ハイスクールD×D 奇跡の天使   作:瑠夏

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いつの間にか評価に色が!?

そして日間ランキングにも載ってビックリです。目を何度か擦るほど目を疑いました。これも読者の皆さんのおかげです。ありがとうございます!
これからもこの作品をよろしくおねがします!


6話 エピローグ

 

 

未知の領域に恐怖した十香だが、少しすると正常に戻った。ーー戻ったとは言っても、またあの世界を見せられたらどうなるかはわからないが。

とりあえず十香は、もう一つの仕事……聖剣の回収、もしくは破壊のため聖剣を探した。

が、すでに粉々に砕け散っていた。

 

(まさかもう聖剣が破壊されているなんて……。けど、この分なら私が手を出さなくても教会から派遣された二人が持ち帰るよね)

 

そうとなれば後はもう教会へ向かい、天界に戻るだけだ。

いつまでも悪魔の領土に天使はいない方がいい。十香は戻ろうと踵を返した。

 

「ま、待ちなさい!」

「……なんですか?」

 

呼び止められた十香は振り返る。声の主はリアスだった。

 

「あなた、何者? どうしてここに来たのかしら?」

 

今までの態度が一転、堂々と十香の目を見て話してきた。

別に答えず、無視して帰っても良かったのだが、これから何度か顔をあわせるようになるだろうから答えることにした。と言っても簡単にだが。

 

「教会から派遣されたエクソシスト。目的はコカビエルを止めること」

「そう。なら、その剣はなに? みたところ聖剣のようだけど。ただの聖剣な訳ないわよね? エクスカリバーすら霞んで感じてしまうほどですもの」

「その質問には答えられないわ」

「それもそうよね。敵に手の内を晒すなんてバカのすることだもの」

 

ーーじゃあ、なんで聞いたんだろう……。

 

口には出さないがそう思った。

それにしても、そろそろ帰っていいだろうか? 敵同士とはいえ、一応助けた形になったのだから形式だけでもお礼は述べるべきではないのか? それも無しで自分の知りたい質問だけするって、どうだろうか?

少しムカムカした。

「目的も達成できた。私はこれで失礼しますね」

「待ちなさい! まだ質問に答えてもらっていないわ」

 

強引に止めるリアスに、十香は微々たるものだが怒気と〈鏖殺公〉をチラつかせながら言う。

 

「私たちが敵同士とはいえ、一応私はあなたたちを助けたのよ? それなにのお礼の一つ無しに自分の知りたい質問ばかり? 私は大抵のことは笑って許してあげる事はできるけど、自分の欲だけを満足させようとする輩は……嫌いだよ?」

 

十香は遠回しに「これ以上しつこいと、どうなっても知らないよ?」と言ったのだ。

それを察したのか、リアスの顔には明確な焦りと恐怖が現れ、十香に謝罪した。

 

「ーーーーっ!! そ、そうね。ごめんなさい。……それと、遅くなったけどコカビエルを倒してくれたこと、感謝するわ」

 

非常にいい辛そうだった。他人……それも協会側の人間に頭を下げるのは上級悪魔としてのプライドに触れたのか。それとも元からそういう性格なのか。十香にはわからなかったが、仮に十香が天使の仲間の前で悪魔や堕天使にお礼を言え、と言われれば、彼女同様、嫌々になってしまうだろう。

(これ以上は今後の関係に響くかもしれないからもう無理にでも帰ろう)

 

「では、いずれまた」

 

十香はリアス含む悪魔全員を見てからそう言い、教会へと走って行ったーー。

 

☆☆☆☆☆

 

十香が消え、静寂が広がる。

誰もが今日起こった出来事を整理できないでいた。堕天使の幹部にそれを遥かに超える謎のエクソシスト。更には一誠の神器と対をなす白龍皇の登場。今日一日で自分たちの許量を超える出来事が連続で起こった。

いくら上級悪魔のリアスと言えど、混乱するのは当然の結果だった。

「ぶ、部長……」

 

眷属の一誠が、心配そうにリアスに声をかける。振り返ると、リアスの下僕悪魔たちが皆、心配そうに見ていた。

 

(ダメね。可愛い眷属たちに心配させるなんて……私もまだまだだわ)

 

リアスは自分の未熟さに自嘲気味な笑みを浮かべた。

 

「ごめんなさい。予想外の事態が立て続けに起きてうまく処理できていなかっただけなの」

 

