバーの回収、もしくは破壊と、今人間界で暴れているコカビエルの討伐をお願いしたいの」

 

ジブリールの瞳は一寸のブレもなく十香の瞳を射抜いていた。

ジブリールがいかに真剣なのか、それだけでわかる。

 

「コカビエル…………」

 

正直に言って不安だ。

古の戦いから生き残る堕天使の幹部。聖書にも記されたほどの大物が相手……。

逆に十香は、まだまだ生まれて十七年。古の戦いから生き残るコカビエルに比べたら、戦闘経験など皆無に等しい。

「大丈夫よ」

 

十香が顔を伏せていると、いつの間にかジブリールが後ろからおいかぶさる様に抱きしめた。

「……お母さん?」

「貴方なら大丈夫。なんたって、この私の娘なんだから」

 

親は親、子は子だ。親が出来るからといってその子供が出来るとは限らない。だが、そんな根拠の無い励ましでも、十香には十分だった。

「うん! 私、頑張るね!」

「ええ、頑張りなさい。詳しい話は明日、ミカエルさまが教えてくれるわ」

 

ジブリールはそう言うと、十香から離れていく。少し名残惜しいが、それを言うとジブリールが調子づいて、また胸を揉まれるとうの変態行為が来るのは目に見えている。

話が終わると、十香はテーブルに置いてある空になったお皿をさげた。一度水で流し、洗剤で洗う。その動作は手馴れたもので、少しの無駄もなく流れるような動きだ。

お皿を洗い終わると、十香はお風呂に入る。その際、ジブリールも乱入してこようとしたが撃退した。いくら胸を揉まれていようと、裸を見せるのだけは危険だと十香の第六感がそう告げていた。

十香はお風呂から出ると、一緒に入れなくて落ち込んでいた困った母親を風呂場に押し込み、自室に戻った。

十香の部屋には、ベッドとタンス、机に本棚以外何も置いていなかった。

十七歳の女の子の部屋とは思えない。よく言えば整理整頓されていて綺麗、悪く言えば殺風景だ。

だが、十香は別段気にすることなくベッドに寝転んだ。時刻は夜の九時。寝るには少し早い気もするが、依頼の内容を考えると体調は万全の方がいい。

そう考えた十香は、早速寝ようと電気を消し、瞼を閉じようとしてーーーー

 

「十香ちゃぁぁああん! お母さんと一緒に寝ましょう!」

 

突然入ってきたジブリールが、十香の布団に潜り込んできたことにより、出来なかった。

隣を見ると、既に十香の毛布を半分被り、持ってきたであろう自分の枕に頭を沈めて、こちらを見ていた。一瞬の早業に、十香は呆れる。これでは追い出そうにも追い出せない。……でも、今日だけは一緒にいてくれた方が十香の心的には安心かもしれない。

母親の激励があったとはいえ、不安が完全に払拭されたわけではない。いざ、一人になると色々と考えてしまう。

……だから、今日だけはーー

 

「あら、 十香ちゃん? どうしたの?」

 

いつもなら邪魔だと追い出すはずの十香が今回は何もしない。それを疑問に思ったのか、ジブリールは首を傾げた。

だが、十香はジブリールの質問に答えず、その代わりに半分空いている毛布に入り、もう半分を占領している母親の胸に顔を埋めるように抱きついた。

 

「と、とととと十香ちゃんっ!?」

 

ジブリールが素っ頓狂な声を上げるが、十香は気にせず更に抱きしめる力を強めた。

すると、ジブリールは興奮気味に歓喜の声を発していた。

 

「うぇへ、えへへへ……十香ちゃんのたわわなおっぱいが私のお腹にぃ〜」

 

十香はジブリールの胸に顔を埋めているため、母親の顔を見ることはできないが、きっとだらしない顔になっている様子が目に浮かぶ。

だがその態度も、十香の言葉とともに消え失せる。

「一人だと色々と考えちゃって不安になっちゃうから、今日だけ、今日だけでいいから一緒に寝て……」

 

十香の身体は少し、密着していないと気づかない程度だが、確実に震えていた。

実力ではコカビエルを優に超えていたとしても、心……精神はまだ子供。十七歳の女の子なのだ。

しがみつくように抱きついていた十香の背中に、ジブリールの腕がそっと回された。

 

「今日だけと言わず、寝て欲しかったらいつでも寝てあげるわよ」

 

そう言うジブリールの声音はとても優しかった。聞いているだけで安心する。それに、母親に抱きしめられると、不安で揺れていた心が安定し、安心する。

 

「ありがとう、お母さん」

「貴方はまだ子供なんだから、怖かったり不安に思ったりしたら遠慮なく私に甘えていいのよ? 何て言ったって、私は十香ちゃんのお母さんなんだから!」

「うん!」

 

これでもう大丈夫だ。震えはいつの間にか治っていた。

十香は最後に強くジブリールに抱きつくと、瞼を閉じ、そのまま眠りについた。

 

眠った十香は、安心しきった表情をしていたーー

☆☆☆☆☆

 

十香は目を覚ますと、ジブリールの腕の中にいた。昨日のことを思い出した十香は、甘えてしまったことが恥ずかしくて、頬を赤らめた。

 

(で、でも。甘えていいって言ってたし……だから別に今甘えても、いいよね?)

 

しかし、いくら甘えていいと言われても、堂々となんてやはり恥ずかしくてできない。

だから、まだ眠っている今がチャンスだ。

十香は起こさないよう気をつけて甘える。

元々抱きしめられていたため密着はしていたのだが、十香は更にくっつき、頬ずりをする。

ジブリールの肌はミルクのように白く、きめ細かくてすべすべと気持ちが良かった。

 

「んん〜。お母さん…………大好き……」

 

全身で、母に甘えていた十香は、無意識のうちに呟いていた。

 

「やっぱりお母さんに抱きしめてもらうと安心するなぁ……」

 

恥ずかしいとか、そういった感情は既に消えていた十香は、普段絶対に見せないであろうリラックスしきっていた。

 

 

ーーーーーージブリールが起きていたとも知らずに…………。

 

「お母さん……大好き」

「私も大好きよ」

「……………………え?」

 

十香はリラックスしきった状態から一変。身体が硬直したように動かなくなった。

きっと気のせいだ。いや、気のせいであってほしい。十香は冷や汗を流しながらも、徐々に顔を離していく。

そこには眠っているジブリールの姿がーーーー

 

 

 

 

「おはよう、十香ちゃん♡」

「お、おはよう……」

 

そこには顔を赤くしつつも、満面の笑顔を浮かべたジブリールの姿があった。

それを見た瞬間。十香はまずいと思った。このままでは自分は母に揉みくちゃにされてしまうと。

照れたのであろう母の表情は、それは形容のしようがない程美しかったが、それをじっくり観賞している暇はなかった。いち早くジブリールの腕の中から脱出しなくては……っ!

起きたばかりで寝ぼけている今なら多少荒くとも抜け出せるかもしれない。

だが、その考えは甘かった。甘過ぎた。

相手は熾天使(セラフ)……それ以前に母親なのだ。逃げれる可能性など初めからなかった。

 

「ああんっ、十香ちゃん私も大好きよ〜ッ!! 心の底から愛しているわ!」

「むぐっ……」

「まさか十香ちゃんから大好きって言われるなんて……幸せぇ」

 

ジブリールが心の底から喜んでいる様子を見ると、たまになら言ってもいいかな……と、十香は思った。

暫くはジブリールの好きな様にさせようと、十香は身を委ねたーーーー

 

 




更新が遅れてしまい申し訳無いです!

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