リアスがそう言うと、眷属悪魔たちは確かにと頷いた。その動作から、みんなの疲れが現れていた。怒涛の一日だったのだからそれは仕方のないことだ。何を言おう、リアス自身もクタクタなのだから。

だが、この一日は悪くはなかった、とリアスは思っている。はぐれ悪魔になりかけていた木場祐斗が帰ってきただけでなく、聖と魔をまじ合わせた禁手(バランスブレイカー)、聖魔剣を習得したのだから。

 

(まずは、全員が生き残った事に喜びましょう)

 

リアスが眷属たちを見て、そう思った。

 

「リアス! 無事!?」

 

正門の方向から、焦燥の声が聞こえてくる。

振り向けば、この学園の生徒会長であり、上級悪魔のソーナ・シトリーとその眷属たちが額に汗を滲ませて立っていた。

「ソーナ! 貴方こそ無事?」

 

十香からは無事だと言われていたが、何の確証もなかったため、リアスはソーナの無事を確認した。

 

「私たちは全員無事です。結界を破られた時は驚きましたが……それにしても最後に見たあの光の柱は一体……」

 

リアスは、ソーナが結界を張いる間の出来事をすべて話した。

コカビエルに圧倒されていたこと、裕斗が禁手に至ったこと、教会から増援として来たエクソシストのこと、白龍皇がコカビエルとはぐれ神父を連れ去ったこと、そして、エクソシスト……十香がコカビエルを圧倒し、あの神の威光如きの極光の柱を放ったこと……。

ソーナは、白龍皇の乱入よりも、コカビエルを圧倒し、さらにはあの柱を放ったのが人間だということに言葉を失っていた。

 

(目の前で見ていた私達ですら、未だに疑う光景だもの。ソーナが信じられないのも無理ないわ)

 

リアスは半信半疑の様子なソーナたちを見てそう思った。

 

「嘘だと思うのも無理ないけど、今はこの後のことを考えましょう?」

 

リアスはグランドを見回す。学園の敷地内には、今回の戦闘でクレーターや、建物の一部が崩れていた。そのまま放置は出来ない。何せ、明日は普通に平日。通常通り授業が行われるのだ。今夜のうちに全て復元しなければ大事になる。

 

「そのようですね。椿、私達は校内の修復を。登校時間までにはなんとかなるでしょう。……学園の管理は生徒会の役目、リアスは眷属の元へ」

 

後半はリアスへ向けられた言葉。ソーナは戻ってきた祐斗のことを気遣ってくれたことがその言葉から伺えた。

 

「ありがとう、ソーナ」

 

その気遣いに感謝し、リアスは可愛い自分の眷属悪魔達へと足を運でいったーー。

 

☆☆☆☆☆

 

教会に戻ると、すぐに門が現れた。人間界に行くときと同じ門だ。

十香は開いた門を通っていく。眩しいくらいに白い空間。そこで一瞬、浮遊したように感じる。

しかし、その浮遊感もすぐ治り、視界が開ける。そこは、先程までいた教会ではなく、天界だ。目の前には、ミカエルを含め多くの天使が十香の帰りを待っていた。

 

「お疲れ様です、十香。コカビエルを止められたようですね」

 

ミカエルから労いの言葉がかけられる。

十香は「はい」と答えた。そして、コカビエルがどうなったかを伝える。

 

「倒したコカビエルは白龍皇によって回収されました。どうやらアザゼルの指示だったみたいです」

「白龍皇……それにアザゼル……」

 

白龍皇にアザゼル。その名前が出てきた途端、周りの天使達はざわざわと騒がしくなる。

ミカエルもその二人を警戒しているため、少し深刻に考えていた。

 

「ですが、赤龍帝と白龍皇の会話から、まだ赤白対決はする予定はないようです」

「そうですか……それは大変助かります」

「報告することは以上です」

 

十香がそう閉めると、考え込んでいたミカエルの顔が緩む。

そして、周りの天使たちに言う。

 

「考え事は後にしましょう。十香が怪我なく無事に帰ってきたことを喜びましょう」

 

ミカエルがそう言い終えると、周囲の天使達が一斉に盛り上がる。

四方八方から「おかえり〜」や「本当に大丈夫?」と、十香を気遣う言葉がたくさん送られた。誰もが心から十香のことを心配していたのだ。

十香はそれを強く感じた。

嬉しくて、涙が出そうだった。

十香は涙をグッと堪え、笑顔を浮かべる。

その笑顔は太陽のように眩しく、それを向けられた多くの天使が悶絶した。

中には堕天防止警報を鳴らすものまで……。

警報が鳴ったことで、十香は心配になり、その天使に寄り添おうとしたところで、ミカエルに止められた。

そして、ミカエルが落ち着かせることで何とか堕天は防止した。本当に堕天してしまっては洒落にならないからだ。

堕天の危機が去り、再度盛り上がる。

するとそこで、十香はここ第六天に物凄いスピードで近づいてくる気配を察知した。

何だろうかと様子を見る十香だったが、すぐに気づいた。

雷の如く速さで接近する十二枚の翼を持った天使。プリズムのように光を反射させ、虹のように見える特徴的な髪。それは、十香が尊敬する天使と同じ。

その人物だとわかると、十香の顔が、さっき以上に輝きだす。

周りの天使たちは一斉に十香から目を反らす。そうでもしないと、十香の笑みにやられて、堕天しかける輩が出てくるからだ。

十香から視線を逸らした天使たちは、先ほどよりもさらに上の笑みを見れず、皆が歯噛みし、悔しそうにしていたのだが、十香が気づくことはない。

何故なら、今はこちらに光速で来ている人物に夢中だったからだ。

十香はこちらに向かってくる人物を呼ぶ。

 

「お母さん!」

「十香ちゃぁぁぁああんっ!!」

 

近くまで来ると急降下し、降り立つ。そして十香めがけ一直線に踏み込み、抱きついた。

怪我が無いか、調べるように体をぺたぺたと余すことなくジブリールは触りだす。

抱きつかれたと思ったら急に身体を弄られ、十香は固まる。

そして、ジブリールの手が十香の胸に触れたとき、むにゅと手が沈み、それを跳ね返す弾力のある動きに、見ていた天使たちがまたも警報を鳴らす。

当のジブリールは一切警報に引っかからない。

あまりの理不尽さに、他の天使たちはジブリールを睨みつけるが、ジブリールは十香に夢中で気付かない。

と、ここで漸く動けるようになった十香が言う。

 

「ーーちょっと、お母さん! 他の人たちが見てる前で恥ずかしいから止めてよ!」

 

十香は恥ずかしさのあまり林檎と同じ色に顔を染めて、母に抗議する。

が、その程度の抗議で止まるジブリールでは無い。ジブリールが堂々と言う。

 

「これは十香ちゃんが怪我していないかの確認です。後から異常が見つかっても大変だから、今行っているだけであって、決して、早く十香ちゃんに抱きついて身体を撫で回したいとか、そんなやましい気持ちを抱いている訳じゃないのよ? 全然これっぽっちも」

 

怪しい。怪しすぎる。

真顔で言っているが、動く手はイヤラしすぎる。的確に、十香の胸やお腹、お尻などを触るあたり、確信犯だろう。それか無意識のうちか……身体は正直なのだ。

 

「ひゃん!」

 

母の手から逃れようとするも、絡みつくように動くジブリールの手に、十香は逃げられないでいた。

それを見かねたミカエルが、夢中になるジブリールに近づき、

 

「ジブリール」

「ッ……! は、はい……なんでございましょう、ミカエルさま……」

 

それはもう美しい笑みを浮かべるミカエル。それに怯えるジブリール。漸く自分の行なっていた行為の度が過ぎていたことに気がついたようだった。

ミカエルは呆れながらも言う。

 

「別に親子のスキンシップを止めろ、とは言いません。ですが、もう少し周りと十香のことを考えてください。見目麗しい十香の艶姿など他の者たちでは堕天を耐えることができません。これ以上純血の天使が誕生しないのですからその辺りは控えて行動してください」

「……了解でございます」

 

そう言って十香を離すジブリール。母の魔の手から解放された十香は、胸を両手で隠し、その場にペタンと座った。

 

「お母さんもう少し節度をわきまえて」

「え? 節度をわきまえたら触ってもいいの?」

「お母さん?」

「嘘ですごめんなさい」

「まったくもう」

 

呆れる十香だが、いつも通りの母を見ることができてほっと胸をなでおろしていた。

十香は立ち上がると、まだいっていなかったことを思い出し、ジブリールを見る。

ジブリールがどうしたの? と心配そうに聞いてくるが、十香はニコッと笑顔でーー

 

「ただいま! お母さん!」

「……お帰りなさい、十香ちゃん!」

 

 

その後、天界はお祭りのように盛り上がったという。

 

 

 

 

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